2021年6月29日火曜日

高嶺と花

姉に、父の勤める会社の親会社の大財閥の御曹司である才原高嶺とのお見合い話が来た。姉には恋人がいて見向きもしないのに、立場上父は断れずに、とりあえず高校一年生の花が身代わりとして出席する。厚化粧に鬘をして似合わない大人びた服を着込んだのに、高嶺から見破られ、見下した態度をとられて怒って鬘を投げつけて、席を立つ。

ところが高嶺からは気に入られて、相変わらず失礼で見下した態度のまま連れ回されるようになる。 反発しながらも互いに惹かれていって、見合いを継続する2人。

高嶺は昔からよくよく人間関係にトラブルを起こすようで、学生時代に気まずいままになっているファッション業界の御曹司ルチアーノさんと再会するもののギクシャクしている。しかしいつの間にか花の仲間と馴染んでしまって、花の高校や幼なじみの家のお好み焼き屋までよく出入りしながら、複雑な高嶺と花の相談相手になるルチアーノさん。

優秀な部下霧ヶ崎から別れるように言われて改めて高嶺への気持ちを自覚する花。結局霧ヶ崎も花を認めるようになる。

途中で財閥会長の祖父にすべての財産を取り上げられて花の父のいる孫会社で一からやれというミッションを課されて、今までのプライドをすべて失って花も拒絶する高嶺を強引に助ける花。

祖父の次のミッションは、会長に用意された豪華な家に引っ越した花一家(野々村家)との同居。一階と二階に別れて暮らすもののトラブル続出。

アメリカから帰国した高嶺のいとこの八雲は高嶺に複雑なライバル意識を持っていて、屈折したサイコパス。誘拐されて命の危機にあう花を、幼なじみのおかモンと高嶺の協力で、追う。ヘリコプターで劇的に乗り込む高嶺が、人質の花を救うためプライドも捨てて服を脱ぐ。

幼なじみのおかモンは花に二回告白。真に受けて身を退こうとする高嶺はおかモンに罵倒されて自分の気持ちやその適切な表し方を少しずつ自覚していく。高嶺はやっと素直に自分の気持ちを伝えて晴れて恋人に。

勢いで祖父の前で婚姻届を書いてしまって、入籍した高嶺と花、祖父からのプレゼントで高層マンションで二人だけの新婚生活?を送ることになって、ギクシャクしながらだんだん素直に気持ちを伝えられるようになっていく。

いとこの八雲も高嶺の信奉者である息子の大海の家出を伴う抗議で、これ以上高嶺に嫌がらせをしないことに合意して、強すぎる母親氷冴世の影響からも距離を置けるようになって、八雲と高嶺の間にも和解が見えてきた。

そしてくせ者だらけの鷹羽一族へ二人の入籍発表会。陰口をたたくものも多い中で、ルチアーノさんは一族を引き連れてお祝いと応援、花の家族も応援に駆けつけ、八雲はスキャンダルにしたてようという週刊誌を牽制。

お祝いの席での挨拶で、「自分がその席にすわるのにふさわしいと思っているのか」という意地悪な質問に、花は「少しもひけ目はありません 私が納得したからここに座ったんです そうでなきゃ彼に失礼ですから」と堂々と答える。生意気だと憤慨する人、肝が据わっていると面白がる人。まだまだこれからもありそうだけど、とりあえず一件落着。 

そして半年後、花は大学に合格し、おかモンはプロのサッカー選手に。

花は結婚式と披露宴は、花の希望通り高嶺のお母さん十和子さんとおじいさんが出席して、いままでのわだかまりも解け、結婚の誓いはいつも通り高嶺のむちゃに花は誓わず、花のささやかな誓いを高嶺が誓い、ハッピーエンドに。

しかしあのサイコで花を殺そうともした八雲が、高嶺と和解してこれから二人で鷹羽グループをひっぱっていきそうな展開はちょっと無理がある。人間ってそんなに急に気持ちを切り替えられないよ。

ルチアーノさんの「人を好きになるって相手のこと全部好きになんなきゃいけないって事じゃないよ 嫌いなとこあったっていいんだ 何個でも それを差し引いても寄り添っていたいって思える気持ちが愛ってやつなんだから」という台詞に救われたような気がした。推しの芸能人でもスポーツ選手でも漫画でもあるいは現実の人間関係でも、その人、その作品が100%好きということはないけど、好きな人の嫌な部分を見てしまうと失望するけど、恋人であっても100%好きである必要はないんだという考え方はほっとする。

ハンサムで大金持ちででも残念な男性が、元気いっぱいが取り柄の女の子に惹かれていって、二人とも変わっていくという少女漫画の王道だけど、テンポのいい展開が面白かった。

関係ないけど、「高嶺のハナさん」という漫画もあって、検索するときにいっしょにひっかかってきてしまう。

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2021年6月28日月曜日

コレットは死ぬことにした19

(110話 2021年2月25日花とゆめ5号 2021/2/5発売)
タン兄ちゃんの護衛としてコレットが頼んだのはヘラクレス。ヘルメス様が天界に帰る前に探してコレットからの伝言を伝えてくれて村にやってきた。イオさんことディオニュソス様と同じようにヘラ様から憎まれていてお互いの名前は知っている。(特に親近感はないけれど)「気の毒なことで」というのが初対面の挨拶。あいかわらず財布をなくし方向音痴でどこに馬を置いてきたかわからないというヘラクレスに「あれが勇者ってウソだろ」と心の中で思うディオニュソス様。護衛の料金はタン兄に預かってもらうという会話を聞きながら突然自分も山向こうまで連れて行けという。帰るという。冥府でばったり会えるといいなとコレットも思う。タン兄ちゃんの旅立ちは村人総出で見送り。相変わらず子ども達に大人気のイオさんことディオニュソス様。突然セラが、「おれいつか先生の診療所みたいです。おれも旅して外を見てみたい。海も見たい。おれ遍歴医やってみたいんだ」という。自分はセラを応援したいけれど、そうすると二人が一人前になったら次はセラとポーラが弟子を取るのがいいと思ったけれど考え直さないととも思う。そこに自分の名前を書いてという子ども達が次々に来る。トルカちゃんも「もっと字教えて欲しい」と。「字がわかる子が増えたら薬師になりたいって子が増えるかもね」と。村長さんと話をしようと思うと、セラとポーラの父であるタイラおじさんと村長さんが診療所に来ている。コレットが「子ども達に本格的に文字を教えて、もし薬師に興味を持つ子がいたら弟子に欲しい」というとまさにそれを言いに来たタイラおじさんは、「息子を尊重してくれてありがとう。一人であれもこれも考えて頑張るつもりでいたんだね。もっと大人を使っていいんだよ。我々こそ何でもしよう。君やセラやポーラを見てきたこの村は君に一人で村を背負わせていたあの頃とはきっと違うから」と。タイラおじさんがセラやポーラと共に診療所に入った後、村長さんにお礼をいうコレットに、村長さんは「結婚は考えているかい?」という「今は忙しいだろうかいずれは村の誰かと・・・もちろん里帰りもまたしたらいいしな そのためにも薬師を育てるのはいいことだ」

一人になったコレットは村長さんの言葉を反芻する。「結婚?」「私が?」「誰と?」思い浮かんだのはハデス様の後ろ姿。

コレットは17歳、結婚話が出るのはもっともだけど、永遠の若さと時間があるハデス様、コレットとの将来をどうするかいつ真剣に考え始めるかな。

(111話 2021年3月5日花とゆめ6号 2021/2/20発売)
村では大人達の話し合いが開かれて、コレットとセラとポーラも参加した。将来遍歴医をやりたいセラのため、そして村の薬師を途絶えさせないために村が協力してくれることになった。ポーラもコレットと一緒に往診を始めた。途中でタイラおじさんが子ども達に字を教えているところに行き会う。村の女性達もご飯をもってきてくれたり協力してくれる。ササラちゃんの村と同じように、この村も大丈夫だとコレットは思う。

村長さんを見かけて、先日の「結婚は考えているかい?」という言葉を思い出す。ポーラは結婚はまだあんまり想像できないという。コレットさんはと聞き返されて、人間と神様だしどう暮らすかとか色々あるし、ハデス様が告白してくれたとき腹を括ったっていったのは いつか私がハデス様を忘れる日が来てもっていうのはそういうこと。だから自分もと思って「しない」と返事する。ポーラにとっては結婚しない女の人って見たことない。コレットは薬師は自力で生きていける。年を取っても。井戸に飛び込めば会えるし?と考えたところで、問題があるとすれば自分だけしわしわになっちゃうことだと思い当たる。ただでさえハデス様きれいなのに。こうなると永遠に若い美男子は罪。

セラとポーラは診察が終わった後も夜遅くまでコレットの指導のもと医学の勉強を続けるので、コレットは何日も冥府に行けてない。薬箱をかついで井戸の縁まできたもののくたびれ果てて寝ることにしたところで、井戸からあがってきたコツメ君と顔を合わせる。コツメ君は冥府のすべてのメンバーからの手紙を持ってきてくれた。冥府のことを気にとめない日なんてない。皆にとっての私もそうだよって言われたような気持ちで嬉しいコレット。特にハデス様からは前回事務報告のような手紙をもらったけれど(10巻59-60話)、今回はコレットを応援するすてきなラブレターで心打たれる。

眠りに落ちながら、年を取ってもハデス様に好きでいてもらえるような、皆に好きでいてもらえるような、可愛いおばあちゃんにならないとねと思うコレット。
だんだん切なくなくなる。でもコレットの仕事を評価した最高に素敵なラブレター。

(112話 2021年4月5日花とゆめ8号 2021/3/19発売)
天界に戻ったヘルメス様にコレットとの旅の話をあれこれ聞いてうらやましくなったゼウス様、自分もコレットに会いたいといったら、野良猫としてならといわれる。コレットにバレないようにいつもの白猫ではなくぶちねこになって、往診に行くコレットとポーラについていく。コレットの仕事の邪魔になってはいけないから20秒で帰ってこいとか(いやほんとうはコレットに手を出さないようにだけど)黒猫になったら冥府と戦争する気かよ空気読めとか、ヘルメス様最高!往診中は猫に触れないというコレットもポーラもプロ意識高い。

タイラおじさんが子ども達に字を教えているところに通りかかる。子ども達の人気者となってそちらに加わるゼウス猫。その中の一人モネちゃんはうちのおばあちゃんはコレットさんとポーラさんに診てもらっていて、自分も薬師になっておばあちゃんに薬作ってあげたいという。コレットさんもポーラちゃんもセラくんも立派な理由で薬師になってるし自分にはそういうのないし、面白そうだけど裁縫の方が好きだし、診療所に通っていても気持ちが湧くわけではない。イタン先生の診療所にはかるーく入ってくる人もいて半分は辞めちゃうけどそれはいいんだっていうけど、この村でそんなことになったら皆がっかりする。お父さんもお母さんも自分でもがっかりする。それって怖くない?とゼウス猫に語りかける。だからもう診療所には行けない あの席はモネが座る方がいいもんといって帰ろうとするトルカちゃんの後ろ姿に「ほんとうにいいの?」と思わず語りかけて慌てて草むらに身を潜めるゼウス猫。友達にあんな志言われたらそう思っちゃうかもね。でも「あの席はモネが座る方がいいもん」という言葉には未練が残っていそうだよ?じゃなきゃ猫にこぼしたりしないでしょ」と立ち上がってお節介を焼きにコレットに告げ口に行くゼウス様。

診療所に行かずにうちの前で裁縫をするトルカちゃんに突進してくるコレット。「薬師のこと面白そうって思ってるんでしょ?いいじゃんそれで お裁縫が一番好きでもいいんだよ?」「だから 途中で辞めるかもしれないんだって」「いいよ そのときは誰にも口出しさせない この仕事を後戻りできないような重いものにしたくないもの」

「何でその話知ってるの?」そこにやってきたゼウス猫「まさかあんたが告げ口したの?他に言ってないんだけど?」冷や汗かきながらお腹を見せて転がってみせるゼウス猫。ドキドキしながら見守るコレット「なわけないか猫だもんねどう見ても」ゼウス猫に何か感じたのかトルカちゃんは最後に「でもま ありがと猫」と。遅ればせながら今日も見学に行くことにしたトルカちゃん。

親の仕事を継ぐのが当然の片田舎の村で、コレットの弟子になったセラくんポーラちゃんも革新的だけど、更に村を出て遍歴医になりたいというセラくんは更に先駆的。それを認めるセラくんの両親も村の人も村長も頭が柔らかくて、優しい。こういう村だから、薬師になるのも辞めるのも認めてもらえるかも。辞めても薬師を手伝うことはできるとわかるともっと気軽に「なりたい」と言えるようになるだろうし。

ゼウス様はどういう形でコレットに正体を現してトルカちゃんの話をしたのかな。もともとタマさんとしてコレットの診療所に滞在してたことがあるし(2巻10話11話)、ポーラたちに見られてもそれほど違和感がないかも。4コマ漫画で見たい。

(113話 2021年4月20日花とゆめ9号 2021/4/5発売)
ゼウス猫は冥府に行って、コレットからの手紙を届ける。ハデス様にコレットと会った自慢話をしながら。「向こうが来れないならこっちから行かなくちゃ」とのアドヴァイスに「行った」と。夜遅くコレットの診療所の外からようすをうかがうとまだセラとポーラを教えている最中。そしてせっかく待っていたのに終わったらいびきをかいて寝てしまったようす。「たった一回で諦めちゃったの?」「代わりに手紙を」「再トライ再トライ会えるまで会いに行くのさ」とハデス様の顔を親しげに叩いてアドヴァイス気取りの態度に「参考にする」とはいいながらハデス様の怒りをかったもよう。

しかし裁判の合間にその話をしながらラダマンテュスからも「ハデス様この際一日お休みを取られてはいかが?ゼウス様のように猫とはいかずとも旅人のふりでもすればコレットさんに会えましょう 一目お顔を見せてさしあげたらきっと嬉しいんじゃないかしら」ミノスも「俺達三人に裁判を任せるのは不安?」と「いや不安はないが」といいながら考えるようすのハデス様。

神話ではハデス様はそんなに裁判をせずに、3人に任せているようなので、ここでもこれからはなんなら交替でお休みをとれば、ハデス様の働き方も画期的に改革される!ゼウス様はなんと言っても女性を口説く経験は豊富。でも前にコレットが言っていたように、ゼウス様はまめで人を楽しませるのが上手なのであって(2巻10話)、別にゼウス様のように次々恋人をつくるのでなくても、コレットに喜んでもらうために、ゼウス様のアドヴァイスは一見の価値がある。

モネちゃんの家に往診にいくコレットとポーラに、モネちゃんとトルカちゃんはついていって見学したあと、二人とも薬師になりたいという。トルカちゃんは研究家タイプであることも発見。二人の家も応援してくれた。村長さんには気負わせないように見守ってくれるよう頼む。後輩が出来たセラもポーラも喜ぶ。明日は診療所はポーラとセラに任せて街に行って二人のために青服をつくりにいくというコレットに、明日に備えて今日は居残りせずに終わると二人も言う。

何日ぶりかで冥府に行くチャンス。井戸に突進して飛び込もうとしたところで、隠れ兜をかぶって待機していたハデス様が姿を現す。仰天するコレット。井戸端では、新しく薬師見習いが二人もできたこと、ゼウス様とトルカちゃんのことなどをハデス様に話す。

明日は一人で街に行って青服を作るというコレットに「私が隣にいてもいいだろうか」と。ハデス様が休みを取ると聞いて再び仰天。「いつぶり?(4巻24-25話ぶり あの時もミィナさんのお産のために10日くらい会えなかった後だった)」といいながら大喜びするコレット。手紙をもらって嬉しかったのは、皆と全然会えてないけれど、私冥府とちゃんと繋がりがあるんだって。との言葉に何か感じるハデス様。(「いつぶり」というのははやり言葉だけどどうも違和感を感じる。)

ハデス様は自力で地上と冥府を行き来できるのだし、隠れ兜で姿を隠すこともできるのだから、ハデス様からコレットにもっと会いに行ってもいいのにと、コレットが村に帰ってから思っていたので、予想どうりになってよかった。コレットは冥府の何なのか、そろそろ身分を考えてもいい頃。永遠の時を持つハデス様には急ぐことではなかったようだけど、少しは考えるきっかけになったかな。

(114話 2021年5/5・5/20 花とゆめ10-11合併号 2021/4/20発売)
ハリー特注の日よけ効果満点マントを着たハデス様と街でデートするコレット。村でカンパしてくれたのでトルカちゃんとモネちゃんの青服を注文する。ハデス様のマントが以前ここで買った布で仕立てたという言葉に(4巻24話のハデス様のお買い物)、盛り上がる針子達にマントを脱がされて、服の縫製が凄い!デザインすてき!ハデス様イケメン!と盛り上がる。「ハリーのこと褒められてたって言ってあげたらきっと喜びますよ」というコレットに、一瞬無表情のハデス様にちょっとあれって思ったけど、コレットは今回は(前回4巻24話もだけど)どこから街に来たのかな。冥府経由ではないの?ハデス様と待ち合わせ?冥府に帰って自分でハリーに言わないの?という違和感。

ちょうど花嫁行列に出会って祝い花をもらって蒔くコレットとハデス様。綺麗な花嫁さんに「おめでとう」といったあと、「あの人は今日から誰かの奥さんになるんだ すごい いいなぁ・・・」と思ってそのまま物思いに沈んで、周りの人がコレットにぶつかって謝っても気がつかないようすを見ていたハデス様、コレットの手を引っ張って日陰に座らせる。具合でも悪くなったかというハデス様に 「全然 あっ花嫁さんきれいでしたねっ」と笑うコレットに、「その顔昨日も見た気がする ”冥府と繋がっていたい”そう言わせてしまうほど不安にさせていたのだな」と「私は気づけていなかった 愛しいだけで満足して何も言わないお前に甘えていたんだ すまん」と言って「私と結婚してほしい 過ごす世界が違っても 同じ時間を生きられなくても 私の妻はコレットただひとりだと」

コレットの脳裏に浮かんだのは、冥府で皆に祝福されてハデス様の花嫁になる姿。
人に言えるわけじゃないし自分はこれからも診療所で寝て起きていつかおばあちゃんになるとは思うけど「はい」と答えるコレット。


もちろん男女平等だから冥府との確たる繋がりをコレットから求めてもいいのだけど、なんといっても神様と人間という圧倒的に力の違う関係だし、その神様の世界である冥界に、自分が訪れることでかろうじて繋がっているコレットだから、ハデス様にはコレットの気持ちを気づいて自分に出来ることは何か考えて欲しかったから、ハデス様の告白した12巻73話が一番好きだったけど、この114話もそれに匹敵する最強の話。

ところでコレットは花嫁さんを見てぼ~っとしてしまったあとでは我に返って"困ったように笑った”んだろうけど、前日のは困ったのではなくて、それまで不安で寂しかった反動で嬉しくて笑ったんだと思うけど。まあハデス様にとってはコレットが冥府と繋がっているのは当然だと思ってたけれど、コレットの立場からは、冥府との繋がりはそんな確固たるものでなかったことに初めて気づいた瞬間ではある。

ハデス様、告白する前にさんざん躊躇ったのも、自分がいつか取り残されるということだったけれど、自分はいずれ死んで先に去らなくてはならない身で、「好き」という言葉は神様に簡単に言っていい言葉ではないかもと思っているコレットの気持ちにもっと思いをはせてくれればと今まで思っていた。

というか・・・今まで忘れてたんかいな!!!5巻30話でディオニュソス様の宴会に行けなくても「ここに来れることが ハデス様に会えることが それだけでとても幸せです」といわれて、仕事優先のつもりが気が変わってコレットを連れて天界の宴会にでかけたし、9巻55話ではコレットの知らないコツメ君の話で皆が盛り上がった後「マリー姉ちゃんとこ戻ったらまた冥府に行けない日があるでしょ? 自分の家に帰ってもそう 仕方がないんだけど ・・・やっぱり寂しいなあって だからお願いしたくなったの ハデス様と会えますように」と言われて思わずキスをしようとしたのに。

恋人同士になってからも、コレットは隙を見つけてほんの15分ほど冥府に会いに来る状態であるのを、「お前が帰ってしまうのが もう恋しい だがこんな毎日に慣れねばな 会えない日が増えることにも(18巻109話)」というのはハデス様の側の立場から見た場合で、コレットの仕事を尊重しているのはいいけど、「あまり無理しないように(19巻111話)」だけだと、コレットとしては寂しい。コレットが頻繁に来られなくても冥府の大切な一員であることを、やっとはっきり確約させてあげてよかった。ハデス様また一歩成長。人間でもこういう相手の立場を思いやるという精神的な成長ができない人も多いなあ。

ハデス様が服のせいか、冥府が涼しいせいか暑いなといっていたのが気になるけど、ハデス様体調は大丈夫?

ハデス様とコレットの結婚式、冥府の面々の反応は、多分大丈夫。ガイコツ達だって心の中ではコレットを認めているし。たぶん天界ではディオニュソス様がお祝いの大宴会を企画しそうだし、ハリーの出番。天界でもコレットは神様キラーだから大丈夫。

デメテル様とはいつ再開するのかな。ゼウス様の反応は?アスポデロスのコレットの両親やアンノ先生には報告するわけにはいかないのかな。でも冥府の妃になったのなら、アスポデロスに堂々と出入りしてもいいと思う。アスポデロスのザクロはいつ実るのかな。

あとはこの寿命と年をとる問題、本家ギリシア神話でハデス様の妻は、神様であるペルセポネだから永遠に伴侶としていられたけど、そのままではこの設定は使えない。今までの流れや作者の今までの作品や連載している花とゆめの傾向からいって絶対に解決すると思うけど、無理ない展開でどう着地するのかな。ますます終わりに近づいている感が寂しい。

そういえば「コレットのお願い」問題も保留中だった。何になるのだろう。

(115話 2021年6/20 花とゆめ13号 2021/6/05発売)

ハデス様はコレットに髪飾りをプレゼント。114話の冒頭でハリーが「ワタシとっくに用意はありましたん!とってもステキな仕事を頂けて針子は幸せじゃ」といっていたのは、この髪飾りのことだったのか。ハデス様のおでかけの洋服のことかと思ってた。ハリーは当然ハデス様がプロポーズにいくことを知っていて、コレットもハデス様も大好きだから嬉しかっただろうなぁ。さっそくウェディングドレスや、天界に二人でお出かけするための衣装も作っているかも。
髪飾りは結婚式でつけてくれと具体的になってきて、ガイコツの反応を心配するコレット。手土産をと思うがなかなか適切なものが思い浮かばない。「何を贈っても悪い気はしないと思うが」というハデス様に「ハデス様がうちのタン兄ちゃんに挨拶するってなってもそう思います?」とコレットに言われて返す言葉に詰まる。詳細は報告できないだろうけどタン兄ちゃんたちにも、何らかの形で結婚して幸せなコレットを見せてあげたいね。冥府の妃になるのなら、アンノ先生や両親(どのていど理解してもらえるかわからないけど)には披露できるのかな。
「妻になるんだから妻にふさわしいって思ってもらいたいじゃないですか」とけなげなコレットを思わず抱きしめるハデス様。
「家来達はお前のことを空いている 口には出さぬがな だから何を贈っても 贈らなくても 彼らはお前を妻と認めてくれる」と。
姑か小姑みたいなガイコツたちで喧嘩したりするけど、コレットのことを実は好きで、ハデス様にとって大切な伴侶であり、冥府にとってかけがえのない存在であることは、とうに感じられる。
二人とも今まで悩み事は、相手にいっても立場が違うからわからない、あるいはいうべきでないと、気持ちを押し込めることが多かったけれど「これから悩み事を二人で解決したい 私もお前も隠しがちだ 性分ゆえすぐには変えられぬやもしれんが 私は努力する きちんとお前に話す だからコレットも私に話してくれ」と。これも、なかなか絶妙な言葉で立場が違うからいわない方がいいかも、と思うことがあるのも自然だけど。これ相手に器量がないと、返ってうち明けた方が負担に感じるのよね。

道ばたで倒れた人(前回の街訪問4巻24-25話でもこんなことがあった)に付き添って診療所へいくコレット。待っている間店先で休んでくれとノムさんという老人に声をかけられたハデス様は、そこで店番をしている貧しいシイラという娘が、父親に言われて自分の働いている店の品物を盗んでつかまるところに行き会わせる。父親にわからせるべきだという皆に「神さまが必ず裁いてくださる 俺は信じている 死者の神さまがあの男に罰を与えてくださると」(うん目の前にいるのがその死者の神さまです)
「そんな親の元に生まれちまってあんたも運の悪い子だね」とシイラにいうノムさんに「早く死にたい 死んで神さまに言うんだ もっといいところに生まれさせてくださいって」というシイラ。「私ひと運が最高にいいんです すてきな誰かに出会えたら きっとそれは財産になるなって」と、17巻104話で悲惨な生い立ちを説明しながらいったコレットを思い出したハデス様はシイラを連れて行こうとする人達にむかって「待て」という。


2021年6月15日火曜日

おじさまと猫

pixivの連載でただで読んでいるけど、単行本も買いました。

ペットショップで売れ残って値下げしても売れなくて成猫になってしまったエキゾチックショートヘアの不細工な猫、みんなに笑われ卑下していたのに或日、神田さんという一人の男性が「この猫を下さい」「とても可愛くて私が欲しくなったのです」という。出会えたことが幸福だからと「ふくまる」と名付けられる。誰からも必要とされず自己肯定感の低いふくまるだが、広い家に一人で住むおじさまの寂しさに気づいて少しずつ心を通わせるようになる。

おじさまは実は神田冬樹という元天才ピアニスト、奥様の事故死以降ステージに上がれなくなって、今はピアノ教室の先生をしている。娘と息子はそれぞれ自分の夢を叶えるために独立していったが、おじさまは亡くなった奥さん鈴音さんへの思いを抱えている。

おじさまを慕う音楽教室の同僚たち、特に職場には秘密だけどバンドもやっている森山良春、その弟の日比野奏の弟子の森山雅人、茶子という柴犬を飼っている子どものころからの親友小林夏人の奥様はおじさまの大ファン、おじさまの才能を嫉妬していた日比野奏、ジョフロワ・ランベールも猫を通じて友達になっていった。

息子は作曲家のKIRAこと星鳴、才能があって、容姿は抜群なのにトラウマがあって人前にでるのはだめ。そんな彼が森山良春のバンドに入る???


その姉であり神田の娘空子はかつて母の訃報をステージの神田に伝えて、神田が倒れるのを目にした。でも自分の夢を追いかけるようにとの神田の言葉に海外修行中だったのが、突然帰国。

誰かの為に買い物をする楽しさを思い出してうきうきしながら猫ハウスを買ったおじさま、ふくまるはハウスの入っていた箱の方がお気に入り、でもしあわせなおじさま。猫トイレを買ってもらったけど、出し切れなかった分はトイレハイになったあと外にポトッと・・・。おじさまのお風呂につきあったら体を洗われてショックで隙間に隠れて出てこないなどなど、猫あるあるなふくまる。

ドラマは見てないけど草刈正雄は、おじさまのイメージととても合っていると思う。

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