2023年2月24日金曜日

小説 スキップ・ビート! キョーコの全力フルコース!

(2016年9月20日)

2014年4月10日発売の花とゆめ 文系少女、その後『ザ花とゆめ』で2015年4月25日から2016年1月25日まで連載の計5編と、書き下ろし1編も加えた「小説 スキップ・ビート! キョーコの全力フルコース!」

#1 きっちん☆うぉ~ず!?
有名人に料理を食べてもらうTVプログラム『IT!』に、宝田社長に仕組まれてキョーコ出演。シークレットゲストに三ツ星をもらえれば三ツ星ホテルの食事つき宿泊券がもらえると張り切って望む。20代の男性とだけ聞いたシークレットゲストからのオーダー『いろいろな栄養が摂れる料理』に、がっつり食べたい系だと信じて大量の料理をこしらえる。現れたのは敦賀さん。蓮も相手がキョーコだとは知らされていなかったらしい。社さんは『いろいろな栄養が摂れる料理ってのは、栄養が摂れる料理をいろいろって意味じゃなくて、いろんな栄養が一度に摂れる料理ってつもりでオーダーしたんだよ」とハラハラ。

最後まで爽やか笑顔のまま食べきった蓮は、その夜、マンションで撃沈し、キョーコの気遣いミントティーで浮上する。ADたちがスタジオで「余ったら俺たちが食べていいんだよな?」といっていたので蓮は無理矢理完食したのである。

#2 メルヘン♥ライド
テーマパークのエンターテイメント・ショーのキャストに、ラブミー部の仕事として宝田社長に送り込まれたキョーコと奏江。キョーコは着ぐるみを着るワルワル怪人を演じる。キョーコは動きにくい着ぐるみでステージから落ちて敵の戦隊に引っ張り上げてもらって落ち込む。そこにロケの休憩でやってきた蓮がキョーコだと見破って、頭の被り物を脱がせて事情を聞き「失敗したとわかっているなら挽回すればいい。最上さんなら、きっとできると思うよ。負けたままでいるつもりはないだろう。少し肩の力を抜いて観客の子どもたちと一緒に楽しむぐらいのつもりにならないと。」社長が仕組んだことを知っている社さんは、蓮がキョーコと出逢ったことを感じる。最初のステージでは魔女をリアルに演じすぎて子供を泣かせた奏江も、次のステージからはキョーコとのアドリブでショーは大成功に終わる。

本編で坊の中のヒトがキョーコちゃんであることに蓮が何度会っても気がついてないことを考えると、すぐに見破るのはちょっとあり得なくて嘘くさい。

#3 あの世から愛をこめて
BOX-Rのロケで心霊スポットの廃墟となっている私立の総合病院を訪れたキョーコ。突然暗闇に閃光が走り、キョーコの意識が一瞬飛ぶ。帰宅後キョーコは妙な夢を見たり徘徊するようになる。テレビ局で会ったレイノは「華子というおまえと年齢が変わらなそうな女が憑いている」という。好きな男に会いたくて成仏できずさまよっているらしい。お嬢さまが私に憑いたと喜んでレイノのお祓いを拒否するキョーコ。お嬢様が会いたい人を探して地下駐車場への通路を歩くキョーコを霊を拘束できるチェーンを持って待ち構えるレイノ。レイノの苦手な敦賀さんを召喚すると本当にキョーコの後ろの関係者用扉を開けて現れる。レイノが引き上げた後、お嬢様の霊が取り憑いたキョーコは「抱きしめてくれませんか」と蓮に頼む。実は蓮は華子がファンとして応援し続けた憧れの人だったのだ。キョーコがいつもと違うのに蓮は気がついて、なにかの役に入っているのか?と思った蓮は「かしこまりました、お嬢様」といってそっとキョーコを抱きしめる。思う残すことがなくなった霊はキョーコに感謝しながら抜けていく。気が付くとキョーコは蓮の控え室のソファーで蓮に膝枕をされて横たわっている。キョーコは華子の話をキラキラとした瞳で話す。抱きしめて欲しいというのが、最上さん本人の願いだったら良かったんだけどなとがっかりする蓮。

私の個人的感想だけど、本編のレイノが超能力者である設定がスキップビートの雰囲気を壊すと思っているので、それを更に下回るスキップビートの雰囲気を壊す設定だと思う。

#4 社倖一の闘病日記
風邪をひいて高熱の社さん。心配した蓮が訪れて世話をしスケジュールの確認をした後仕事にでかける。スペアキーは事務所に預けておくと。

社さんはローリィ宝田に蓮のマネージャーを首にされ、安芸祥子が新しいマネージャーになり、毒林檎を食べさせられそうになる夢を見る。

気が付くと夕方の5時。ラブミーつなぎのキョーコが社の世話をしてくれる。こんなところを蓮に見られたらと焦る社さん。

そこに訪れた蓮。「社さんは優秀ですよ。今日だって、そばにはいなかったかもしれないけど、ずいぶん助けられていましたよ」と言われて思わず感涙でむせぶ社さん。

その後快気祝いにキョーコがくれたのはお医者さんに扮した敦賀さん人形だった。今度倒れたときは、枕元に置いて敦賀さんが見守ってくれていると思えば心強いですよ、と。

キョーコが風邪をひいているとはいえ社さんのアパートを訪れて世話をしたら、蓮の怒りをかいそうだけど・・・。

#5 目指せ!ゆるキャラの星★
全国ゆるキャラグランプリに出場することになった坊。場所は山奥のゲレンデ。ひときわ目立つのは、スパンコールを散りばめた派手な羽の孔雀の『クージャック』なんか妙な威圧感があり、坊と目が合うと火花が散る。二回戦のダンス対決で、一位通過は踊りながら雪像をつくるという早業で審査員の度肝を抜いたクージャックで、人気のあった坊は2位。その様子を、近くの雪原でCM撮影があった蓮が、マフラーをぐるぐる巻にしてゴーグルをかけて会場の隅で見ていた。決勝はスキー対決。キョーコはスキーは先ほど軽くボーゲンですべっただけの初体験だ。最後まで見ていくという蓮に、キョーコちゃん以外に業界内に気になる存在がいたなんて!と思う社さん。

スキー対決がはじまり華麗な滑りを見せるクージャックに対して、ボディの重さと頭部の大きいアンバランスさでよたよたとしか滑れない坊。クージャックのフォームをみてスピードアップして追いつき追い越されをくりかえすうちに、坊はジャンプしてコースアウト。雪の中で苦闘している坊を助けに現れたのは蓮。「君のプロ根性は嫌いじゃないが、その着ぐるみを脱いだほうがいい」といわれて拒否しているところへ、クージャックが助けに来る。蓮の耳元で「ここは我々にまかせて、君は早く行きたまえ。君がここにいることがもしバレれば、大騒ぎになる・・・わよ?」といって。それで蓮はその場を離れたのだが、クージャックが自分を知っているのを不思議に思う。

翌日LMEの社長室に呼ばれたキョーコは、社長を待っている間に社長席の椅子の後ろに全国ゆるキャラグランプリの優勝カップが飾られているのに気が付く。もしかして・・・と。

社さんの机には下手くそな字で「ありがとう」と書かれたスケッチブックを掲げる坊の写真があった。蓮に見せ「俺は、おまえの交友関係が不思議だよ」と。

これはけっこう楽しかった。社長は坊がキョーコだって知ってると思うけど、坊と蓮があっていろいろ恥ずかしい話をしているのは知らない筈だよね。坊バレどんな形で本編では行われるのかな。キョーコちゃんが隠していられなくなって自分で打ち明ける?社長か尚がバラす?

#6 きっちん☆りた~んず!!
『ダンダン!お悩み解決団』でスウィーツ店の改革を企画するゲスト芸能人として宝田社長に送り込まれたキョーコと天宮千織は、『スウィートマウジー』に潜入する。おいしいけれど椅子の座り心地が悪く、雰囲気がおとなしくて地味でインテリアも微妙で、ショーケースの中がほとんど白と茶色で華やかさが無いし食べ物屋の名前に鼠(マウジー)とは。おまけに店員の接客態度がだらけている。

強面の料理人パティシエ兼オーナー早乙女とキョーコは、目玉商品を作ろうと奮闘するがどうしても地味になる。いっそのこと白一色にケーキにしたらという天宮。真っ白なクリームに粉砂糖を散らして白くて小さいマカロンをアクセントにし、ホワイトチョコを削った天使のケーキは大評判となった。千織の担当した内装リメイクと接客レッスンも功を奏した。

学校帰りにキョーコがスウィートマウジーを訪れると行列ができていて、店員のひとりに手伝って下さいと強引に厨房に放り込まれ働く羽目となる。早乙女に接客を頼まれてお店に出ると奏江が来て喜ぶ。閉店準備をしている頃に来たのは敦賀さん。実はたまたま近くを通った社さんからの情報である。一つ残った天使のケーキを蓮の自宅で一口ずつ食べることになった。

巻末 デザート☆コーナー
あとがき

スキップ・ビート!が好きならうなずける創作ライトノベル6編。作者さん公認だけに、原作の設定を逸脱せず安心して読める。全体にスピンオフならもっと面白い創作が出来そうで今一つだったけど、表紙イラストといい、キョーコや蓮の描き下ろし挿絵があるので、買った価値はあったけど。

スキップ・ビート!目次

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