2022年3月25日金曜日

スキップ・ビート!19

2008年7月17日発売

(ACT.109 そして、動き出したもの)
「おまえの役作りは成功している」とクーに評価されたのに浮かない顔のキョーコ。

一方クーは、蓮が会わせてくれといってきたと社長から聞いて、その夜11時に社長の自宅にいくことになった。社長は昨夜キョーコが15.6歳のアメリカ人の男の子が着ていそうな服をLMEの事務所に借りに来た時からこういうことになるんじゃ無いかと思ってたという。クーと蓮がはち合わせするのも予想済みだったらしい。ただし声に全く抑揚がなかったから予想以上の怒りぶりとみていいと。当初の予定では、クーがイヤミな男を演じてキョーコが蓮に助けを求めるようにするという線が失敗したのは、クーがそこにダイヤモンドの原石(役者としてのキョーコ)があって磨いてみたくなったからだという。あの娘は『ほんの一握り』と言われる役者になれるはずの人間だ、ある欠点さえ克服すればというクーに社長も同意する。

「その欠点を克服するにはひたすら芝居に出ることだ」とクーに言われてまだ浮かない顔のキョーコ。「お前はちゃんと役作りのコツを知っている。本物の役者になるためにお前に一番必要なのは”芝居の中で生きる喜び”を知る事だ」「その楽しさがわかるようになれば、お前の『好きな役しか受けつけなくて嫌いな役にはフタをする極度の役者偏食症候群』も治るはずだ。」「治せなきゃ大根(役者)にすらなれない」背景の萎れた大根と想像したキョーコの顔が最高。「恐らくお前は芝居の本当の面白さにまだ触れていないだけだ。一度触れたら病みつきになるぞ。楽しくて芝居が終わる頃には喪失感で”淋しい”と思うほど。」

クーの言葉を思い出してかみしめるキョーコは、まだ久遠少年で居てみたいと思った。
本物の久遠がすぐそばにいるのに。

一方社長の家で蓮を待つクーは、5年ぶりの再会に落ち着かない。昼間会って自己紹介やダークムーンの話をしてしまったからこそ余計に落ち着かない。そして時刻通りに無表情で入ってきた蓮。

(ACT.110 故に解き、放たれるもの)
「昼間のことで話があって来ました」と蓮。
この冒頭の部分どこまでが社長さんの妄想コマなのかよくわからないけど、「あなた俺の芸能生命を絶たせたいんですか。迷惑ですね。おとなしく映画の宣伝だけしてさっさと帰って下さいよ。」は全部社長さんの妄想だよね。続いた言葉がクーの「あの娘に『クオン』を演らせていた事か?」だから。
「彼女が演じていたのはまだ無邪気で純粋な部分を持っていた頃のあなたの息子だ。あなたは心から『クオン』を愛していたから、日本に居る間彼女に息子を演じてくれと頼んだ。世間を斜めに見下ろして荒れて荒(すさ)んで可愛くなくなった息子より、当時のまだ可愛かった頃の息子を望む気持ちはわかります。」クーの顔色が変わる。「過去形で話すのはやめてくれないか。今でも息子を心から愛している。たとえ他人から見れば世間を斜めに見下ろして荒れて荒んで可愛くなくなっていたとしても、わたしにとっては他の誰にも代わりなどできないたった一人の可愛い息子なんだ!」
聞いていた社長は「気持ちの悪い会話だなあまるでこの場にクオン本人は居合わせていないかのように」
「この容姿の彼はあくまで『敦賀蓮』という人物だからどんなときでも他人として振る舞う事を忘れるなと社長が戒律作ったクセに」とクー
「ここは外部に情報がもれることがない。普通に親子の会話すりゃいいだろ」と社長に言われて固まる蓮とクー。ふっと顔が緩んで「無理はしなくていい」とクー。

突然胃袋ブラックホールが起動して食事を始めたクーは「アレは彼女に演技の特訓として演らせていただけだ。新しい仕事の役作りにつまずいて困り果ててたから」「自分の好きな役どころでなければ興味が持てないし役に入り込むこともできない」と。
「ひとたび役には入れたら勝手に『役』が走り出す怖いタイプの役者だろうから(ほんの一握りの素晴らしい役者になれる)。お前と同じだ」と蓮に言うクー。

「あの娘のクオンを目の前で見て驚かなかったか?自分と似てるって」とクーに言われて、「まだ可愛かった頃のな」とつっこむ社長さん。「どう考えてもあなたが彼女に『クオン』の詳細を話してるとしか思えなかった」(だから焦ったのね)「お前が役者として将来的に成功したと言えるためにはまずわたしの生まれ育ったこの国でわたしと並ぶ役者にならなければならないはずだ。決してわたしの息子だという副産物が動力源にならない条件下でな。」とクー。「そのためにはお前とわたしの関係は誰にも知られてはならないはずだ。」まあ今はキョーコちゃん恋人でも何でも無いからしょうがないけど、両思いになった2022年にはそろそろうち明けてもいいのではないだろうか。蓮は日本で保津周平と並ぶ役者に既になれたし。)

キョーコに何を話したか親馬鹿の数々を並べるクーさん。「あの子はいきなり本物と違和感の無いクオンを作ってきたんだ。おまけにTV局でのやりとりに至っては完全にあの子のアドリブだ。お前と遭遇するなんて想定してるはずがないからな。」「恐らくあの子『クオン』は役柄的に『好き』なんだろうな。だから役作りが完璧だったんだ」蓮の顔をじ~と見つめてにたっと笑う社長さん。

社長さんも意地が悪い。でも久遠の役作りが完璧なのは、キョーコちゃんの心の中でコーンの一挙一動が鮮明に残っているからで、コーンが心の支えなのは蓮も知ってるけど、久遠の役作りでコーンを連想しているのは、誰も知らないはず。コーンバレしたら是非蓮に言ってあげて欲しい。

母親はどうしているのかと話を強引にそらす蓮。とつぜんクーは真顔になって今回日本に帰ってきたのは蓮に母親ジュリエナのことで頼みがあるという。一度でいい、5分でいいから私達の息子の姿に戻って欲しいという。あと三ヶ月しか生きられないとジュリエナに告白されたという。

(ACT.111 褪せない想い)
ジュリエナの口癖は余命一週間だったり一日だったり三分だったりなのだが、今回はいうことがあまりにも現実的で一瞬本当かと焦る蓮だが、それだけ彼女の気持ちは限界に来てると言うことだという。自分が仕事で家を空けてるその隙に最愛の息子がいきなり消えて居なくなったのだから。

せめてジュリが帰るまで待ってくれと言ったのに社長が風のようにお前を連れ去ったからだと慰めるクー。「今にも壊れてしまいそうな息子が目の前に居るというのに自分達ではどうしてやる事もできないと鳴いて助けを求めて来たのはどこのどいつだ」と切れる社長。やりとりを見て蓮の心も和らぐ。「今にもしぼんで消えそうな瀕死の顔をしたお前しか最後に記憶してないジュリとしてはお前が今ちゃんと本当に生きて無事で居るのか手紙や写真じゃなく動いて喋るお前を見て安心したいと。もちろんそれは『敦賀蓮』ではなく『クオン』の姿で。「こんな志半ばで『クオン』の姿にもどるのは『負け』を認めるみたいで気が進まないだろうから断ってくれてもいいんだぞ。」との言葉に社長にいったことを思い出す蓮「オレはこの姿をつらぬき通します。日本の俳優『敦賀蓮』として自力で母国に還って成功するまで。それまではたとえ両親の前でも『クオン』の姿にはもどらない!」

でも数分なら戻ってもいいと。「正直お前は意思が強いから断られる可能性の方が高いと覚悟していたのだが」というクーに「社長に連れられて家を出た時はとにかく気持ちに余裕がなくて後に残される両親の気持ちを考える事ができなかった・・・でも今は俺のメッセージ一つであのひとが安心できるなら喜んで」

ということでビデオレターを翌夕撮ることになった。蓮が日本人じゃないってことは専用美容師Jellyも知ってるけれど、クーとの関係は教えてない。「世の中どんな神の悪戯があって、お前達親子の関係が他人に知れるかわからない」というのがお前の言葉だろ。それに、ジュリはビデオで我慢するのにお前だけ生クオン100%に会うのは不公平だろ。との社長の言葉。
生クオン100%・・・本生クオンって・・・。でも少なくともアメリカに行くのは2022年現在もうすぐ。アメリカで成功するところまでが目標だと、う~~~ん。
柿ピー食べるクー、かわいい。クーと蓮は似てるけど、蓮がコメディやってる姿は想像がつかないけど、クーならいけそう。やっぱクーとキョーコちゃんにコンビを組んでもらって、アクションつきのコメディを演って欲しい。

翌日キョーコは、ダークムーン撮影現場で、昨日久遠の演技中にTV局で蓮に会って、先輩になまいきな口をきいたことを説明するために腹切りの覚悟で待っていた。昨日会ったときに失礼なこと言ったり呼び捨てにしたりしたお詫びをというキョーコに、「呼び捨てってどんな風に呼んだっけ」こ、この蓮様の顔、夜の帝王も少し入って色っぽい。(隣で「お前は純粋に芝居抜きで呼ばせてみたかったんだろうが」と心の中で突っ込みを入れる社さん)

クーの息子を演じてた話を蓮と社さんに説明する。「それで収穫はあった?彼の息子を演じてみて」「『クオン』の気持ちをつかんでたよな。(絶対的な信頼と憧れと敬愛を強く宿した瞳。まるで自分を見ている様だった。ヒーローごっこなんてしなかった。幼い頃から父が俺のヒーローだった)」と。高テンションでクー自慢を始めるキョーコに嬉しそうな蓮。しかし自分を演じてるキョーコちゃんを蓮が目の前で見て自分を見つめ直すというこの設定をつくりだした作者さん神。

(ACT.112 父子記念日)
一刻も早くビデオレターをジュリに持って帰ろうと、予定を繰り上げてクーが明日帰国するという。あと4日あると思って演技指導をお願いしようとしていたキョーコはショック。賄賂のつもりでつくっていたケーキをご機嫌で食べながら、「お前いいお母さんになるぞ」と思わずいってしまって(じゃあユニークな味の料理をつくるジュリさんは・・・)キョーコの地雷を踏むクー。「いいお母さんって何ですかね。とりあえず子供にご飯とおやつやっとけばなれるんですかね。」「そりゃ一番大事なのは愛情だが」というと更にどんより沈むキョーコ。「一番大事なのがそんなモノなら無理です。私には愛せる自信がありません」「食事なんて『世間体』だけで作れますから」と。

キョーコちゃんの子供がいらない理由、共感してしまう。でもクーさんもクオンへの愛情の向け方が失敗した分、孫を愛してくれるよ。

突然「先生の奥様はお料理なさるんですか?」と少し浮上するキョーコ。「忙しいわりにはよく作ってくれる。が、味つけがとても斬新で神秘的なせいかどうも万人受けは良くないんだよなぁ」「妻は家族で食事というのをとても大切にする女性でね。嫌がるクオンの口に息がつまる程ノルマの料理をつめ込んでたよ」食べることは好きだけど、胃腸が弱くて一度にたくさん食べられない私には拷問に思える。たまに旅行先で食べ物の量で勝負という歓迎のされ方をすると本当に辛い。

「思えば食事というと目に涙を一杯ためていた。あの子とても幸せな子供の顔をしていたとは思えない」と闇に落ちた顔のクーさんに慌てるキョーコ。「あの頃から徐々に成長と共にあの子の顔から笑顔が消えていった。わたしが米国で役者として頑張れば頑張るほどあの子に辛い思いをさせてしまっていた。わたしも妻も仕事で忙しくてずっとそれに気づいてやれなかった。あの子が身動きできなくなってしまうまで」「わたしも妻もあの子を心から愛してるし幸せにしてやれていると信じていた。しかしあの子にとってはそうじゃなかったかもしれない(わたしの息子じゃなかったらあの子はもっと幸せだったんじゃないだろうかそう何度も思い続けてきた)」

クーはアメリカ芸能界でどのように地位を築いてきたのだろう。ジュリエナは芸能一家の出だと思うけど、出会いや結婚は周囲にどのように受け取られたのだろうか。セドリックと久遠は従兄弟同士と読めるけど、なぜ仲が悪いのだろうか。二人ともデュリスの孫だと思うけど、なぜ久遠は「勝利者の父」であるおじいさんの保護を受けられなかったのだろう。

どんよりしたクーさんを見て、キョーコは蓮に「幸せだったに決まってるじゃないですか。たった数時間先生の息子だった私が幸せだったんですよ。私気持ちだけはぴったり久遠少年とシンクロしてたって自負できます。だって役の気持ちや言動を瞬時に計算してしまう敦賀さんに言われたんですもの。『久遠の気持ちをつかんでたよな』って。今日の敦賀さんは真剣でしたよ。」と聞いて嬉しそうなクー。
だって久遠本人に、自分はクーの息子で幸せだったと言われたことになるものね。

最後の夜なのでクーも一緒に料理をする。「今までお父さんが欲しいなんて思った事一度も無かったんですけど、先生みたいなお父さんなら欲しかった。」と。「私には親子の縁を切った覚えは無いのだが。お前はもうわたしを父さんとは呼んでくれないのか。」その後あれこれお説教するクー。
そう、親は選べないけど、自分の家族はつくるもの。早くお義父さんになってもらえるといいね。

(ACT.113 5年目の深層)
進むことも戻ることも選べずに身動きできなくなっていた自分を暗い闇の底から連れ出してくれたのは社長だった。お前の素性は一切伏せて、父親の生まれ育った国で父親を超える俳優になってみろ。無名のお前が未知を切り拓きどこまで上りつめられるか。そして役者として再び母国に地を踏むことができるかどうか、それはお前の実力次第。俺は一切仕事に関しては助けてやらん。

残される両親の気落ちを考える余裕は無かった。人間として役者として生命の再生をかけた新天地に慣れることに。日本人として溶け込むことに。そして仕事に。とにかく必死で敦賀蓮として生きることにこだわるあまり気がつけば両親と連絡を絶ったまま2年の月日が過ぎていた。
ってデビュー後も連絡を取ってないから結局5年会ってないんだよね。このセリフちょっとわかりにくいと思う。15歳から2年間完璧な日本人になる準備をして、17歳でデビューして今20歳なんだと思うけど、ちょっと説明が必要では。

本来の金髪碧眼になった蓮のアップの見開き、美しい!!

ビデオレターで息子のために両親からコンタクトが無いことを、失望され見限られたのかもと誤解していたことを詫びて、感謝する。

空港へ見送りに来た蓮を見て驚くキョーコ。社長命令でDARK MOONを代表してこいといわれたとウソの説明をする。お見送りの群集に「私にはお話しするチャンスもないかもしれない」というキョーコに、「君が呼びかければ必ず気付いてくれると思うよ?この間みたいに『父さん』って」と蓮。」(「自分が子供の頃のように父さんと呼んでしまうとこれまで張りつめてきたものが切れてしまいそうで俺にはまだ昔みたいに呼べないけれど、必ず自分の実力で二人の元へ帰るから」とビデオレターで呼びかけたことを心の中で思う。)
これだけ慕われているのになぜ頻繁に里帰りしないの?やっぱり蓮と顔を合わせないように?
勇気をだして「とーさん」と呼ぶキョーコ。「来てくれたんだなクオン」
ダブルクオン。意図したわけではないけど後ろに居る蓮(ほんものの久遠)にも呼びかけたことになるよね。この場面も好き。

(ACT.114 久遠の誓い)
クオンのビデオレターを何度も見ては涙ぐむジュリエナ。クーはキョーコちゃんを思い出し、あの娘、本当にクオンとは気持ちがシンクロしてるんだなあと思いながらジュリエナにキョーコの話をする。空港で、「とうさん」と呼びかけるキョーコに、お見送りの人々はクーに「クオン」という奥さん似の可愛い息子がいたことを思い出す人もいた。あの子今絶対美人にそだってるわよねという声もある。敦賀蓮は世間の評価はどちらかというと男前だけど。

「オレ、やってみるから『イジメ』やく ホントはキライだよ。でもにげないってきめたんだ。コレはオレがホンモノのヤクシャになるためのシレンだとおもうから」後ろに居る蓮は驚く。「ゼンリョクでたたかう!じぶんのかのうせいをしんじて!!」ここなんで全部ひらかなとカタカナなんだろうと思ったけど、漢字を覚えようとしなかった10歳の久遠になりきってるんだよね。「それでこそわたしの子だ」と親指を立てるクー、喜んで親指を立てるキョーコの後ろで複雑そうに微笑む蓮。クーの視線に気付くと無言で礼をした。

その時のクーは蓮の複雑そうな微笑みの意味がわからなかったが、今になって気が付いた。キョーコの言ったことが久遠の気持ちそのものなのだろうね。
この19巻の設定がスキビで一番好き。空港でのクーさんとの別れで、蓮が言いたかったことを久遠を演じるキョーコが喋って、クーさんの励ましが蓮にちゃんと伝わって、伝わっていることがクーさんにもわかった。このシチュエーション考えた作者さん神様。

キョーコにはいつでも好きなところに遊びにおいでといってあるからきっと会えるよと、ジュリに言うクー

蓮は社長に冷酷な殺人犯を演る事になったと、キョーコはモー子さんにイジメ役をやることになったという自分の決意を表明する。

「ヒトを傷つけるなんてできれば一生演りたくない役で悩みましたけどもう逃げないと。」「まあいいかそれだけお前が強くなったって事なんだ」と社長。

恋愛に重きをおいた役はDARK MOONが初めてで、ヒトを傷つける役はこれからやるのが初めてということは、蓮の役柄は今までそれほど広くなかったんだ。まあ17歳でデビューしてまだ3年目だけど。

クーはキョーコちゃんに親切に演技のアドバイスもしてくれたし、キョーコちゃんが見たこともない父ができたような気分でクーを慕うのはわかるのだけど、クーはなぜ最初あれだけイヤミたらたら言ったのか疑問を感じないのだろうか。


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