2022年2月5日土曜日

スキップ・ビート!11

2005年10月19日発売

(ACT.61 ひかれた引き金)
演技テスト後キョーコが、「この傷は姉のひどい仕打ちで負ってしまった未緒の心の傷なんです。未緒が姉を許せない限りこの傷は一生消えません。『憎悪』という悪い魔法をかけられたおとぎ話のお姫様は、他人を憎むことしかできない自分を誰よりも実に醜いと嘆きながら、身も心も澄んだ美しい王女様にはもどれないのょぉぉぉぉ」と突然悶えだしたキョーコに、あわてる緒方監督。敦賀さんは「あれは彼女の趣味いやクセですから(昔からと心の中で付け足す)」

その夜、夢の中で10年前のキョーコちゃんとの別れを思い出す蓮。住む世界が違うからと手紙も拒否。泣いているキョーコに、のぞくと色の変わる石、菫青石を渡す。あいかわらずメルヘン思考は健在らしいと思い出す蓮。精神安定剤なのは後ほどでてくるからわかるけど、蓮様、時計とペンダントして寝るんかい!安眠出来なさそう。

20年前の月籠りのDVDを前にした蓮。徹夜で見てしまう。

撮影は、役をつかんだ京子のど迫力で進んでいる。10年前の未緒を超えるのは、飯塚さんも認めている。キョーコちゃん撮影の度に伝説を残してトップ女優になりそう。

京子が敦賀さんと親しいのを面白く思わない女性共演者だちだが、百瀬逸美さんは、京子は思ってた以上に演技できる子で嫌いじゃないと思う。

20年前の月籠りのDVDを蓮が見たと社さんから聞いて「『月籠り』なんか見ちゃったら、無意識に演技影響されたりしませんか?」という京子に、「原作より激しい、悪鬼の様な君の未緒が、今更月籠りの未緒に汚染されるなんて有り得ないから」と蓮にいわれ、むくれて蓮を笑わせる。「俺も最上さんみたいになりたいって事」「どうしても初代"嘉月"とは同じ様な演技をしたくなかったから、だから俺はあえて月籠りを見る事にした。初代の演技を知るためにね」お芝居に真摯ないつもの敦賀さんに見えたのに、ほんの少し違和感を感じるキョーコ。撮影前から月籠りを超えるのを目標にしてたのに、どうして初代"嘉月"の演技を今になって見ておこうなんて思ったのか・・なんか今まで見ない様にしてたのにここに来て、いても立ってもいられず見ちゃったみたいな感じが・・・、敦賀さんはDARK MOONで緒方監督に唯一ダメ出しをもらった事がないミラクル俳優なのに、そんな馬鹿な、と思ったところで、緒方監督のダメ出しがかかる。それは美月への気持ちが「気になる存在」だったのが「愛おしい」に成長したところ。

(ACT.62 月蝕)
事業に失敗した嘉月の父は家族を守るため古い知人だという大富豪に大きな借りを作った。その知人の口利きで、大富豪の弟のお抱え運転手を勤めるようになった。それからまもなくその弟一家が事故を起こし、娘一人を残して亡くなったとき、父は休日で事故車には同乗してなかったが、その日から悪夢に魘されて、亡くなった人達に謝罪し続けていた。そして警察に行こうと父が決心した夜に、意識を失った父と母は車に乗せられた。その車は海から引き上げられた。屋外にいた嘉月は独りその様子を見ていた。雇い主が亡くなり借金苦から一家心中ということになった。
復讐を誓ったその子は、施設で育った後、幼少の頃から頭も気立ても良く器用だったのを気に入られて養子になり、養子先の名字「橘」を名乗り、本当の名前、本当の素性は封印して「嘉月(偽名)」となった。
嘉月は自分と年の近い本郷家の長女「操」を利用して、本郷家を内部から叩き潰して復讐することにした。その操との接点として音楽を始める。
復讐のために本当の素性を隠すその状況は敦賀さんに近い

蓮は、こんなにダメだしされたことはないから、内心すごい動揺してるんじゃと心配する社さんに、坊内防諜で監督の言う事聞かなくてクビにされたことが何回もあったというのは社さんに会う前の事なんだと思うキョーコちゃん。昔は余程生意気な役者だったのかなと。確実に日本に来る15歳以前だから、子どもの頃のキョーコちゃんにあった頃かも。
嘉月と美月の間には教師と生徒であるタブー、嘉月の父親が自分たちの幸せのために美月の両親の命を奪ったというタブー、復讐のために近付いたのは操だというタブーがある。そして美月に惹かれていく自分に戸惑うリアルさ・・・と緒方監督に説明されて、先代の嘉月の映像が浮かんでしまう。
何度やり直してもフリーズする蓮、見ていたキョーコはもっと深刻な役者の命に関わるような深刻なことがあるのではと思う。
スキップビートのスピンオフとかで、劇中劇をやってもらいたい。

控え室で一人、ラブラブの手作り弁当で敦賀さんとイチャイチャするキョーコを妄想して荒れる尚。星一徹暴れって、2000年代の読者さんに通じる?

(ACT.63 そのコンタクトは許される)
敦賀さんが嘉月の演技をできなくなってしまって、監督から「思い切ってお休みとろう。嘉月を楽しいと思える様になったら出てきて下さい」と無期限の休みを言い渡されてしまう。蓮は、携帯のスイッチも切って社さんとのコンタクトも拒否し、マンションで独りお酒を飲んでいる。

不安にさいなまされる緒方監督。昨日の敦賀君はまるで少し前の自分みたいだと思う。何をやっても父の真似をしているみたいで自力で父を超えようともがけばもがく程身動きが出来なくなる。
キョーコも昨日の敦賀さんは嘉月の気持ちをどう表現したらいいのか急にわかんなくなったんじゃないかと思う。
僕を苦しみから救ってくれた様には彼を救ってあげられないと落ち込む監督に、私も敦賀さんが私を助けてくれた様には敦賀さんを助けてあげる事なんかできないと思うキョーコ。
監督が倒れたときに何と耳打ちしたか、ここではまだ読者に明かされてないから、これを連載で読んでいたら、状況がピンとこないかも。14巻ACT.79で「あなたは伊達監督とは違うんですよ」と。

でも、この状況の本当の意味、蓮も大きすぎる父の影響から逃れて自力ではばたきたいともがいていたわけだけど、「父さんの手は大きくてまだ自由に空を飛んだことは一度も無いんだ」とコーンが言っていた(13巻ACT.78)のにちょっと示唆されているけど、はっきり文章になっているのは、クーが来日して蓮と話し(19巻ACT.110)てるところだから。

自分みたいな新人になにができるだろうかと、「やっぱきまぐれロック」の収録中も考えるキョーコが、坊を片付けにいこうとした倉庫で、落ち込んでブラックホールを醸し出す蓮を見かける。天手古舞いで社さんにも訊かずに独りで悩んでいた敦賀さんを思い出して、他人には絶対本音をそのままぶつけないことを思い出す。自分の悩みを他人に相談するのは、弱みを見せるみたいで嫌なのかなと・・思ったところで、それを指摘した坊には全力で怒りを見せたことを思い出す。坊には真剣に天手古舞いとはどんな舞かを訊いたり、監督のいう事聞かなくてクビにされた事をうち明けてくれたこと。

京子は坊を着て、落ち込んでいる敦賀さんに「久しぶり」と声をかける。

(ACT.64 夜明けの呪文)「話してごらんよ。その悩み」とはいったものの沈黙が続く。天手古舞いの意味とはグレードが違うし、坊はセリフのない仕事だしとキョーコが考えていると蓮がなにかいった。「君は恋をした事があるか」敦賀さんが行き詰まってたのも、嘉月の恋の演技だったと思い出す。「君みたいな立派な男子が恋をした事がないって方がサギだよね、そんなモテ顔で恋愛経験が無いなんて言われたって」「・・・」思わず「今無いって言った?」と坊に聞き返されて顔を赤らめる蓮。この辺今の敦賀さんから想像がつかない初心顔。「正確には俺は自分はちゃんと恋をしてきてるんだと思っていた。でもある人に『お前は本気で他人に惚れた事が無い』と言われたんだ。だから今回のドラマの役は『お前に演り通せないからやめろ』って止められた」(社長さんの事ねと思うキョーコ。)「『お前は必ず演技に行き詰まる。そうすればオリジナルの真似をするしか道が失くなる』とも」。「今言われた通りの状況に陥ってる」このまま役の気持ちがつかめなかったら・・・子どもの頃役を切られたことが頭に思い浮かぶ。自分の腐った恋バナが役に立つかとショータローのことを思い出したら、妄想の中のゴキブリいやショータローを追い払おうとしてしまったキョーコ坊に腹をたてた敦賀さんは、坊の頭を引っ張る。頭のコック帽子が取れてバリカン禿げになった坊。

坊は敦賀さんの笑いのツボにはまったらしい。「敦賀さんが笑ってくれたからまあいいか」と、スタジオに戻る敦賀さんと歩きながら「誰かのふたした表情やしぐさを見て『綺麗だな』とか『可愛いな』など思わず思って見惚れてしまったりした事とかはないのかな」と。言われて、尚のPVにでたけどアイツへの復讐心いっぱいの汚れた気持ちで演技はしてなかったという時のキョーコを思い浮かべる。(車の中で無表情だったときね)「それが恋の前兆なんだよ」とキョーコ坊。

一方撮影現場には、仮面舞踏会の準備で乗り込んだ社長さん。蓮の姿が見えないと言われて焦る緒方監督。状況を察して、明日出直して来るという。

(ACT.65 サイレント・サイレン)坊に「君が素直に認めないのは何か理由があるのかい」といわれて、蓮は「相手はまだ高校生だ」と。狂喜乱舞する坊。「君が今やってるドラマの役も確か恋する相手は高校生だろう?!そのままのシチュエーションが今そこに。その彼女ともっと関係を深めたまえよ!!」「今はまだ誰とも恋愛をする気はない。ここで大切な存在は作れないんだ。今の俺では。」と控え室で坊との会話を思い起こす蓮。

坊も人間が入ってるのはわかってるのに、よほど敦賀さんは感情をぶちまける相手に飢えてるんだ。あとキョーコの声音の変化の技術がすごいんだろうな。のちほど再会した大人になったコーンが敦賀さんの声としゃべり方をしている(35巻ACT.206-)とキョーコちゃんが不思議に思うのと対照的。キョーコちゃん既に敦賀さんを上回る演技が出来てる。

「ドラマの事で頭がいっぱいで気が滅入ってるのはわかるけどさ」と社さんに声をかけられて、ドラマの事を忘れていたことに気が付いて呆然とする蓮。「お前本音をぶちまけられる人間ってどこかに居るのか?せめて俺にくらいグチこぼしてくれればいいのに」と心の中で社さんはつぶやく。

ダークムーンの未緒、美月の場面の撮影は順調。着替え中に「今ついていける自信が無いのは『嘉月』への恋心かしら 何度も同じシーンのリテイクに付き合わされた時からどうも良くないんですよね。敦賀さんNGリテイク知らずの俳優で有名だから、この仕事すごく期待してたのになんだかガッカリ」という百瀬逸美ちゃんの声が隣から聞こえてくる。

「アレなら共演者の立場で言わせてもらうと演技は未緒の方が上手いですね」と聞こえてきて呆然とする京子。「いやああああ、やめて、そんな話もう聞きたくない」と涙声で走り去る京子。

トーク番組で「ほな今は?好きな女性とか居て貼りませんの?」と聞かれてなぜか詰まる敦賀蓮。見ていた社さんの携帯に京子からの着信が鳴る。敦賀さんの明日のスケジュールを教えてもらえないかという。「別に教えてあげない事はないんだけどっキョーコちゃんだしっ」という社さんの言葉を軽く流す京子に、プライベートで電話し合う仲にまで発展してるのに、この子って蓮のことそういう意味で全然意識してないのかなと思う。教えてあげる条件として社が出したのは、蓮に夕食を作ってやって欲しいと言うこと。

帰りに車の運転を止めて、嘉月をどう演るか考えないとと落ち込んでいるところを窓を叩く音が。キョーコの顔を見て思わず破顔する蓮。
恋の警報!しかし蓮さん、車線の真ん中に停車してませんか?

(ACT.66 アンバランス・ロック)社さん、蓮に夕食をつくってくれるようにキョーコちゃんを送っておいて、自分は一人でレトルトご飯?
それに社さん理由は分かってないけど、なかなか鋭い。蓮は嬉しいと無表情になるのよ。

しかしキョーコの顔を見て神々スマイルになったのに、社さんから頼まれたんです。お夕飯を作らせていただけないでしょうかと、次に目を向けたときは、嘘・毒吐き紳士スマイルに変貌していた。
なにが機嫌を損ねたのかわからないままテレビに目をやると、元教師と元教え子の19歳の年の差カップルが。じーと見ている蓮に「ああいうカップルの事どう思います?」「すごいなぁ? ガンバレーッ」(4つの年の差で四の五の言ってるくせに でもそれは坊しか知らないネタだし)更にテレビでは「こいつが高校出ちゃったら一気に箍が外れちゃって」と言っているのを聞いて、(敦賀さんが躊躇うのは想い人がまだ高校生だから?)と考えているキョーコをじっと見つめた後「あの二人のせいで余計なことに気が付いてしまった」とため息を吐いた後ほとんど口を開かなくなった。

車で送るときにもキョーコと目をあわさない蓮に、逡巡したけれど、車から降りて運転席側にまわり「待ってますから。嘉月に、一日も早く、逢えるの。美月よりも私が。」と赤くなりながら伝える。びっくりした蓮だが、無表情になって「頑張るよ」と去って行った。その後交差点で蓮は青信号に変わったのも気付かず、キョーコの顔を反芻していた。
敦賀さんの方が先に意識し出すのね。キョーコは、敦賀さんに恋を経験させたいとこのあと画策するのに。気持ちを押し隠そうとすると無表情になるのはわかるような気がする。


0 件のコメント:

コメントを投稿