2022年3月25日金曜日

スキップ・ビート!19

2008年7月17日発売

(ACT.109 そして、動き出したもの)
「おまえの役作りは成功している」とクーに評価されたのに浮かない顔のキョーコ。

一方クーは、蓮が会わせてくれといってきたと社長から聞いて、その夜11時に社長の自宅にいくことになった。社長は昨夜キョーコが15.6歳のアメリカ人の男の子が着ていそうな服をLMEの事務所に借りに来た時からこういうことになるんじゃ無いかと思ってたという。クーと蓮がはち合わせするのも予想済みだったらしい。ただし声に全く抑揚がなかったから予想以上の怒りぶりとみていいと。当初の予定では、クーがイヤミな男を演じてキョーコが蓮に助けを求めるようにするという線が失敗したのは、クーがそこにダイヤモンドの原石(役者としてのキョーコ)があって磨いてみたくなったからだという。あの娘は『ほんの一握り』と言われる役者になれるはずの人間だ、ある欠点さえ克服すればというクーに社長も同意する。

「その欠点を克服するにはひたすら芝居に出ることだ」とクーに言われてまだ浮かない顔のキョーコ。「お前はちゃんと役作りのコツを知っている。本物の役者になるためにお前に一番必要なのは”芝居の中で生きる喜び”を知る事だ」「その楽しさがわかるようになれば、お前の『好きな役しか受けつけなくて嫌いな役にはフタをする極度の役者偏食症候群』も治るはずだ。」「治せなきゃ大根(役者)にすらなれない」背景の萎れた大根と想像したキョーコの顔が最高。「恐らくお前は芝居の本当の面白さにまだ触れていないだけだ。一度触れたら病みつきになるぞ。楽しくて芝居が終わる頃には喪失感で”淋しい”と思うほど。」

クーの言葉を思い出してかみしめるキョーコは、まだ久遠少年で居てみたいと思った。
本物の久遠がすぐそばにいるのに。

一方社長の家で蓮を待つクーは、5年ぶりの再会に落ち着かない。昼間会って自己紹介やダークムーンの話をしてしまったからこそ余計に落ち着かない。そして時刻通りに無表情で入ってきた蓮。

(ACT.110 故に解き、放たれるもの)
「昼間のことで話があって来ました」と蓮。
この冒頭の部分どこまでが社長さんの妄想コマなのかよくわからないけど、「あなた俺の芸能生命を絶たせたいんですか。迷惑ですね。おとなしく映画の宣伝だけしてさっさと帰って下さいよ。」は全部社長さんの妄想だよね。続いた言葉がクーの「あの娘に『クオン』を演らせていた事か?」だから。
「彼女が演じていたのはまだ無邪気で純粋な部分を持っていた頃のあなたの息子だ。あなたは心から『クオン』を愛していたから、日本に居る間彼女に息子を演じてくれと頼んだ。世間を斜めに見下ろして荒れて荒(すさ)んで可愛くなくなった息子より、当時のまだ可愛かった頃の息子を望む気持ちはわかります。」クーの顔色が変わる。「過去形で話すのはやめてくれないか。今でも息子を心から愛している。たとえ他人から見れば世間を斜めに見下ろして荒れて荒んで可愛くなくなっていたとしても、わたしにとっては他の誰にも代わりなどできないたった一人の可愛い息子なんだ!」
聞いていた社長は「気持ちの悪い会話だなあまるでこの場にクオン本人は居合わせていないかのように」
「この容姿の彼はあくまで『敦賀蓮』という人物だからどんなときでも他人として振る舞う事を忘れるなと社長が戒律作ったクセに」とクー
「ここは外部に情報がもれることがない。普通に親子の会話すりゃいいだろ」と社長に言われて固まる蓮とクー。ふっと顔が緩んで「無理はしなくていい」とクー。

突然胃袋ブラックホールが起動して食事を始めたクーは「アレは彼女に演技の特訓として演らせていただけだ。新しい仕事の役作りにつまずいて困り果ててたから」「自分の好きな役どころでなければ興味が持てないし役に入り込むこともできない」と。
「ひとたび役には入れたら勝手に『役』が走り出す怖いタイプの役者だろうから(ほんの一握りの素晴らしい役者になれる)。お前と同じだ」と蓮に言うクー。

「あの娘のクオンを目の前で見て驚かなかったか?自分と似てるって」とクーに言われて、「まだ可愛かった頃のな」とつっこむ社長さん。「どう考えてもあなたが彼女に『クオン』の詳細を話してるとしか思えなかった」(だから焦ったのね)「お前が役者として将来的に成功したと言えるためにはまずわたしの生まれ育ったこの国でわたしと並ぶ役者にならなければならないはずだ。決してわたしの息子だという副産物が動力源にならない条件下でな。」とクー。「そのためにはお前とわたしの関係は誰にも知られてはならないはずだ。」まあ今はキョーコちゃん恋人でも何でも無いからしょうがないけど、両思いになった2022年にはそろそろうち明けてもいいのではないだろうか。蓮は日本で保津周平と並ぶ役者に既になれたし。)

キョーコに何を話したか親馬鹿の数々を並べるクーさん。「あの子はいきなり本物と違和感の無いクオンを作ってきたんだ。おまけにTV局でのやりとりに至っては完全にあの子のアドリブだ。お前と遭遇するなんて想定してるはずがないからな。」「恐らくあの子『クオン』は役柄的に『好き』なんだろうな。だから役作りが完璧だったんだ」蓮の顔をじ~と見つめてにたっと笑う社長さん。

社長さんも意地が悪い。でも久遠の役作りが完璧なのは、キョーコちゃんの心の中でコーンの一挙一動が鮮明に残っているからで、コーンが心の支えなのは蓮も知ってるけど、久遠の役作りでコーンを連想しているのは、誰も知らないはず。コーンバレしたら是非蓮に言ってあげて欲しい。

母親はどうしているのかと話を強引にそらす蓮。とつぜんクーは真顔になって今回日本に帰ってきたのは蓮に母親ジュリエナのことで頼みがあるという。一度でいい、5分でいいから私達の息子の姿に戻って欲しいという。あと三ヶ月しか生きられないとジュリエナに告白されたという。

(ACT.111 褪せない想い)
ジュリエナの口癖は余命一週間だったり一日だったり三分だったりなのだが、今回はいうことがあまりにも現実的で一瞬本当かと焦る蓮だが、それだけ彼女の気持ちは限界に来てると言うことだという。自分が仕事で家を空けてるその隙に最愛の息子がいきなり消えて居なくなったのだから。

せめてジュリが帰るまで待ってくれと言ったのに社長が風のようにお前を連れ去ったからだと慰めるクー。「今にも壊れてしまいそうな息子が目の前に居るというのに自分達ではどうしてやる事もできないと鳴いて助けを求めて来たのはどこのどいつだ」と切れる社長。やりとりを見て蓮の心も和らぐ。「今にもしぼんで消えそうな瀕死の顔をしたお前しか最後に記憶してないジュリとしてはお前が今ちゃんと本当に生きて無事で居るのか手紙や写真じゃなく動いて喋るお前を見て安心したいと。もちろんそれは『敦賀蓮』ではなく『クオン』の姿で。「こんな志半ばで『クオン』の姿にもどるのは『負け』を認めるみたいで気が進まないだろうから断ってくれてもいいんだぞ。」との言葉に社長にいったことを思い出す蓮「オレはこの姿をつらぬき通します。日本の俳優『敦賀蓮』として自力で母国に還って成功するまで。それまではたとえ両親の前でも『クオン』の姿にはもどらない!」

でも数分なら戻ってもいいと。「正直お前は意思が強いから断られる可能性の方が高いと覚悟していたのだが」というクーに「社長に連れられて家を出た時はとにかく気持ちに余裕がなくて後に残される両親の気持ちを考える事ができなかった・・・でも今は俺のメッセージ一つであのひとが安心できるなら喜んで」

ということでビデオレターを翌夕撮ることになった。蓮が日本人じゃないってことは専用美容師Jellyも知ってるけれど、クーとの関係は教えてない。「世の中どんな神の悪戯があって、お前達親子の関係が他人に知れるかわからない」というのがお前の言葉だろ。それに、ジュリはビデオで我慢するのにお前だけ生クオン100%に会うのは不公平だろ。との社長の言葉。
生クオン100%・・・本生クオンって・・・。でも少なくともアメリカに行くのは2022年現在もうすぐ。アメリカで成功するところまでが目標だと、う~~~ん。
柿ピー食べるクー、かわいい。クーと蓮は似てるけど、蓮がコメディやってる姿は想像がつかないけど、クーならいけそう。やっぱクーとキョーコちゃんにコンビを組んでもらって、アクションつきのコメディを演って欲しい。

翌日キョーコは、ダークムーン撮影現場で、昨日久遠の演技中にTV局で蓮に会って、先輩になまいきな口をきいたことを説明するために腹切りの覚悟で待っていた。昨日会ったときに失礼なこと言ったり呼び捨てにしたりしたお詫びをというキョーコに、「呼び捨てってどんな風に呼んだっけ」こ、この蓮様の顔、夜の帝王も少し入って色っぽい。(隣で「お前は純粋に芝居抜きで呼ばせてみたかったんだろうが」と心の中で突っ込みを入れる社さん)

クーの息子を演じてた話を蓮と社さんに説明する。「それで収穫はあった?彼の息子を演じてみて」「『クオン』の気持ちをつかんでたよな。(絶対的な信頼と憧れと敬愛を強く宿した瞳。まるで自分を見ている様だった。ヒーローごっこなんてしなかった。幼い頃から父が俺のヒーローだった)」と。高テンションでクー自慢を始めるキョーコに嬉しそうな蓮。しかし自分を演じてるキョーコちゃんを蓮が目の前で見て自分を見つめ直すというこの設定をつくりだした作者さん神。

(ACT.112 父子記念日)
一刻も早くビデオレターをジュリに持って帰ろうと、予定を繰り上げてクーが明日帰国するという。あと4日あると思って演技指導をお願いしようとしていたキョーコはショック。賄賂のつもりでつくっていたケーキをご機嫌で食べながら、「お前いいお母さんになるぞ」と思わずいってしまって(じゃあユニークな味の料理をつくるジュリさんは・・・)キョーコの地雷を踏むクー。「いいお母さんって何ですかね。とりあえず子供にご飯とおやつやっとけばなれるんですかね。」「そりゃ一番大事なのは愛情だが」というと更にどんより沈むキョーコ。「一番大事なのがそんなモノなら無理です。私には愛せる自信がありません」「食事なんて『世間体』だけで作れますから」と。

キョーコちゃんの子供がいらない理由、共感してしまう。でもクーさんもクオンへの愛情の向け方が失敗した分、孫を愛してくれるよ。

突然「先生の奥様はお料理なさるんですか?」と少し浮上するキョーコ。「忙しいわりにはよく作ってくれる。が、味つけがとても斬新で神秘的なせいかどうも万人受けは良くないんだよなぁ」「妻は家族で食事というのをとても大切にする女性でね。嫌がるクオンの口に息がつまる程ノルマの料理をつめ込んでたよ」食べることは好きだけど、胃腸が弱くて一度にたくさん食べられない私には拷問に思える。たまに旅行先で食べ物の量で勝負という歓迎のされ方をすると本当に辛い。

「思えば食事というと目に涙を一杯ためていた。あの子とても幸せな子供の顔をしていたとは思えない」と闇に落ちた顔のクーさんに慌てるキョーコ。「あの頃から徐々に成長と共にあの子の顔から笑顔が消えていった。わたしが米国で役者として頑張れば頑張るほどあの子に辛い思いをさせてしまっていた。わたしも妻も仕事で忙しくてずっとそれに気づいてやれなかった。あの子が身動きできなくなってしまうまで」「わたしも妻もあの子を心から愛してるし幸せにしてやれていると信じていた。しかしあの子にとってはそうじゃなかったかもしれない(わたしの息子じゃなかったらあの子はもっと幸せだったんじゃないだろうかそう何度も思い続けてきた)」

クーはアメリカ芸能界でどのように地位を築いてきたのだろう。ジュリエナは芸能一家の出だと思うけど、出会いや結婚は周囲にどのように受け取られたのだろうか。セドリックと久遠は従兄弟同士と読めるけど、なぜ仲が悪いのだろうか。二人ともデュリスの孫だと思うけど、なぜ久遠は「勝利者の父」であるおじいさんの保護を受けられなかったのだろう。

どんよりしたクーさんを見て、キョーコは蓮に「幸せだったに決まってるじゃないですか。たった数時間先生の息子だった私が幸せだったんですよ。私気持ちだけはぴったり久遠少年とシンクロしてたって自負できます。だって役の気持ちや言動を瞬時に計算してしまう敦賀さんに言われたんですもの。『久遠の気持ちをつかんでたよな』って。今日の敦賀さんは真剣でしたよ。」と聞いて嬉しそうなクー。
だって久遠本人に、自分はクーの息子で幸せだったと言われたことになるものね。

最後の夜なのでクーも一緒に料理をする。「今までお父さんが欲しいなんて思った事一度も無かったんですけど、先生みたいなお父さんなら欲しかった。」と。「私には親子の縁を切った覚えは無いのだが。お前はもうわたしを父さんとは呼んでくれないのか。」その後あれこれお説教するクー。
そう、親は選べないけど、自分の家族はつくるもの。早くお義父さんになってもらえるといいね。

(ACT.113 5年目の深層)
進むことも戻ることも選べずに身動きできなくなっていた自分を暗い闇の底から連れ出してくれたのは社長だった。お前の素性は一切伏せて、父親の生まれ育った国で父親を超える俳優になってみろ。無名のお前が未知を切り拓きどこまで上りつめられるか。そして役者として再び母国に地を踏むことができるかどうか、それはお前の実力次第。俺は一切仕事に関しては助けてやらん。

残される両親の気落ちを考える余裕は無かった。人間として役者として生命の再生をかけた新天地に慣れることに。日本人として溶け込むことに。そして仕事に。とにかく必死で敦賀蓮として生きることにこだわるあまり気がつけば両親と連絡を絶ったまま2年の月日が過ぎていた。
ってデビュー後も連絡を取ってないから結局5年会ってないんだよね。このセリフちょっとわかりにくいと思う。15歳から2年間完璧な日本人になる準備をして、17歳でデビューして今20歳なんだと思うけど、ちょっと説明が必要では。

本来の金髪碧眼になった蓮のアップの見開き、美しい!!

ビデオレターで息子のために両親からコンタクトが無いことを、失望され見限られたのかもと誤解していたことを詫びて、感謝する。

空港へ見送りに来た蓮を見て驚くキョーコ。社長命令でDARK MOONを代表してこいといわれたとウソの説明をする。お見送りの群集に「私にはお話しするチャンスもないかもしれない」というキョーコに、「君が呼びかければ必ず気付いてくれると思うよ?この間みたいに『父さん』って」と蓮。」(「自分が子供の頃のように父さんと呼んでしまうとこれまで張りつめてきたものが切れてしまいそうで俺にはまだ昔みたいに呼べないけれど、必ず自分の実力で二人の元へ帰るから」とビデオレターで呼びかけたことを心の中で思う。)
これだけ慕われているのになぜ頻繁に里帰りしないの?やっぱり蓮と顔を合わせないように?
勇気をだして「とーさん」と呼ぶキョーコ。「来てくれたんだなクオン」
ダブルクオン。意図したわけではないけど後ろに居る蓮(ほんものの久遠)にも呼びかけたことになるよね。この場面も好き。

(ACT.114 久遠の誓い)
クオンのビデオレターを何度も見ては涙ぐむジュリエナ。クーはキョーコちゃんを思い出し、あの娘、本当にクオンとは気持ちがシンクロしてるんだなあと思いながらジュリエナにキョーコの話をする。空港で、「とうさん」と呼びかけるキョーコに、お見送りの人々はクーに「クオン」という奥さん似の可愛い息子がいたことを思い出す人もいた。あの子今絶対美人にそだってるわよねという声もある。敦賀蓮は世間の評価はどちらかというと男前だけど。

「オレ、やってみるから『イジメ』やく ホントはキライだよ。でもにげないってきめたんだ。コレはオレがホンモノのヤクシャになるためのシレンだとおもうから」後ろに居る蓮は驚く。「ゼンリョクでたたかう!じぶんのかのうせいをしんじて!!」ここなんで全部ひらかなとカタカナなんだろうと思ったけど、漢字を覚えようとしなかった10歳の久遠になりきってるんだよね。「それでこそわたしの子だ」と親指を立てるクー、喜んで親指を立てるキョーコの後ろで複雑そうに微笑む蓮。クーの視線に気付くと無言で礼をした。

その時のクーは蓮の複雑そうな微笑みの意味がわからなかったが、今になって気が付いた。キョーコの言ったことが久遠の気持ちそのものなのだろうね。
この19巻の設定がスキビで一番好き。空港でのクーさんとの別れで、蓮が言いたかったことを久遠を演じるキョーコが喋って、クーさんの励ましが蓮にちゃんと伝わって、伝わっていることがクーさんにもわかった。このシチュエーション考えた作者さん神様。

キョーコにはいつでも好きなところに遊びにおいでといってあるからきっと会えるよと、ジュリに言うクー

蓮は社長に冷酷な殺人犯を演る事になったと、キョーコはモー子さんにイジメ役をやることになったという自分の決意を表明する。

「ヒトを傷つけるなんてできれば一生演りたくない役で悩みましたけどもう逃げないと。」「まあいいかそれだけお前が強くなったって事なんだ」と社長。

恋愛に重きをおいた役はDARK MOONが初めてで、ヒトを傷つける役はこれからやるのが初めてということは、蓮の役柄は今までそれほど広くなかったんだ。まあ17歳でデビューしてまだ3年目だけど。

クーはキョーコちゃんに親切に演技のアドバイスもしてくれたし、キョーコちゃんが見たこともない父ができたような気分でクーを慕うのはわかるのだけど、クーはなぜ最初あれだけイヤミたらたら言ったのか疑問を感じないのだろうか。


2022年3月22日火曜日

スキップ・ビート!18

2008年2月19日発売

(ACT.103 小耳にBAD NEWS)
蓮は社長に、最上さんをクーにつけるなんてどういうつもりだと電話で詰問するが、あの子が京都の出身で料理が上手いと聞いたからたまたま頼んでみただけだとかわされる。恋愛ゲームに夢中の社長はさっさと電話を切る。

蓮が日本に来てからクーとの繋ぎになるようなことをしなかったのに、「クーに会ってみる気にはならないか」などといったのはなぜという疑問がひっかかって社長のいう理由が素直には受け取れない。

一方クーの面前で自分で社長に電話したキョーコは「問題は何も。お料理の方も大変喜んでいただけました。一度おひき受けしたお仕事ですので最後まで力の限りお世話させていただきます」と笑顔で報告し、ガンを飛ばしてキョーコに泣きを入れさせようとしていたクーを驚かせる。「なぜ嘘をつく?素直に泣きつけばいいだろう」というクーに、「お酒に酔われたお客様相手ではこのくらいよくあることですわ。正体を失われたお客様のなさる事にいちいち腹を立てて仕事を放棄していては客商売は務まりません。」と仲居マナーでかわすキョーコ。「絶対この日本滞在中に『泣き』を入れさせてやる」とキョーコの苦心の作の料理をゴミ袋に放り込み、「このこ汚い残飯はお前が作ったんだ。お前が持って帰れ。そして下々のお前の仲間たちとつつき合うがいい。お前は今月籠りのリメイクドラマに出てるんだろう。私としては是非一番真っ先になんとかいう主演の彼に勧めて欲しいね」と蓮をおとしめる様なことを言われて、突然怨キョがすさまじく溢れでる。「敦賀蓮です。今に貴方を超える役者になる人です。覚えておいて下さい」と殺気だってクーを睨む。「彼に何か特別な思いでもあるのか?」「もちろん。尊敬してます。信仰してます!!役者を目指す私にとって敦賀さんは雲の上の人なんです。神様にも等しい役者なんです。その敦賀さんに対して下々扱いした上に、こんなこ汚い残飯食べさせようなんて。これは貴方のために作ったもので、貴方が残飯にしたんだから、貴方が食べて下さい」ともう一度猫まんま状態で丼に盛り付ける。

キョーコガンバレ。このクーとの残飯根性試し食いの掛け合い最高!これトップスタ-とまだドラマ初出演中の駆け出しの新人なのに。将来共演でやって欲しい。
ただ、蓮が神様扱いでは、恋愛関係になるのははるか先だなあ。
このキョーコ当て馬だよね。社長さん酷いけど、将来キョーコと蓮やクーとの関係の下地をつくったつもりかな。もともとラブミー部って存在がパワハラだと思うけど、まあ千織ちゃんを含めてみんな成長していくからローリィ宝田直営の教育機関ではあるけど。

どういうわけか根性試しになって、自分が残飯にしたキョーコのつくったご飯を全部平らげてしまっておいしかったと、同日23:12、ローリィ社長の部屋で呑みながら報告するクー。「あの子には可愛そうだが日本滞在中自分のことで泣きつくなり相談するなりグチをいうなり『彼』にしてもらって『彼』に自ら出てきてもらわないと。」とクー。「彼女をいたぶれば5年のブランクなぞ感じさせない程怒りをぶつけてくる」と言う社長に、蓮にそんなに大切にされているキョーコに嫉妬するクー。更に、実はキョーコがクーの目の前で社長へ電話で笑顔の報告をしたのは、まったくの演技で社長とは話してないと聞いて、世界を舞台に芝居で生きているこのわたしを芝居で謀ったというのかと呆然とする。

翌朝開口一番イヤミをいってやろうとしたクーに「申し訳ございませんでした」と謝るキョーコ。「尊敬する先輩を侮辱されて頭にきたとは言え、失礼な振る舞いの数々反省しています」とのことに思わずにっこりしてしまってから(クーさんも神々スマイル!)あわててイヤミな男の仮面をかぶるクー。でも首にならなかったので大喜びで仕事を始めるキョーコ。

クーが時々蓮のような表情をする、特に神々スマイルがいいなあ。

(ACT.104 渡された仮面)
テレビに不破尚が映る。先々月出した曲は4周連続一位、その翌月の新曲も一位、3曲目は2曲目を押しのけて一位を取って、結局2ヶ月と1週間一位独占状態。日本音楽界に残る不敗記録がでそうな様子だという。画面の尚は今までと全然違う、感情を曲に乗せるような深みのある唄い方だった。尚は確実にスキルアップしていた。先日モー子さんのいった「今のアンタの心境考えたら、そんな足踏み状態な仕事やってられないと思うのよね。負けてるみたいで」の意味がやっとわかって落ち込むキョーコ。

富士TVのクーさん控え室に、京料理てんこ盛りの鍋の用意をして消えたキョーコを心配して、クーが探すと、携帯で「未緒っぽいイジメ役」をすべて断るという電話を椹さんにしているキョーコ。電話を奪い「彼女は今はまだ自分の置かれた状況がよく理解できてないだけだ。のぼせ上がった熱が下がるまでもう少し待ってくれ」という。突然のクーからの電話に仰天する椹さん。

「たった一回たまたまアタリ役に恵まれた新人タレの役者気取りが入ってくる仕事を断る事自体『のぼせ上がっている』」と。『『DARK MOON』がドラマデビューで演技の幅がどれほどのものかもわからんお前が、人から『未緒』に似た演技しか求められないのはあたりまえだ。」「『未緒っぽく』と言われたからといっても『未緒』以外の演り方でもインパクトさえあれば見た人間はかならず納得する」「同じ『イジメ役』という役柄にそれぞれ異なったバリエーションをつけた演技ができてこそ役者としての技術は磨かれると思うのだが?」「普通に別の役をもらって演じわけるよりそっちの方が格段難しいはずだからな」

キョーコの琴線には触れたようだが、
「クラス全員に無視される、持ち物・机勝手に捨てられる、教科書全部落書きされる、机に花飾られる、その他携帯でetc.過去日常的にされましたけどあまりにもポピュラーな手口ばかりで演技の参考になりません」というキョーコのカミングアウトにびっくりするクー。ふと表情が翳ったのは、アメリカの芸能界で居場所をなくした久遠のことを思ったのかな。
「お前はカミングアウトした以上の経験をしてないから『わからない』と言ったが、もし今後、見たことも聞いたこともない未知の存在の役を求められるときが来たとして、見たことないから『できません』とプロにあるまじきセリフを恥ずかしげもなく口にするのか?」「『未緒』の役作りはしたはずだよな」といわれて敦賀さんを思い出すキョーコ。「未緒ができたんなら他もちゃんとできるはずだ」とも言われるが未緒は『お嬢様』だから想像しやすかったとどんよりするキョーコ。そこでクーが出した課題は自分の息子の演技をつくりあげて自分に演技して見せろという。
クーさんの役者としての的確なアドヴァイスすばらしい。それに自分の息子を演じろというシチュエーション最高。いつの間にか本来の目的をすっかり忘れているところも楽しい。理想的なお父さんだけど、自分の息子久遠は守れなかったんだよね。

(ACT.105 明日はコーン)
先生の息子の特徴のヒントを教えて欲しいというキョーコに、息子自慢がとまらなくなったクー。「頭がいい、努力家さんで勤勉で有言実行、不言実行、慎ましい、可愛らしい、男らしい、心優しい、わたしに似て運動神経抜群で、武道の才能や身の軽やかさはわたしですら妬ける程、容姿は生きた宝石と称されるわたしの愛する妻に似て美しい上にエレガント!!ダイヤモンドの様なきらめきと黙って立ってるだけで漂う品格は奇跡!!最早、妻と息子の美しさは人間のそれではないだろう。」

とまらない親馬鹿ぶりに「本当に居るんだ。溺れるくらい我が子を愛して止まない親って。理解できないな」と自分の母親を思い出すキョーコ。

「残念ながらわたしの記憶の中のあの子は15の姿のままで止まっている。本当なら今頃は20歳になったあの子の姿を見られたはずだ。」亡くなってるんだと思うキョーコ。クーの「コーン」という呼び方に驚くキョーコ。よく聞くとクオン=久遠であった。

DARK MOONの撮影現場で、撮影の合間にため息をつくキョーコ。世界中観察して回ってもこんな無茶な容姿の少年いないと。ふとクーの「妻と息子の美しさは人間のそれではないだろう」という言葉を思い出して、10年前の京都の川原であった妖精コーンを思い出しているところで、蓮に「大丈夫。もしかして何かあった?クー・ヒズリと」と、社さんがテレビのクーの空港到着場面でキョーコを見かけたことを告げる。社長が言ったとおり、クーの食事の用意をしているときいて、それはそれで大変だろうと『保津周平』胃袋ブラックホール伝説を教える。「君と彼の間に何もトラブルが無いのならそれでいいんだよ(もしや社長が何か企ててそれに巻き込まれているんじゃ無いかと)」という蓮に思わずすがるような目をするキョーコだが、クーは自分で役作りを考えるように課題をくれたんだと思い出して、悩み事なんて微塵も無いんですと、あまりにも怪しく焦りながら出番がきたので去って行くキョーコ。

後ほどキョーコは、控え室でコーンの喋り方とか久遠少年にマッチするかもと思いつく。
キョーコの記憶に残るコーン少年のアップ登場、美しい。これが敦賀蓮の少年時代なわけよね。

(ACT.106 戸惑いシチュエーション)
翌朝、久遠になりきったキョーコは、クーの部屋を預かった鍵で開け、まだベッドで寝ているクーを息子久遠として英語で起こす。ねぼけていたクーはクオンと話をしているつもりで思わず英語で返事をして、別人なのに、この外見の雰囲気とか物腰のやわらかい口調とか、何故こんなにも違和感を感じないように似せられるのだと驚く。料理はできない設定なのも間違っていない。させたことも無かったしと。クーさん料理は得意なのにクオンと一緒に料理したりしなかったの?大量の卵焼きに殻が入ってしまったし、味付けなにもしてないのを、「お前が一生懸命父さんのために作ってくれたものが、おいしくない訳ないだろう」と平らげるクーを見て、母から肯定的な言葉をもらったことのないキョーコは素に戻って涙を流す。

親から肯定されたことの無いキョーコの気持ちが伝わってきて何度読んでも涙が出る。キョーコちゃん将来アメリカでクーに再会して思う存分甘えて欲しい。クーの愛は久遠一人では重すぎるからちょうどいい。最後は久遠と結婚すると思うけどそうしたら本当に父さんだし。

一方昨夜のキョーコの態度がおかしいと思った蓮は、社長に電話して、何をやらせてるんですかと詰問する。昨夜撮影の帰りに、事務所に15,6歳のアメリカ人の男の子が着てもおかしくない感じの洋服を借りに来たキョーコが、10歳くらいの久遠=蓮に似ていたと思い出す社長。キョーコは理由は「一応お仕事の一環になるんじゃないかなと思います」と歯切れが悪かったので、クーと何かあったかなとだけ蓮に伝える。

キョーコちゃんの久遠、すごく可愛い。確かに16歳の日本人の女の子がアメリカ人の男の子を演じると、15,6歳ではなくてもっと幼くなりそう。

キョーコが英語に堪能なことを社長さんはいつから知っているんだろう。クーは日本育ちだけど、このお世話係ごっこではイヤミをする意味でも最初は英語で喋ってるはずだけど。

キョーコの英語は、後にカインになった蓮が丁寧すぎて一流ホテルの従業員みたいな時があるといっているようにだと評するように(29巻ACT.176)、京都の一流旅館育ちだから身につけさせられたのだと思うけど、当然ショータローもそうなはず。だから後ほどアメリカに行くのも違和感ないのか。

(ACT.107 悪戯シチュエーション)
クーの評価も、キョーコは10歳くらいの久遠に見えるというので、不本意ながらそれに合わせて、初めて日本に来たアメリカ人久遠になったつもりで、日本の習慣や風習の感想を述べたり、テレビ局に向かうクーの車に同乗しながら、看板を読んだりするとクーの笑いのツボにことごとくはまる。10歳頃の久遠は、父さんと二人で話をするときは日本語で話せといわれていたそうで、外国人なまりも特になく日常で支障が無い程度には日本語を喋れたとのことで、日本語の会話をしている。これこそキョーコの思い出の中のコーンそのもの。

久遠が漢字の勉強はやろうとしたなかったという理由を、キョーコなりに自由の国の将来有望な少年が持つ日本のイメージで「ニホンみたいなちいさなクニのことばおぼえたってオトナになってもトクするコトなんてぜったいナイでしょ」というのもまたツボにはまったようだ。
これがクー的にツボにはまるのなら父さんの育った国をそう表現する、クーと日本の関係はどうなんだろうか。10歳の久遠をつれて里帰りしたというからには、京都にまだ縁のある人がすんでいるのだろうけど、それってキョーコちゃんが預けられていた旅館の近くでは?現在の蓮さんとは全く付き合いがないのか??

「クオンに興味持ってもらえない事が悲しくて。父さんの生まれ育った国なのに」と泣いてみせるクーに、まずいことをいって母に拒否された過去が蘇るキョーコ。キョーコの雰囲気が変わったのを感じたクーは、今朝キョーコがいった「母子家庭で母との仲があまり良くなくてこんな風に失敗してるのに優しくされるなんて事初めてだからどうしていいのかわからないんです。ごめんなさい。演技の最中に」というのを思い出す。

いきなりクーはキョーコをデコピンして、「ウソだ。バーカ」その表情にいつかどこかで見てる気がする。そう遠くない過去と思う。当然敦賀さんに似てるんだよね。「お前は今ウソつかれて、からかわれた上にデコピンで不意打ちされたんだぞ?お前にはムキになって反撃してくる権利がある。男ならやられたらやり返すくらいの根性を見せろよ」ってこれは子供の頃の久遠にいってあげた方がよかったのでは?クーに殴りかかるキョーコだが軽くいなされる。「反撃したければいつでもしてくればいい。不意打ちだろうと武器使おうと自由にしていいぞ。お前は特別に許してやる。父さんの子だからな」

頭の中でぐるぐるといろいろ考えが回るキョーコ。コーンを演技の参考にするのならお父さんに挑みかかるなんて事『しない』。そのかわりワンパク坊主の表情をするキョーコ。

キョーコ、少年の演技をしてもいいな。トム・ソーヤとか、今でしかできないのをやって欲しい。

一方撮影現場で、意外と子供好きで遊んであげてるな貴島さんを見て驚く社さん。子供の頃ヒーロー映画にはまって父親を悪役にして倒しにかかっていった思い出を蓮に話す。蓮も10歳くらいまで父親に遊んでもらったけど、子供の頃から『子供番組』的なものをほとんど見てなくて、しりとりとか、山の遊び、海の遊び、空の遊びをハマってやっていたという蓮。空の遊びってなんだろうと心の中で思う社さん。スカイダイビングかヒズリ家なら飛行機操縦とかもありそう。将来アクションででてくるのかな。ちょっと危険な予感がする。

クーが、これから蓮と社が向かうテレビ局でこの時間出演中だと、蓮に教える社さん。急に無口になる蓮。一方そのころキョーコは番組の様子をみながら父さんをギャフンと言わせる武器をペットボトルで作成中だった。ペットボトルに水をいれようと階段を飛び降りたところで蓮と社さんにばったり会う。

(ACT.108 ドリーム・キャスト)
久遠を演じるキョーコの雰囲気に、キョーコだとはわかったものの、呆然とする社さんと蓮。
いきなり二人に「はじめましてMr.レン・ツルガ。ダークムンでカツキやってるヒトだよね。みたよっ。ボスがとってくれたビデオでっ。あなたわりとえんぎうまいよね。そーぞーしてたよりまあまあよかったよ」と挨拶をするキョーコ。素に戻らなかったキョーコちゃん偉い!!
番組出演が終わってキョーコを探していたクーがその場面を見つけて(扉絵が蓮とキョーコが対峙しているのを見てびっくりするクーになってる。このクー好き。5年ぶりの再会なんだよね。)「そこで何をしている」と階段の上から声をかけた。クーの姿を見て焦る社さん、顔は前に向けたまま動揺する蓮。クーと蓮の目線があってふわっとした雰囲気になったクーは、「クオン」と呼びかける。ピクッとする蓮。だが呼びかけた相手はキョーコだ。「そろそろ帰るぞ」と。「とうさん」と嬉しそうに駆け寄るキョーコは「レンだよ。ダークムーンのレン!!とクーの手を引っ張る。たしなめる様にクーにデコピンされたあと頭をなでなでされる。蓮の目の前まで来たクーは「はじめまして。クーヒズリです」と手を出す。最初唖然とした蓮だが表情が柔らかくなり「はじめまして」と手を握り返す。

蓮とクーと社さんやキョーコちゃんも顔や目の表情がすばらしい。この辺の絵は大好き。社さんは感情が表に出てるけど、蓮とクーは言葉にはしてないし大きく表情は変えないけど、お互いの気持ちが伝わってるのがわかる。クーに頭をなでなでされて放心しているキョーコちゃんもかわいい。

「ダークムーン見させてもらったよ。わたしが演じた嘉月とは違っているが上手く嘉月を料理してると思ったよ。正直同じ役者としては妬けた程だ」クーが蓮を評価してくれたことに一瞬素に戻って嬉しそうなキョーコ。「あなたの作った記録には及びませんが」という蓮に「何そのうち越えるさ。必ずな」と親指を立てウィンクするクー。再びキョーコを「クオン」と呼び「帰るぞ。おいで」と。

クーと帰る前に「レン、さっきはごめんなさい。(レンと呼ばれて焦る敦賀さんも萌え。)さっきはごめんなさい。レンの『カツキ』がとうさんの『カツキ』よりすこしカッコよかったからくやしくて意地悪いっちゃった。『まあまあ』なんてウソ。ホントはすごくよかった。しかたがないからオレもあなたをみとめてあげる。だってとうさんがあなたをみとめてるから・・・!!」とキラキラした瞳のキョーコ久遠に驚く蓮とクー。クーが思い出したのは「だって父さんがお芝居のお仕事好きだからボクも父さんと同じ仕事してみたい!!」といった幼い日の久遠。

帰りの車で課題終了だといわれて呆然とするキョーコ。キョーコは役に入ると勝手に『役』ができあがっていくタイプで役に入り込めるかどうかで『出来』に格段の違いが現れる。一番厄介で怖いタイプだと思うクー。

なぜ敦賀さんを紹介したか聞くクーに「先生が本当は優しい人だって事わかっちゃってるので、敦賀さんにひどい事を言うなんて思いもしなかった。それに私が未緒を演ってる事まで知ってて下さったから、ダークムーンを見てくれたのかなと思って、もし本物の久遠少年が今10歳で実際に先生の傍に居るんだとしたなら、絶対一緒に見てたはずだと思って。だから同じ『嘉月』を演ってる敦賀さんに、どうしても自慢のお父さんを紹介したいって衝動に駆られてしまって」

蓮は社長に今夜お会いしたいと抑揚の消えた怒った声で電話をしていた。

しかしまたクーはなんでキョーコちゃんに久遠を演じさせたのかねぇ。蓮が大切にしている娘だと知っているはずなのに。



2022年3月9日水曜日

スキップ・ビート!17

2007年10月19日

(ACT.97 ラブストーリーは突然に-エンディング④)
蓮に膝枕をさせながらうとうとしてしまったキョーコは、蓮に寝顔を見つめられていることに気が付いて恥ずかしくて更衣室のカーテンで蓑虫になる。蓮はキョーコの中で自分の存在が不破よりずっと小さいとわかっているし、この子が自分を心配してくれるのも責任感からなのだとは思うけど、代マネのときはあんな慈愛を感じなかったので、もしかしたら少しは『ただの先輩』以上になってるのかと思う。今回も思い違いかもしれないけど、それに本当に『ただの先輩』以上になってても変に欲が出てきそうで返って困るけど。

転けそうになったキョーコが落とした金槌とだるま時計は、ストーカーに出くわしたときの武器と威嚇ベル替わりだと知って、「俺が守ってあげるのに。俺じゃ頼りにはならないのかな」と言う蓮に「昨日の夜まではすごく怖かったんです。気持ちで負けてるって言うか。でも昨夜敦賀さんがホテルに居るって緒方監督から聞いた瞬間、そんな恐さどこかへ吹き飛んでしまいました。敦賀さんの存在は私に勇気と自信をくれるみたいです。」と言われて、思わず咳き込む敦賀さん。敦賀さんには見せなかったけれど、一緒に落ちたお財布には、以前社長さんのテストのあと敦賀さんが口づけしたコーンの石が。思い出すのはそのときの眩しいキラキラ笑顔の敦賀さん。

転けそうになったけど、受け止めようと手を広げている敦賀さんの腕には落ちないキョーコちゃん!まるで、今の、そしてこれからのキョーコちゃんみたい。

ポケットのない服なのでフジ子ちゃんスタイルだといってるけど、フジ子ちゃんスタイルって敦賀さんに通じる?

そして尚をスパイしていたウッドストックスタジオスタッフは「もうできません。例の話はなかった事にしてください」とビーグールへ伝言。レイノもやる気をなくしたようだが、バンドは続けるとのこと。不破への復讐は俺のやり方でやらせてもらうとミロクにいう。

ロケバスから二人で戻ってきたところを社さんに目撃され、その後もぼんやりしている蓮。キョーコちゃんの方には異変がないので「些細でちっぽけな進展に喜びを噛みしめてるんだろう」とイジられる。この日本で女性が最も抱かれたいと思っている男がそんなちっぽけな事で喜んでいるなんて悔しくないか。キョーコちゃんに自分のことで頭一杯にして欲しいとか思ったことない?キョーコちゃんみたいに男慣れしてなくて純情な娘、お前の遊び慣れたテクでももってチュウの一つでも見舞ってあげれば瞬殺だぞ!!と。「(だから途中で踏みとどまったんじゃないかと蓮は思う)そんな男慣れしてなくて純情な娘に手順も踏まずいきなり手を出したら文字通り瞬殺されるのは俺の方なんじゃないですか?」との蓮の言葉にそうかもと思う社さん。
う~ん、今はまずいかも。いずれにせよ尚やレイノよりも蓮の方がキョーコちゃんに近いところに居るんだから、とりあえず少しずつ前進しよう。とはいってもこのあと連載10年後にも大して近づいてないけど・・・

(ACT.98 ラブストーリーは突然に-エンディング⑤)
軽井沢での未緒のシーンは撮影終了して、一足先にキョーコは帰るので、緒方監督に挨拶にラウンジへ。途中で祥子さんに出会って「ありがとうねキョーコちゃん尚が色々お世話になって」といわれてもピンとこない。「あの子。これからもどんどん確実に支持者を増やしていくわ。見てて、これからのあの子の成長」と祥子さんは真剣だけど「嫌です」と京子。祥子さんは何をいっているのだろうかと一人になって考えているところに、4日ぶりに現れたレイノ。
「お前を攫いに」というレイノに「魔界へ」と、そっち系が壊死しているキョーコは言い争っているとギャラリーの注目が集まり始め、あわてて人目につかないところに自ら誘うキョーコ。この時のお嬢様ぶりがツボ。しかしいくらなんでもストーカーを人目のないところに誘うとは・・・キョーコちゃんはビーグルさんと呼んでいてもう完全に🐶扱いなんだけど、レイノも「ビーグルは俺の名前じゃないぞ」じゃなくて、「せめてビーグールといえ」でしょ。
「なんといったって今の私には勇気と自信を与えてくれるこの聖なる魔除けの魔法具があるんだから」とコーンの石をかざすがレイノには効き目がない。
それは悲しみを吸い取ってくれるのが役割では?万能じゃないよ!
一方キョーコと百瀬さんの部屋を訪れた蓮は、ストーカーが同じホテルに泊まっている芸能人とはしらない百瀬さんから、キョーコは一人で緒方監督に挨拶に行ったと聞いて、あわてる。

追い払う効き目は無かった物の何かを感じたレイノは石を返す。「前の持ち主の思念がしみついている。お前のそんなちっぽけな感傷比較にはならん。それを持っていた時、まだ元の持ち主も子供だったはずだが、およそ一般家庭の普通の子供が持つ感情じゃない。もしもソイツが、そんな感情からその後もずっと逃れられない人生を余儀なくされていたのだとしたら、ソイツは今頃壊れるか自分でこの世から去っている」と。「もう一度貸せ」といわれて抵抗してレイノに組み敷かれるキョーコ。駆けつけた蓮はレイノの手首を捕む。レイノに、かつての石の持ち主の思念が伝わってくる。子どもの頃の鬱屈した久遠と子供のキョーコ、血まみれになって絶望にたたずむ久遠。思わず自ら飛び下がるレイノ。びっくりして顔を見合わせる蓮とキョーコ。

レイノはこのストーカー行為がなければ面白いキャラなのに。このあと恋愛感情に鈍いキョーコの気を引こうとけっこうかわいいキャラになる。

しかしキョーコ思わず出たこのショタフェチって・・・意味が違うのでは。そんなところも尚に似てるっていいたかったのだからショーフェチではあるいはショータローフェチ。

敦賀さんの血まみれの過去がでてくるのはここが始めだっけ。

(ACT.99 ラブストーリーは突然に-エンド)
「敦賀 蓮? それ 偽名だよな あんた だって昔は どう見ても外(人)」と過去が見える超能力者レイノには、金髪の後ろ姿が見える。「『敦賀蓮』確かにそれは芸名だけど?それが何か?」「そんな事より本題の話をしようじゃないかストーカー君?」と冷たい目になった蓮に、過去の金髪男の冷たい目が見えるレイノは更に下がる。「安心しろ誰も殴ったりしない。ただし君が二度と彼女には近づかないと約束すればの話だが」「いいだろう。別に死ぬのは怖くないが痛いのは遠慮したいからな」恐れるのはそっちと内心思うキョーコ「キョーコ。(その石を)絶対捨てろよ。そいつは元の持ち主の凶暴性もしみついて、もはや凶器と化して・・・」(『あれはキョーコであの石の元の持ち主は風貌こそまるで別人だがあれは間違いなく敦賀蓮。キョーコは全く気付いてないようだが、いったいどうなってんだあの二人』)とたち去りながら思うレイノ。

気まずい沈黙に「さっきはありがとうございました。助けていただいて・・」「何の話。さっきアイツが言ってた事。捨てるって何?」「もう終わった話ですからむし返すのも腹が立つので」自分には言えないような秘密をあの男と共有して、なれなれしく名前を呼び捨てにさせたりしてるんだと不機嫌に背を向ける蓮。心の中には「キョーコと呼ぶのは旦那様になるショーちゃんだけだからコーンは『キョーコちゃん』って呼んで」と言った幼い日のキョーコが浮かぶ。

レイノにいわれたことが気になるというキョーコに、なおも背を向けて歩きながら「『敦賀蓮』が芸名だってのも適当に言っても1/2の確立で必ず当たる」(いや芸能人ぽい名前とか、背景がわかっている芸能人かどうかによって完全ランダムじゃないから1/2ではないのでは)「君は本当に騙されやすいな」といったところでキョーコが呆然と立ち尽くしているのに気が付く。

敦賀さんいつもキョーコを萎縮させて本心が言いにくくさせてしまうけど、キョーコはそれが嫉妬心から来ているのを知らないから、単なるハラスメントになってしまっている。どっちみち嫉妬心も行きすぎると、暴力を伴わなくてもDVだよ。
「こんなだから、私いいように利用されてボロ雑巾のようにバカ男に捨てられるんです」と落ち込むキョーコに「なにもそこまで」と蓮。「アイツが言ったんです。コーンは子供の頃から悲しい思いや辛い思いをしてきたって。一般家庭の普通の子供が持つ感情じゃないって。その上そんな気持ちからその後も逃れられない状況に居たのだとしたら、コーンは今頃壊れてるか自分で(この世から去ってる)」「アイツが言ったことどうしても秘密にしたかった訳じゃないんです。ただ口に出して言ってしまうとなんだか全部事実だと完全に認めてしまう様な気がして・・どうしよう・・・もし本当にコーンが居なくなってたら」と涙が溢れてきたキョーコを見て(「俺こそどうしたらいいんだ!!名乗る訳にいかんだろ!!」)と焦る蓮(いいや!この時はともかく、思いが通じた2022にはいいかげん名乗れ!!)「だってコーン自由に飛べないって、すごく辛そうな表情をしてたのに、コーンが私の話を聞いてくれるのと同じくらいもっとコーンの辛い気持ち一杯聞いてあげれば良かった。ごめん」

「大丈夫だよ。コーンはちゃんと元気でやってる。だってコーンは妖精界の王子なんだろ?あ、違うかコーンは妖精なんだから人間じゃないな じゃこの世に居ないのは当然だ」「大丈夫。コーンはちゃんと大人になってる。羽だって生えてる。空だってちゃんと飛んでる。」と蓮に抱きしめられる。この場面好き!!!本来ならすっとんで逃げそうなキョーコちゃんが安心して蓮に抱きしめられている。

レイノはビーグールのメンバーから、ウッドスティックからはバッサリ切られたけれどニューヨークのスタジオを押さえたと連絡を受ける。「ホテルの裏でリンゴ狩りに手間取ってたら、すごい牙と鬣をもったライオンが乱入してきて邪魔された」というレイノはテンションが低い。「俺は二度とヤツには会いたくないし詳しい過去なんか見たくもない」と。

(ACT.100 スタートは好調!)
DARK MOONの視聴率は初回の10月から好調に30%台から始まり、11月最後の7回では39.6%。

キョーコは次のドラマ「BOX"R"」の顔合わせに行くが、監督に「『ナツ』の役は難しく考えなくてもいいからダークムーンの『未緒』っぽく演ってくれればOKだから。てか『未緒』で演って。今時の女子高生っぽくお嬢な気品を抜きにした『未緒』って感じでっ」と言われて複雑な気分。そこに椹さんから3つも仕事のオファーが入ってると言われて、ファンタジーな妖精をやってみたいと思ったところでコーンを思い出す。敦賀さんに抱きしめられて「大丈夫。コーンはちゃんと大人になってる。羽だって生えてる。空だってちゃんと飛んでる」と言われてどうして安心しちゃったんだろう。なんか訳の分からない説得力がある。そういえば敦賀さんの腕の中とてもいい香りがしてあたたかくてすごく気持ちが良か・・と妄想を振り払う。

新しいドラマのオファーはすべてイジメ役で先方の要望はいずれも一様に『未緒』っぽく。未緒とは違う新しい役を演ってみたいと思うのは、分不相応で贅沢な事なのかな、ともやもやするキョーコ。(でも敦賀さんも恋愛に重きをおいたのはDARK MOONが初めてで、完全に闇な役はこれからやるB.Jが初めてなんだよね。それほど焦らなくてもいいと思うけど。確かにイジメ役って強烈すぎてイメージが固定されてしまいそうではあるけど)

蓮は次の映画出演テストでくわえタバコで銃を撃つ。ダークムーンのダーク嘉月に惚れた近衛監督からオファーがあった血も涙もない凶悪な殺人鬼B.Jだ。監督は話題をさらうためにB.Jを誰がやるのか共演者にも告知せず制作発表でも公表しないつもりでいるという。社は驚き不満顔だが、その方が自分もやりやすいと蓮はいう。時々自分の抱える闇を解放する『嘉月』と違って『B.J』は闇の塊だから、「事前に周りに騒がれると集中できなくなりそうで」(封印した自分の闇を全開することに怖じ気づきそうで)という蓮の言葉を聞いて、蓮がこの仕事を受けると決めるのに3日かかったことを思い出す。テストで蓮がタバコをすう様子を見て「お前タバコ吸う奴だったんだな。初めて吸う奴は火をつけた直後噎せもせずいきなり肺まで循環させない。お前は18でタバコをやめた男だ」(「17なんだが」と心で思う蓮)「そういえば銃の扱いも初心者的なものを感じなかったぞ」とも。アメリカでは銃の所有は2原則21歳から、喫煙は18歳-21歳から

(ACT.101 接近!ダイナマイト・スター)
奏江は悩むキョーコに、「もし私があんたの立場なら断るわ。そんな同じイメージの役ばっかり演ったって、演技者としての技術は磨けないもの」ときっぱり。「自分のイメージのマイナスになる様な仕事なら、私は無理に受けなくていいと思うわ。今のアンタの心境考えたらそんな足踏み状態な仕事やってられないと思うのよね。負けてるみたいで。」キョーコの???な反応にハッと気が付いた奏江は「アイスクリームの新商品キョーコと食べたかった」と恥じらって涙ながらに言う。キョーコはキュンとしてすっかりその前の奏江の話は忘れてくれた。キョーコが傷ついた顔されるのが苦手な奏江。

そこに海賊の装束をして海賊船に乗って登場するローリィ宝田社長。ラブミー部の発動要請だという。

DARK MOONの撮影現場で雑談する貴島秀人と蓮。「はっきり言って見物人に男がいても嬉しくない。未緒が美月の味方になる展開になっていくと今の美月見物人に未緒見物人が+されもっと男の見物人が増えるんじゃ・・・いやまぁそれは無いか。どう転んでも未緒だしな」貴島さんが消えた後、社さんが「お前よくヘラヘラ笑ってられるね。キョーコちゃんを馬鹿にする感じのセリフだって言われたのに」(別にあの子の魅力なんて俺さえわかってればそれでいいんだ)と心の中で思うが、同時にコーンの心配をするキョーコを思い出して、よく何もせずに我慢したとストレスがたまる蓮。

俺だけがあの子の魅力をわかってればいい!最高!!いや女優なんだから皆の京子になっていってくれないと困るんだけど。

突然スタッフがざわめく。富士の情報部からの情報で来月の12日に、クー・ヒズリ=かつての嘉月、保津周平が映画のPR兼ねて日本に帰ってくるんだという。

そのころキョーコはそのクー・ヒズリのお世話係をやれとローリィ社長に言われていた。君は君らしくごくごく自然に普通~にしてればそれでいいんだ。そうしたら絶対すべてのことがうかくいくから♬
ローリィ社長に「普通にしてればそれでいいんだ」と言われるのは怖い。

(ACT.102 ふ・た・り☆のファイアーボール)
ラブミー部のどピンクつなぎを着て空港で出迎えるキョーコに、いきなりガンを飛ばし、英語で馬鹿にしたような言葉を吐くクー・ヒズリ。一時間半かけてつくった京都の料亭のような料理を完成させたところでポップコーンを食べながら現れたクーは、吸い物がしょっぱすぎるという。それはたった今まで貴方が大量にポップコーンを食べてたせいですよと反論するキョーコ。目の前で洋食のルームサービスを頼み、キッチンで生ゴミが大量にでたからとりに来てくれと言う。お前のような素人が作る料亭くずれのクソな料理が食べたいなんて一言も言ってない。「食べる気なんてなかったんでしょ」「文句があるなら社長に言ってもいいぞ。私にはこの仕事は荷が重すぎます。どうかやめさせて下さい」って。どういうわけか嫌われているキョーコ。社長に電話をかけようという手を止めて、「社長にお電話なら自分でさせていただきます」とにっこり微笑むキョーコ。

蓮の出演準備中のスタッフもクー・ヒズリ来日に盛り上がる。社長に「そろそろどうだ。ちょっと奴と会ってみる気にはならないか」と言われたことを思い出し、沈む蓮。社長は無言の蓮に「まぁ無理にとは言わんが」と。そこに興奮して駆け込んできた社さん。「大変だ。今、テレビでクーが」「俺は見たあの一度見た者の目に焼き付いて離れない魔のユニフォームと栗毛の髪。一瞬で顔も映ってなかった。あれ絶対キョーコちゃんだ。」と。こういうときあの目に痛いユニフォームは便利。キョーコちゃんには便利じゃないけど。

2022年3月7日月曜日

スキップ・ビート!16

2007年6月19日

(ACT.91 ラブストーリーは突然に-※※リピート)
蓮の部屋への突然の尚の訪問に、固まる社さんとキョーコ、驚く蓮の前に、自分もいると一生懸命顔を出す百瀬さん。京子が部屋に戻ってこないので心配して不破さんのところにフロントから電話をしてもらい、不破さんのところにも行ってないので更に焦ったけど、昼間のストーカーの話は極秘なので、不破さんと共に緒方監督に相談したら、京子が敦賀さんといると聞いて確認に来たという。

謝るキョーコと社さんだが、尚は「一番悪いのは、役に汚れたイメージがつくのが嫌だからって”男絡み”の事件自体モミ消そうとしてるのに、コソコソ、キョーコを自室に呼び入れたその男だ。」と蓮を指差す。

キラキラ笑顔で「俺が浅はかだった」という、毒吐き紳士スマイルで百瀬さんに謝る蓮。そして「どうして関係者以外の不破君が昼間の事情を知ってるんだろう?」とキョーコに似非紳士スマイルで聞く。腹を括って正直に話そうとした京子だが、尚が「このマネージャーから事情聞いてんだろ?それとも関係者全員が知っててあんたにだけ知らされてない内容があったりするとか?」どきっとする社さんと京子。「一応主演張ってんだからあんたのマネージャーやそこのお嬢さん(百瀬さん)くらいは知っとかなきゃ恥ってもんだろ。誰がキョーコを魔の手から守ったのかとか」と聞いて蓮の顔が変わる。社さんも真相は知らなかったので聞き返すと、「ああ、そういえば『林で気を失っていたところを発見された』事にしてあるんだっけな。その他大勢の関係者には」との尚の言葉に更に顔色を変える蓮。

まあここは尚の言うことが正論。同じホテルに居るんだから尚のことは隠しきれなかっただろう。キョーコちゃんまさか尚が押しかけてくるとは予想もつかなかっただろうけど。しかしこれではキョーコちゃんはなぜ蓮が怒るのか理解できないだろうな。

蓮の顔がみるみるうちに険しくなり「悪いけど少し一人にしてくれ」という。

落ち込むキョーコと社さん。キョーコは単純に自分が隠し事を下から蓮が怒っていると思っているが、蓮が怒っている原因がよくわかる社さんは、かなり引きずることがわかって憂鬱。一方自分の存在を誇示するつもりで曝露したものの、蓮がキョーコのことを単なる後輩と思ってないことを思い知らされて愕然とする尚。

いずれにせよ、今回は尚しか助ける人はいなかったんだからしょうがない。とはいえ、蓮も20歳の若造だから、気持ちを制御しきれないのはしょうがないか。尚が現れるなんて全くの予想外だったし。ますます三角関係がもつれ合って面白い展開になってきた。でも昼間あんな目にあったあとで、敦賀さんの顔色をうかがってビクビクするキョーコちゃんが可愛そう。

しかし、その昔の骨折したまま瑠璃子ちゃんと演技対決して意識を失ったときに、心配してくれたのも(3巻ACT.12)病院に連れて行ってくれたのも(3巻ACT.13)社さんだし、DARK MOONで未緒が何故美月を憎むのか、キョーコが飯塚さんのテストに答えられなかった部分を、蓮は示唆はしたものの答えはくれなかったので悩んでいるところを、愛のムチだとなぐさめたのも社さんだったし(10巻ACT.57)。今回の社さんも尚のことを報告しなかったことで、キョーコと共に蓮の怒りをかって部屋から追い出されて、自分も落ち込みながらもキョーコちゃんを慰めてくれたし。いつも優しく、蓮とキョーコの間をもたせてくれる社さん。

If looks could kill, I'd be dead right now.を地でいく敦賀さん。

レイノは尚にボコボコにされて森で倒れているところを、ミロクたちに連れて帰られて、部屋で棺桶に籠もっている。

(ACT.92 ラブストーリーは突然に-※※※リピート)蓮がにっこり笑いながら、「幻滅したよ。君とはもう仕事以外では口もききたくない」と言う夢を見て早めに目を覚ましてしまったキョーコ。気を取り直してホテルの近くのコーンの森に似た渓流に散歩に行く。

蓮も、不破がキョーコを守ったと聞いて昨夜キョーコをビビらせたから二度と心を開いてくれないだろうと思いながら散歩にでていた。なぜキョーコはストーカーに怖い思いをしているといってくれなかったのか(現在の蓮とキョーコの関係で沖縄に居る蓮にまで甘えられないのは当たり前だけど)、なぜ自分は気付いてやれなかったのかと悔いを抱きながら。

そして二人はばったり出会う。一瞬朝日のせいか敦賀さんの髪が金髪に見えて、コーンの面影を見て息を呑むキョーコ。はるか昔からのキョーコのメルヘン思考を知っているのでキョーコが来た理由を想像できる蓮。二人して固まる。とりあえず怯えさせないようににっこり笑って話しかける蓮に、正夢だと思いながら後退するキョーコ。もう関係を取り戻すのは遅いかと絶望的な気持ちになる蓮だが、必死の形相のキョーコからでてきた言葉は「そちらにお邪魔してもよろしいですか」神々スマイルになる蓮。

(ACT.93 ラブストーリーは突然に-※※※※リピート)
このACT93の扉は、最初にスキップ・ビート!を読み始めてはまったマンガParkのスキップ・ビート!のトップ画像でもあるのだけど、この画像を見て想像していたのと全く違うマンガだった。

とりあえずキョーコと普通に会話をしようと「こんな朝早くこんな所にどうして居たの?」と言う蓮に「元気(パワー)を充電(チャージ)しに」と恥ずかしそうに笑うキョーコ。思わずギュッと抱きしめたくなって、無表情になってため息をついて、ホテルへ帰ろうと歩き始める蓮。突然思い出して「昨日の変質者ともしハチ合わせたらどうするつもりだったんだ」と言われて、昨日のストーカーは行きずりの人ではなくて、不破尚とレイノのケンカのとばっちりにあったこと、敦賀さんに電話したときはまだ具体的に何かされた訳じゃなくて、すごく敵意をもたれてて不気味で怖いというだけだったこと、ああいうビジュアル系の人って早起きして散歩したりしないことを話す。

「復讐を誓ってる敵に守ってもらったなんて情けなくて敦賀さんに幻滅したとかいわれるんじゃないかと・・・」「ストーカーに追いかけ回されている理由を知っていたのは不破一人なんだし、女の子一人じゃ太刀打ちできない相手なら、たとえ不破に守ってもらった形になったからっていって、君に幻滅したりなんかしないよ(また「君」呼びになってる)」「別に君が不破に守って欲しいって頼んだ訳じゃないんだろう?」(「俺に遠慮したクセに不破に頼ってたりとかしたらそれこを許さないよ。」)って通常吹き出しには『。』も『、』もないのだけど、なぜかここにだけある)否定したものの、頼っては居ないけど、危機に浮かんだのは不破の顔だったのが後ろめたいキョーコ。

部屋で社さんと朝食中の蓮。昨夜のことはもう立ち直っているとのことで(今朝キョーコにあったから)社さんは蓮に、朝ご飯を全部平らげるように諭す。食べ過ぎた蓮は運動をするつもりで階段を降り始めると、キョーコと尚が話していた。「昨日のことを感謝しちゃいないけど一応礼をいっておく」といいながら、言い合いになって言葉でじゃれあう尚とキョーコ。思わず盗み聞きしてしまった蓮は、DARK MOONの現場に朝現れたキョーコと尚の会話のように自分にはわからない話で二人は他の誰も立ち入れない空気を作っていたこと(14巻ACT.82)を思い出す。尚が、レイノは獲物の俺に手も足も出せずにボコられたなんて、俺はヤツだったら男としてのプライドで絶対に誰にも言わないというのだが、アイツにそんな男らしいプライドもなかったら、アンタだってただじゃ済まないのにというキョーコ。「自分がどうなるかなんて考えてる余裕あるか。お前の無事しか頭になかったんだ。」「俺、お前の事」ハッと駆け寄る蓮。

しかしスキップ・ビート!の擬音面白いね。蓮が階段を降りるのがタモタモタモなの・・

ここで告白できてたら話の進み方も変わったかな。この時はキョーコの安全のことだけを考えていて尚が格好よかったんだけどね。

(ACT.94 ラブストーリーは突然に-エンディング①)
出会ったときからキョーコには尚が一番。再開しても復讐という形でキョーコの心を占めているのは尚。10年前のキョーコとの出会いと再開してからの今までが走馬灯のように巡った蓮は、(「二人が再開するのがたとえ運命でもたとえ神の意志でも定めでも、この俺がぶち砕く。神にだって背いてやる」)とまさに尚が告白しようとしているところに乗り込み、会話に割り込んで、「最上さん、もう準備できてるのと、腕時計を見ながら集合時間までに30分ないんだけど」と声をかける。だけど、蓮さんあなたの右手の腕時計はこの時点では解説されてないけど、2時13分でとまったまま時計としての意味はなしてないはず(27巻ACT.160とか)。ここでは小道具か。あわてるキョーコに一緒に朝食にいこうと誘い、不破には笑顔で「事の詳細を聞いて、君には心から感謝するよ。本当に助かった。ありがとう」とさわやかに礼をいいながら、キョーコをカップル抱きする。しかしキョーコに気持ちアピールもあったのに、キョーコには全く通じずに「敦賀さんがお礼を言うようなことじゃないと思います」とバッサリ言われて、蓮の気持ちにキョーコはまったく気付いてないことを、尚も蓮自身も知る。

まあ10年前のコーンとしての出会いから蓮さんは尚に負けていたから、ここでなんとかひっくり返したいところだろうな。でもやっぱりこの時点ではキョーコの心を占めているのは、恋ではないけど尚の存在。ただ10年を経てキョーコと再会した方が、運命だよと蓮に言ってあげたい。

蓮も尚もお互いのキョーコに対する気持ちがわかっていて、牽制し合ってるのに当のキョーコはまったく気付いてないのが、今後の展開を予感させる。

複雑な思いの蓮だが、尚は「俺に借りをつくったみたいな状態が嫌なんだろう。お前の言うとおり『助けた』事で+-ゼロなんだ。お前に恩を売ったなんて思ってねーよ」更に心の中で(「本当は+-ゼロじゃない。キョーコ、俺にはお前が気づいてない、お前にもらった借りが一つあるんだ」)とビーグールに気持ちで負けそうになっていた自分を鼓舞して誇りを取り戻させてくれたことを感謝している。「俺はもう敗北感も絶望感も誰にも感じない。誰にも負けない。俺がこの世で俺を落とせる機会をやるのは、キョーコ、お前だけだ」と。この頃の尚は本当に格好いい!!最低なことをした男だというのは変わらないけど、「今後もなりふりかまっていられない状態になりそうだ」といいながら、告白するつもりもなく、それでいて独占欲の塊でキョーコを怯えさせるのに蓮もなあ・・めんどーな男だ。尚が過去をほんとうに反省して生まれ変わってキョーコを真剣に追いかけるというのなら、いいのだけど、今後もとんでもないヤツだからまあキョーコとは一生ケンカ友達の幼馴染みでいてくれ。尚の言葉をキョーコは挑戦状だととったが、蓮には告白にしか聞こえなかった。尚が挑戦状をたたきつけたのは自分だということもわかっていた。

キョーコにつき合って朝食をもう一度食べた蓮は、ロケバスで仮死状態。不審に思う社は、キョーコが蓮に無理矢理朝食を食べさせたと謝りに来たのを聞いて、遊ぶ目になったものの、大人しく消化剤を渡す。「訊かなくたってわかるよ。どうしても譲れないモノがあったんだろう」と。「たとえどんなに自分が不様で格好悪くなろうとも、さ。」社さんいい人だね。でも最初の蓮で遊ぶ気満々の目つきした社さんも最高。

(ACT.95 ラブストーリーは突然に-エンディング②)
新しい曲ができたと楽譜を祥子さんにコピーに行かせる尚。メンバーとスタッフに渡してしまうと、誰がビーグールに流した犯人かわかってないのにまた盗まれないか祥子さんは心配するが、尚は盗んで見ても、ビーグールは絶対商品にはできないという。ここから不破尚不敗神話の始まりだと。

DARK MOONの撮影が一段落したが、お昼休みが始まると、蓮は睡眠とりたいということで消える。社さんが、昨夕お疲れの中、蓮は京子ちゃんとだけは会ってたみたいなんだよねと思わずもらすと、「敦賀君とそんなスウィートタイム過ごせるなら私もストーカーされてみたかった」という女性陣4人に、キョーコから伸びた怨キョが絡みつき、恐怖に駆られた皆は逃げていく。「キョーコちゃんって本当に怖い役上手いよね。日本で右に出る役者居ないよ!!それ天役(天職)だよ!!」と鳥肌立った社さんに絶賛されて複雑なキョーコ。
怨キョ、いっぺんに4人も金縛りにできるのスゴイ。怨キョはショータローにいいように利用されて捨てられてからでるようになったと思うけど、いずれキョーコの恋が実って幸せになったら消滅するのかな。ACT.302で敦賀さんのエンジェルラダーにあって、よれよれに干からびてるし。

ロケバスで一人横になった蓮は、かつて太刀打ちできない大きな力に潰されて負けた(アメリカでの少年時代に監督に首にされたこと?サラブレッドの久遠に反発する勢力に潰されたこと?」)ことを思い出して敗北感に浸っていた。

そこに入ってきたのは、蓮は無理矢理食べた朝食のことを思い出して気持ち悪くなったからロケバスで寝ていると社さんに聞いて、謝りに来たキョーコ。「何か私にして欲しいことないですか」とキョーコに言われて尚の顔が思い浮かんだ蓮。

一方バンドメンバーの一人のスパイから新曲の譜をもらったビーグール。ちっとも学習しないヤツだと尚をあざ笑い、弾き始め呆然とする。その頃尚も、自分のスタジオでスタッフと音出しをしていたが、聞いたスタッフも祥子さんも呆然とする。

(ACT.96 ラブストーリーは突然に-エンディング③)
尚の書いた新曲はどう聞いてもビーグールの、不破から一位を奪ったデビュー曲「Birth」を、もっと気が利いたアレンジを施したモノだった。だいぶ作り替えては居るけどサビまでくれば誰だってわかるという代物だ。作った本人でさえ、ワイルドかつサティスティックにつくりかえられて、ヒットエンドランでポイズンな殺しの調べで格好いいと思ってしまうほどの出来だった。(ってどんなんだ、さっぱりわからん)おまけに最後の譜面に五線譜まで手書きしてあるのは、真の新曲かと思って音出ししてみると、誰が聞いても「高笑い」とわかる音だった。

「ビーグールのあんなヘナチョコ曲、1、2回聞きゃ嫌でも覚える。あんな曲、頭で譜面に起こして作り変えするくらい、俺には息吸うくらい簡単だ。」という尚に、もしかして不破尚って俺達が思ってたよりずっと本当にスゴイミュージシャンなんじゃ・・・と思うスタッフ。

「レコーディングを始める。だから今ここにいるメンバー、スタッフ全員ウチのマネージャーに携帯を預けてくれ。あんたたちには俺が演奏する原曲を耳で覚えてもらう。そこから編曲編成して完成させていく訳だが、そんなミーティングの様子や試演をスパイに外部に流されちゃ元も子もない。はっきりいってこの中の誰が犯人かなんてあんたら全員を信用してねー俺にとっちゃどうでもいい事だ。ただ俺はあんたらの一流の腕の才能は信じてる。一流の音・センス・編集能力さえもらえりゃ俺に文句はねーんだろよ。くれるだろ?俺に最高の音を。」
尚は17歳だっけ。スタジオミュージシャンの方が、年上で音楽活動も長いんじゃ無いかな。よほどカリスマ性があるのかな。

ロケバスでキョーコに「何か私にして欲しいことないですか」と言われて、尚の顔が思い浮かんだ蓮は夜の帝王の顔になって、キョーコの髪に触ろうとして、固まったキョーコの顔を見て我に返り、「枕がないと眠れなくてといって膝を貸して欲しい」と。この子なら、俺のことを軽蔑するといって心の中から俺の存在を抹消すると思ったところで再び尚の顔が脳裏に浮かぶ。しかし寝ていると信じたキョーコが、熱がないかどうか確かめた後、蓮の髪を指で梳くと、胸の奥手とぐろを巻いてた鈍く思い塊が溶けていくのを感じる。

蓮はほんとうは何をして欲しいと言おうとしたのかな。答えは今後もでてこなかったと思うけど「君の」まで言ってるから「君のすべてが欲しい」かな。

でも近距離で蓮の髪をなでなでして、染めているのがバレないの?

この最後の膝枕して幸せそうに二人の世界に浸っている場面好き!いつかずっとこんな幸せな時間が二人に訪れますように。16巻は2007年6月19日発売だから、このあと15年連載がすすんだ2022年現在もまだ見られないけど。

備品をとりに来て、敦賀さんが寝ているはずなので起こさないようにこっそり入って、膝枕の二人を見てしまった緒方監督は、敦賀君ってもしかして京子さんのことをって思ったことあったけど、まさかもう既にそんな仲だとは、でも京子さんって不破君と特別な関係なんだと思ってた。どうなってんのと一人ドキドキしている。

この緒方監督も最高にかわいい。