2022年2月14日月曜日

スキップ・ビート!13

2006年6月19日発売
(ACT.73 ダークムーン)
「(百瀬さんは)必ず俺が演技させます」との蓮の言葉に、何度もリテイク出してた人にそんな事言われてプライドが傷ついて反発する百瀬逸美ちゃんは「演る」という。キョーコはわくわくして見守る。

そりゃあ百瀬さんに対して失礼だよね。反発も計算済みの敦賀さんだけど。

カップを落として手を切った美月(百瀬)の手をとって口元にもっていき、夜の帝王になる敦賀さんの嘉月。演技させられるものならさせてみろと思っていたのに、動揺して悲鳴を上げる百瀬さん。そして吹き出す嘉月(敦賀さん)を見て昨日のパターンだとキョーコは思う。「本気で舐められると思った?まさかやるわけないだろう。好きでもない娘に」と冷たく鋭利な目で嘉月(敦賀さん)に見られて心が凍る百瀬さんの美月。『僕から逃げてくれ。どうか僕になんか捕まらないでくれ』という心の叫びが聞こえる様で、見ていた社長さんも監督もキョーコも呆然とする。

それは敦賀さんのキョーコに対する複雑な恋心。

(ACT.74 ドラマ・トリック)
温和な敦賀さんが、あんなダークな表情を見せて驚く緒方監督とスタッフ。ローリィも何か思うところがあるようだ。キョーコは敦賀さんの怒りをなんどかかって睨まれたことがあるけど、あんな刺々しく相手を突き放す様な敦賀さんを初めて見たと思う。好きな男性にあんなセリフをあんな表情で言われたら、美月は傷ついて何も言えなくなってしまうと。百瀬さんは、これでは嘉月の言動に何も言えなくされてるみたいじゃないと動揺して、後ろを向く。しかし観客は立ち上がった嘉月(敦賀さん)の切ない表情から、わざと美月を傷つけて自分との距離を作らせようとしたことが伝わる。

後ろを向いている美月(百瀬さん)には様子がわからないが、突然嘉月(敦賀さん)が「ひょっとして今のもスゴイ真剣に受け取ってる?」と冗談にすり替える。そこでセリフをいうのはしゃくに障る百瀬さんの美月は、再び後ろを向いてピアノの脇で沈黙する。

それ、すべて計算済み。

セリフを言わずに、大丈夫という意思表示をするためにピアノを弾く美月(百瀬さんほんとうは上手く弾けるはずの美月がぎこちなく弾く姿は切なく聞こえる。まるで「冗談だった」といわれてもまだ笑って嘉月に向き合えない複雑な気持ちを乗せるみたいに。嘉月(敦賀さん)が無言なので、美月(百瀬さん)が思わず様子をうかがうと、嘉月(敦賀さん)は神々スマイルを浮かべて美月を見つめているので、赤面して崩れ落ちる。見ていた社さんは、ああなった蓮に真っ向から見つめられて平常心でいられる女の子がそうそういる訳がない。さては百瀬さんをキョーコちゃんにおきかえて演ってるなと思う。キョーコちゃんも神々スマイルの流れ弾を受ける。私にも時々見せてくれるけど、なぜここで美月にと思うキョーコちゃん。それは愛しい人だから!!!キョーコちゃん気付いて!

(ACT.75 クライマックス・コンチェルト)
敦賀さんの神々スマイルをみて、私にも時々見せてくれるあの笑顔をここで美月に見せるということは、私は思っているほど敦賀さんに嫌われてるんじゃないかもと思うキョーコ。
というか、代マネの看病はともかく、夕食をつくりにいったりダークムーンごっこをしていたりするのに、まだ嫌われてると思うとは、余程最初の頃の印象が悪すぎるのか・・・
嘉月(敦賀さん)に「何か弾いてみたら」といわれる美月(百瀬さん)だが、実は猫踏んじゃったしか弾けないので躊躇っていると「大丈夫だよ。家の人に見つかったら僕が頼んで弾いてもらってるっていうから」。そこで、美月はピアノは大好きだけどこの家のピアノを自由に使う立場に無いことを思い出して、弾かなくて良かったと思う百瀬さん。更に一緒に弾こうかとやってきた嘉月(敦賀さん)に、「月籠り」で保津周平が実際に弾いていたからと、敦賀さんが習っているというショパンの「幻想即興曲」を弾くの?と焦る百瀬さん。が、弾き始めたのは、音を外しまくりで音階も低い「猫踏んじゃった」。ピアニスト感満載の敦賀さんと、「猫踏んじゃった」のシンボルの不細工猫の対比が好き!

美月(百瀬さん)を誘い連弾をすると、嘉月(敦賀さん)の外れる音が減ってくる。そして美月の音にぴったり合ってきた。百瀬さんは蓮が自分の手の運びを覚えていってるのに気が付く。そして「明日から昼休みの第二音楽室のピアノ貸し切りかけて、勝負しよう。僕を捕まえられたら昼休みはピアノ使い放題決まり」と言って、嘉月(敦賀さん)は突然速く弾き始める。その無邪気な子供のような敦賀さんの顔を見て、美月(百瀬さん)は嬉々として追いかけ、追いつき、嘉月はまた逃げ、音楽で二人で遊ぶ。ふとキョーコが見ると所長さんも笑っている。社長さんの中でオリジナルを超えているのがわかる。最後は猫も不細工じゃなくなって精悍だけどけっこういたずらっぽい表情。

(ACT.76 ラブ・ファントム)
「先生 どうして『猫踏んじゃった』なんて弾いたんですか。」「君をイメージした曲だから」とじゃれあう二人、嘉月がうっかり壊れたカップを踏んだので、新しいお茶を替えに行く場面まで無事到達。美月が退室した後、嘉月は美月を突き放そうとしたけれど、今以上に自分から離れてしまわなかったことに喜びがこぼれ、破顔する。

社長さんの意見は「悪かねーな、お前にしちゃ。まずまずの及第点なんじゃねーの」
あれだけ百面相する程のめり込んどいてそんな言いぐさ!!?とキョーコ。

「今はお前も『嘉月』のすべてをちゃんと理解できる様になったみたいだからな。頭じゃなくココ(心)で」「演技見ただけでバレてるのか」と内心思う社さん。「敦賀さんに好きな子がいること・・・」とキョーコも内心思う。自分だとは思ってない。

百瀬さんにわざと挑発する言葉を聞かせたことは「役者として誇りも実力もある百瀬さんが相手だから言えたことなんだよ。最初からうまく演れる自信があった。百瀬さんとなら。」という蓮の言葉を聞いて赤くなる百瀬さん。

敦賀さんにそういってもらえる百瀬さんをうらやましいと思って、一人落ち込むキョーコ。蓮が「最上さんどうした?」と話しかけるとキョーコは思わず一歩下がる。あんな風に敦賀さんに言ってもらえる役者に私はいつなれるのかな、でも昨夜の夜の帝王を思い出して、相手役は演りたくないと思いにふける。もう二度と誰にもドキドキしないって決めたのに。

しかし・・・なぜにラブ・ファントム?確かに敦賀さんとキョーコの組み合わせは、漫画のラブ・ファントムに似て無くも無いけど。それともオペラ座の怪人の意味?B'zの曲?とか思ったら、解説が途中であった。ファントムは戦闘機ファントムの意味もあって、敦賀さんもイメージしていると。共演者キラー、ロックオンした相手は落とすまで逃がさない・・・等々・・・そのわりにヘタレだけど。
ここで、蓮はキョーコを思い浮かべて演技していたといつか明かされることがあるのだろうか。

(ACT.77 アクセス・ブルー)
百瀬さんが、敦賀さんの夜の帝王と神々スマイルに動揺していたことを思い出して、昨夜の夜の帝王敦賀さんに自分がドキドキしたって不思議じゃないんだと思うキョーコ。あれは間違っても『恋』の前兆なんてことはないんだ。と。「まだ大丈夫。私は『恋』なんてしていない」

Hummer Limousineの中で話す蓮と社長。緒方監督は先ほどの社長に見てもらうためだけにつくったアドリブの場面を実際に映画に使うという。「今日の敦賀君はまるで嘉月そのものだったから」「今日敦賀君はこれまでの『敦賀蓮』のイメージからはとても想像できない表情をいろいろ見せてくれました。僕はその衝撃を視聴者にも味わってもらいたい」と言っていたと。
「今回お前が捨て身で嘉月を演ってるのがわかった。日本に来るときお前が自分で封印したはずの昔の『自分』を出したときに。」
役者としてはもう何年かやってきているはずだけど、闇を抱えた役とか惹かれてはいけない人に惹かれる複雑な恋をする役ってやったことなかったのね。
下を向いて沈黙する蓮に「むしろ俺はいい傾向だと思ってるんだ。お前が演技中に昔の自分を出したって事は少しは自分をやってもいいって気持ちになりつつあるって事だろう」と社長。「お前にはどうしても封印してきた昔のお前が必要なんだからな」と。

キョーコは社長さんに呼ばれていって戻ってこない敦賀さんに、お昼の場所を知らせに来るが、車の中で社長さんと話している蓮が辛そうにしているのに気が付く。出直した方がいいのかうろうろしているキョーコを見た社長さんが、あれ最上君じゃないか。もしかしてお前のこと待ってんじゃ・・・といいかけて蓮の表情を見てすべてを悟って愕然とする社長さん。「そんな顔見りゃ誰でもわかるわ!さっきのテストで美月に誰重ねてたか丸わかりじゃねーか」。先ほど一歩引かれて軽くショックだったのでついうれしさが顔に出てしまったようだ。

「かえってあのくらい手強い方が助かるってもんか。そうそう簡単に手に入るような娘じゃ困るんだろう?お前まだ自分には幸せになる資格が無いとか思ってんだから」

後ほどキョーコの母、冴菜さんと社長さんが話し合った(37巻ACT.222, 38巻ACT.225)のもこのリムジンかと思うけど、応接室がわりにもする豪華車が中にいる人の表情までわかるのかというところを突っ込みたい。でもWebでいろいろリムジンを見たところでは中が明るければある程度は見えるのかも。

蓮が外でキョーコと話す姿を見て、「蓮に『嘉月』は演れないと思っていた。嘉月の生き方はキツくなってもおかしくない程わかりすぎるヤツで恋愛面はからっきし分からん奴だと思ってたから。しかしその恋愛面もクリアした。あいつ完璧に嘉月を地でやってるぞ?周平お前本当に負けそうだぜ」とつぶやく社長さん。

社長さんいい勘をしている。蓮のこともよくわかっている。ところで連載だとずいぶん時間がたってしまっているけど、読者は「周平」って誰だか覚えているかな。オリジナルの月籠りの嘉月をやった保津周平で、ここではまだ明かされていないけどLMEから飛び立ってアメリカで活躍する蓮の父クー・ヒズリ。

社長さんが、蓮がキョーコに惚れていることを悟ったときに、蓮が後ろ向いていて顔が見えないのが、最高。これが実写映画だと、カメラを回したくなるけど、見えないで読者に想像させるところが、2次元の漫画の骨頂で大好き。たぶん神々スマイルを浮かべていたんだろうけど、それを想像だけで表現している。

(ACT.78 フェアリーマジック)
一旦姿が見えなかったキョーコが戻ってきて蓮に渡したのが、前に蓮が事務所で拾ってくれた「コーン」の石。10年前のあの時と真逆だと思う、コーン本人である蓮。のぞくと色が変わって嫌な気分を吸収してくれた瞬間なんです。と嬉々としてメルヘンの世界にはまるキョーコに、あのときと同じだと笑いを堪える蓮。その石をくれた男の子コーンは妖精界の王子だとこそりうち明けられて、「まだ信じてたんだ」と呆然とする蓮。吹き出した蓮に、コーンは空だって飛んで見せてくれたんだとキョーコ。羽が何度も生えたけど、お父さんの指にひっかかって一瞬で羽がボロボロにまってもげてしまうんだって、長くは飛べなかったと、「父さんの手は大きすぎてまだ自由に空を飛んだことは一度も無いんだ」。

あれから10年だから、今頃はコーンも立派な大人になって、誰よりも綺麗に輝く大きな羽でお父さんの手も高く高く飛び超えてるはずというキョーコに「それはどうかな」と当のコーンである蓮。「コーンは王様になるために生まれたんだもの。それだけ力を持って生まれた人なんです。これまでお父さんを超えられなかったのは、コーンがまだ子供だったから。大人になったコーンならやりますよ!絶対にやれる」と。

「ありがとう」とポツリと言う蓮。「もうコレに頼らなくてももっと確かな魔法を手にいれた」と心で思い、「俺は大丈夫だから。コレは君の宝物なんだろう。」10年前の二人を思い出しながら、コーンの石に口づけしてキョーコに返す蓮に、なんだかこれを受け取ったら何か悪い魔法にかかるような予感がする。でも誰にもこの魔法の効き目は見せないとキョーコ。
なんと象徴的な。蓮はお父さんの手からは離れたものの、まだ思うように自由に飛べたとは言いがたいから、複雑な気分だろうな。でもキョーコちゃんが信じてくれるから、きっとできる。

キョーコには悪い魔法なのね。


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