2021年12月31日金曜日

スキップ・ビート!3

2003年3月19日発売

(ACT.12 プリンセス革命-舞踏会-)次のシーンは屋外でお茶を点てる。瑠璃子ちゃんは小さい頃親に茶道を習わされたのでなかなか手つきが様になっている。キョーコは足が痛むので正座をしたくないと茶道のレクチャーを断る。ふと気が付いて瑠璃子は紫外線アレルギーでは?とキョーコは問うと、単に日焼けが嫌なだけだと。以前キョーコにそう聞かれた時に否定しないで、キョーコの同情を引いたけど、それは勝手な思い違いだと。

切れたキョーコは瑠璃子とバトルになりかけるが、蓮に「君ははっきり言ってバカだろう」と言われる。瑠璃子が「だって初めからあんたを潰すのが目的なんだもの」といったことを思い出し、密かに怨キョを出して燃える。

一方瑠璃子は「敦賀さんはあの子と共演したいんでしょ!!」と蓮に言ってみるが「俺が一緒に仕事したいと思うのは自分の仕事に誇りとこだわりを持ってる人間だから」と言われてやんわり突き放された様な気がする。足を気づかう社さんに「たとえ骨が折れてもやめませんよだって骨は折れても治るもの」と。

瑠璃子の演技は蓮に見とれて台詞を忘れて終了。言い訳をする瑠璃子に新海監督は「俺が今君の口から聞きたいのは言い訳じゃない」と。
瑠璃子に「見てて私ラブミー部としての使命を果たしてみせるから 私の仕事は太陽から瑠璃子ちゃんを守るために日陰を作ってあげる事だったでしょう だから芸能界でも陽のあたらない場所を歩かせてあげるって言ってるの」と。
この台詞、ユーモアがあってキョーコちゃん格好いい。
始まる前は痛みで正座もできないキョーコだが、カチンコがなれば正座で微笑み、お茶を点てる手つきは板についている。「あの子根性は既にプロ級だ」と新海監督。蓮は本気でキョーコの相手をして芝居をしている。敦賀さんを取り巻く空気が瑠璃子の時とは全然違うのが瑠璃子にもわかった。

(ACT.13 プリンセス革命-心に火をつけて-)キョーコにも敦賀さんの雰囲気がいつもと違うのが伝わって威圧を感じるが、負けるものかと気を取り直す。が、蓮の演技に完全にキョーコの方は演技をさせられている。

新開監督に「あのくらいなら私にだってできます!!」と瑠璃子「今のあの子の演技は蓮が引き出した あの子に対して蓮が本気で向き合ってるから出てきた表情なんだよ だから君があの子と同等の演技をするには 君が蓮を本気にさせないとできないな 君はもし今のあの子の立場が自分だとしたらどうする」と言われてわがままな自分を振り返る瑠璃子。

キョーコは限界で冷や汗をかき目もうつろだが「私は最後までここを離れません」と。新開監督が蓮に座敷から降りるように言ったあと意識を失う。その姿にデビューはしても全然売れてなかった頃を思い出す瑠璃子。自分は負けるのかもしれないけど、まだ自分の力出し切った演技一度も見てもらってない。ともう一度演らせて下さいと新開監督に申し出る。

社さんに付き添われてキョーコが気を失って病院に担ぎ込まれているうちに、瑠璃子ちゃんが役をとったときいて「怒ると思うよ」と社さん。「しょうがない監督元々あの子を使う気なかった」と思うからと蓮。瑠璃子を使うのは宝田社長からの頼みなのだから。すなわちキョーコちゃんは瑠璃子に危機感を持たせるための当て馬。
演技が素人という意味なら瑠璃子も同じだけど、既にアイドル歌手として売れているし、まあここではしょうがないけど、芸能界で何がやりたいかもわからないキョーコが演技に目覚めたと言うことで意味があった。どうせこの敦賀蓮も44巻では恋の当て馬になって、墓場まで持っていきたい恥ずかしい思いをキョーコちゃん密かに聞くことになるんだし。もっと溜飲を下げていいよ!キョーコちゃん。
思いもよらず瑠璃子ちゃんから100点もらうキョーコ。「私が頑張ったのは貴女から役を奪い取るためだったはずでしょ」と不思議に思う。キョーコはわかっていながら蓮の演技にだまされたし、戦場で気を失ったし、生き残る資格はないというのが正直な感想。心の中で蓮にまるで子供みたいにいいように翻弄されたことがくすぶっている。

(ACT.14 プリンセス革命-AM12:00-)お礼にホテルの写真館に頼んでキョーコちゃんの写真撮影。バーで社さんにさそわれても見にいかないという蓮に「俺 蓮はキョーコちゃんのこと気に入ってるんだと思っていた 芝居本気で相手したろ」「「確かに根性は気に入りましたよ」

メイクアップして撮影に大喜びのキョーコに後ろめたい新開監督は「役は瑠璃に落ちついてしまったが決して俺は君が瑠璃に劣っていたとはおもわない むしろ演技は君の方が・・」とつい本音がでかけて焦るが、キョーコは「私は瑠璃子ちゃんに負けて良かったと思っています だって私あのまま続けてもことごとく敦賀さんの思うツボにはまる自分にムカつくだけだもの」「君だけじゃないよ あいつは相手が蓮に惚れる役なら本気で自分に惚れさせるし蓮にビビる役なら本気で相手をビビらせる 蓮と共演する人間の演技はいつも本物になる」「あれはサギです誘導です 私の演技がほめられたとしてもそれは私の実力じゃありません」と。

ファンに気づかれて騒がれ始めたので写真撮影の場に逃げてきた蓮。捏造も多い「BOOST」という雑誌記者が来ていてキョーコちゃんに興味を持っているので、瑠璃子ちゃんのために希望のない演技対決させられたことがバレて名前が出るのはキョーコちゃんのためにならないからと、追い払い役を新開監督は蓮に頼む。おお、敦賀蓮と楠香凪さんのスキャンダルをすっぱ抜いてキョーコちゃんと蓮を危機に追いやったBOOST!!がここにでてきてる。
蓮と社さんに部屋へ送られる途中で、あまりにも蓮とキョーコちゃんの雰囲気が凍り付いているので、社さんが茶道はいつからやってるの?と聞いてショータローの旅館で12の頃から習い始めたけれど女将修行、すなわちショータローの花嫁修行をさせられていたことに気が付いて、今回の演技テストはこの男に惨敗しただけじゃなく、唯一自信があったお茶を点てる演技もショータローのために身についてたものとキョーコは改めて気が付いて思わずへたり込む。近づいてきたBOOSTの記者を目力で追い払いキョーコに手を貸す蓮。でもこの男と対等に演り合える演技力を身につけたいと思うキョーコ。二人はなかなかいい感じじゃないかと思う社。

メイクを落とすのを嫌がるキョーコに「肌ルックス ビジュアル系」「負けるぞ アイツに」と不破尚のCMのキャッチフレーズをつぶやく蓮。

翌日帰りに挨拶に来たキョーコに「あれでもっと高度な演技力を身につけた日にゃ 俺は惚れるね 役者として確実に」と心の内で思う新開監督。蓮と社さんにも挨拶をして昨日部屋に帰る途中崩れて動けなくなったのは茶道の話で憎っくき男の事思い出してといったとたん「アイツの事か」と表情の変わる蓮「ならアイツへの復讐のために頑張ったようなモンなんだ。今回の根性全開の演技対決も」「もちろんです(少なくとも前半は)」というキョーコに似非紳士スマイルで-10点スタンプを押す敦賀蓮。いやキョーコちゃんそんなに卑下しなくても、既に尚への復讐ではなくなっていたでしょ。

(ACT.15 一蓮托生)
キョーコがたった一日で松内瑠璃子を矯正したと新開監督からきいた社長は、俺も頼んでみようかなとつぶやいた。

キョーコは蓮を演技でオロオロと翻弄する演技力を身につける方法を探していた。基礎から身につけようと、LMEプロダクション付属養成所俳優科昼の部夜の部一年=週3回4時間、のパンフレットを手に事務所を歩いていると、同じパンフレットを手にした琴南奏江と出会う。琴南さんは5巻ででてくる高園寺絵梨花さんの嫌がらせで、演技の勉強を正式にはしてないから。そこに俳優部門の松島さんが声をかけてきて、なんと琴南奏江もラブミー部員になったという。奏江は一次審査も二次審査も難なくクリアしたのに、最終審査の質疑応答で「家族愛」についてのストーリーの主人公をどう演じたいか延べよと言われて、「彼女は不幸だと思います おそらくこれからも「家族の幸せ」に縛られ彼女自身の幸せについて考えることもしないでしょう しかもこういう家庭は何度もくり返す様な気がします 一言で言わせていただくとこの主人公は不毛ですね」と本音を言った上、一次審査の電話のすばらしいリアクションテストも「女優として芝居したまでだ」って1%も彼女の心がはいっていない事も判明して「愛」の欠落者としてラブミー部で心を育てていくことになったと。
俳優になるためのテストで「女優として芝居したまでだ」でなぜ悪いのだろうか・・・あと家族の幸せに縛られるっていっていいかどうかは状況に寄るけれど、私もそういう感想を思うけどな。
キョーコと奏江のラブミー部員コンビは、養成所でレッスンや舞台稽古の邪魔をして、生徒に怪我をさせたマリアちゃんの後始末?に、社長の依頼で養成所にいく。そのマリアちゃんとはLMEオーディションであった女の子だった。

しかしマリアちゃん、事務所に出入りしていたのに、なぜ養成所に通い先を変えたのだろう。天使の言霊が気に入らなかった?
事務所に毎日顔を出していた頃は「蓮」が絡まなけりゃ「天使」といわれていたのは、蓮に媚びを売る女性に、6巻ACT.31見たいに、クモのおもちゃの入ったお弁当を出して嫌がらせしたりするからかな。

(ACT.16 天使の言霊-前編)トップモデルだったマリアちゃんの母は、マリアちゃんの5歳のお誕生日をマリアちゃんと過ごすために帰国途中に事故に遭った。その時に思わず父が口にしたマリアちゃんを責める言葉に深く傷ついていた。養成所で生徒達が取り組んでいた劇「天使の言霊」は、主人公の末っ子は母親が主人公に会いに帰ってくる途中で飛行機事故にあってだ亡くなったけれど、その子を愛してくれるよう姉が父を説得する劇だが、嘘くさいという。

社長曰く、マリアちゃんは時には自分より影響力があるかもしれない蓮の言葉さえ信じようとしないという。でも瑠璃子を一日で矯正したキョーコなら、マリアが気に入っているようだしできるのではという。新人オーディションのあとマリアは嬉々として椹さんにキョーコのことを聞いていた。他人のことを知りたがるなんて敦賀蓮以来始めただと。

養成所でラブミー部員とからかわれて頭にきた奏江は、ひと目で台本を暗記して感情をいれて演じる特技を生徒の前で見せていた。

キョーコの望みはもしマリアちゃんの心のシコリを取ってあげる事ができたら養成所の入所金・授業料40万円を分割払いにしてもらいたいという。社長はマリアちゃんの心のしこりを取ることができたら両方免除にするというのを耳にして、奏江は「お孫さんのことはわたくし達ラブミー部員におまかせ下さい」という。

まずはどこかに隠れているマリアちゃんを誘い出すために蓮様人形を取り出す。奏江はひと目で蓮と見抜いたものの、キョーコは不破尚が好きなんだと思っていた奏江はその不破尚の呪い人形も見て、とんだマニア、信者だと思う。

そして予想通り蓮様大好きなマリアちゃんはすぐに誘い出され、キョーコと呪い人形談義に花を咲かせる。「あなたとは一度じっくりお話ししてみたいと思ってたの だって初めて会ったとき あなたから私と同じ波長を感じたんだもの」と。

そこに現れたおじいさま、すなわち社長さん。マリアは「あんな馬鹿げた稚拙なお芝居を定期公演として発表するのはLMEの恥」だという。「主人公の母親は主人公のせいで死んだのに実の姉までもが主人公の味方で、最後には父親が主人公を愛せるようになるなんてそんな都合のいい話、子供の私でもシラけるわ。」自分の母親を思い出したキョーコはエールを送る。「自分にとっても最愛の母親が死んだというのに「妹」をカケラも憎むどころか父親を非難するなんて人として出来すぎてない?」というキョーコにむかっとした生徒達は、「あなたが演ってみなさいよ ただし その姉のおかげで主人公は父親に心底憎まれてたんじゃないって気づくきっかけをもらわないといけない」「それをあなたの言う「妹を憎む姉」の人物設定で演ってみなさいよ」との挑戦を受ける。

確かキョーコはオーディション会場でマリアに最初にあったときに、「お嬢ちゃん あなた 女子供は泣けば誰かが助けてくれると思っていないーー?」と普通は子供に言わない本音を言っていた。社長の孫(ってのはこの時点では知らなかったけど)だということでみんな取り繕って本音を言わないのにうんざりしていたから、逆に気に入ったのかも。あとは二人は蓮様人形友達。この時点ではキョーコにとっては蓮様人形は呪いの人形だけど。

しかしマリアちゃんもラブミー部員修行が必要なようで。

(ACT.17 天使の言霊-中編)こんな難しい役タレント部門を目標としている自分には無理だといいたいけど、俳優養成所だから役者になるつもりのない人間は養成所に入る資格なんかないといわれるだろうな。確かに自分は芸能界に入ってスターになりたいと思った動機(尚)は異常だし、演技を勉強したいと思った動機(蓮)も不純だし・・・不純かもしれない、でも敦賀蓮ならこれどう演じるだろう 育ててみたい 初めて自分のために生まれた気持ち、と思う。

養成所の生徒達の気を静めるために、入所演技テストを兼ねてキョーコに演じさせることにした社長にマリアは不満。「一から演技を習いたいって言ってる初心者の人にこんな難しい課題出すなんて、まともな事できる訳ないじゃない!!」「一体彼女がどこまでできるか楽しみだ」とのほほんという。しかしマリアとキョーコのオーディション会場でのやりとりを聞いて、それでキョーコが気に入ったというマリアには、社長さんは唖然。「昔から自分が自分に言い聞かせて来たことをまさか他人から投げかけられると思わなかったからよ」と。「あの子が莉菜を呼び寄せたりしなければ」と思わずパパが言ってしまったことがをきいて、パパは私を許さないと思っているマリア。

奏江は「それが脚本である以上そこに描かれている形でベスト 脚本に描かれてない登場人物のバックグラウンドなんて考えなくていいの」という。
これは演技素人の私でもちょっと・・・もちろん役者は脚本を変える立場にはないけど、バックグラウンドを考えると台詞のしゃべり方も変わると、後ほど10巻ACT.56のダークムーンの役作りで敦賀さんがキョーコちゃんにアドヴァイスしていた方に賛成。まあここでは脚本通りという奏江の言葉がヒントになったのだけど。

素人が事務所入りできるなんてコネかお金 ラブミー部ってまるで寄生虫 夢を軽くお金で買える人はうらやましいわね、そして「あなたお余程親に愛されているのね 幸せな人」との言葉(禁句)を聞いてキョーコの雰囲気は変わる。

自分のせいで母が亡くなったと亡く主人公に笑いで割り込み、殺気を込めて脚本通りの台詞を言ってみせる。そして「お父様だって人間よ我を忘れて取り乱せば本気で人を傷つけてしまう事もあるはずよ」「わかるでしょう?親だって本気で実の子を憎めるの」と正反対のことを主人公にぶつける。マリアちゃんがまさに自分の母の死に際して思っていた・・・というか・・・恐れていた言葉を。

2021年12月28日火曜日

スキップ・ビート!2

2002年11月19日発売

(ACT6 再会の迷宮)LMEのオーディションに落ちて3日目、だるまやの大将には「諦めるのか お前はもっと根性のある奴だと思っていた」とはいわれたものの、根性だけではどうする事もできないものを失してしまったキョーコはガソリンスタンドで昼間のアルバイトを見つけて働いていた。敦賀蓮の「根性だけで事が運ぶと思うなよ」という通りになったのは負け犬みたいで悔しいけれど。一方大将は「今にふっきる コケた辛さもふっきれるくらいじっとしていられない時ってのは必ず来るもんだ」と。そこへガソリンを入れに立ち寄ったアカトキエージェンシーの車から降りてきた尚が。キョーコは同僚から話をふられて、「かっこいい上に美しい なんてあなたを越える男なんかもうこの日本には存在しませんね。」と正体気付かれないように屈辱に耐えて心にもないことをいうキョーコ。同僚に名前を呼ばれそうになって思わず飛び出したキョーコと目が合ったけれど、気がつかない尚。
だるま屋の二階で、LMEには入れない、復讐なんてできない あいつはやっぱり許せない どうしても芸能界でアイツの脅威になってやりたいと悶々とするキョーコに大将が「お前がいつまでもあきらめにふんぎりがつかないのは 自分が納得するまで「芸能界」にぶちあたってないからだ 答えを出したいなら頭で考えるなお前のやりたいことをやってみろ 自分には向いてないだとか無理だとか八方手をつくした人間だけが言う事だ お前が目指す場所へはたった一つの道しかないのか」と。
キョーコちゃん、尚が許せないのは当然だけど、今はこらえないと自分が惨めになるだけ。でも大将は、どんな人生を送ったらこんな言葉が出るのだろう。いい人だね。キョーコちゃんACT.301現在ではけっこう有名になったのに、だるまやに下宿してるままなのわかる気がする。

(ACT.7 その名は禁忌)大将からもらっただるまにキョーコは片目を入れる。ショータローをギャフンと言わせた暁にはもう片方の目を入れると誓って。一方LMEでは椹さんが「今日で4日目か。オーディションで落ちた者の場合、社長いわく、待ってやれるのは不合格を言い渡されてから一週間 それを超えるとあの子がLMEに入れる余地は完全になくなる」と言うのに対して「賢明ですね 何を血迷ってそういう企画が持ち上がったか知りませんが 何も好き好んであんなのを事務所に入れること無いですよ」と蓮。蓮はあの子が嫌いなわけじゃない 気に入らないだけだと。理由はあの子が芸能界を目指している動機かと椹さんに見抜かれて「お前の業界への姿勢はLMEの社長より厳しいからな」と。

だからといって、蓮はLMEを経営しているわけではないし、人ごとだと思うけど、なんでこんなに執拗にキョーコちゃんを嫌うのかな。あれはただの追っかけで無いと見抜いた社長さんの方が人を見る目がある。

今回は蓮が出てきた裏通路からLEMに入るキョーコ。ところがダッシュで走り込んだキョーコは、大物女優上尾君子と正面衝突してお説教される。そしていきなりラブミー部員として荷物を持たされる。堂々と遅刻した上尾君子、怒らせると後々までいびられるということで椹さんでさえ何もいえないが、蓮だけは「次からはお化粧する時間を移動に費やせば間に合いますね」と嫌みを飛ばす。重そうだねと荷物を持ってあげた蓮から、ラブミー部の説明を受け、一体どんな人が入るんでしょうと人ごとのように聞くと「だから今君がやってるのがラブミー部員の仕事だよ」と「ラブミー部とはあっさりと切り捨てるには惜しい素材だが重要なものが欠けているそういう人材の『欠けている部分』を育ててやるために社長が作ったありがたい部門だ その『ラブミー部』の第一号生に選ばれたのが君だよ」と。でもって敦賀さんに荷物を持たせたキョーコは上尾君子からダメ出しを出され、蓮は「自業自得 自分が受けた仕事は自分で責任もってやらないからだよ ああいう時はどんなに甘い言葉で手をさしのべられてもちゃんと断らないと これからはこれ以上ペナルティーが増えない様に」と似非紳士スマイルで去って行く。

お~い敦賀さん、「責任を持ってやらないと」っていったくせに、後ほどキョーコちゃんが蓮の代マネを責任感でやっていたという発言を聞いて減点したのはなんだ~~自分に対しては責任感でやるのは嫌なのね。


敦賀蓮は誰にも穏やかでやさしいとのことだけど、大物女優にも皮肉を飛ばすのはGood jobだけど、弱い立場のキョーコをいじめるのはパワハラ以外の何者でもない。この頃はほんとに嫌な男だ。この頃の自分のことを、デレデレな現在ACTY301で分析して、キョーコに言い訳しないのだろうか。

(ACT.8 危険地帯)「君には他人に愛される仕事をする自信はあるかね」と社長に聞かれて「いえ・・・全然」と正直に答えるキョーコ、隣で青ざめる椹さん。「でも以前はそういう人間でした 他人の幸せのために自分の人生捨ててつくせる程、あの頃の私健気すぎて、あきれるくらいこの世で一番のバカ女でした。今は誰かのためにつくす事、そんな風にしか思えなくなってます でも1度出来てた事はリハビリすれば治ると思うんです!!」「人間として大切な感情とりもどすチャンス私に下さい!!」(やっぱり何か意表をついてくる事言うよなあ と感心する社長さん)「君の返事がどうであれ最低一年は様子を見るつもりでいた」とのことでラブミースタンプセットを渡される。初めのうちは裏での仕事が多いかもしれないがなにそのうちTVに映れる仕事も入ってくるぞ」とやる気になったところで背中にはでかでかと、左胸にもラブミーのロゴが入った、どピンクのつなぎを着せられて恥ずかしさに縮み上がる。

初仕事は、ダメ出しされたボーカルグループが嫌がらせのために廊下の床に一杯こびりつけていったガムの清掃。

一方富士テレビの廊下で迎えの車待ちの尚は、向こうからやってくる蓮の姿に気圧される自分にかつを入れるように、目の前でスタンド灰皿を蹴倒して「悪い 俺 脚が長いからよ あんた(敦賀蓮)の存在に気づいていたらもっと注意をはらったんだけど」とケンカを売る。尚の顔を見て、キョーコの話で検索した顔と気づいた蓮は、にっこり笑って「わかるよ よくやるんだよな」と脚でスタンド灰皿を起こし「蓋と散らばったゴミ ちゃんと拾ってけよ」と去って行った。見守っていた人達は「かっこいい」と。

凝り出すと徹底するキョーコは床を徹底的に磨き通る人が次々滑る事態になったおかげで依頼主の歌手部門主任中澤さんからお目玉を食って10点をもらって落ち込むが「今からスタートだと思えばいいんだ」と気を取り直す。

そこにやってきた松内瑠璃子に「私の依頼受けて」よと言われる。

ショータローがガキ過ぎる。人気で上回るのが今は無理だと認めているようなもの。あとショータローは芝居をする気は全くないだろうし、敦賀さんが歌を歌う気も全くないだろうから、そもそもライバルでさえないと思うが。ラブミー部入りが必要なのはショータローでは?まあ彼はLMEの所属ではないけど。このあとでてくる松内瑠璃子だって愛される仕事ができるように矯正の必要があるわけだし。

廊下は私もやり始めたら徹底しそう。「磨きたてで滑ります 注意!!」張り紙しておけばよかったのに。

(ACT.9 プリンセス革命-イジワル姫)長時間太陽の下になんか居たら命にかかわるという瑠璃子に、紫外線アレルギーなのかと思うキョーコは、体が弱くて外に出られない雪のように白い大金持ちのお嬢様を想像して太陽から守ると決心する。
車が突然エンコして、ロケ地まで歩く羽目になり、マネージャーに頼まれたこともあり特注日傘で守りながら歩く。敦賀さんだって待ってるのよ!!というマネージャーの叱咤に、敦賀蓮が出演することを知り、ツルとレンガのイメージで脳内逃避。内心は敦賀蓮主演の映画に出る事になってたと知っていたらこんな仕事受けなかったのにと思いながら。

すぐに歩けないと座り込む瑠璃子ちゃんを背負って歩くキョーコ、しかし足をくじいて動けなくなったら松内瑠璃子は「上に行って誰か呼んであげるから」とキョーコを置いてロケ現場に。ついたら、キョーコのことは知らん顔。才能もないくせに事務所にかじりついて人に媚びを売ってお情けでデビューしようというラブミー部員は嫌いなのだ。

誰にも助けてもらえないキョーコは気が遠くなりそうになりながら、ショータローに捨てられたこと、お母さんに置いて行かれたことを思い出す。そこに突然現れた敦賀さん、とスタッフさん。瑠璃子待ちで暇つぶしをしていたらしい。骨にひびが入っているらしい事を調べた蓮はお姫様だっこで・・・

やっと少し敦賀蓮に好感がもてるようになってきた。お姫様抱っこ~それもスタッフがいるのに任せずに。

(ACT.10 プリンセス革命-舞踏会への招待状)敦賀蓮にお姫様抱っこされてロケ現場に来たキョーコを見た瑠璃子は怒りに震える。
キョーコは手当てをしてくれた社さんにお礼を言い、蓮については「私にはスゴクいじ悪なんです」「おかしいね~基本的に誰に対しても友好的なはずなんだけど でも俺も実はまだ蓮の性格つかみきれてないから」と。この頃の社さんのビジュアル、若くて今とは随分違う。「仕事が関わると蓮は容赦なく厳しくなるんだよ 自分にも他人にもね」

一方敦賀蓮が自分との共演を切望したと聞いてたのに、瑠璃子は「待ちくたびれたよ。」とのつれない言葉に腹を立て、廊下で出会ったキョーコに「ラブミー部ってできたときから嫌いだったの 芸能界は才能ある人間だけが輝けるのよ 掃除やつき人やってりゃ陽の当たる場所に出られるなんて甘ったれてるわ 人に媚び売る暇があれば芸の一つでも磨けってのよ!」と言われて、本当に、瑠璃ちゃんを守りたくて、なくしちゃった気持ちが取り戻せそうだったと心の中で反論するキョーコに「いい点数なんか絶対あげないわよ だって初めからあんたを潰すのが目的なんだもの」とダメ押しに、思わず怨キョがでそうになるが慌てて引っ込め、社さんと撮影現場に瑠璃子を戻す。

撮影現場、左足を直にガンガン使わなければ歩けますというキョーコを突き飛ばす瑠璃子。そんな瑠璃子に「やりすぎだぞ 謝りなさい」と監督。蓮も冷たい目で見ている。

椅子を持ってきてくれた蓮に「どうして優しくするんですか!?」「人間怪我人と病人には無条件に優しくできないか?」と。やっとここで蓮のやさしさが少し出てきた。

旧家のお嬢様の振る舞いになってないとダメ出しをされる瑠璃子。立つ時は背筋をのばして頭を少し引く。身体の重心が頭の天頂部と足の真ん中を通る様に、という監督の言葉だが隣に立つキョーコは無意識のうちにできていることに蓮は気がつく。再三のダメ出しに頭にきた瑠璃子は「私は演技なんて素人なの。同じ素人でいいんならあの子なんかいいんじゃない?」と監督を困らせてもう一回お願いさせるためにいうが、カチンときたキョーコは受けて立つ。

(ACT.11 プリンセス革命-魔法-)「瑠璃子の自分の思い通りにならなきゃなんでも放り出す悪い癖を改善する協力して欲しいって社長に頼まれたのはどうするんだ」と、監督に囁く蓮だが、監督はけっこう乗り気。スタッフも松内瑠璃子のわがままを面白く思っていない陰の声を立ち聞きして、焦り始める瑠璃子。様子を見に来た敦賀さんも「監督どうも本気みたいだし勢いとはいえ自分から降りるって言ってしまった以上演技で訴えるしかないんじゃないから」とつれない。

そこへ準備ができて出てきたキョーコの予想外の化け方にスタッフも蓮も瑠璃子も監督も驚く。「いいわねェ 元が並なだけに化粧化けしてまるで別人に変身できるんだもの」と瑠璃子は嫌みをいうが、化粧をしたことがないキョーコは素直に受け取ってイヤミが通じない。「私もっと幸せになりたいの 貴女に勝って」と言われて自分の身は自分で守らなくちゃと燃え始めた瑠璃子に、監督は満足そうな笑いを浮かべる。

実際に演技を始めると、キョーコの両家のお嬢様そのものの動作に監督も目を見張る。流れるような歩行といい、お辞儀の仕方も綺麗との賛辞の声に、忌まわしい過去の残り癖だと思うキョーコ。

和装が美しくて、作法も動作も完璧なんて女優としては最高だと思うけど、キョーコ自身がそう思えるようになるのは34巻ACT.203の社長さんとの会話までまだまだ先の話。でもこの作法は忍者の紅葉修行でも役に立つし、姿勢がいいのは、モデルウォークを習う際にも役に立ったし。

ここで初めてキョーコの変身ぶりがでてくるけど、蓮も尚も驚く化けっぷりがキョーコちゃんの魅力。

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2021年12月26日日曜日

スキップ・ビート!1

2002年7月19日発売

(ACT.1 そして箱は開けられた)中学出てすぐ上京し、高校にも行かずにバイトを掛け持ちするキョーコ。おしゃれもせず毎日髪を振り乱して必死なのは、幼なじみの尚との東京のマンションでの生活を金銭的にも生活面でも一人で支えているから。尚は、家庭の事情でキョーコが預けられて育った京都の日本有数の老舗旅館の一人息子で、キョーコがひたすら夢中な同い年の男。旅館を継がせたい親とは勘当同然で上京する際に、キョーコに一緒に来てくれないかともちかけ、キョーコはひたすら尽くしている。しかし、尚はデビュー曲でヒットチャート一位になって一躍成功した途端に、二人で暮らすマンションにはあまり帰らなくなって、態度も冷たい。にもかかわらずキョーコはいまだに尚一筋。セカンドシングルのCD特典ポスターを手に入れるために走り回る。

生番組に出ている尚に、デリバリーサービスと偽って差し入れを届けに行くと、超グラマーなマネージャー祥子さんに、キョーコのことを「うちの旅館はよく手伝ってきたし俺の言うことには絶対刃向かわないし、子供の頃から家政婦だと思っていたし、自分は強制してない、あいつが自分で勝手についてきたんだからあいつが俺のために身を粉にして働くのあたり前 俺祥子さんみたいなのがタイプだも~ん」「あんな化粧ひとつしない色気ねー女」」と言い放ったのを目の前で聞いて、突如切れるキョーコだが、警備員にあっさりつまみ出される。「俺はこの先ガンガンスターダムに伸し上がって行くんだぜ ただのしがない一般人のお前になんか 到底 手の届かねぇ存在になる一方だ 俺に「復讐」とやらがしたいなら 芸能業界に入るんだな ま やるだけ無駄ってやつだけど」と。

復讐を決意したキョーコは大枚3万円を払ってショートカット茶髪にする。

最初の頃の尚、ほんとうに自分勝手でいやな男。明らかにだんだんとげとげしくなって、邪魔扱いされているのに、なんでキョーコちゃん、ひたすら尽くし続けるんだろう・・・とは思いつつ、後ほどでてくるように実の母には愛されず、育てられた京都の旅館も尚と一緒に飛びだしたので帰れず、自分で回想しているように、尚一筋だったので、何をやりたいかなど考えたこともない空っぽな自分で、すがりつくしかない状況ではある。そうなったのは半分以上尚の責任ではあるけど。というか、自分に惚れていて、ついてくるのは知っていながら、「ついてきてくれないか?」と疑問形でいったから、自分が頼んだわけじゃないなんて、男の風上にも置けない卑怯な奴。キョーコちゃんが後々まで思い出しただけで憎しみに駈られて我を忘れるのも無理ないと思う。

あと、ここで抱かれたい男2位に本当に古賀さんが入っているのを改めて確認。42巻でこの人が紅葉のオーディションの立会人、そして後にキョーコの共演者として本格的に出てきて、敦賀さんのおかげで2位に据え置かれている恨みをキョーコに語るって伏線が凄すぎる。というかこの時点では作者もまだそこまで考えていなかったと思うけど。尚が20代前半の女性の意識調査で抱かれたい男7位って、キョーコもいってるように17才の尚なら無理ないと思う。テレビで理想の女性のタイプはと聞かれた蓮の答え「優しくて芯のしっかりした女性かな」は、後のキョーコちゃんそのもの。

ところで祥子さん!休憩時間とは言えスターの前でマネージャーがタバコ吸うの???おまけにそのスターは未成年なのに!!

(ACT.2 憑かれたら最後)マンションをでたキョーコはバイト先の「だるまや」に下宿。芸能人のスカウトのメッカをウロつくが4日目になってもまったくお声はかからない。自分で売り込もうとLME芸能プロダクション事務所にいって、受付で「私っ芸能人になりたいんです!!ここの事務所の偉い人に会わせて下さい。」と押し問答しているところへ現れた椹さん、一応キョーコの話を聞いてくれたが、歌手?歌は聴く方が好き、俳優?お芝居に興味ありません、タレント?バラエティ色が強そうで根本的に嫌と、話にならないので、君の目的がわかったぞ どうせ君も蓮に近づきたいだけだろう!!!と、放り出されそうになっているところにまさに当の敦賀蓮がやってくる。尚が一番嫌ってライバル視していた蓮のいる事務所だったのかと一瞬愕然としたのだが、よく考えたら自分はもうショータローとは関係ないんだから自分が敦賀蓮を忌み嫌うことないと気がつく。とはいえ、蓮に「二度と来るな」と言われて放り出されてしまう。それから何時間も、2月の寒空の下ひたすら事務所で正座するキョーコ。夜10時に椹さんが窓の外を見るとキョーコの姿が消えていたのでホッとして帰ろうとすると、なんと通用口で待ち構えていた。タレント部にいれてくださいと更に頼むが、無視してタクシーに乗る椹さんに自転車で併走してすがりつき、自宅まで毎日通って懇願すること4日、根負けした椹さんは一応LMEに入れたものの、事務所に正式に入るにはテストで社長のお眼鏡にかなわなければならないという。あっさりとオーディションの案内を受け取って帰ろうとすると、廊下でばったり敦賀蓮にぶつかる。

芸能界で何がやりたいわけでもない・・・どころか、どんなことをするのかも知らないのに芸能人になりたいうキョーコの言動は、一見現実離れしているようだけど、実は人が就職したり進学するときに、その具体的な内容はわかってないことも結構あると思う。何しろ私の大学時代の友達は、別の学科を受けるつもりだったのだけど、願書を書き間違えて、まあいいかと受ける学科を変えてしまったというし。会社に入るときにその会社にどんな部門があって何をしているのか理解してないことも多いのではないだろうか。インターンシップで中の様子を知っていればまた違うのかもしれないが。あと、私は仕事で高校生の就職指導を長らくやっていたけれど、公務員を志望する動機はと聞くと「公務員って安定してるって言うじゃないですか」本音を答える生徒がいる。でもっと突っ込むと安定しているの中身も理解して無くて「よくそういいませんか」と言われたので、公務員とは何かから説明する羽目になったことがある。なのでキョーコの破天荒ぶりは、状況を入れ替えて考えるとそれほど突拍子もないわけではないけっこう現実的なところが、スキップビートの魅力。

廊下で出会い頭に運命の人と衝突というのは少女漫画の王道。キョーコちゃんこの後もバレンタイン前日にテレビ局で尚とぶつかって、華麗なる誤解?からダークムーン撮影現場に尚に乗り込まれて強引ファーストキス(24-25巻)とか、最近ではレナード監督と衝突して、くのいちの紅葉の演技(と素の姿のギャップ)に興味を持ってもらって、たぶん今後世界に羽ばたくきっかけになりそうだし(たぶん48巻収録)。

(ACT.3 戦慄の宴①)新人発掘オーディションの案内を持っているところを敦賀蓮に見つかって、「やるだけ無駄(というため息)と君につき合わされる審査員も時間の無駄」と。「芸能業界は好きなだけでは勤まらない にもかかわらず君は芸能業界が好きでもなんでもないのに入るつもりなんだろう」と。

この蓮の敵意がわからない。最初出会ったときは、椹さんが困っているので協力して追い出したのだろうけど、赤の他人がたとえ芸能界が好きでないのに、興味本位でも刺激ほしさからでも(どちらでもないのだけど)オーディションに参加しようとしているのは本人の勝手なのに。

かっとなったキョーコは「復讐するためよ 不破尚に 文句ある!?」と啖呵を切る。不破尚を知らなかったらしくケータイ(スマホじゃない!連載開始は2002年だものね)のインターネットで調べて「このくらいなら歌が唄えりゃ程なく念願成就するだろう」と。(蓮は俳優だものね、歌手には興味ない)「まあそれもオーディションに受かればだが?」と。「受かりますとも」と言い切るキョーコに「オーディションは椹さん一人を落とすのとは訳が違うぞ 根性だけでいつまでも 事が運ぶと思うなよ」と敵意のある冷たい目に一瞬なる。次の瞬間、えせ紳士笑顔になり「得意の”根性”でめーいっぱい体あたりして早々に見る影もなく玉砕するのもいいだろう」と。

当日会場にはキラキラ女子がたくさん。落ち込んでの呪い人形を作り始めたキョーコの耳に聞こえてきたのは「もー誰よ!こんな所に子供連れて来たの」と、キョーコの前に女の子(マリアちゃん)を放り投げ、「私の目の前から消え失せて!!」と叫ぶ女性、琴南奏江。この時点でキョーコの中では奏江は「モー子さん」になった。

モー子さん初登場。今よりずっと尖った感じ。
芝居を心底愛している敦賀さんが、私欲のために芝居を使おうという発言に激怒する気持ちは、42巻で思い人の俳優の気を引きたいためにオーディションでキョーコを敵視する森住仁子に対してキョーコも味わう訳だけど、この時点ではキョーコはまだ必ずしも俳優を目指している訳じゃないし、芸能界に入りたい理由なんで千差万別。確かにキョーコちゃんはストレートに本音を言いすぎだけど、敦賀さんがそんなに怒ることではないと思うのだけどな。

それよりもここではキョーコちゃんの方が圧倒的に弱い立場なのだから、単なるパワハラになってしまっている。まあ強いて言うなら、蓮も芝居は真摯に向き合っているけど、もともと身分を隠して日本の芸能界に来たのは、日本で成功した後、自分の居場所を奪ったアメリカで改めてデビューして世界に羽ばたくためだから、自分と似た不純な匂いを感じ取ったという解釈かな。

生活の香りがするキョーコがモー子さんには気に障ったらしい。他の応募者に慰められてめそめそ泣いている女の子の頬を突如ひっぱり、「お嬢ちゃん あなた 女子供は泣けば誰かが助けてくれると思っていないーー?」と突如どろどろした雰囲気をかもしだすキョーコ。

オーディション応募のキョーコの写真は、使い捨てカメラで自分で撮って必死だったので眉間に皺が寄っている。キョーコは椹さんのコネで飛び入りなので、椹さんは気が気でない。

一方蓮もなぜかオーディションを気にしている。「復讐 そんなふざけた動機で一体どこまで生き残るかな」

オーディション会場に南米のカーニバル風に情熱的に踊るお姉さん達の中をカウボーイ姿で泳ぐようにローリィ宝田社長登場。

社長さん初登場から、常軌を逸した仮装と登場の仕方、今に至るまでぶれてない。しかし敦賀さん、キョーコが落ちると思っているのなら気にする必要ないのに、やっぱり何かひっかかるものがあったのか。マリアちゃんキョーコの辛口コメントを魅力的だと思ったようだけど(ここでは言ってないけど後ほどそういってる)はやり初登場からかなりの不思議ちゃん。

社さんはその後ずいぶんイメージが変わった。

(ACT.4 戦慄の宴②)キョーコのLMEのオーディションを受けた理由は「アカトキ・エージェンシーに所属する不破尚に追いつきたいから」。芸能プロはこの人に近づきたいというファン的な不純な理由を一番嫌うのに(そうかなあ、目標を志望動機に挙げるのは悪くないと思うけど)、それもLMEの看板俳優敦賀蓮じゃなくてライバル事務所の(これは同感)という突拍子もなさで、逆に社長の心にひっかかった「あの子が不破尚君のただの追っかけなら迷わず同じ事務所を希望すると俺は思うがね」と。そして特技披露は、キョーコが茶髪にしただけで不機嫌な大将が、思いもよらずに貸してくれた包丁で、大根の桂剥きで薔薇を作った・・・勢い余って葉ボタンになったけど、インパクトは一番。そんなキョーコに琴南奏江は「あなたは確かに目立ってるし社長の目にも留まってると思うわ でもそれはあなたの言動がこの場にそぐわないからよ」と。ちなみに琴南奏江の特技は台本を見ただけで暗記できること。

しかし琴南さんも、なんでこんなにキョーコを嫌うんだろう。人は人なのに。自分が自信あるなら他人が馬鹿なことをしてようが、わざわざ嫌みをいうまでもないのに。敦賀さんにしても、何か無視できないものをキョーコから感じているのでは。

大根の桂剥き、タレントなら使い道はあるかも。

次のテストは携帯電話から流れてくる相手の言葉に対してリアクションすること。この後の二次審査は体力的なことが主なので、タクシーをチャリで追いかけるキョーコなら楽勝だから、ここを乗り切れと祈る椹さん。

携帯の中身は振られた恋人からやりなおそうという電話。しっとりと「うれしい」と涙を流して審査員をうならせる琴南奏江、いっぽうキョーコは耳にした途端、尚に健気に尽くした日々が走馬灯のように巡り「やり直す?うれしいっ いつかそう言って帰って来てくれるって信じてたの・・・」といったあと、「って言うとでも思ったか!!『ごめん』で済んだらあの世に地獄はいらないのよ!!」と携帯をたたきつける。ふと我に返り目にしたのは哀願する社長の顔と絶望に打ちひしがれる椹さん。

このキョーコのリアクションすごくいいと思うんだけどな。もちろん芝居だったら、振られるまでの二人の関係や女性の性格によって、琴南さんのような反応もありとは思うけど、一般的には彼女を振っていろいろな女とつきあったのに、やっぱりよりを戻したいなんて言う男に尻尾を振っていいことなんてない。いいように搾取されると言うことに女だって学習するよ。ということで審査員はもっと評価して欲しかった。

(ACT.5 欠けてる気持ち①)キョーコは一次審査で落とされた。納得できずに椹さんの所へいくと、君の事は社長だけでなく俳優部門の松島君もいい評価を出してたんだけどね、君の場合「芸能人」として一番欠いてはならないものが一次審査不合格者の中で最も欠けている。「芸能人は観衆に望まれてこそ生きている 愛されてこそ成長しつづけていける 観客だけじゃない スタッフに嫌われて潰れる芸能人も少なくないからね」最後のリアクションテストは判断力テストで、社長が考案した愛に対する心理テストなんだよ。と。それはショータローの実家の旅館もよく言われた。「よくわかりました」とあっさりひいたので驚く椹さん。「愛しても必ず愛し返してくれる保証もないのにどうして会ったこともない見ず知らずのたくさんの人達を一度に愛する事ができるんですか?」キョーコにはもう誰かを愛したいって気持ちがどこかへ消えてしまった。

あまりにもあっさりひいていったキョーコに呆然として考え込む椹さんに、突然現れたマリアちゃん。61番の人(キョーコちゃん)どうなったと聞く。

だるまやで落ち込むキョーコ、京都にいた頃はショータローのお母さんにほめてもらうのが目的だったし、だるまやでは大将とおかみさんが気に入ってくれるから、決してお客さんに喜んでほしくてやった事じゃなかった。自分が誰かを思って動くのは、ショータローのためだけだったのが悲しい。誰かを「愛する」事なんてこの世で一番無駄だと思う。

キョーコの人生、むなしいのはわかるけど、あの電話の反応は正しいと思う。あそこで屑男に尻尾を振るのは、決して「愛」じゃないと思う。ましてや芸能人としてのファンやスタッフさんへの愛情なんかとは関係ない。この点、社長さんの評価というかテストの仕方はちょっと疑問。

「一番欠いてはならないものが欠けている 芸能人として?ううんきっと人間として」と落ち込んで泣き明かした後、コーンの石に悲しみを吸い取ってもらって、別のバイトをさがしに行こうとするキョーコにお前はもっと根性のある奴だとと思っていた」というだるまやの大将。

この子がタレントとして世に出たら一体何をやらかすのか興味はあるが、リアクションテストを見て、世に出てもおそらく育たないと野生のカンが訴えた・・・と思っている社長さんのところへ椹さんからの相談。たぶんキョーコに再挑戦のチャンスを与えて欲しいという・・ただしあの子に大事な感情が欠けているのは確かだ。だからこそそれを上まわる程の熱意でそれでも諦めきれないと再びあの子が自ら俺の前に立ってからだ この企画が動くのはという社長さんに「俺が知ってる君は一度の挫折なんかであきらめない 君は必ずLMEに来い!」と思う椹さん。

だるま屋の大将、社長さん、椹さん、魅力的なおじさんがたくさん。

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スキップ・ビート!登場人物

最上キョーコ
LME芸能プロダクションタレント部所属。芸名「京子」。京都出身。12月25日生まれ。B型16歳→17歳。慎重58cm体重45kg(2巻ACT9)

京子は芸名でキョーコが本名、ファンブックの中で仲村先生は、キョーコの名前が片仮名なのには『一応』意味があって「今後も全てを明らかにはしないかもしれませんが・・。」と言っていた。いずれ明かされるのか。

芸名が京子なのはプリンセス・シンディ(シンデレラ)やプリンセス・ローズ(いばら姫)などの希望が事務所にことごとく却下されあきれかえった社長や椹さんに、京都出身だし無難に『京子』にしようと言われた。

父親は本名も何をしている人かどこに棲んでいるかもまったくわからない。弁護士の母親を騙して企業裁判の決定的な証拠を盗んで姿を消し、母親やその上司のキャリアの汚点となる。母親はお腹にキョーコがいることを知って自殺を試み、その後もキョーコを見る度に自分の汚点を見ているようで愛することができなかったため、上司の妹の嫁ぎ先である京都の老舗旅館(尚の実家)に預けられて育つ。幼少の頃から厄介者扱いされたくない一心で板前や仲居の手伝いに励み、中学生のころには女将修行までした。旅館の一人息子、尚にひたすらつくし、結婚すると信じていたが、ハンサムで格好いい尚と親しいため、クラスメートの女の子達からはいつも嫌がらせを受けてきた。中学を卒業してから尚が歌手になるために上京するときに一緒に来てくれと誘われて高校を中退してついていき、生活を支えるため、バイトを掛け持ちしながら化粧もせず頑張っていたが、尚がデビューしてまもなくあっさり振られ、復讐したいなら芸能界で自分を越えてみろといわれ、俳優もタレントもわからないまま、尚のいる事務所アカトキに並ぶ大手のLMEのオーディションを受ける。オーディションに落選したが諦めず、どこか気になると思った社長が創設した「ラブミー(Love Me)部」なる謎の新部門に配属され仕事をこなす中で、演技に目覚める。しかし敦賀蓮には最初から不破尚に復讐するために芸能界に入ったという不純な動機を知られているために嫌われていた。蓮の演技に接して蓮の思うように演技をさせられたときにこの男を自分の演技でオロオロさせたいという動機が加わって、LMEの養成所に入って本格的に演技を身につける。更にラブミー部の仕事で蓮の代理マネージャーというより風邪の手当てをしているうちに、演じることに真剣な蓮の姿に惹かれ、復讐心に囚われずに、演技をしている自分に気が付く。今まで自分が尚とその家族および嫌われている母親に褒められるためだけにしか生きてこなかった空っぽの人間であることに気付く。

メルヘン思考の持ち主で、妖精を信じている。10年前に出会い、ほんの数日だけ仲良く遊んだ男の子・コーン(クオン・ヒズリ=敦賀蓮)から、悲しい気分を吸い取ってくれる石、菫青石(きんせいせき)をもらい、お守りとして大切にしている。コーンのことも妖精と信じている。大人になったコーンとグアムで再会したにもかかわらず、敦賀蓮とは気がついていない。

20巻で17歳の誕生日を迎え、蓮からクィーンローザという大輪のバラと、その中に仕込まれたピンクの貴石をもらい、その直後に始まったBox "R"という高校生の学園ドラマでの役、カリスマ高校生ナツのシンボルとなる。

すっぴん姿は「芸能人としては華がない」「地味で色気が無い」が、化粧後は美人。本人は無自覚だが蓮をはじめとする共に仕事をした俳優や監督達が一目置くほどの天才的な演技の才能を持っている。しかし感情移入できなければ役柄を掴むことができず、最初は好きな役柄(お嬢様・妖精・お姫様・王子様)に関連づけられないと才能を発揮できなかった。役に入ると別人になり、その人格を生きることができる。

琴南奏江に押しつけられた、バラエティ番組の人気者マスコット「坊」(ニワトリの着ぐるみ)が初仕事で、尚を前に我を忘れて挑戦したため一度は首になるが、これが人気となって復帰してレギュラーとなる。正体を名乗らずに敦賀蓮の悩みを聞く機会が何度かあり、蓮に知られたくないため坊をやっていることを秘密にしている。

デビューは、奏江と共演した炭酸飲料「キュララ」のCM。その後、不破尚のPVでの台詞のない天使の役の演技が注目され、ドラマ『DARK MOON』の本郷未緒役に抜擢される。これが実績となりドラマの出演依頼が複数寄せられるが、イメージが定着することを嫌がり断ろうとしてしまう。しかし、来日したときにお世話したクー・ヒズリの指導によりイメージを恐れず挑戦しようと決意する。カリスマ女子高生のナツは最初は役作りに苦労するが、蓮の協力もあり、未緒とは異なるキャラ作りに成功している。そして時代劇「泥中の蓮」は、臨時マネージャーとなった社さんの協力や、琴南奏恵の口利きで上杉虎徹に弟子入りしてくのいちの紅葉を勝ち取る。その際逆恨みした森住仁子に怪我をさせられそうになる。

恋愛については「二度と恋なんかしない」と固く心に誓っている。ダークムーン撮影中のLME社長による蓮の演技テストのあとから蓮に惹かれていたものの、その気持ちを長らく否定してきたが、ラブラブなヒール兄妹を演じる過程で、蓮のカインヒールの妹ラブな態度に自身の恋心をはっきりと自覚し、ついに隠しきれなくなってローリィ宝田社長に見破られる。

敦賀蓮(つるが れん)
LME芸能プロダクション俳優部所属、人気・実力ともに芸能界一の俳優。海外ブランドの専属モデルもこなす。(久遠・ヒズリ)が本名だが、LMEの社長や両親などごく一部の人しか知らない。アメリカ人。2月10日生まれ、20歳→21歳 24巻ACT.139のタレント名鑑によれば東京都出身、血液型はA型、得意な事は英会話、趣味は映画鑑賞、デビュー作は「マーズクラスター」ということだと読み取れる。実際は生まれて15年間育ったのはアメリカだけど。デビューしてすぐのタレント名鑑では誕生日は誤植で2月19日になっていて、キョーコはそれを信じて羊枕を注文して渡すのが2月14日になってしまったが、ひょっとして2月19日は久遠ヒズリの誕生日だったりしない?人気No1の俳優が過去を全く秘密にしていると詮索が激しいと思うので、久遠で在る事がバレない様に誕生日を少し変えていてもおかしくないと思う。2022年原画展の際のスキップ・ビート!グッズの蓮様ペンダントの裏には「2009.02.10」と刻印されていて、46巻ACT.283の蓮の言葉によればこのペンダントは蓮がデビューするときに作ったいわゆる決意表明だったり”立ち止まるな”と自分を鼓舞する為のお守りみたいなものだといっていたところからすると、この日が、『敦賀連』という存在が生まれた日なのかなと思う。

スキップビートって実写でやってもいいなと思う。CGを使えば非現実的なところも乗り切れると思うのだけど、一番の難点は、たぶんこの敦賀蓮が久遠でであること。蓮自身はイメージに合う俳優さんがいるだろうし、”シルクのように滑らかでやわらかくダイヤの粒子を含んだみたいにキラキラと輝く金髪で光りに透けると赤茶色に一瞬変わる神秘的な緑の瞳(34巻ACT.205)で、美しい上にエレガント、ダイヤモンドの様なきらめきと黙って立っているだけで漂う品格はまさに奇跡(18巻ACT.105)”という久遠も、まあ探せば該当する美形の外人俳優がいると思うけど、この二人が同一人物に見えるようにするというのが無理だと思う。ほんとのところこの二人が同一人物であることを隠すのは難しいのでは。目のカラーコンタクトの威力はしらないけれど、髪は染めても根元がすぐ伸びてくる。

ハリウッドスターである父クー・ヒズリ(旧芸名保津周平)を愛しつつも大きな壁であることに悩み、またアメリカ芸能界の派閥争い(モデルで女優である母ジュリエナが一族と不和で在る事と関係ある?)に巻き込まれて居場所をなくし、15歳の時我を忘れて暴力事件を起こした末、小さい頃から目をかけてくれたリックという男性が止めようとしたのを死に追いやる結果とななり、その恋人ティナに「人殺し」となじられ、抜け殻のようになっているところを、LME社長ローリィの勧めで来日、名前も容姿も捨て再出発をはかった。このことは、両親とローリィ以外は知らない秘密である。この過去のために自分には幸せになる資格がないと思っていて、キョーコに惹かれる気持ちをなかなか認められず、認めても表現できない。実は10年前にキョーコが会っていたコーンである。そろそろ居場所をなくしつつあったときに、父に連れられて父の実家のある京都に何日か滞在したときに、キョーコに出逢っている。キョーコが本音で話せる唯一の存在であり、久遠を手放しで賞賛してくれて自信を取り戻させてくれた存在であった。別れの時に、悲しみを吸い取ってくれる石、アイオライトをキョーコに渡す。LMEで再会してから、割と早い段階でキョーコが持つアイオライトをコーンと呼んでいることから、キョーコがあのときの子であることに気がついたが、キョーコを含め誰にも言っていない。コーンの石は、その後2人の思いを確認してから蓮が自分のペンダントをキョーコに渡したときに、代わりにキョーコから蓮に託された。

熱でふらふらになっても演技を続けることにこだわるほど、演技を愛し、役者という仕事に真摯に向き合っている。そのため不破尚への復讐のために芸能界入りをしたキョーコを最初のうちは嫌い、意地悪な態度をとっていたが、演技に目覚めてひたむきに頑張るキョーコを見るうちに、わだかまりが解け素直にその情熱と根性に好意を持つ。また演技の才能があることもまだデビュー前、養成所で演劇を学び始める前の、松内瑠璃子との演技対決の頃から見抜く。

高級マンションのワンフロアワンルームの自宅にはジムもあって、体を鍛えているようで体格もいいのだが、空腹中枢に異常があるようで、食が異様に細い。両親がブラックホールな胃袋をもって、特に母親に毎回食事を強制されたのがトラウマなのかもしれない。

インタビューに寄れば理想の女性のタイプは「優しくて芯のしっかりした女性(1巻ACT.1)」

不破尚(ふわ しょう)アカトキエージェンシー所属のビジュアル系歌手で、本名:不破松太郎(ふわ ショータロー)。京都府出身。5月29日生まれ、17歳。O型。

京都の老舗旅館の一人息子で、この家に預けられていたキョーコとは物心つくころからの幼なじみ。家を継ぐのを嫌って中学卒業と同時にキョーコを連れて家出同然に上京し、プロデビューを果たす。ファーストシングルがいきなりオリコン一位を飾り、それ以降出す曲もビーグールに一位を奪われるまではすべて1位を獲得。デビューの時実家からは勘当された。ビジュアル系で、きわどい衣装も多いが歌唱力も確かである。顔立ちは整っていて、化粧品のCMに出るほどの美肌。派手好きで自分が一番という性格の持ち主で、付き合う相手は年上に限ると思っている。尽くし系の女の子にはキョーコを始め、手下かお手伝いさんくらいにしか思っていない。本名を嫌い極秘にしていたり、バラエティ番組が大好きだったり、芸能界一いい男といわれる蓮に敵愾心を燃やして喧嘩を売ったりする反面、出すCDが毎回セールストップとなったり曲作りを呼吸するようにこなしたりと音楽では一流の腕の持ち主。

好きな食べ物はクリゴのプッ☆チンプリン(1巻ACT.1)。苦手な食べ物は甘い玉子焼き。

芸能界入りを果たした後は、キョーコを家政婦代わりにした挙げ句にあっさり捨てた。やがて自らのPV製作で再会し、その予想外の容姿の変貌と演技力、過去のトラウマ(キョーコが母親のことで泣く姿)が相まって初めて異性として意識することになる。さらに自分をパクったビジュアルのグループVIE・GHOUL(ビー・グール)との対決でストーカーされたキョーコを守ってその思いが強くなる。

一方このときに蓮の想いに気付き、キョーコに「挑戦状」(実際は蓮への挑戦状)を残し仕事に戻った後から感情の乗った深みのある唄い方に変わり、連続2か月以上トップを占めスキルアップしたと絶賛される。

その後キョーコと蓮がからむTVインタビューを見たり、レイノにキョーコが手作りチョコレートを贈ると知ったり(実際は脅かされて贈ることになったのだが)すると嫉妬で仁王像降臨。ご丁寧に阿形像と、吽形像が次々君臨して、祥子さんや麻生さんを困らせる。ビジュアルも尚の人気に大切なので、祥子さんはなんとかキョーコと蓮がかかわる映像を見せないようにしている。

琴南奏江(ことなみ かなえ)
キョーコと同じLMEオーディションに参加した女優志望の少女。17歳。LME芸能プロダクション俳優部所属

初登場時に「もー!!」と怒鳴っていたため、キョーコからは「モー子さん」と呼ばれる。炭酸飲料「キュララ」のCMにキョーコと出演して評判となり、女優としての道を歩み始める。人並みはずれた暗記力・演技力の持ち主だが、愛の欠落を指摘され「ラブミー部」2号に。クールだが女優の夢にかける情熱は熱い。小学校3年の時劇の主役を演じて以来演劇に目覚め「お芝居だけで暮らしていけるすごい女優になりたい」が、同級生の高園寺絵梨花に恨まれて、その後金の力でいつも邪魔をされ演劇部に入ることもできなかった。中学時代から演技力を活用した秘密のバイトを続けていて、母屋のリフォーム資金までも稼ぎ出している。

実家が大家族で次女として生まれ、弟妹甥姪に激しく慕われているが、ジャレつかれるのが嫌で自分専用の離れを建てて一人暮らしをしている。そのため所帯臭さや他人と群れることを極端に嫌い、最初にLMEのオーディションでキョーコと出会ったときにいは嫌っていたが、「キュララ」のオーディションでキョーコの演技力、創造力を目の当たりにしてキョーコを認めて親友となる。このオーディションで高園寺絵梨花と再会して打ち勝ち、演技力で勝負するよう絵梨花を挑発する。このキュララのCMを見た2時間ドラマの脚本家が、予定していた女優を降ろして奏江を推薦して初ドラマ出演。

華やかな美貌と抜群のスタイルを持つ。体型維持のため年中無休でダイエット。

社倖一(やしろ ゆきひと)

蓮のマネージャー。25歳。

優しいお兄さんタイプ。超敏腕マネージャーで、人の聞いていてもらいたくない面を察する力があり、そっとしておく思いやりがある。蓮には暗い過去があり、時にその闇がでてくるのを心配しながら遠回しにいうに留めている。最初誰にでも人当たりがいい蓮がキョーコに冷たいのに戸惑うが、やがて蓮がキョーコに惹かれているのを早い段階で察して、はしゃぎながらも温かく見守っている。携帯電話を素手扱うと確実に10秒で壊すなど、尋常ではない能力を持つ人物。長らく車の運転が出来なくて、それがマネージャーとしての唯一の欠点だったが、蓮が身分を隠してブラックジャックを演じているあいだ、身バレしないよう連絡を絶っていた間に、2週間合宿にいって免許をとる。またこの時からキョーコちゃんの臨時マネージャーともなる。キョーコが、Fujiでラブミー部の仕事をしていることまでは知っているが(「やっぱきまぐれロック」の坊)、全く理由がわからないままキョーコちゃんが触れて欲しくないようなので触れないでいる。

ローリィ宝田(ローリィ たからだ)
LMEプロダクション社長。エルトラは「アルジ」と呼ぶ。

異常にハイテンションかつ個性的で常に何かのコスプレをしており、非常に勘が鋭い。演技の資質を持ちながら人間としての思いやりに欠けるキョーコと奏江を憂え、「ラブミー部」を設立した。見かけはかなりふざけているが、キョーコの才能や蓮の演技の欠陥に気づくなど切れ者。蓮のキョーコへの気持ちも、ダークムーンの演技テスト後の態度からすぐ気が付いたが、逆にキョーコもほぼ同じ時期から蓮に惹かれていることには、かなりあとになって、ラブラブ兄妹のカインとヒールで、キョーコが蓮に抱きしめられて赤面するのを見る瞬間まで気が付かず、密かに傷ついている。

宝田マリア(たからだ マリア)
ローリィの孫娘で、蓮とキョーコを慕っている。誕生日は12月24日。7歳→8歳(20巻 - )

5歳の時トップモデルの母を飛行機事故で失うが、それが自分の「誕生日に来て欲しい」という願いの結果だったこと、父が思わず示した拒絶がトラウマとなり、自分は父に愛されていないと思い込んでいた。周りの大人がみな祖父である社長の前では本音を隠すのを見ていて、母親が死んだのは自分のせいじゃないという周りも信じられないでいたが、キョーコと出会い、養成所の演技テストに乱入して、キョーコに自分が否定してきたことを役柄上肯定する立場になってトラウマを克服し、父の愛情を信じられるようになる。

それでも誕生日を祝う気になれずにいたが、キョーコと開催した感謝パーティによって解消し、父とのわだかまりもとけつつある。

椹武憲(さわら たけのり)
タレント部主任。3月10日生まれ、AB型 41歳。(ACT.2でキョーコが調べた)

キョーコの猛烈なアタックに根負けしてオーディションへ参加を認め、さらに「人間らしい愛情の欠落」ゆえに落選したキョーコにこだわりを見せた人物。尚の話が出ると過剰反応するキョーコを、尚のファンだと勘違いして、尚がゲストの「やっぱきまぐれロック」に送り込み坊をやらせる。

安芸祥子(あき しょうこ)
尚のマネージャーで、ダイナマイトバディを持つ女性(尚は「ショーコさん」と呼んでいる)。尚は同じマンションの別の部屋に住んでいるが、実質上は祥子さんのところに入り浸っている。

大学までは役者志望だったが才能に見切りを付け大学も辞めたものの芸能界への想いを捨てきれず、マネージャーの道を選んだ。

だるまや夫婦
キョーコが下宿している居酒屋の経営者夫妻。

腕の良い頑固な板前の大将と、包容力豊かなおかみさん。芸能界への挑戦を諦めかけていたキョーコにだるまを手渡して励まし、その後も見守り続けている。

尚の両親
京都で老舗旅館を営む、尚(松太郎)の両親でキョーコの事実上の育ての親。キョーコには一人息子の松太郎と一緒になって家を継いで欲しいと望んでいた。

キョーコの料理の腕前や茶道をはじめとする立居振舞は、この人たちによる鍛錬のおかげ。しかし今のキョーコは、それに応え続けたことが「カラッポの自分」を作ってしまったと思っている。そんな自分の過去を認められるようになるのは、社長に蓮への恋心を見抜かれ、役者としての自分を形成するのは、たとえ人がうらやむものでなかったとしても過去のすべての経験だと諭されてから。

最上冴菜(もがみ さえな)
キョーコの母。キョーコにとって、最初で最大のトラウマとなる人物。常にスーツ姿。

なぜかキョーコに愛情を向けておらず、幼い娘を尚の両親にほとんど預けっぱなしにし、ごくたまに来訪した時にも冷たく接して泣かせていた。尚は泣いているキョーコの姿がトラウマとなっている。

キョーコ&蓮、もちろん好きだけど、一番心に響くキャラが最上冴菜というスキップビートファンは私くらいかな。自分の葛藤を何も知らない娘にぶつけるのは決して肯定しないけど、対人スキルが乏しくて優秀なのに人生に躓いて、その葛藤を家族にぶつけるところは、実は私の母に似てる。

ブリッジ・ロック
石橋姓の、光(リーダー)、慎一、雄生の3名で構成する、LMEが誇る人気マルチタレントトリオ。キョーコがレギュラー出演する「やっぱきまぐれロック」の司会者。光は背が低いのがコンプレックス、キョーコに好意を持っていて他のメンバーは応援しているが、当然キョーコは気付いていない。

クー・ヒズリ
蓮の父で、日米混血アメリカ在住のハリウッドスター。京都出身。

保津周平(ほづ しゅうへい)の芸名で嘉月を演じ、『月籠り』を伝説化した立役者。渡米の際「保津周平」の名前を葬る「名前の葬式」を行っている。

胃袋ブラックホール伝説があるほどの大食い。妻と息子を深く愛しており、賞賛し始めると止まらない親馬鹿。久遠のことは「頭がいい 努力家さんで勤勉で有言実行不言実行、慎ましい、可愛らしい、男らしい、心優しい、わたしに似て運動神経抜群で、武道の才能や身の軽やかさはわたしですら妬ける程。容姿は生きた宝石と称されるわたしの愛する妻に似て美しい上にエレバンと!!ダイヤモンドの様なきらめきと黙って立っているだけで漂う品格はまさに奇跡!!最早妻と息子の美しさは人間のそれではないだろう!!」と。妻の息子恋しさが切羽詰まってきたことを受けて来日、ローリィ社長の企みで5年ぶりに蓮と再会し、互いのわだかまりを解くことができた。

その際、世話係を務めたキョーコの演技力に興味を持ち、成り行きで演技指導をするうち、キョーコから師にして父と仰がれることになる。

サラ(ジュリエナ・ヒズリ)
蓮の母、クー・ヒズリの妻で、アメリカ在住のモデル兼女優。

余命○○(3日・1週間など様々)が口グセだったり、息子が泣いて嫌がるほど料理が不味かったりするものの、息子に対する愛情は深い。

デュリス・エルトラ
ローリィの旧友。マリアの父コウキを伴ってマリアの感謝祭パーティに来日して参加したお茶目なトラおじさまとしてキョーコは出会うが、プロモーターで彼に育てられた俳優は必ず大成するので通称「勝利者の父」。蓮と因縁がありそうなセドリック・D・ベネットは孫、一方蓮の母であるジュリアナはこの一族の出身であり、またディリスは蓮のことを電話で社長と話しているときに、蓮のことを「あの子」と呼んでいるしグランパと呼んでもらえない切なさについて言及しているところから、蓮すなわちクオンも孫なのかも。ということは因縁のありそうなセドリックは従兄弟?ジュリエナは自分の一族と上手くいってないようなので、クオンがアメリカ芸能界で居場所をなくしたのもそのせいかも。

セドリック・D・ベネット
芸能一家の出身の米国人気俳優。デュリス・エルトラの孫。森住仁子の現在の思い人。

ジェリー・ウッズ(愛称テン)
身長148センチメートル、33歳。蓮専属の美容師で海外との入出国の度にクオン↔敦賀蓮の変身を担当する。ヒール兄妹を演じているときはキョーコも担当。蓮が日本人ではないことを知っているが、クー・ヒズリの息子だということは知らされていない。蓮のことを「蓮ちゃん」、「あの子」と呼ぶ。キョーコからはミューズと呼ばれている。

レイノ
バンドのVIE・GHOUL(ビー・グール)のボーカルで、18歳。

「超」霊能力者と名乗っており、実際に怨キョをわしづかみにする、物陰のキョーコを真っ直ぐに追跡する、さらには蓮の記憶と思念に感応する(蓮の過去の記憶を垣間見る)など並はずれた霊力を持っている。

キョーコに執着して尚と蓮を大いに刺激し三角関係に影響を与える。

上杉飛鷹
父はハリウッド映画にも出たことのある俳優上杉龍太郎(りょうたろう)、母は女優の生羽目裕子(なばためゆうこ)、祖父は日本の時代劇の至宝上杉虎徹(こてつ)という芸能一家の息子。奏江の初ドラマで共演。その後続編でも共演。休憩時間にも役が抜けない奏江に世話をやかれじゃれあっているつもりの奏江に大家族の自分の弟妹と同じつもりで投げ飛ばされ、一時は奏江を芸能界にいられなくしてやると嫌がらせをしていたが、奏江の弟妹を知って投げ飛ばした背景を知って誤解を解く。実は子供扱いしない奏江が好きだった。マネージャーは松田さん。

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コレットは死ぬことにした20

カラーイラスト集付き版(電子)を買ってから、冥府こぼれ話がないのに気がついて小冊子付き特装版(電子)も買ってしまった。本編はダブってしまうので、電子限定カラー画集付き小冊子付きというバージョンも作って欲しかった。

(116話 2021年7/05 花とゆめ14号 2021/6/18発売)

最終クールに入っていると公言されていて、ハデス様からプロポーズされて、♡ムードだから、あとは冥府や天界の反応や結婚式やコレットの村との関わり合いが決着ついて終わるのだろうと思っていたので、あまりにも予想外の展開にびっくり。

ハデス様はノムさんに、シイラを大人になるまで親から守ってくれれば、かかる費用やシイラの賃金は出すと言って、身につけている高価なアクセサリーや凝った洋服を次々とノムさんに渡し、靴や手袋まで脱ぐ。

たまたま居合わせただけなのになぜそこまでするというノムさんに、「ある娘が言っていた その娘も過酷な幼少期を過ごした だが人との出会いに恵まれたと その娘は今生きる力に溢れている 眩しいほどに この娘にもそうなれる可能性がある それには助けが必要だ 娘 お前にも苦境を蹴散らす意思が必要だ」と。コレットと重ねているのね。「おれがネコババしないとどうしていえる」というノムさんに、「死者の神を信じているといった ならばその神に恥じ入ることをあなたは決してしない」「神さまに叱られたらどうしようかねぇ なぜ親も助けてやらん 冷たい奴めと」「言わぬよ」(それって自分がその神だと言っているに等しい だからその後ノムさんはハデス様に唐突に「顔を見せてくれんか」といっているし、その後シイラを引き受ける決心をしたのは何か感じたのだろうな。)
で、更にハデス様は着た切り雀のシイラに、仕立屋にコレットの連れだと言えばよくしてくれるから、自分の服を作ってもらえと、太陽からの最後の砦、マントまでシイラにあげてしまって去って行くけれど、曲がり角の先でコレットを待っている間に強烈な太陽に晒されて倒れてしまう。そこにコレットが駆けつけ、辛うじて神力で自分とコレットを冥府に運ぶが、アレルギーが全身に出て、そのままコレットとちょっと話しただけで、昏睡状態に。

こういった極端な行動をするのはどちらかというと、今まではコレットだったので凄く唐突に感じる。アクセサリーや中に着ている洋服はまだいいけど、太陽アレルギーなのはわかっているのに日差しが強い中、マントまでシイラにあげちゃって上半身裸では、絶対に倒れるのはわかっていたのに。あとからコレットを通じて届けるとか方法はいろいろありそうだったけど、114話で冥府が涼しいせいか暑いなといっていたのが気になっていたけど、ひょっとして普段冥府ではけっこう肌を露出した服を着ているので、脱いで太陽の下に裸を晒したかったのではとも思ったりして。なにしろギリシア神話の神さま、なにかというと裸になってムキムキの筋肉を見せつけるのが好きだし。

冥府に帰ったものの、そのまま目覚めなくなってしまうなんて、これをどう結末つけるのだろうか。全く見当も付かない。冥王が目覚めないと不都合だろうから、天界の薬師アポロン様にでも頼むとか、ゼウス様が乗り出してくるとか。

でもこれで第1話のコレットとハデス様がであった最初の状況に近くなったわけだ。これもお話しが終わりに向かう前兆?でもあのときは、服を着たまま脱走した影を追いかけて太陽を浴びたので、裸の身に太陽に晒されたわけでは無いけど、それでも完治するまで第5話までかかったのに、今回は下半身以外裸のままコレットを待っていたのだから、その刺激は比べものにならないはず。神さまだから死ぬことはないと思うけど、ハデス様はけっこう普段から体調を崩しぎみだし・・・

あとからふと気がついたのだけど、ハデス様は最後に自分とコレットを神の力で冥府に連れて帰っているけど、これってギリシア神話のハデス様がコレーと結婚したくて地上から連れてきた(あれは誘拐だけど)ことに匹敵する?ということは、アスポデロスで順調に育っている柘榴や、デメテル様やゼウス様の出番とか。

ともあれもう最終クールだしこのままラブラブのままハッピーエンドに向かうかと思っていたので、2週間後の展開が待ち遠しい。

コレットはハデス様の看病の為に冥府にいるけど、自分の診療所にはなにかいってあるのだろうか。村に帰っていたりちょっとしか冥府にいけてないので、この際だから、ハデス様の身分は明かせないものの、少し事情を説明してみんなの理解を得て、夜は冥府に泊まり込むとか。だって結婚しても今まで通りでは冥府にほとんどいけないし。

(117話 2021年7/20 花とゆめ15号 2021/7/5発売)
10日経ってもハデス様はまだ目覚めない。コレットは地上では賢明にいつも通りに診察や後輩の指導をこなして、朝、昼、夜とハデス様の往診に冥府に通う。しょっちゅう上の空で呼ばれても気がつかなくて心配されるけれど、本を読んで夜更かししすぎたと言い訳。地上ではお昼ご飯を食べずに出かけていくし不審には思われているけど、冥府ではガイコツが食事をつくってくれて、毎回薬箱を背負っていくのも不審なので、代わりの薬箱などをガイコツが作ってくれて、みんな協力してくれている。「我らは以前と違って無力ではないぞ ハデス様を治せるのはお前だけだが 我らにもできることはあるのじゃ しっかり食え」と。
 ハデス様の現状は以前の日光アレルギーを知っているガイコツとカロンは理解しているが、コツメくんやクロノス様たちには体調不良とだけ伝えてある。
 意識が戻ったハデス様、太陽を見たせいか目がかすむという。コレットが裁判はラダマンテュスさまたちが行っていて問題ないこと、ハデス様が助けた女の子シイラは、街の針子たちが応援してくれて身ぎれいにしてくれたり、お店のおじいさんが毅然として父親を追い払ってくれたことを伝えると再びハデス様は眠りへつく。

「まぶしかった 最後に見た空が お前の服の色 思わず見上げてしまった」というハデス様の言葉はなかなか意味深。ギリシア神話でのハデス様の妃ペルセポネの名前は「眩い光」「光りを破壊する女性」という意味だ。

 ハリーは、御利益があるからと、コレット人形をハデス様の枕元へと持ってくる。「いつでもそばにいられないもんね」と心の中でつぶやくコレット。
 しかし夜再び往診に行くとハデス様は高熱を出してうめいている。「街へ行ったのは失敗じゃない 私が一緒だったらも たられば ただちょっと色んなことが重なっただけ ちょっと運が悪かっただけ」と頭で打ち消しながらも、コレットにはその前のハデス様にプロポーズされた幸せな瞬間が蘇る。一晩氷で冷やしたものの夜が明けてもまだよくなる気配はない。ガイコツ5人は閨の外で待機。コツメ君もハリーの膝で待機。そしてカロンは地上は夜が明けたことを伝えに来る。ガイコツが「ワタシがハデス様を看る」という。「だからお前は地上に戻って地上での仕事をしっかりやってこい」と。ここにいたいのに、ここに患者がいるのに 私この人の妻になるのにと思いながらも「わかった」とコレット「私はハデス様のそばにいつでもいられるわけじゃない いつでも ずっと(いられるわけじゃない) わかってるつもりだったのに」

またまた切ない終わりになってしまった。24時間ハデス様の看病をしていられないコレットは病気の子どもを置いて仕事に行く母のような立場かな?ガイコツはこれからもいつもハデス様のお世話をするけど、同じ場所で同じ時間を生きられないことを改めて突きつけられるコレット。ガイコツたち、コレットを尊重して、出来る限りの協力をしているけど、あと一言、コレットは冥府の仲間だし、コレットはハデス様にとっては一番で、だからこそガイコツはいつでもコレットを助けると言って欲しかった。

前から思っていたのだけど、ハデス様日光アレルギーで倒れるのは2回目だし、加護の反動で倒れたり心のバランスを崩していたときもあったし、それ以外にもしょっちゅう熱を出しているし、偉い神さまなのにけっこう弱い。もっとも本家ギリシア神話でも、情に流されることがしばしばあったし、怪我をしたこともあるようだけど。この漫画では最高神のゼウス様も毒キノコにあたって入院してたなあ。

体温を効果的に冷やす場所は頸動脈の通るのどの左右、太い血管の通る脇の下と太ももの付け根。当たり前だけど、コレット正しい。おでこは冷やすと気持ちいいけど、体温は下がりません。

(118話 2021年8/05 花とゆめ16号 2021/7/20発売)
夜明け前に診療所で仮眠を取って目覚めると、部屋にはゼウス様が来ていた。ヘルメス様が通販量からハデス様が臥せっているのを察したのを報告されたようだ。「私がついています 大丈夫です」ときっぱりゼウス様に宣言するコレットに、ゼウス様は「コレットとハデスはずうとお互いを愛しく想い合っていくんだろうなって ぼくはそんな二人がとても好きだよ」「ぼくは最高神としてある特権を持っている それはいきものに”神格”を与えられる権利 コレット ぼくは君を神様にしたい」というスカウトの提案。誰にもってわけじゃなくてコレットはあまりにも神々に近しい存在になってしまった しかもあのハデスや冥府と そんな人間は初めてだ 神になればハデスとずっと一緒にいられる いやいてほしいって思ったんだ だからスカウト とのこと。考えておいてとゼウス様。

相変わらず忙しい一日で、お昼になったら冥府に行って看病すると思っていたのに、結局忙しくていけなくなってしまった。ハデス様の看病ガイコツと交代したのはよかったんだわ・・(って交代なのコレット!!交替でなくて)ハデス様のそばには皆がついている そういう冥府になった 私がいなくても冥府は続いていくから と虚しいと思う。

夜冥府に行くとハデス様は熱がだいぶ落ち着いて起きていた。
ハデス様に「そんなに自分を削らなくていい これは私の自業自得 呻いていようと放って帰っていい」ってハデス様、コレットには地上の仕事の責任があるのはその通りなのだけど、それは承知のうえで、無理をしてでもいたかった気持ちを汲む言葉が先に来ないと素直に聞けない。だから珍しくコレットは感情的に反応してしまったのだと思う。第一巻第二話で未熟な弟子にまかせずにすべてを背負って大車輪のコレットが致命的なミスをして笑って誤魔化そうとしたとは言え「お前に命は預けられない お前はいらぬ」といったのと変わらない、正論ではあるけどそれはいい方があまりにもあまりなので素直に聞けないと思う。いやこういう上司、よくいるなあ。正論だから反論できないのをいいことに傷つける。

「ハデス様わかってない 私はハデス様の薬師で妻なんですよ 好きな人のそばにいたいに決まっているじゃないですか」と涙ぐむコレットに驚いて痛みをこらえて起き上がりコレットの肩に手をかけ顔をのぞき込むハデス様。ゼウス様からの提案がコレットの頭をよぎり、ハデス様に相談するコレット。ハデス様は「自分一人で腹を括って覚悟していたのだな、すまん」と。

コレットの決意は「人として生きて死ぬことにしました」

ってタイトル通りコレットは死ぬことにしたになってしまったけど、もともとこの漫画の内容になわないタイトルは第1話が読みきりだったからこうなったはず。それも第1話の内容にもぴったりとも言えないと思う。ここでタイトルに従わないでくれ~~という気分。

今までハデス様は、いずれコレットが亡くなったら自分が裁判をして、アスポデロスでコレットが自分のことを忘れていくのを見ていなければならないことに対して「腹をくくった」といっていたけど、年老いてやがて死んでいくコレットの側の気持ちをハデス様がくみ取れるようになってよかったけれど、二人ともそこから解放されるチャンスを与えられたのに、人として生きて死んでいく道を選ぶのに同意するの・・・

確かに今までコレットは自分を必要としてくれるところに駆けつけてきたという意味では、現在コレットは村では必要とされているけど、冥府はコレットが居なくても大丈夫というのはあるけど、ポーラたちもあと一息で一人前になるし、孫弟子たちはポーラに育ててもらいたいともともといっていたのだから、今はまだ必要とされているけど、いずれコレットが居なくても続いていくようになりかけているし、命に限りがなければ、薬師の居ない次の村を探して繋いでいくこともできるわけだし、冥府はコレットがいつでもいなくても大丈夫なのは、むしろ進歩してコレットの仕事と冥府に時々行くことが両立するようになってよかったわけだし、あとは神様になるとディオニュソス様のように一所に留まることが出来ないので一人の弟子が一人前になるまでは見られないかもしれないけど、薬師として働けないわけじゃないし。だいたい女神様みんな仕事があってキャリアウーマンのはず。

コレットには、自分を追い込みすぎないように、休むことを恐れないように、自分が幸せになる道を選ぶようにと言いたい気分。ハデス様は昔よりずっとワーカホリックでなくなって、休暇を取ってコレットと街に行ったり、倒れて11日寝込んでも大丈夫なように冥府はなっているし、ワークライフバランスが初めのことから考えるとずっと改善された。今一番頭が固いのはコレットでは。

今までは選択肢がなかったので、「有限をめいっぱい生きていく」「同じ時間を生きられなくても」と覚悟したわけなのに、状況が変わって選択肢ができてもハデス様と共に生きていく道を選ばないの?ハデス様に「好きな人のそばにいたいに決まってるじゃないですか」いった言葉とあまりにも矛盾していて、違和感しかない。ハデス様もそんなコレットに同意したの?

いや残っている伏線(アスポデロスで育っている柘榴とか、デメテル様との再開とか、「最後に見た空が お前の服の色 思わず見上げてしまった」というハデス様の言葉が違う方向を示しているし、ディオニュソス様はなんで突然山向こうに行く気になったのか、これっきりお別れでない含みが感じられたけどなどなどでまだ一波乱ありそうだと思ってはいる。

でも今回は打開するチャンスがあったのにハデス様と生きることを選ばないという衝撃の決意で、もしすっきりしたハッピーエンドにならないのなら読まなければ良かったという気分。そういえば保留になっているコレットのハデス様へのお願いはいつ?

神話のハデス様にはレウケーというニンフの恋人もいて、ニンフは長命ではあるけど不死ではないので(ということは柊ちゃんも)死んだあと悲しんだハデス様がエリュシオンの白ポプラに変えたけど、でもこれは今までコレットの中では暗示するものは全くなかったから違うだろうな。

ハデス様、最終クールに再び倒れて意識不明になってしまったり波瀾万丈だけど、コレットが結婚する前から未亡人みたいになっちゃったけど、それでも4神様は不老不死だからまあそのうち回復するだろうと思っていたけど、今回の決意はちょっと賛成しかねる。

でもって、単行本になったときにこの部分4ページ加筆されていた!!ずるい・・・けどまあコレットの気持ちはわかるようになっていた。
「ハデス様のそばにいたいけど誠実な薬師でいたい神さまになったら冥府の皆と一緒にいられるけど亡くなった患者の葬列にどんな顔して並ぶ?」と。
ハデス様にどう答えたのか、どう思っていたのかも描いてくれると良かったけど、でもまあ最後の最後で、コレットの一番の良さだと思っていた人の心の機微がなくて一気にコレット熱が冷めたのが少し復活。

 (119話 2021年9/20 花とゆめ19 2021/9/3発売)

ショートが入ったりお休みだったりで本編は1ヶ月半ぶりだけど、なんとストーリーは10年後くらいかな。ポーラは結婚して産休育休中、モネちゃんやトルカちゃんは診療所で一人前になってるロムテ先生という新しい薬師(たぶん最後のストーリー後に弟子入りしてもう一人前になった?)もいるし、何とベレー先生も住んでいるけど今日は街に出て、シイラの花嫁行列に出会う。もちろんベレー先生はシイラを知らないけど。セラは遍歴医になって、遍歴医の村に今では住み込んだトーヤン先生に会って、コレットさんは数年前に遍歴医になったという話をしている。今では子どももいるタン兄ちゃんマリー姉ちゃん夫婦を訪れランちゃんやユリヤ姉ちゃんのところにも顔を出して、もう弟子もいるササラちゃん、いやササラ先生も訪れて旅をしている。コレットは薬師のいない村を見つけては薬師を置いて、弟子も募集して、軌道に乗るまで自分も住んでいるという。みんなコレットさんは今どこを旅しているのかなと思っているけど、実は不治の病で冥府にいる。

118話の人間として生きて死ぬことを決心した回想はこの時点だったのね。

おばあちゃんになるよりもずっと前(多分20代後半くらい)で、ハデス様や冥府の皆に見守られながら死の床についたコレット。ハデス様に手を握られて意識が薄れていく。

しかしコレットはもともと小さい頃に両親も友達も知り合い全部を流行病で失うという過酷な経験をして、必死で一人前の大人に、薬師になろうとしてきたのに、最後に再び自分が不治の病とか、この展開はあまりにも過酷なのでは。あと2回でどんでん返しがない限りはものすごく後味の悪い読後で、今までファンで来たのを後悔しそう。

ハデス様が日光アレルギーで倒れたあとも、シイラのその後も描かれてなくて、いったいあれはなんだったのだろうか。プロポーズをしたけど、その後のあのハリーが作った髪飾りをつけた結婚式も飛ばして、その後の冥府での新婚生活や、天界の反応もなしで最終回に突入するの?

お仕事漫画と言われるのは、作者には不本意かもしれないけど、コレットが村での仕事を完成させて弟子たちに任せて遍歴医となる過程も見たかったし。

あと、薬師のいない村でゼロから弟子を募集して一人前になるまで滞在すると10年以上かかるけど、タン兄ちゃんがいっているように「薬師を置いて、弟子も募集して、軌道に乗るまで自分も住む」というのなら、キャリアウーマンである女神様の生活とも両立するし、ゼウス様の申しでを受けて神様になってもよかったのに。なぜハデス様と永遠に生きることを断ってまで、人として生きて死ぬことをコレットは選んだのか、ハデス様はそれを同意したのかの説明がまったくなくて、あと二回でそこら辺が納得できてハッピーエンドにならないなら、残念ながら今までのこの漫画を読んで楽しかったり感激したのがまったく覆がえる。

しかしまだ伏線が全然回収してないから少し希望をもとう。とはいえどっちみち117話と118話と119話はあまりにも無理があって読むほどに興ざめ。この漫画は、二人のやりとりやモノローグで心理状態や何を戸惑っているのか表現されているのが魅力なのに、ハデス様の気持ちはまったく出てこないし。

しかしコレットが死を目前としているのにハデス様冷静だなあ。これも伏線?

(120話 2021年10/5花とゆめ20 2021/9/18発売)コレットは死んで影となって冥府の川辺に来た。突然真っ白になってゼウス様が現れ、裁判の前に寄り道をするといって、ヘルメス様の作った道をいくことになる。途中の窓から冥府のようすをのぞくと、コレットの死を悲しむガイコツたち、ハリー、コツメ君「なんでこんな後ろ髪をひかれるようなものを見せるんですか」というコレットに「後ろ髪を引きに来たんだよ」とゼウス様。「昔ぼくはコレットに提案をしたね”神格を与えたい”って 君は断って人として死ぬことにした だからそれが成された今日 もう一度お誘いに来たんだよコレット どうか神様になっておくれ」「同じ人間なのにあのひと達だって誰かを残してきたかもしれないし もっと生きたかったかもしれないのに特別扱いは不公平です」「”扱い”じゃなくて”特別”なんだけど?だってコレットは冥府の家族なんでしょう?冥府の神にとって唯一無二の存在なんでしょう?そんな人間他にいる?」「コレットの魂がある間は皆君を想うだろうけどコレットが消えた何十年何百年あとにまた誰かが冥府にやってくるかもしれないよね」とのゼウス様の言葉に誰かがわたしの代わりになることも納得・・・?と迷ったところで窓からハデス様の独り言が聞こえる「私の妻はお前の他にいない 永遠にお前だけだ」と涙を流す後ろ姿。「ぼくの言葉なんかより兄上の姿を見る方がコレットには一番だね 兄上はああだから永遠に愛してると言うよ そばにいてやってよ 受け取ってよコレット 神々からの祝福を」冥府に帰りたいと心から思ったコレットをヘルメス様はその亡骸とともに天界へ連れて行く。天界で待っていたのはデメテル様。デメテルが母にゼウスが父になるといってコレットを引き上げる。

コレットが望み通り人としての人生を全うした後、たぶんゼウス様がもう一度提案するだろうとは思っていたけど、神話通りデメテルが母に、ゼウスが父になるのね。とうぜんコレットはペルセポネに。しかし結婚式はもっと華やかにやるかと思ったけど仮装パーティ?だったんだ。ヘルメス様も神話では使者を冥府に連れて行くことがあるので、思った以上に神話を取り入れた終盤だった。あと1話で終わりなので、ハデス様や冥府の皆と再会して終了かな。やはりラブラブな後日談が必要。

ここも2ページ加筆されている!でもコレットがハデス様の気持ちを知って迷う場面がよくわかってこれもいい!あと154ページ(電子版単行本)のゼウス様の台詞も「あーもうコレットは!心にもないことをいうのはおわりっ」の方がコレットの気持ちを吹っ切るのに相応しい。(連載では「なーんてね いじわるしちゃったごめん」)

最終話121話 2021年10/20花とゆめ21 2021/10/5発売)
天界の泉からデメテル様の手を握ってひっぱりあげられたコレットは、デメテル様が6巻34話で地上で迷子になったときに、薬師(クスシ)ちゃんとして助けた17歳の頃の姿。ゼウス様とヘルメス様も近くで見守っている。

冥府ではヘルメス様がコレットの死体を盗んだので今頃大騒ぎになっているはずと、冥府に戻る。ヘルメス様の道は神となった今はぐるぐる目がまわらずにいける。

突然現れた17歳の姿のコレットとヘルメス様、デメテル様、ゼウス様に呆然とする冥府のメンバー、「ずい分 懐かしい顔だ」とコレットの頬をなでながらいうハデス様に「ハデス様 私ここで 皆と一緒にいたいです 心残りはないって思っていたのに そんなことなくてだから勝手なことしたんですけど でも私どうしてもここに帰りたくて」「おかえり よく帰ってきた ここにいてくれ」とハデス様。ハリーもコツメ君も涙を流してコレットを迎える。クロノス様はヘルメスの気配を感じていたとのことだが、冥府はコレットさんが消えたと大騒ぎだったよう。デメテル様も久しぶりに父のクロノス様と再会。そこにガイコツが「おい 皆がおかえりを言うとるのだぞ おかえりと言われたなら応えんかい」と現実的に迫るガイコツに「ただいま」とコレット。

コレットに服を用意し、風呂の用意をし、食事の用意をし、ゼウス様達のおもてなしに、走るガイコツ達を待つ間に閨にもどるコレットとハデス様。「本当にあの頃のコレットだな 幼く見える 背はあまり変わらんが体も戻っているのか」というハデス様に「戻ってますけど今この中何も着てないから」とコレット「夫婦なのに」「夫婦でも恥ずかしいんです」といいながら、最後は寝たきりで体も動かなくてハデス様の手も握れなかったコレットは、ハデス様の手をギュッと握る。そんなコレットをぎゅっと抱きしめるハデス様は「本当に生きている 私のことがわかる いつか忘れることもなく」「神々の祝福か つくづくお前は只者ではないな」と。


そんなハデス様に女神としての名を下さいとお願いするコレット。 

冥府の皆とかけつけた父であるゼウス様、ディオニュソス様。コレットの冥府の住人となる儀式は、今やアスポデロスで立派に育った柘榴の実。ハデス様からもらった神としての名は眩しい光りという意味のペルセポネ。青服のコレットが眩しいほどに逞しく生きていたようにこれからもそのままでいてくれと。(End)

デメテル様と出会ったのは、ハデス様がコレットが好きであることを意識した5巻32話の翌々日、そこに繋がるコレットの復活はお見事。ということでデメテル様との再会や冥界の柘榴を食べることなどなどここで伏線はすべて回収でハッピーエンド。思ったよりずっと神話に忠実で、かつプロポーズされて神様になることを提案されてそのままハッピーエンドにしなかった話の構成はすばらしいのだけど、コレットは死ぬことにしたの一番の魅力と私が思っていた、コレットやハデス様の心の機微が、人ととして生きて死ぬ決心をしたところから全く描かれてないので、もちろんそういう選択もあるだろうとは思うけど、あまりにも唐突すぎて説明不足だし、ハデス様はどう思っているのかとか、結婚しても冥府の食べ物は食べないようにして冥府の一員にはならなかったのは二人の間でどのような話し合いがもたれたのかとかまったくないので118話から最後までの4話はちょっとしらけた。まあお陰で連載が終了してもロスにならなかったけど。

あと、二人が結婚した後の生活ぶりもほとんど描かれてない。まあこれは続編があるとのことで、回想されることを期待。

冥府こぼれ話

(ガイコツ会議ー通販ー)
冥府の生活にヘルメス通販は欠かせない。ガイコツ達が購入予定のものをみなで検討。ハリーの希望は布と綿・・・ハデス様のぬいぐるみをつくりたいという。盛り上がるガイコツ達。

(ガイコツ会議ー公式グッズー)
ハデス様グッズをつくるとしたら・・・ガイコツが喧々諤々、抱き枕の案が出て不敬な妄想を反省しているところに、抱き枕をつくってきたハリーがあらわれて、皆がリクエスト。

(コツメくんときゃんぷ)
冥府の川のほとりで、いつもハンモックで寝ているカロンに影響されて、ガイコツ達と川辺に蒲団を並べてキャンプ。魚のいない冥府の川で釣りまでする。皆が寝ても寝付けないコツメをカロンはハンモックに呼んで一緒に寝る。

(SP番外編クロノス様の或る一日 単行本ではクロノス様の記念日 ザ花とゆめオールスター6/1増刊号 4/27発売)

クロノス様率いるティターン神族がゼウス様率いるオリンポス神に敗戦した日になると、元気がなくなるクロノス様。隠れ兜をかぶってティターン族と戦うハデス様はまさかの三つ編み?


そんなクロノス様を励まそうとするガイコツ達。かつてのクロノス様は長髪イケメンで眼光はハデス様より鋭く口元はハデス様のようにへの字ではないと。
クロノス様なかなかの美神 ハデス様も降臨したときのように長髪の方が神様らしいのに

父をも倒すほどに成長した我が子を祝う父の記念日、とガイコツに持ち上げられて元気になったクロノス様は、コツメを探しに部屋に入ってきたハデス様に「寛大な心でだんごむし共の成長を祝ってやる」といって、いつも通りハデス様に顔面を捕まれて「ハデスは極悪」と憤慨。

111話のコレットが受け取った手紙に「ハデスは極悪 ハデスは極悪・・・」とひたすら書いてあったのはそのせいなんだ。ミノス王に代筆させて・・・ということはハデス様はコレットに手紙を届けてもらおうとコツメ君を探しに来たわけか。

(SP番外編 2021年9/1 単行本ではハデス様のモーニングルーティーン ザ花とゆめイケメン 2021/7/27発売)
ハデス様が起きて顔を洗って裁判服に着替えて、昨日と同じお茶をガイコツに入れてもらって「うまかった」といって仕事に出かけるだけのたった6ページだけのショート。イケメンは何をやってもイケメン・・・

(ショート 2021年8/20 単行本ではコレットさんと泉の精 花とゆめ17 2021/8/5発売)
旅の途中で冥府でお泊まりしてハデス様と寝ているときのコレットの夢。コレットの枕が逃げ出して泉にドボン。コレットの枕と冥府のふかふか枕を手に出てきたハデス様似の神様は「私は正直さを問うこの泉の精である 娘 お前が落としたのはこの普通の枕か それとも冥府の枕か」と問う。それに対して「あの・・・その冥府の枕 購入は可能ですか」「お金はここに 冥府を宿にしてたから(そんなにしてないと思うが・・・)わりと残ってます」「枕・・・ください・・・」というコレットが可愛い茶トラの猫に見えたハデス様似の神さまは両方押しつけて消えていく。冥府の枕をもらって幸せそうなコレットに「どんな夢を見ているんだか」とハデス様。そっと髪を顔からかき上げても楽しそうに笑いながら起きないコレットに「そんなにいい夢か ならいい」と幸せそうなハデス様。

118話のあと本編が進まないけど、こんな日々が二人に永遠に続いて欲しい。コレットが死んでしまったらSP番外編のような毎朝がずっとつづくなんて「寂しいを知ってしまった」ハデス様にはあまりにも酷。

(針子のハリーお召し物大作戦)ハデス様に新しいお召し物を着てもらいたいハリーの作戦・・・って今までと同じにしか見えないけど?

(4コマ漫画 家来たる者)
ハデス様福笑いに気合い入りすぎのガイコツ

(描き下ろし後日談)女神様になっても冥府の掃除をしてガイコツを手伝い、カロンやコツメくんからはペルと呼ばれているコレット。クロノス様は日によって気分でコレット呼びやペルセポネ呼び。ガイコツは・・・戸惑いながらコレットと呼んでからペルセポネと。

暇なので毎日冥府を手伝っていると聞いてハデス様は「遍歴医を再開しては」と。地上用の名前はコレーとなった。

万歳これで神話通り。神話ではコレーは薬師ではないけどね。
ということで、最後の4話ほどは「コレットは・・」の一番の魅力と私が思っているコレットやハデス様の心の機微が描かれていなくて
説明不足で消化不良感があったけど、単行本ですこし納得できるようになったかな。できればハデス様がどう思っていたのかも描いて欲しかった。

思ったよりギリシア神話に忠実でペルセポネはデメテルとゼウスの娘だったし、冥府と地上を行き来できるヘルメスが活躍したし、伏線のデメテルとの再会や冥府の柘榴も生きて見事な展開ではある。

続編はもうその事には触れないかな。

2021年12月10日金曜日

神様はじめました20-25

(114話)女子トークで盛り上がる奈々生を見て巴衛は、人の輪の中に居ると奈々生は時々違う顔をする、とちょっと寂しい。バスタブの小鬼が現れてキジムナーだと名乗る。今度はこの島の精神世界を司る人間の大王(おおきみ)がウナリの件で人神に礼がしたいとの伝言で祝福の光りを浴びる。奈々生や巴衛や瑞希や鞍馬には見えるがあみちゃんには見えない。鞍馬が自分の羽を渡すと見えるようになった。島の巫女か あの娘らしい礼の仕方だな 元気にしているのかと巴衛は何か知っているよう。


一方杵島ルリコも鞍馬の羽を拾って、妖怪が見えるようになって腰を抜かしていた。気がついた巴衛は 誰しも自分の世界から出る時は相応の覚悟が必要だ 時には命が代償になることもあるぞ と、元の世界へ飛ばす。恐怖におののいた杵島ルリコは元の世界へ戻ってホッとする。

(115話)修学旅行最後の夜名残を惜しむ奈々生に「来たかったらまた来ればいいだろう」という巴衛「どれも今しかない高校生の思い出だもん 大事にしたいの そうしてね大人になって思い出すのよ 楽しかったなーって」ホテルの男子生徒部屋で寝ている巴衛のところにミカゲ様が来て「島の巫女から礼状が届いて人魚のあらましはきかせてもらったよ 私からの返礼としてこれを届けて欲しいんだ」と。巴衛は昔ミカゲ様の使いで島の巫女に会いに丸島にいったことを思い出す。雨の中であった子供に、足の汚れないきれーな近道を案内してやるからお前の傘に入れろと」ところが案内するといいながら道に迷ってたどり着かないので私の実家の小屋に泊まっていくといいという。そんなガキを掴んで巴衛は空を飛んで丸島へ。そこで突然ガキに傘を奪われ「お前はこの先入っちゃダメ」と言われる。実はそのガキが巫女。ミカゲ様の贈り物とこの傘は頂いておく。もう帰れと言われてその島から放たれる光の帯に気圧され帰った。

数十年ぶりの丸島だが、巫女は病で体が動かないという。島からはあの時の神気が感じられない。寝所の巫女は別人のような老婆になっていた。たったの百年足らずで人はこんなに変わるのかと巴衛は愕然とする。巴衛を案内してきたのが次の新しい巫女だと。お前と出会ったあの日、本当は自分はこの島にいきたくなかった。たくさん友達もいたし遊びたかったけれど巫女になるために島に住まねばならない。だからお前に手を引いてもらって嬉しかった お前と飛んだ空楽しかったなあ。俺が空に連れていってやるという巴衛にもう私の目は見えん 心の目は健在だよ お前の心に住んでいる娘いい子だね その娘を幸せにしてやりたいならお前も変わらねばならんよ と。巴衛は 巫女が変わったように奈々生もいつかこうやって変わっていくのだろう 楽しかったと笑うのだろう その時俺はどうしたらいいと自問をする。

(116話)ミカゲ社で団欒中、突然巴衛が「俺が人間になったらお前どう思う?」と言い出した。あまりに急で奈々生は何も言葉が浮かばなかった。既に巴衛が妖怪であることを知っている猫田あみちゃんや上原ケイちゃんに「巴衛が私のために人間になろうって思ってるなら 私は今のままで幸せだから必要ないと思うけど・・・」という。ケイちゃんには寿命の問題を指摘される。巴衛は500年以上生きている妖怪で、人間になると男の平均寿命は80歳だからあと62年しか生きられない。あっという間と。

止めなきゃと焦って巴衛の所に行くが、巴衛は人間になりたいって言っただけで本当になれるってわけでもないのにと思い出して言わないことにする。聞きつけた鞍馬は巴衛に「人になったらできないことだらけになるんだぞ」と。

あみちゃんから自分は進化の薬を飲んで人間に戻ったんじゃなくて人間になったんだから人間になれちゃうんじゃないかと言われて、急に現実味を帯びてきて、巴衛の所に駆けつけると、巴衛と鞍馬は進化の薬の入った壺を前にしている。奈々生は「まだ巴衛は人間にならない方がいいと思う」と壺を取り上げる。人間になったらあと60年くらい経ったら死んじゃうんだからと言われて巴衛は「60年しかお前と一緒にいられないのか」と。「巴衛が人間になったって今より不自由になるだけ 妖力も使えなくなるし神使でもなくなっちゃう」「お前は俺より先に死ぬではないか!」「私は巴衛に一緒に死んで欲しくない」と。

(117話)進化の水の壺を前にあらそう二人「お前の方こそ知らないのだ 妖たちがどんなにか弱い生き物なのか」ミカゲさんは「心配しなくてもそんな簡単に妖怪は人にはなれませんよ」という。500年前は力のある神も主も多かったから巴衛は人間になろうとして死にかけたけど、と。その一人が死んだというのだが、お祝いの席に奈々生が連れて行かれる。これで紫殿もはれて自由の身だと。昔毒を受けて紫殿は姿を変えて樹木になったけど苦しみでのたうち回って幹や根はうねっていた。気が遠くなるような年月の苦しみの果てにやっと自由になったのだと。これは巴衛の未来の姿で、禁忌を犯した者は漏れなくその病すなわち恋に蝕まれることになると。紫殿は人間の女と道ならぬ恋をして彼女が亡くなるまで彼は彼女の家の庭に住んでいた 彼女が死んだ後動く力もなくなりその場に留まり根を下ろしたと。彼女が今の彼を見たらどう思うだろうね、と。巴衛が言った「お前の方こそ知らないのだ 妖たちがどんなにか弱い生き物なのか」の意味がわかって「私は巴衛をこんな風にはさせない それをミカゲさんに見届けてもらうのも嫌です」と。

奈々生は進化の水を巴衛に返すが「私が卒業するまで待ってくれる?」という。「それまでに私たくさん勉強してもっともっと大人になるから 巴衛のとなりで巴衛のことちゃんと支えられるくらい強くなれるまで」、といったのに目の前で巴衛は進化の水を飲む。「500年前の二の舞は演じぬ!お前にいつも今じゃない あとでと待たされて 俺もようやく気が付いた お前に関しては機が来れば速やかに為すべしだ!」と。しかし巴衛は人でなく狐になってしまった。

(118話)ミカゲ様は「だから言ったでしょう 簡単に妖怪が人間になれないと 妖と人では根本的に祖が違うのですから進化の水を飲んだところで交わりませんよ」と。ジュゴンが進化して人間になるわけでもないけど・・・
不本意すぎて拗ねる狐の姿の巴衛。ミカゲさんには大人しく手入れされているのに奈々生は避ける。一人で買い物に行きながら奈々生は「私だってもっと弱いところ見せてほしい」とそこに霧仁が現れる。奈々生の精気を吸って霧仁は元気になっていた。突然奈々生は霧仁が500年前の悪羅王であることに気が付く。「どうして巴衛のことを憎んでるの?仲良しだったんじゃないの?」と「俺は狐に裏切られた しかし今あいつとどうこうする気はない 今の俺の望みはただひとつ 巴衛に殺された悪羅王の身体を取り戻すことだけだ」と。あいかわらず人間の身体になってか弱くなっても、喧嘩をして追われているらしい悪羅王に「私暴力はきらい」「巴衛はあんたなんかと違う 巴衛は人を殺したりなんてしないわ 巴衛があんたを殺めたって言うならきっと殺めるだけの理由があんたにあったからよ 私は巴衛のこと信じてる」と。霧仁は急に切なそうになって「どうしてお前の言葉がこんなに俺に突き刺さる?」と。

(119話)「昔何があったか知らないけど今の私達には関係ない もう巴衛にも私にも構わないで」「今私達のいる場所は平和で穏やかで血の臭いなんかしない所よ そう望めばいくらでも幸せになれる場所 誰の命も奪われてはいけない世界 巴衛はそういう場所で生きられるひとだよ」と。昔巴衛に「俺は一方的な殺戮は好かん」と言われたことを思いだした悪羅王は「そうだな」と。

ミカゲ様は大国主様になんとかして下さるよう手紙を書いている。大国主はイヤだとごねる狐。

悪羅王のことを話していいのか迷う奈々生に、夜中に巴衛がやってきて「元気がないな 出先で何かあったか?」と言われて、狐の姿でも話せるのを初めて知る。巴衛のことをもっと知りたいと「巴衛は昔仲良い友達とかいた?」と聞くと「一人だけいつも一緒にいた男がいた 真っすぐで遊び好きで楽天家で快楽主義 全く趣味は合わなかったが 俺にとっては好ましい男だった」「今はこの世にいない その男はもう動かない 俺があの世に送ってやった」「許せないことをされたから 今も許してない きっと永遠に許さない」「憎かった?」「いやさみしかった」きっと巴衛は悪羅王のようにはならない だって誰かを大切に想うことができるひとだからと確信した奈々生は、今日悪羅王にあったと伝える。

(SP番外編)昔巴衛がまだミカゲ様に仕えていた頃、こき使われてミカゲ様の懐鏡に隠れて昼酒を飲んでいたら、お前の居場所はこっちだよと呼ぶ声がする。私との約束を果たせと。慌てて鏡から飛び出した巴衛はミカゲ様に捕まる。ミカゲ様に怖い夢を見ないおまじないをしてもらって20年くらいはもつだろう。20年経ったら悪夢を追い払う優しい女神が手をさしのべてくれるだろうと。(ここから一巻に続くらしい)

(120話)奈々生は、悪羅王は黄泉で自分と一緒にいた霧仁に乗り移っていると。悪羅王とは時廻りであったけど霧仁が悪羅王なのは今日偶然ばったり会って本人から聞いたと巴衛に告げる。動揺する狐の姿の巴衛を抱きしめて、私は大丈夫 何もしてないし何もされてないよと。霧仁は黄泉にある悪羅王の身体を取り戻すって言っていた。500年前に何があったの?と聞くが金輪際奴には近づくなと。早く元の姿に戻らねば もう二度と悪羅王に遅れをとったりはせぬと。

一方霧仁を見つけた夜鳥は、人間の娘を人質にとって狐に火を消させる案をだす。霧仁は「あの娘には手を出すな」という。式神の菊一は、沖縄では俺のために身を盾にして腕を一本落とされた。お前に同じ真似ができるってんならその腕を切り落として見せろ 俺は腹の中を見せられない奴は信用しない お前みたいな嘘つきは特になと。それに対して夜鳥は私の主人はただお一人あなたです。と。自分は500年前悪羅王に拾ってもらった小さくか弱い毛玉だと。自分の望みは、あなたの一番になること 狐でもなく菊一でもなくこの自分が。それに対して霧仁はお前の望みは却下だ。と菊一は自分が身を削って作った式神。お前がついてくるのはお前の勝手。それに俺の一番は俺だ。と。それでこそ悪羅王と思う夜鳥。

雪山事故以来霧仁が変わったと思う霧仁の母親。霧仁が帰宅すると、連絡もしないで心配した。親が子供の心配をするのは当たり前ですと。何があったとしても母さんはお前の味方よ。と言われる。そんな話を聞いている悪羅王に「本当にあなたは何も変わってない?」と疑問を思う夜鳥。

(121話)出雲の大国主が巴衛を元に戻してくれることになったという。巴衛が心配なので奈々生も一緒に行くと言うが、ミカゲ様に拒否される。「奈々生は目を離すと危なっかしいのに、特に今は」と文句を言う巴衛に、ミカゲ様は出雲の方に良くない風が吹いているという。巴衛が心配なら僕が出雲への近道を探してあげると瑞希は言う。神社仏閣は神様しか使えない道が通ってて全部繋がっているという。だから瑞希も奈々生とは行けない。ミカゲさんも巴がいるので夜霧車に乗っていった。奈々生ちゃんは最初にあった時よりもずっと強くなったと瑞希は言う。神の道は最上層その下は魑魅魍魎の下層界が広がってるので足を踏み外して落ちないようにと。しかし出雲まで10分でつくと瑞希は言っていたのに20分経ってもつかない。

突然夜鳥と出会う。この道は神しか通れないのにと驚く奈々生。「出雲に行くなら一足遅かった。大国主にはもう会えない。悪羅王様がもうじき蘇る。どうせ全員悪羅王に殺される」と。奈々生は「悪羅王と巴衛は昔みたいに殺し合ったりしないと。」という。奈々生に激高した夜鳥は「あなたに悪羅王様の何がわかる?この私でさえ未だお側にも寄らせてもらえないのに。霧仁が人間になびく前にここで始末しておく」そういえば最近マモル君が登場しない。夜鳥の背後にまわって直接貼らないとお札の効力が効かないので、下層界へ奈々生は降りる。下層界まで追ってきた夜鳥を欺くために、悪羅王の姿になる奈々生。

(122話)「あなたに感謝します こんな所で再びあの方の顔が見られるなんて」といいながら見破った夜鳥は奈々生を殺そうとするが、ここで引いたらもう巴衛に会えなくなると必死の奈々生は退魔結界の札を貼るが、夜鳥には効かなかった。人間はロウソクのようなちっぽけで無力な存在、一方巴衛殿は灯台のように嵐にだってビクともせず遠くまで届く強烈な光線、その彼にあなたはロウソクになって儚く燃え散れという。それでもあなたはそれが最善だと言える?と問うが、奈々生は「そうよ」と答える。その小さなロウソクを愛おしんで生きるのが私達の幸せ。だから私はあんたにどう見られようとどうでもいい。急に呼吸が苦しくなった奈々生に「あなたの寿命残りわずかじゃないですか 霧仁殿に命をわけたせいでもうほとんど残っていない」と伝える。そこに突然黒い羽が後ろから夜鳥に刺さる。御山の真上の霊道に風穴が空いたので見に来た鞍馬山の二郎だった。

(123話)夜鳥を封じた二郎だが、夜鳥に奈々生の命はもう長くはないと伝えられる。鞍馬山で養生する奈々生は桃丹で怪我や病は治ったが奈々美さんの魂魄が何かに吸い取られたように弱っているという二郎と翠郎の会話を耳にする。僧正坊の見立てでは奈々生さんの命はもって半年という会話を聞く。
 
御山は橙丸も成長して立派で優しい。奈々生は翠郎に自分がいなくなったら巴衛の力になってくれと頼む。翠郎は「自分が翼が戻らぬと聞いたとき周りの者に嘆かれると更に辛くてなんでもない事だという風に振る舞っていました。今のあなたみたいにね だけど本当の私は今でも弟達が大空に舞い上がる姿を見送る時ふいに鳴きそうになるんです。と。あなたは私よりももっと過酷だ 今くらい自分のために泣いていいんですよ奈々生さんと」
泣く奈々生を女嫌いの翠郎が何も言わずに抱きしめてくれた。

(124話)翠郎は、他の人間の精気を吸い取ると助かるという。もちろん吸い取られた人間は死ぬし、人選にもいくつか問題が・・・と言いかけたところで二郎が現れ下界と縁を断ち奈々生がこの鞍馬に留まって下界の邪気にふれなければ生きながらえるという。しかし鞍馬の天狗たちは大反対。奈々生は二郎に「私がいたらきっと迷惑がかかる 巴衛と婚約してるのは本当だけど巴衛はまだ私の身体のことは知らない」と。二郎は狐が恋しいなら会いに来させればいい。年に数度の逢瀬くらいならば保証しよう。と。「俺はそなたに生きて欲しいのだ たとえ誰のものであっても」
翠郎は奈々生のことが課題になる朝礼会議にでるように誘う。朝礼会議は混沌。翠郎は「あなたはどうしたいですか?奈々生さん」という。二郎はなぜそこまで女人に肩入れするのだと皆に問われて「惚れている!それがどうした」「俺の想いなど関係ない 女人に死んで欲しくない天狗は他にもいるぞ」と。橙丸や牡丹丸も同調する。翠郎は「私は奈々生さんが決めたことならどちらでもいいです!鞍馬が天女の里になるのも一興 二郎がフラれるのも一興」と拡声器で叫ぶ。拡声器を渡された奈々生は「私は鞍馬山が好き みんなのことが好きです そして巴衛のことが好き!巴衛に会いたい!だから巴衛の元に返ります」と。

(125話)鞍馬山まで瑞希が迎えに来て、出雲は今大国主様の御霊が行方不明で大変だと伝える。夜鳥が「大国主にはもう会えませんよ」といっていたことを奈々生は思い出す。

三日前の晩何者かが大社に侵入し大国主様の御霊を奪って逃走、番兎たちが大社の庭で、猿のような人のようなタヌキのようで蛇のようで獰猛な虎のような不審な影を見ている。大国主相手にこんなことができるのは悪羅王だと巴衛はいい、奈々生が心配なのでミカゲ社に帰るという。大国主は人の縁のすべてを取り仕切る人の世にとってなくてはならない人だとミカゲさんはいうが、俺は奈々生のそばへ行く。あいつを雪路のような目にはあわせない。と。そこに瑞希と奈々生が到着する。番兎たちが見た不審な影は、奈々生が神の道で鉢合わせした夜鳥かもしれないという。夜鳥が大国主の御霊を同伴していたとしたら神の道を通っていたのもあり得るとミカゲ様。夜鳥は悪羅王の臣下で一介の妖ではないのかもと。

奈々生は悪羅王の魂だけが乗り移ってこの世に留まっていて黄泉にある本体を取り戻すために暗躍していると。巴衛は激怒する。

その頃夜鳥は大国主の魂を霧仁の元に持ち帰り、黄泉への道を開いた。霧仁は菊一を連れていく。夜鳥はまだ身体が万全でないのでお先にといって残る。そこへ黄泉の入口が開く音に驚いて様子を見に来た霧仁の母が来る。私の息子にを返しなさいと迫るが夜鳥に首を絞められる。夜鳥は黒麿と合体しているようだ。

巴衛は神連中やミカゲが黄泉で悪羅王を捕らえる算段をしているからお前は行くなよ。俺の身体のことは心配しなくていいから。というが、自分には時間がないことを知っている奈々生は、狐を抱きしめ、私に巴衛のことを助けさせてよという。私を愛しているなら私の愛を受けとめてと。

(126話)戦神たちは悪羅王を捕らえに黄泉へ。「奴らが殺らなくても俺が殺す」という巴衛に奈々生は「殺すなんて、巴衛の口から聞きたくない」「だがあいつはお前を殺しに来るぞ(雪路を殺したように)」と。奈々生もミカゲ様や乙比古神やマモル君や巴衛と黄泉へ。

戦神たちが霧仁を探すために、黄泉の岩を砕き森を焼き泉を干上がらせたのでイザナミ様は怒り狂って黄泉の門を閉ざす。イザナミ様達に挨拶に行くミカゲ様や奈々生に、巴衛はここに残るという。巴衛は「今の俺ではお前を守ってやれない」から奈々生にミカゲ様の側を離れるなという。奈々生たちが去ったあと巴衛は霧仁を見つける。

(127話)乙比古は悪羅王は決して滅びることのない妖怪で、滅びないと言うことは驚異だという。悪羅王は突然変異で生まれてしまった妖怪で不老不死、肉体は無限に自己再生され永遠に朽ちない。永遠に死ねない。大国主様でも消滅させることは不可能なのだと。だから悪羅王は痛みに疎い。己の命さえ彼には軽い。命が尊いのだと彼が知る日は永遠に来ないでしょうとミカゲ様も言う。

俗世に生まれ落ちた悪羅王は悪業三昧、最悪だったのは悪羅王のそばにはいつも巴衛がいたということ。悪羅王が矢面に立ち脇から巴衛が狩る。思慮の足りない悪羅王も巴衛の後ろをついていけば道に迷うことはない、と。奈々生は巴衛が以前「いつも一緒にいた男がいた 真っすぐで遊び好きで全く趣味は合わなかったが俺にとっては友達だった」

一方霧仁は狐の姿になっているので巴衛とは気づかず抱きしめる。そこに菊一が戻ってくる。今の霧仁なら狐の姿の自分でものぞぶえを掻き切れば殺れると襲いかかろうとする巴衛だが、菊一に捕まる。殺そうとする菊一を霧仁は止め、狐は嫌いじゃないといい、雪が降る中、狐を抱きしめる。

(128話)黄泉の霧仁のもとに夜鳥も到着。すぐさま狐が巴衛であることを見抜く。妖力が弱いことも。「仇討ちのつもりで?」「ご存じないんですか?奈々生さんどうやらお体が悪いらしくあと半年も生きられないそうです」今さらながら奈々生が「私に巴衛のことを助けさせてよ 私を愛しているなら私の愛を受け止めて」という奈々生の真意を知る巴衛。夜鳥に攻撃されて崖から落ちる。

一方奈々生たちはイザナミ様のお茶室にたどり着いていた。茶室は淑女の園だと入ることを拒否するイザナミに、奈々生はこの間はあなたを騙すような真似をしてごめんなさいと声をかける。ミカゲ様達も大国主の御霊を取り返すのに協力して欲しいというが、わらわのティータイムに相応しい格好で来るというのなら話を聞いてやらんでもないというので、こんなことしている場合じゃないと思いながら全員ひらひらに着飾られる。イザナミは奈々生の記憶から拝借したあみちゃんの姿をしている。バラの香りのお茶に思わず口をつけそうになる奈々生だが瑞希は「黄泉の物を口にしたら黄泉人になる」と注意する。ミカゲ様は奈々生にティースプーンを差し出す。奈々生と瑞希はお茶会を盛り上げる。イザナミはただ自分たちと楽しい時間を過ごしたいだけなのかもしれないと奈々生は思うが、「全部終わらせてからもう一度ここへあなたのお茶を飲みに来ます その時はもっとゆっくり色んなお話しをしましょう」と。

イザナミ様は大国主の御霊と鏡越しにコンタクトをとってくれたが、大国主は私は囚われの身のようだが私自身は今の状況をとても楽しんでいるといったところで回線が切れてしまう。

(129話)大国主は黒麿と話をしているようだ。イザナミは迷路庭園にみなを誘い、自分から一時間逃げ切れた者はひとつだけ望みを聞いてやろうという。苦しくなってきて休む奈々生は「死にたくない」という誰かが現れる。そこをイザナミに見つかってしまう。自分の死を受け入れられぬ者が時にさ迷うという。「もうじき自分もああなるのではないかと心配か?己の命の期限を知っているのであろう?死ぬのは怖いか?」とイザナミ様。「私のお母さんも雪路さんもみんな先に逝った人達はどこに行ってしまったの」と問う奈々生に「黄泉にはおらぬ そなた達が還るべき場所を見せてやろう」と。

他のメンバーは、「今問題なのは霧仁ではなく悪羅王の体だ。その所在が黄泉の火の山であると知られてしまった。あの体を悪用しようとする者ならばそれが霧仁であろうとなかろうと関係なく厄介だ」ミカゲ様の案は悪羅王を復活させ彼の進化をやり直させる。進化の水を使って突然変異を起こすずっと前からやり直させるんだ。と。

奈々生はイザナミ様に連れられて黄金の湖に。死者は黄泉を通ってここから更に深いところへ言ってそこでは個が個でなくなり執着も後悔も悲しみも喜びもみな溶けてひとつのエネルギーとなると。「それでも大切なひとを置いていくことが 大切なひとが悲しむのが怖い」という奈々生にイザナミは「お前の狐は人間になりたいそうじゃな 妖怪は不便なのじゃ 悲しみを忘れられぬ 人になれば傷の癒やし方も学べよう なにより人になれば還る場所はおまえと一緒じゃ」と。

イザナミはお前の狐を元の姿に戻してやっても良いぞとも提案する。ただし巴衛はお前を愛してはいても人間を愛しているわけではない そんな者が人になろうなどと気に喰わぬ。それは奈々生も思っていた。イザナミは奈々生に球根を渡す。もし巴衛が心から人を愛し人になりたいと願うことができたらこの球根から花が咲く。その花を食べれば狐は元の姿に戻れよう。もしダメなら大国主にでも頼んで戻してもらえと。奈々生は巴衛はきっと人間のことを好きになってくれると思う。人間の私を愛してくれた人だから。と

(130話)かくれんぼは瑞希だけになった。奈々生には見つかったけど、イザナミからは隠す。奈々生は時廻りで若い頃のヨノモリ様ミツハちゃんと生まれる前の瑞希を見たことを話、瑞希を置いて消えたミツハちゃんの気持ちを思うと胸が苦しい。私がいなくなってもミカゲさんも巴衛も瑞希にはついてるからねという。鐘が鳴ってゲームは終わるが苦しそうな奈々生に大丈夫じゃないと悟る瑞希。イザナミ様の前に奈々生を連れていく。奈々生の命はまだ数ヶ月はもつという。誰かに精気をくれてやったようだとイザナミに教えられて、瑞希やミカゲ様は愕然とする。かくれんぼの勝者として奈々生を直してと瑞希は言うがそれはできないと。奈々生の若さに見合う相性の良い人間の精気を与えれば助かるけれど奈々生の代わりにその人間は死ぬと。瑞希はやれることがあるのなら鬼にも悪魔にもなれると、お願いは黄泉の門を開けてくれるよう頼む。地上へ出ようと鍵を持って走る瑞希を奈々生は追う。かつて深い湖の底にヨノモリ社が沈むと決まった日、ダム工事を諦めるまで事業者に厄を飛ばすと思ったけど、ヨノモリ様はお前がそんなことをしなくてもいいと。大切なものを守るためなら僕は悪い子で構わないのに。追いついた奈々生は「止めなくたって瑞希は人なんか殺せないよ」と。追いかけてきたのは瑞希が傷ついていたから。この世に一人取り残されたみたいに泣いてた気がしたから「ありがとう 大好きよ瑞希」と言いに来たと。

(131話)雪の中で倒れた狐の巴衛は、亜子という女の子と出会う。「わんちゃん雪の中で眠ったら凍っちゃうよ」と。亜子は何かを探してた気がするんだけど思い出せないと。巴衛は亜子と雪の中で寄り添う。

瑞希と黄泉の門を開けに行った奈々生はイザナミ様からもらった球根を見ると少し芽がでていた。球根の説明をすると、巴君が人間のこと好きになるかなあ?奈々生は私の体のこと巴衛にはまだ言わないでと。巴衛を不安にさせてこの小さな芽が枯れちゃわないようにしたいと。

屋敷で待つイザナミ様と乙比古神とミカゲ様のところに亜子を背負った狐がたどり着く。イザナミ様は「その顔は奈々生の体のことを知っているようだな」と。ちょうど黄泉の門を奈々生が開けて明るい光が差し込む。

闇が開けるのを見て霧仁は、奈々生かと思う。

黄泉の門から瑞希と奈々生が出てくると巴衛が待っていた。夜鳥にお前の命が残りわずかだと聞いたという。奈々生は「私って図太いからそんな簡単に死なないと思う だから大丈夫」といい明るくいい、イザナミからもらった球根の話をする。巴衛は芽が出たばかりの球根を食べてしまう。巴衛の姿に戻るが「死が間近だとわかっていてどうして俺に黙っていた 俺に隠し事はしないと約束したではないか そうやって笑いながらまた俺の前からいなくなる気か」と。傷つけたくなくて取り繕ったことが巴衛を傷つけていることに今さらながら気がつく。「俺はお前に思いやってほしいわけでも背負ってほしいわけでもない お前にとって俺は辛いときに辛いと泣き言一つ聞かせられないような甲斐性のない男か」と奈々生を抱きしめる。瑞希は「奈々生ちゃんの体がこんなになったのは誰かに精気を吸い取られたせいなんだから 君がちゃんと守ってないからだ 僕は君が邪魔でいつも奈々生ちゃんを守れないんだから」と。巴衛は「奈々生の寿命が精気を奪われたせいで短くなったのなら奈々生を助ける方法がないわけではあるまい」という。が、そこで狐の姿に戻ってしまう。

(番外編)ミカゲ様が北の友神に逢いに外出する。巴衛は帰りに水飴をもらってきてくれという。巴衛が昼寝をしていると奈々生の話し声が聞こえる。巴衛ってミカゲさんにはちゃんと甘えるよねと瑞希にいっている。巴衛はミカゲはお前と違って優しいからなといいながら奈々生を蒲団に引っ張り込んで俺を寝かしつけてくれという。奈々生は言霊縛りで「寝ろ」

(132話)イザナミはがみがみいいながらもう一度球根をくれた。イザナミ様は亜子はまだ死んでない、生死をさ迷う生霊だと。亜子は大切なものを失くしたので見つかるまでお家には帰れないという。なんだか思い出せないけれど黄泉にあると。悪羅王の体がある火の山へ奈々生は行くという。ミカゲ様の進化の水を飲ませる案を瑞希とミカゲ様が説明する。そのために瑞希は乙比古神と沖縄へ行って進化の水をもらってくると。ウナリにもらった龍神の羽衣を奈々生に渡して。火の山は大国主がつくった山なので大国主なら道も開くという。そのために霧仁は大国主の御霊を手にいれた。奈々生と巴衛とミカゲ様は火の山へ向かう。

その頃大国主の御霊は、夜鳥に引っ張り出された黒麿の残留思念に、消滅する前の神としてのことを思い出させて口説いていた。夜鳥と霧仁と菊一は火の山に向かっている。

(133話)イザナミ様が貸してくれた車で火の山へ向かう巴衛と奈々生と亜子ちゃんとミカゲ様。亜子を連れてきたことにぶつぶつ文句を巴衛はいうが、球根に芽が出たのを亜子に見せて、巴衛ほんとうは亜子ちゃんを心配してるのよという。「その球根に花が咲くことはあるまいよ 人は変わらない 俺の考えもな」という巴衛に亜子ちゃんは「人は変わるよ 亜子知ってる 知ってたけど思い出せない」と。戦神たちは火の山に結界を張って霧仁が結界を破れれば殺すという。亜子ちゃんは「霧仁を殺さないで」とつぶやく。このガキは悪羅王を知っているのかと巴衛やミカゲ様は思う。

霧仁と来た夜鳥が結界を破る。攻撃の盾となって菊一は倒れる。「夜鳥に運ばせる」という霧仁を尻目に夜鳥の中の黒麿が菊一にとどめを刺す。

水晶鏡に映った霧仁を見て亜子ちゃんの体が大きくなり「私がいかなきゃいけないの お願い ずっとあの子を捜していた気がする」と。「お前が何者か知らんが霧仁という男には近づかないことだ あの男は人間に情は持たない」悪羅王を誰よりも知っている巴衛の言葉は思いが、「人は変わるよ」と亜子はいう。

式神を殺されて激怒する霧仁に夜鳥は「私を許せぬとお思いなら悪羅王様に戻られた後で私を殺せばいいのです」と。上空にたどり着いた奈々生たち。亜子は霧仁の母のしての記憶を思い出す。「あなたを守るためならなんでもできる だから地の底に迎えにいこう 今度こそあなたをとり戻すために」

(134話)黒麿の残留思念の入った夜鳥は強く戦神も苦戦する。あの力のせいで私は皆に恐れられた だから私は神籍を捨てたんだとい黒麿に、大国主の御霊は「その寂しさは愛されないからではなくて 愛したことがないからじゃないのかい?」と。

火の山で大国主の鏡をかざそうとした霧仁に噛みつく狐。「奈々生の精気を返してもらうぞ 悪羅王」と。「お前は惚れた女を皆早死にさせるな」狐の姿のままの巴衛は夜鳥に捕まり手も足も出ない。そこへ霧仁の母の姿に成長した亜子が追いつく。

ミカゲ様も追いついて夜鳥を退魔結界に閉じ込める。

母上に「死にたくなかったらさっさと地上に帰れ」と焦る霧仁。「お前が雪山で遭難したとき駆けつけられない自分が辛かった。飛んで行って凍える体を抱きしめて何をなげうってもうちに連れ帰っていやりたかった お前は無事に帰ってきてくれたけどすっかり心を閉じてしまった だったら今度こそ母さんが見つけようって 守ろうって思ったのよ 何があっても母さんはお前の味方 もうひとりじゃないわ 一緒におうちに帰りましょう 霧仁」そこに現れた夜鳥が「あなたの味方はわたしだけ 悪羅王のためならこんな女何度でも殺しましょう」と母上の首を絞める。「一度殺したような口ぶりだな」と夜鳥を「その面二度と見せんな」と追い払う。邪魔物は排除すると亜子を殺そうとする夜鳥に狐は噛みつき「亜子 逃げろ」と。振り向いた霧仁は「なにやってるんだ?俺は」と思いながら母を抱きしめる。

(135話)やっとイザナミ様の車から火の山へ奈々生も降り立った。瀕死の菊一が「私を霧仁様のところへ運んでくれ 霧仁様の命が消えようとしている」という。

母上を庇って死ぬ寸前の霧仁を目にした巴衛は「お前らしくないぞ お前は人間なんか庇って死ぬような男じゃないだろう!」と。「俺もびっくりよ らしくないついでに俺の命の残りカス 奈々生にくれてやる」と。霧仁は母に「お前の息子は雪山で死んだ さようなら母さん」と。そこに奈々生が菊一とたどり着くが霧仁の命が消えると共に式神の菊一も消える。

「悪羅王 お前を変えたのは何だ?」と巴衛、「俺は俺だ したいことしかしねえよ お前こそ人間になるんだって? 奈々生が胸張って言ってたぜ あの女は面白いな 結局俺は妖怪には戻れなかったが人間の体も悪くはなかった 妖怪のままじゃわからなかったことが色々わかったしな」「兄弟 お前に別れを告げられた時は寂しかったけど あの時のお前の気持ちがやっとわかったよ 人を愛したのか お前も もう俺は独りじゃなくなったんだ お前や母上式神達 今の俺の胸んなかには大事なものがたくさん息をしてんだよ」

「俺はあいつは変わらないと思っていた だが人になってあいつは変わった 俺も変わるのか?」と奈々生に問う巴衛に「変われるよ」と。奈々生の手の中で球根の花が咲いていた。(ヒガンバナ?

(136話)すべてを見ていた黒麿と大国主。黒麿は「私は他者と運命を共にしても満たされなかったのに悪羅王は自分の命を捨てて尚あんなに満たされている 私もあんな風に逝きたかった」「では手始めにこの私を愛してみては」という大国主に「お前に私は救えない このまま独りで眠らせてくれ」と。

とどめをさそうとする戦神の手を逃れて夜鳥は霧仁の元へ。大国主の鏡を取り上げ、「霧仁殿がいなくなったところで支障はないのです。私の望みはただひとつ悪羅王様と同化することなのですから」「たとえ悪羅王の体を手に入れても霧仁の心が入ってなきゃそれは悪羅王じゃない それでもいいって言うならあんたは悪羅王の強さと不死の体に執着してるだけの薄っぺらい男だわ」と奈々生。花を食べてもとの姿に戻った巴衛が奈々生に俺を妖に戻せと。神使では生ぬるい この男をこの世から跡形もなく消し去ってやる。神々も追いついてきたのを知った夜鳥は鏡を持って火の山へ。巴衛は奈々生にキスをして妖に戻る。

(137話)進化の水は百年にたった一滴だけ生まれ落ちる。もうここに進化の水はないとウナリに言われショックの瑞希と乙比古神、そこに一滴、今日がその百年目だった。

火の山の中で悪羅王の思念と会話する巴衛。黄泉を出たら俺は生まれ変わるよ人間に。お前も生まれ変われるはずだ 好きなものに 何に変わっても俺が見つけてやる。

悪羅王の体を見つけ出した巴衛。夜鳥は悪羅王の体を見つけられないので巴衛が探し出すのを待っていた。夜鳥は「最後なので告白しますが私はあなたが一番邪魔でした 今の私はあなたより強いと思いますよ」しかし巴衛は強い「強さも美しさもあなたは全部持ってる その一つでも私にあれば悪羅王様はずっと私をお側に置いてくださっただろうに」「雪路様の嫁ぎ先を悪羅王様に教えたのも私 狐殿と逃げ込んだ集落の場所を教えたのも私」という夜鳥に「貴様みたいなちっぽけな奴のために雪路も悪羅王も死んだのではない」「悪羅王は思慮は浅いが狭量な男ではなかった 貴様が勝手に自分の身を気に病んでいただけだ」と夜鳥の首をはねるが、首だけになった夜鳥は悪羅王の体を手に入れる。

待っていた奈々生は火の山から良くない気配が生まれたのを感じて巴衛のところに行きますと。

(138話)龍神の羽衣を着て火の山に入る奈々生。悪羅王の肉体は永遠に再生を続け不滅だが、巴衛は大国主の鏡を取り上げる。お前の細胞は別だと。燃えないように火の山から脱出しようとする夜鳥。夜鳥なんぞが悪羅王になるなら・・・「巴衛殿あなたが悪羅王になりますか」と夜鳥。

「このままでは悪羅王が再びよに解き放たれてしまう そして再び罪のない人間がたくさん死ぬだろう 本当にそれでいいのかい黒麿」と眠りの中に綴じ込もった黒麿に呼びかける大国主は黒麿に「ならば共に堕ちろ」と言われて黒麿の闇に倒れる。そこを見つけた奈々生。大国主は鏡の中に奈々生をひっぱりこむ。奈々生を見ると黒麿は動揺して引っ込む。「黒麿さんのお陰で巴衛は呪紋から救われました。きちんとお礼が言いたかったの 出てきてください」という奈々生に「そもそも狐の呪紋は私の蒔いた種だ 私を看取ってくれたお前に再びこんな情けない姿をさらしたくはなかった」「貴方がいなかったら今の私はここにいないわ いてくれてありがとう」「私は誰かにそう言われたかったのかもしれない ありがとう奈々生」

(139話)黒麿は「私は私の行くべきところへ行く お前も行くべきところへ行っておいで」

巴衛は夜鳥に自分が悪羅王になるかと言われて動揺していた。夜鳥は「私の体はもはや悪羅王様の一部 そこに貴方が加わるというなら歓迎しますよ その気がないようでしたら先を急がせてもらいますよ」そこに巴衛の中の奈々生が「だめだよ巴衛 一時の感情に流されて自分を捨てないで 私が愛しているのは貴方よ」と。突然夜鳥の体の一部だった黒麿の手が崩れていった「思い残すことはなくなった 私は逝く 人の子が私の存在を肯定してくれた これでやっと晴れ晴れとした気持ちで逝くことができる」と。醜いちっぽけな妖怪だった夜鳥の夢が叶おうとしているのに、黒麿の力がなくなると火の山の火で焼けてしまった。

呆然とする巴衛の元にやっと奈々生の本体が駆けつける。

奈々生の体は戻り、夜鳥は焼けすべてが終わった。あとは大国主の御霊を探すだけ。

(140話)大国主の御霊は鏡にはいなかった。悪羅王の体は炎で膨張して原形を留めていないので瑞希が進化の水を持ち帰ったら俺が運ぶ。それまでは良からぬ考えの者に二度と触れられないようにそれまではここの炎に守らせておこう。

死んだ霧仁を前にした母親に寄り添うミカゲ様や戦神の元に奈々生と巴衛が戻る。なぜここで霧仁が死ななければならないのか呆然としている母に、奈々生は香夜子から「その体の本当の持ち主だった息子さんは雪山の事故の時すでに亡くなっていた」ことを告げる。ミカゲ様はまだ霧仁の体に残っていた悪羅王の魂魄を見せ、息子さんの体を動かしていたのはこれだと告げる。母は本当はわかっていたのかもしれない もうあの子はどこかへ行ってしまったのだって だけど認めたくなかった この妖怪があなたの息子の振りをしていたのですというミカゲ様に振りなんかじゃなかったと霧仁を抱きしめる。

巴衛は「ここにいては腐敗が進む イザナミの宮殿に戻ろうと霧仁の体を運ぶ。

大国主は「また悪羅王の体を狙う者が現れんとも限らんぞ すぐにあの忌々しい火の山ごと黄泉からつまみ出せ」とイザナミに怒られていた。「悪羅王の体の処分方法が見つかるまで黄泉に置いて下さい」と500年前と同じことをいう。そこに奈々生たちがたどり着き、「悪羅王を滅ぼすことはできないけれど生まれ変わらせる事はできます」と。
進化の水を飲ませる話をするが、戦神や大国主は果たしてその水が本当に悪羅王に有効なのかどうかイチかバチかでは乗れないと。

そこへ瑞希が進化の水を一滴持って帰ってきた。もう一滴生まれるのにあと百年かかるそうだよ。と。イザナミはその一滴はわらわに飲ませよ それが悪羅王の進化を操るに足るものかどうかをわらわが確かめてやろうぞ。その上でわらわが決め追って沙汰をする。と。それでは百年間器もないまま悪羅王の魂に漂い続けると言うのかと巴衛。百年先では奈々生も人間になったあとの巴衛も生きていないので悪羅王が生まれ変われたとしてももう会えない。そこへ亜子さんがその子を私にくださいと言うと悪羅王の魂魄が亜子さんの元へ。私の体内で新しい命となって生を受けられるように私がもう一度この子の母親になるわ。と。

(141話)人になって添い遂げたいという黒麿の言葉を思い出す大国主。

亜子も奈々生も地上に帰る。巴衛も妖怪のまま戻る。桜の前の巴衛を見て、「私未来で貴方の妻になるわ」という500年前の約束を思い出す奈々生。神使の契約のキスをしようとすると瑞希に邪魔される。鞍馬も快気祝いに来るが、巴衛を見て「どうしてこいつ野狐のままなんだ?」と。そこにミカゲ様も現れる。そして大国主が黒麿の最後の仕事を引き受けにきたという。巴衛と黒麿の約束の場所を見させて、「我が旧友の弔いのために彼にかわってこの大国主がお前を人にしてやろう」という。しかしミカゲ様は、「今はまだ巴衛が人として生きられる目処が立ちません そして奈々生さんも人になった巴衛とどう生きるのか決めていません」と大国主に、そして奈々生には「人間になるということは人間界で生きるということです あなたも人神ではなく人間の娘として生きていくということですよ」それはミカゲ社にはいられないってことだ。二人の将来の方向が定まるまで「一年下さい 私達が高校を卒業するまで」と。

(142話)あと一年で奈々生ちゃんは人間の世界へ帰ってしまう。嫌だと思いながらも瑞希は「よかったね奈々生ちゃん 僕達ミカゲ社で奈々生ちゃんのことずっと見守ってるから」と。それで君が幸せになるのなら少なくとも君の前では僕は物わかりの良いいい子でいることにしよう・・・

寂しい瑞希の気持ちを思いやって怪我をした怪鳥を渡すミカゲ様。
将来を考えてバイトを探している奈々生に思わず「一年後いなくなっちゃうのに帰りまで遅くなるんだね」と本音が漏れた瑞希。

怪我した怪鳥を鞍馬の所へ連れて行き治療してもらう瑞希。そのまま鞍馬の家に泊まり「僕はここにいるよ ここは落ちつく取り繕わなくていいから」「行くなって言えよ奈々生に まぁ言ってもあいつは出ていくだろうけどな 一番嫌なのは信頼してる奴に本心を言ってもらえないことなんだぜ」と。

翌日鞍馬が学校へ行った後一人でまだ傷が完治してない怪鳥に友達が迎えにきた。引き留める瑞希を振り切って仲間と飛んでいこうとする怪鳥に奈々生を重ねる瑞希。そこに鞍馬に聞いた奈々生が「帰ろう」という。「私だって寂しいよ」という奈々生にせき止めていた思いが溢れて「ずっとミカゲ社にいてよ!永遠にこのままで何がいけないの」と。「ミカゲ社にいると楽しいよ 時間が止まったみたいで現実を忘れそうになる でも時間は止まったりなんかしない 私は大人になっちゃうんだよ 歳を取っていくんだよ ずっと変わらない妖怪達とは違う」と。奈々生に抱きしめられて泣く瑞希。

(143話)奈々生は卒業したら進学しないで働き、ミカゲ社をでて巴衛との生活を支えるつもりで、連休も二人の新生活のためにバイトを入れている。「引っ越し費用とか生活費とか今の内に準備しとかなきゃ」と具合が悪くてもバイトにいこうとする奈々生。「この馬券で一発逆転だ 大学まで行かせてやるぞ」という夢みたいな父親の夢みたいな言葉に振り回されてきた奈々生は自分がしっかりしなくてはと思うがとうとう熱で倒れる。そんな奈々生に「この俺にできないことはない だからあとはこの巴衛に任せて眠れ」と。焦燥感に駆られて不安な奈々生を抱きしめる。

奈々生に化けて奈々生の代わりにバイト先に行ってきた巴衛。バイト先ではうまく出来ずに失敗ばかりで自信をなくしてミカゲ様にすがりつく。「今の俺が満足にできるのは神使の仕事だけ だからミカゲ社で神使として働いている間 俺にバイト代を与えてくれまいか」

連休中3日寝込んでいた奈々生は巴衛が代わりにバイトに行っていると聞いて駆けつけると、巴衛がりっぱな店員として働いていた。落ち込んでいる奈々生に「俺はお前の百倍優秀だ
 お前が金銭に憂いていれば俺が賄うだけのこと だから望む人生を歩け どこだろうと隣には俺がいる 俺の夢はお前を世界一幸せにすることだ」と。

そしてミカゲ様には時給500円でいいと契約書を書いてもらって、巴衛は神使の報酬五百年分を受け取る。

(144話)10ヶ月後、2月、巴衛に勉強を特訓してもらい奈々生は短大保育科の合格が決まった。

3週間後にミカゲ社をでてもミカゲ社の皆や皇女や鞍馬山の皆に会えるのかと聞く奈々生に「神の印を返せばお前の目の前に広がる妖の世界は閉じられる」と。巴衛が連れてきた小太郎が「皇女に1ヶ月連絡が取れないので皇女のようすを見てきてもらえないか」という巴衛と奈々生がいくと皇女は病気だと会わせてもらえないが、皇女の部下、青竹がこっそり案内してくれた。小太の子を妊娠していると。沼の者達は父親が人間なことを危惧して生まれるまで自分を閉じこめておくつもりらしいと。妖力を使えば簡単に出られるけれどこの姿で産みたい。幸せだという。本当は小太とミカゲ社で式を挙げてから産みたかったけれど皆を説得できなかったので奈々生に先を越されてしまいそうだという皇女に、巴衛は「どうしてそんなものせねばならんのだ 面倒臭い」と。奈々生は予想通りだと思うけれど皇女は「結婚式は女にとって一生に一度の晴れ舞台だぞ」と怒る。奈々生がやりたいといったらとの皇女の言葉に「お前結婚式をしたいのか?」と直球で問う巴衛。「別にしなくてもいいよもともとそういうタイプじゃないし」と巴衛を気づかう奈々生を皇女は青竹に連れて行かせる。

(145話)皇女の衣装部屋に連れて行かれた奈々生は、召使い達に「あなた様は今の皇女にとってただ一つの星 世界一の星にしてさしあげます」と。

奈々生を待つあいだ、皇女は巴衛に小太の子を産むかわりに人間との関わりを断つよう迫られているという。だから小太とも連絡がとれないし人神である奈々生も入れてもらえないと。だからこそそなたらに式を挙げて欲しいと。人と妖の婚姻の魁となれが沼の者達の頭も少しは寛大になろうと。だが巴衛は妖と人の婚姻には反対だという。成就せんとは言わんがそれは俺の望む形ではない 俺にとっての恋の成就とは共に生きていくことだからなと。「わらわの恋は祝福されなかった 責められるのみじゃ だが奈々生は皆に認められ 皆に祝福される それがどんなに幸せなことか 狐殿にわかるか?」「わらわは奈々生に幸せになってほしい」と。

皇女が小太郎と結婚することを夢見て用意した婚礼衣装の数々を見せられる奈々生。白無垢で巴衛や皇女のもとに戻ってくる。

召使い達に祝福の花束をもらう奈々生「祝福されて心から笑うことができる花嫁は幸せじゃ」と。まだまだある花嫁衣装。結婚式など考えてなかったが「してもいいな」と巴衛。「幸せに笑うお前の顔を俺が見たい」と

約束の日が近づいて「奈々生ちゃんの未来には僕がいない」とミカゲ様にすがりつく瑞希。「そんなことはない 縁は巡ってくるものさ たとえ一時道が分かれてもそれで終わりというわけじゃない 時が来て再び交わる日が来るかもしれない 縁を信じてみるといい」と。

(146話)鞍馬は御山に帰ることになったとミカゲ社に報告にきた。

奈々生と巴衛はミカゲ社で結婚式を挙げることにした。今まで二人が関わってきた人達に招待状が届く。招待状をもらったあみちゃんは、「私は誰も知らない鞍馬君を知ってる。鞍馬君にとって特別な女の子 それだけでいい 押して引かれて振られたくない そう思って待ちに入っていたけど それだけじゃだめなんだよね」と思う。そこに人気アイドルKURAMAが芸能活動引退のテレビ報道が。そし鞍馬に誰もいない学校の教室に呼ばれていくと「俺 実家に帰ることになったんだ だから人間の鞍馬はしばらく休止 親父が早めに跡継ぎ候補を探すことになったんだと 四代目僧正坊の選定人の役を受けることにした 四代目が決まるまで公式の選定人として御山で働く」と。「選定には育成も入る これから生まれてくる小天狗まで候補に入れれば何年かかるかわからない だから君にちゃんと話しとこうと思ったんだ」と。「鞍馬君のこと待っててもいい?」というあみちゃんに誘惑に負けそうになりながら「だめだ」といって飛んで去る。「奈々生ちゃんは働き者のうさぎ!私はノロマな亀!だけどねのんびりで遅くても前には進む亀なの 私待つから!鞍馬君が帰ってくるの待つから!!」実は窓の下で聞いていた鞍馬は「だめだって言っただろ」

(147話)結婚式は明日。あみちゃんケイちゃんが手伝いに来る。出欠の返事を出さないものが多くていらいらする瑞希。そこへ鞍馬山のものも入れてくれと鞍馬がやってくる。巴衛に鞍馬が山に帰る話をあみから聞いたとふられ瑞希は「あもしかして彼女が好きで四代目の話蹴ってるの」と言われて「違う」という鞍馬に「深みにハマるのが怖い 引きかえせる距離を保ちたいとそんなところだろう」と他人のことはよくわかる巴衛。深みにハマってたら俺も狐みたいに何もかも捨てて人間界に生きる方を選んだだろうかと鞍馬は自問するが「俺は多分お前みたいにはできないな」と。大妖怪は、親友悪羅王がいるとはいえ基本一人狐だけど、鞍馬は天狗たちをしょって立つ立場だしね。
小太郎が隠れているのに気が付いて出てこいと呼びかける巴衛。「明日皇女ちゃんに会うべきか会わずに身を引くべきか 人を恋したあなたに教えて欲しいんです」と。それに対して「さっさと別れてしまえ むしろ離れるなら今しかない 川の妖は執念深く手強いぞ 特に身ごもっている女はな」と皇女から口止めされていることを口に出す。走り去る小太郎。「勝手に言ってよかったの」と瑞希「あの男は何かきっかけがないと動けない性分だからな」と巴衛。「だが一旦前に踏みだせば強い あとは自分で道を切り開いていくだろう」

ケイちゃんあみちゃんを夜霧車で送りながら、二人には虎徹くんと鬼切君が見えてない。二人に見えなくなっても我らのことを忘れないで下さいませ。鬼切も虎徹もずっとずっと奈々生様を見守っておりますゆえ。そこに護君も現れる。俺はお前の式神だ どこ行こうがついていってやるからな ただしこの姿はもう見納めだ ただの猿になっていまうけどよ と。

昏睡した瑞希は「僕 巴衛くんのこと好きだよ だから奈々生ちゃんをつれていってしまうのが君で良かった」と。

最後の夜を自分の部屋で過ごす奈々生のところにミカゲ様が来て「明日は奈々生さんの晴れ舞台 いなくなったお父様を呼ぶこともできます」「神なので人一人捜すことくらいは・・本来なら花嫁は両親と最後の夜を過ごすのでしょうが 彼なりに楽しく暮らしているようなので声をかけそびれました」と「それならよかった 父には父の大事なものがあるように 私には私の大事なものがあります 人生先は長いですから 父のことは大人になった私に任せます」と。この決心がこの漫画で一番好きなところ!そう親だって親の人生がある。娘だって娘の人生がある。結婚するからって和解しなくていいんだ。ミカゲ社のみんなは奈々生が自力でつくった家族だもの。
「ミカゲさんは巴衛の保護者だものだから今の私にとってはミカゲさんが義父さんです 瑞希のことどうかよろおしくお願いします」と。

(148話)そして卒業式、鞍馬は女の子達に囲まれている。そんななか「私だってあの子達に負けないくらい鞍馬君のこと好きなんだもの」と走って行くあみちゃん。ファンの群集で近寄れないけど「好き」と聞こえたあみをつかまえて「俺は君に何もしてやれない 待っててくれとは言えないんだ だけど一つだけ約束する いい女になっていい男をつかまえて だくさん恋をして そしてダメだったとしても 最後まで一人だったとしても その時は最後に俺がさらいに行く」と(って5年?10年後?20年後?)喜ぶあみちゃん。瑞希が迎えにくる。瑞希の作った道は参進の儀。皇女と召使い達が用意をする。何度も花嫁姿を見ている巴衛だが「やっと俺のものだ」と。次は龍王と妻、錦と蒼依と不知火まで見える。鞍馬山の小天狗たちや翠郎も二郎も。香夜子も亜子さんも。「時間が止まってしまえばいいって思う 離れがたいよ 今が一番幸せだったらどうしよう」と巴衛にいう奈々生。「もっとだお前はこれからもっともっと幸せになる 俺が幸せにする」と。

(最終話)静かな夜の空の下みんなに見守られながら厳かに粛々と結婚式が執り行われた。あみちゃんもケイちゃんも来てくれた。小太郎が来ているのに気が付いた奈々生は皇女を促す。「あの二人駆け落ちするかもしれんぞ」という巴衛に「そうなったとしても二人が決めたことなら応援する」と。夜も更けて大国主からの迎えが来る。皇女は小太郎と残る決心をしたようだ。瑞希は大人になったら飲んでとお酒を奈々生に差し出す。「素敵な大人になってね」と。護君は猿の姿でついてくる。

奈々美の見た夢は
奈々生は将来は保育園に8年勤め、子供ができて退職するけれどいつか実家で託児所をやる未来、実家で家業の神社を継ぐために、2年で自分が大きくした工務店を退職する御影さん(巴衛)は引き継ぎで部下をビシバシ鍛える。御影さんがいつも定時であがるのは学生結婚した結婚10年めの奥様と一緒にいたいから。まだ幼女の悪羅王とは電話で話す仲。
そして生まれた男の子ともと護君の猿を連れてミカゲ社に報告に来る巴衛と奈々生。

話が現実離れしていてほとんどネタバレだけになってしまったけど、この巴衛が人間になって奈々生と生きていく最後も大好き。

神様はじめました14-19


目次

2021年12月1日水曜日

スキップ・ビート!

「暁のヨナ」と「コレットは死ぬことにした」が読みたくて、花とゆめを2020年14・15号(7/5・7/20)から買ってきて、ついでに他の連載もなんとなく見てたのだけど、その中で、2021年9月まで一年以上読んでいても、全体像が見えないせいか、面白さが一番理解できなかったのがスキップビート。ACT283で蓮とキョーコの告白の終わりから読み始めて、そこから一年以上読んでいても面白さがまったくわからなかった。だって2021年11月末現在、連載は今ACT300でやっと蓮とキョーコが最後に一緒にでてきたけど、これって私が読み始めたACT283以来だから、一年半ぶりの再会。話の筋では数日かせいぜい数週間だと想うけど。

CMポイントをためてただで読めるサイトでなんとなく1巻から14巻あたりまで読んだところでツボにはまったので、改めて全巻デジタルで大人買いして450円×47巻=21150円

これだけ長い話だと、過去のストーリーがわからないと今ひとつ面白さがわからないし、連載だけを追ってると過去のストーリーや伏線はもう忘れてしまうこともあるだろうから、暁のヨナもそうだけど、連載での面白さと単行本で一気に読むと面白さを両立させるのは難しいのだろうな。無料サイトでACT.1から読んでいて面白いと思うようになったのは、ダークムーンの撮影が始まる10巻あたり。

あと、例えばキョーコが最初モー子さんから馬鹿にされていたのが、見直されて親友になるまでとか、蓮が佳月の演技に行き詰まってから解決するまでや、蓮がクオンの闇を制御できるようになるまでとか、キョーコと千織の関係とか、紅葉のオーディションとか、どれをとっても一つのことが解決するのに複数巻に渡る話の進行の遅さは、単行本で読むとそのほうが現実の人間関係らしくて、自然に感じる。蓮がキョーコちゃんへの気持ちを12巻で自覚してから告白するのなんて45巻だし。7巻ACT.38あたりで社さんは既に察しつつあるのに。

父親はいなく、母親にはなにやら事情があって好かれていないせいか、都の老舗旅館に小さい頃から預けられてきた最上キョーコが主人公。この旅館の一人息子の不破尚とは一緒に育った幼馴染で、キョーコは一途に純情を捧げてきたが、彼が家出同然に上京して歌手になるのに誘われて、高校を諦めてついて行き、同居して生活費を稼いた。その不破尚が華々しくデビューしてスターになったとたん疎遠になり、それでも尚に尽くすためにテレビ局にお弁当を届けに行ったある日、自分が単なる家政婦代わりに上京させられたことを知り、あっさりと別れを告げられる。

不破尚に復讐するため芸能界入りしたキョーコが、演技の面白さに気付き成長していく物語で、少女漫画王道のシンデレラストーリー。そのキョーコが、最初嫌われていたけれど後に役者として尊敬するようになり、そして恋心を抱く敦賀蓮は、超ハンサムでスター俳優で人生勝ち組で完璧な男性だけど、闇な過去を持っている。

かつて日本でスター俳優だった蓮の父は日米ハーフのハリウッドアクションスター、クー・ヒズリ、母はアメリカショービジネス界のサラブレッド家庭から来たモデル兼役者ジュリアナというのも蓮にとっては重圧で、かつアメリカの演劇界でのトラブルから同じくサラブレッド家庭の出身であるスター、プリンスことセドリックDベネットの一派から演劇界を追い出されて、ぐれて暴力に訴える。かっとなると意識が乗っ取られ止まらず、その結果、止めに入った庇護者であったリックという男性を死に追いやり、その場にいたリックの婚約者からはあんたが死ねば良かったとなじられるという暗い過去を持つ。そのような過去に押しつぶされて抜け殻になった15歳のとき、LMEの社長に連れられて両親の家を出て、日本で全く別人として両親の影響のないところでスターになり、アメリカ芸能界に戻ることを目指している。京子とであったときは20で、日本を代表するスターではあるが、まだ暗部のある役や濃い恋愛ドラマをこなしたことはない。

敦賀蓮は、自分でも、年齢より老けて見えるとはいっているものの、年齢設定が上でも良かったかも。二十歳には見えない。

あと実は恋愛初心者で、自分が嫉妬していることもなかなか理解できない恋愛音痴なのは少女漫画の王道。

絶妙なギャグのセンスは、最高。人前で読んでいて笑いを堪えるのに苦労する。時々泣けるシリアスな部分があって、このバランスが絶妙だと思う。コミックで読んでいると、テンポ良くかつ詳しく話が錬られていて何度も読んで楽しめる。ただ47巻まで読んで連載に追いついてしまって、雑誌で読むと展開が遅く感じられてちょっとイライラじりじり。

まだまだ重要な点が未解決だし、最終回迎えるまで私生きているかなあ・・・
蓮の最終目的は因縁のセドリックDベネットとたぶんこれから始まるRouteプロジェクトで対決して勝って、ACT.111で言っているように日本の俳優「敦賀蓮」としてアメリカに帰って成功するといっていたから、アメリカで華々しくデビューして勝利者の父デュリス・エルトラに育成されて成功して、 クオンの姿に戻って両親と再会。大切な人リックを死に追いやった過去も消化して、もと婚約者のティナとも再会し、止まったままの腕時計を外せるようになる。

ただアメリカでの仕事が増えると少なくとも親しい人には久遠であることを完全に隠すのは難しいのでは。なにしろ出入国の度に久遠の姿に戻ってはまた敦賀蓮に戻るわけだから。

京子ちゃんは、まずは「BOX"R"」のナツや「泥中の蓮」の紅葉がヒットして、日本でも主役を張れる女優となって、レナード・ヘルベルト監督には既に気に入られているようなのでアメリカデビューもして、ひょっとしたら蓮や琴南さんとも共演して、更にデュリス・エルトラも京子ちゃんに興味を持っていたようなので、京子ちゃんも勝利者の父のもとでいずれ世界に通用する女優になるのかな。自信を持ってキラキラと輝く京子が早く見たい。天宮さんが27巻ACT.163で勝利者の父Mr.Dに心の中でキョーコちゃんのことを「あなたが探している不死鳥を私見つけてしまったのかもしれません」と語りかける意味深な場面もあるし。でキョーコちゃんはそうなって初めて蓮の恋人となれるのかなあ。それはキョーコちゃんのストレスが溜まりそう。

あと一番肝心の、蓮が久遠ヒズリすなわちクーの息子であること、10年前にキョーコちゃんと会った運命のコーンであることをどこで話すのだろうか。35巻ACT211でキョーコちゃんと別れるときに「また逢おう」といっていたし、「今度この子に会うときは俺はまだ妖精コーンを演じていられるだろうか。情況がもしもそれを許さなかったとしたらその時はすべてを話そう」と心の中で行っていたから、いずれ再会して告白するのだろうと想うけど。更に二人が10年前に既に出会っていて、お互いに大切な存在だったことを、社さんとかクーさん(クーさんが仕事で京都にいくのについて行ったわけだから)とか社長さんとかはいつ知るのだろう。

そういえばACT. 301(2021年12月20日)現在、社長さんは二人の関係を知っているのかどうか、多分エンジェルラダーとか見て察してるとは思うけど、尚とキョーコちゃんのキス写真とかわざと見せて嫉妬心をあおって告らせる下地をつくったし、香凪さんとのスキャンダルがすっぱ抜かれたときに、キョーコちゃんに壮絶に逃げられた原因がわからずに呆然としている敦賀さんに、解説してあげて危機感を煽ってるし。しかし敦賀さんキョーコちゃんがどう思うか考えが至らないなんて鈍い。キョーコちゃんが尚とキスしたのは本気じゃないとは内心思っているのに酷い言葉で責めたのに、自分と香凪さんとのキスが問題だとすぐ気が付かないとは。まあACT. 301ではその後はキョーコちゃんの気持ちを気遣えるようになったようだけど。

あと今サラとしてディジョウェイランドでキョーコちゃんと出会ったのが蓮のお母さんジュリエナであることもどこで知らせるのかな。あ、その前に約束通りサラとアメリカのディジョウェイランドの仮面舞踏会にキョーコちゃんいくのかな。クーにもいつでも遊びにおいでといわれたわけだから再会するだろうけど、それは蓮が息子の久遠であることを知る前?後?キョーコちゃん紅葉でアクションの才能もあるようだから、ハリウッドアクションスターのクーと共演するのも見てみたい。久遠もお父さんも妬けるほど身が軽いそうだからアクションスター敦賀蓮との共演もいいけど。

高園寺絵梨花が歩けないのは精神的なものだということだけど、それで終わりではないだろうから、どこかでまた高園寺絵梨花とは絡むのかな。悪態をつきながらもキョーコちゃんの演技は認めているから、それほど悪い関係にはならないと想う。高園寺絵梨花が歩けるようになるのに力を貸して、未だ不倶戴天の敵、琴南奏恵との共演を実現させるとか。

あと女優は隠退させられたものの、森住仁子がセドリックDベネットを諦めるとは思えないので、アメリカに行ったあたりでまた邪魔をしに出てくるのかな。今度は敦賀蓮が絡んでもっとやっかいなことになったりして。

そういえば坊の中身がキョーコちゃんであることは、どこかで蓮に告白するかバレるのかな。このままキョーコちゃんの女優としての仕事が忙しくなっていって誰かに交代して、フェードアウトでもいいかと思うけど、キョーコちゃんと蓮さんが上手くいけば、キョーコちゃんが後ろめたくて黙っていられないかも。

全く謎の人であるキョーコちゃんのお父さんはでてくるのだろうか。別に出てこなくてもいいし、許さないで欲しい。

カインヒールが敦賀蓮であることはいつ公開されるのだろうか、ワクワク。村雨さんはクーの大ファンで、クーの影響で族長から役者を志すようになったくらいだけど、カインヒールの敦賀蓮がクーの息子であることは公開されるのだろうか。キョーコちゃんはここでは単なるカインヒールのお世話係だけど、正体は公開されるのだろうか。でもその時にあのキスマークのことを追求されたりして・・

気になるのは蓮が父との思い出を社さんと話していたときに空の遊びといっていたこと。これってスカイダイビング?飛行機操縦?どこかででてくるのかな。ちょっと危険な予感が。

そして蓮とキョーコが最終的に公認の恋人となるのはいつ?全体の方向性として絶対ハッピーエンドとは想うけど。その時には久遠になってるのかな。アメリカ進出したらお父さんが保津周平を捨ててクー・ヒズリになったように敦賀蓮は久遠・ヒズリになって完全にいなくなるのだろうか。それはちょっと寂しい。でも敦賀さん、出入国が増えてそのたびに髪を染め直していると、髪も頭皮も傷むし、カラーコンタクトを朝から晩まで入れてると目に負担がかかると思うよ。

と、つらつらと並べていくとあと10巻くらいすなわち5年くらい、いや解決しなくてはいけない問題はいろいろあるからひょっとして10年くらい続いたりして。登場人物も増えたし途中でファンブック2も作って欲しい。

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小説 スキップ・ビート! キョーコの全力フルコース!
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