2022年2月26日土曜日

スキップ・ビート!15

2007年2月19日発売

(ACT.85 ラブストーリーは突然にBメロ③)
ホテルの大浴場でキョーコは祥子さんとばったり会う。尚は先に上がって祥子さんがでてくるのを待っている(尚も大浴場に入ってたの!?)ところに、ビーグールのメンバーがやってくる。先ほどのキョーコの『ビーグル』発言を思い出して、笑い崩れる尚。

キョーコちゃんの前では尚は素になれるのだから、本当はキョーコちゃんは尚にとって貴重な存在。もっと大切にしなければならなかったのに。祥子さんの方がわかってる。

そこにお風呂から上がってきたキョーコは、レイノに見据えられると動けない。尚が頭を殴ってやっと我に返る。ケンカになる尚とキョーコに、やっぱり二人はつきあってるのかとビーグールのメンバー達。「今後とも恋や愛などを伴った愚かな関係にはなり得ない事をここに主張致します」と宣言するキョーコに、複雑な表情になる尚。「不破のモノなら全部戴くつもりでいたのに」というミロクだが、レイノは「別に関係無いな。不破のモノだろうがなかろうが、彼女に限っては」という。この言葉にキョーコも尚も不安になる。

部屋に戻ると、同室の百瀬さんが、キョーコの携帯電話が長いこと鳴っていたという。非通知だけど蓮かと思ってかけてみると、確かに電話したのは蓮だった。が、キョーコは先ほどのレイノとのことを思い出して、電話が繋がったまま喋るのを忘れる。

(ACT.86 ラブストーリーは突然にBメロ④)
一方沖縄では蓮が、キョーコが無言のままなので、不審に思って何度も「最上さん」と呼んでいる。ハッと気が付いたキョーコは、あわてて電波の通りが悪いといって取り繕い、楽しそうに話し出すが、同室の百瀬さんはキョーコが震えているのに気が付いて不審に思う。蓮も何かが可笑しいと感じる。

翌朝、朝ご飯の場に、尚が現れてキョーコの食事を選んで同席する。
尚、キョーコが心配だったのね。まるで嫁のような気配り方だけどいいところあるね。この二人もいずれいい友達になれるといいのに。

ロケ先で、車に籠もって未緒メイクをされている京子に、「不破さんとき合ってるの?」と尚のことをガールズトークしにくる百瀬さん。尚は幼馴染みだという京子。(百瀬さんも尚も17歳なんだ)尚はさっきからずっとロケ現場の庭にいると教える。未緒メイクが完成して怨キョを飛ばしながら近付く京子の、別人のような雰囲気に驚く尚。敦賀さんは別の仕事でこっちへ来るのは明日になると京子から聞いて、役に立たん男だと思ったところに、祥子さんとスタッフが迎えに来て、「撮影班から離れて一人でウロウロするんじゃねーぞ。じゃなきゃ迷惑だから」といったんホテルに戻ることにする。最後の一言が折角京子の事を思っていったのに台無しにしている。素直にレイノは何かやろうと考えているからといえばいいのに。照れなんだろうけど、キョーコが素直に聞けなくなってしまう。尚も恋愛音痴。

尚が「このドラマ、主役女一人じゃねーだろうが。叩き起こせ!」っていうのは何故蓮が来てないのだと怒って言ってるわけだけど、花のような緒方監督はともかく、男性スタッフは結構いるようなのに、蓮が居ればキョーコを守ってくれると思っている訳か。まだこの時点では、尚は、蓮がキョーコに単なる後輩以上の気持ちを持ってるなんて知らない訳だけど、少なくともキョーコのそばにいれくれればキョーコは安全だと思っていると思ってるんだ。

中々弱った姿を見せない不破に、何かいい方法はないかと考えていたレイノは、朝から不破がいなくてマネージャーとスタッフが探していると聞いて「赤頭巾ちゃんのところにいく」と出かける。

蓮は今日中に軽井沢に合流できるように、休憩無しでモデルの仕事をこなす。キョーコが心配だけど仕事をこなしてから駆けつけようとしているところは、完璧。

(ACT.87 ラブストーリーは突然に・サビ①)
祥子さんとスタッフと共にホテルに戻る尚だが、途中で観光客の女性2人が、レイノを見たと浮かれているのを聞いて「どっちに行った」と聞く。突然の目の前の尚の顔のアップに焦った二人は、無言で尚たちが来た方向を示す。必死で元来た道を戻る尚。

ロケ現場の屋敷にレイノが訪ねてきた。スタッフに聞いて、「あの男はストーカーなんです。」と青ざめるキョーコ。「今居ません」と断るスタッフを無視して入ってくるレイノ。キョーコが階段下に隠れているのがわかるらしく、近付いてくる。地下室に逃げたが行き止まりになって、キョーコは窓から逃げ出す。

超能力でキョーコの居場所がわかるレイノは怖い。
けど、スキップビートは深刻さとユーモアがいい感じて混じっていて、怨キョはキョーコの心の声ということでいいけど、レイノを超能力者にすると、逆にリアリティがなくなるので、しない方がよかったのになとちょっと残念。

尚君のお弁当が無いことを気づかう緒方監督、DARK MOONの関係者でも無いのにキョーコの知り合い(恋人と思ってる?)だというだけでお弁当の心配をするのは笑える。優しくて緒方監督らしいけど。

全力でDARK MOONのメンバーが昼食をとっているところにたどり着いた尚。「キョーコは」という尚に、お客さんが来て出て行ったという。そこにレイノと対応した男性スタッフが、京子はスリッパを残して地下室から消えて、レイノも後を追って窓からでていったと聞いて、尚も追いかける。京子はレイノにストーカーされているといっていたとスタッフから聞いて、緒方監督もスタッフと追いかける。

森の中で京子はレイノに追い詰められていた。不破のモノならなんでももらうというレイノに、自分はアイツのモンじゃないとキョーコは言うが、向こうはそうは思ってないみたいだけどなとレイノ。レイノに捕まれるとキョーコは動けないが、思い浮かんだのは昨日風呂の前でレイノの束縛から目を覚まさせてくれた尚。

尚は好きじゃ無いけど、ここの場面での必死の尚は格好いい。

(ACT.88 ラブストーリーは突然に・サビ②)
レイノが「楽しみだなぁ。変わり果てた姿になったアンタを不破が一体どんな顔してみるのか考えると。曲みたいにパクられて使いモノにならなくなったからってすぐ新品に作り直すって訳にいかないんだから」というのを聞いて、昨日からの尚の行動の理由を知ったキョーコ。不破に恨みがあるわけでは無く、たまたま不破を越えるミュージシャンが欲しかった会社と一発でメジャーのトップにのし上がりたかったVGのメンバーの利害が一致したのと、自分に関しては、いつもスカした顔した不破が、破滅に追い込まれる恐怖と俺達をあっさり受け入れた業界や自分のファンへの憎悪を顕わに不様な姿で堕ちるトコロを見るのは面白そうだったから、と聞いて、レイノも思わずひくほどの殺気を出すキョーコ。不破があなたみたいな腐れミュージシャンにセールストップを奪われた不甲斐なさに腹が立つという。「アイツはトップアーティストじゃなきゃならなくて、敗北感も絶望感もアイツにとって芸能界で畏怖になる存在もアイツが初めて感じる相手はこの私じゃなければならないから」と。やっとたどり着いてそれを耳にする尚。

一方レイノは、そんなにムキになって自分のモノ主張しなくても、端から不破をアンタと奪い合うつもりなんかないという。不破へのイヤガラセはやめてアンタにするという。自分が不破と同じくらい憎まれれば、俺のためにも熱くなってくれるんだよなと。

駆け寄って殴ろうとする不破のパンチを受け止めるレイノ。

(ACT.89 ラブストーリーは突然に・サビ③)
緒方監督は尚を必死に止めて、警察に被害届を出すべきだというが、レイノは別に構わないという。京子は無名だから、「DARK MOON大富豪の娘未緒、白昼野外にてVGレイノに乱暴される」と週刊誌に載ったら、世間が受けるキョーコのイメージは『俺に汚された女』でインプットされると。不破は汚れたイメージくらい名前を売るための武器にしてみろというが、京子は私のイメージなんてどうだっていいけど、未緒のイメージがあんなヤツのために汚されるのは許せないと。レイノは今日のことをマスコミにでも流して表沙汰にした方が、一日中俺の事を考えさせるには効果の程が良いと去って行く。

尚は、レイノを追いかけて森の中へ。
しかしレイノが言っている「恨みや憎しみの負感情はどんな種類の感情よりも長く根深く人間の心を支配するから、彼女に俺を恨ませられれば憎さのあまり彼女は寝てもさめても俺のことを考える」って尚がまさにそうじゃない。デビューしてキョーコを捨てたことといい、このあとバレンタインで、蓮に見せつけるために無理矢理キョーコにディープキスをしたことといい。
レイノは更に彼女はこの未来磨かれ方によっては普通の男じゃ全く手に負えないレベルの女になるぞと予言する。
なかなか意味深な予言。要は大物女優になると。まあこんな卑怯なレイノでは役不足だと思うけどね。

尚は「アイツの中でテメェが俺を越える事はまずねェってわかってても、テメェごときが俺のモンに手ェ出そうなんて思うだけでも」とレイノに蹴りを入れる「レコーディング途中の曲みたいに、他人の手垢がついたからっていっそくれてやろうって訳にはいかねーんだよ。アイツに関しては」「週刊誌なり警察なりどこにでも駆け込めよ。この後駆け込んでいける元気が残ればだけどな」とにやりと笑う。

尚かっこいいけど、キョーコちゃんは自分のモノ扱いなのね。

昨夜蓮に、どんなにスケジュールを詰めてもらっても自分が軽井沢に入れるのは明日(すなわち今日)の夕方になるので、何か様子がおかしいので先に軽井沢に入っててもらいたいと頼まれた社さんが一人で現場に到着。

敦賀さんほんとうに運が悪い。でも、もう社さんに、キョーコへの思いを隠すこともできないくらい心配してるんだ。
それにしてもこの頃のレイノはほんとうに嫌なヤツ。その後キョーコちゃんに無理矢理バレンタインのチョコレートを作らせる頃はけっこうかわいげがあるのに。

(ACT.90 ラブストーリーは突然に-※リピート)
キョーコがVGのレイノにストーカーされたということは、緒方監督と尚と助けに来てくれた男性スタッフだけの秘密と言うことにして、表向きにはゆきずりの一般人のストーカーに追われたキョーコは、森の中で急な斜面で滑って転んで打撲して気を失っていたところを皆に発見されたけど、ちょうどストーカーからは死角だったので無事だったということになった。ちょっと苦しいような・・・

尚が「あの野郎とはもう話がついた。野郎は絶対お前の事は公言しねーから安心しろ」というのも不安のもと。

そんなキョーコに、緒方監督は蓮が来ていることをそっと耳打ちする。だからホテルに帰っても大丈夫だと。ロビーには社さんがいて、蓮の部屋に案内してくれた。

緒方監督はキョーコと蓮の関係をどう思っているのかな。尚とつきあってると思ってるはずだから、蓮は頼れる先輩?
キョーコは、蓮は自分のために仕事を速く切り上げてきてくれたのかと青ざめるが、敦賀さんのことだから、いつもみたいに順調に仕事をこなして予定より早めに終わったからだと自分に言い聞かせる。

蓮は社さんから(公式発表の)事情をきいていて、「電話で俺に嘘ついたね」という。最上さんが俺に本当の事を言わなかった理由は俺に心配かけるといけないと思ったんだろうといいながら、蓮の胸の中では怒りがやり場をなくしていた。

もう俺に隠してることないね、といわれて、あわてるキョーコと社さん。社さんも事情は公式理由しか知らないが、キョーコが尚に助けられて戻ってきたことは知っていて蓮にはその部分は避けて伝えてあるのだ。

不自然な沈黙。そこに荒々しいノックの音。自分の口から話そうと決心したキョーコだが、ドアの外には尚が立っていて、「キョーコが居るだろう。出してもらおうか」と。

す、すばらしいドラマティックな展開!!最後のキョーコはもちろんだけど、社さんの青ざめる顔、蓮のおかげで今後なんどもこういった状態に置かれることを予感してるようだ。


2022年2月20日日曜日

スキップ・ビート!14

(ACT.79 ラブストーリーは突然に-イントロ)百瀬さんが演技テストのビデオを見ていたら様子がおかしくなったけれど復活したのを見て、敦賀さんの演技力との違いを間のあたりにして落ち込んだけれど、今は”目指せ敦賀蓮”を目標にしています、と緒方監督と食事をしながらいうキョーコ。自分も経験済みで悔しいけれど、相手が凄すぎると追いつきたいとは思うけど倒したいとは思わなくなるんですよね、と。京子さんは敦賀君のこと好きなんだねと言われて動揺する京子。「できれば『尊敬』って言ってくれますか」とウィンナーを珈琲の中にすっ飛ばす。

緒方監督なかなか鋭い。って恋愛的な思慕とは思ってないのかもしれないけど。キョーコちゃん、最初は色々あっても結局いつも監督に一目置かれたり気に入られるよね。
ウィンナーコーヒーって流行らないけど、通じるかな・・

食堂で緒方監督を見かけた女性が、父親の伊達大尊監督と間違えて声をかける。また発作を起こすかと内心あわてるキョーコだが、緒方監督は「僕、息子の啓文です」と笑って受け流した。びっくるするキョーコに、「人間って強くなれるんだね。一人でも『自分の存在』を認めてくれる人がいると。父を尊敬していたし父のようになりたいとは思っていたけど、何をやっても父を真似してるといわれる様になったら困惑して、自分は父の一部で『伊達啓文』なんて自分自体本当はこの世には存在しないんじゃないかって考えるようになってから、父の名前を聞いただけで僕は息が止まるらしい。」なのに撮影現場で呼吸困難を起こしたとき(10巻ACT.57)に、(敦賀さんが)「『緒方監督、あなたは伊達監督とは違うんですよ』僕と父は違う人間なんだって。それだけで僕はひどく安心できた」それは敦賀さんが自分自身に言い聞かせてきた言葉だから。
「僕の上に覆い被さる父の影はあまりに大きすぎてずっと竦んでいしまっていたから」と緒方監督のいうのを聞いて、キョーコは、昔コーンが「父さんの手は大きすぎてまだ自由に空を飛んだ事は一度も無いんだ」と言っていたことを思い出して口にすると「じゃあその人も僕みたいな悩み、抱えていたのかもしれないね」と緒方監督に言われる。

10巻ACT.57で呼吸困難を起こした緒方監督に敦賀さんがなんといったか、この14巻ACT.79で明かされるわけだけど、これがスキップビートらしいところだけど、連載だと1年後くらいになるかと思うので、連載で追っている人は大変だろうなあ。このあと蓮と父との関係が説明されるのが18-19巻だから更に1年半後くらいだし。

社さんは蓮に、「お前って器用なわりに段取り悪いよなぁ。好きな女の子夜に家に呼びつけといて何もしなかったなんてお前ちょっとバカ紳士すぎ」「この先キョーコちゃんにどんな馬の骨が現れても気にしないわけだ」と「あの子ラブミー部員一号ですし」「良かったじゃないか、蓮。当分誰のモノにもなる心配がなさそうで!!お前のモノにもならんだろうが。」
馬の骨になられると厄介な伏兵は一人居る。そいつは名前だけであの子の心を掻き乱す・・・と蓮の心に浮かんだのは不破尚の顔。

(ACT.80 ラブストーリーは突然に Aメロ)
ジャポネットスコープという、いろいろな分野の人気ランキングや注目の新人を取り上げる深夜番組が、不破尚のPVにでた天使のキョーコをとりあげるというので、TBM局にでかけたキョーコ。尚が、超注目新人で取り上げられ、その後も出す曲すべてヒットチャート1位でヒーローインタビューに出ていた番組でもある。ひょっとしてPRISONERも一位をとるはずなので尚と一緒になるのでは、と焦ったが、尚を押さえて一位になってヒーローインタビューに来ていたのは、VIE GHOULビーグールという明らかに尚をパクったグループで、京子はさんざん田舎者扱いされて馬鹿にされる。おまけにそのリーダー、レイノは事前に控え室にいるキョーコを見に来て「あんたが『京子』?不破尚のPVに出てた」と鼻で笑う。

腹を立てたキョーコは、別の番組に出る不破尚の控え室に押しかける。
怨キョすごいでまくり。

一方キョーコの居ないDARK MOONの撮影現場では、尚のPVにでていた京子の変貌振りにメイクと衣装で作りあげられたイミテーション、と一部の女優陣が悪口をいっている。話半分効いた蓮に、社さんが解説。

(ACT.81 ラブストーリーは突然に Aメロ②)
明らかに尚をパクってるビーグールに一位を取られたというのに「わざわざそんなくだらねー事言いに来たのか」という尚。くだらないなんて言葉で割り切れてしまうほどの軽い気持ちで私の人生も気持ちも踏みにじられたなんて。と腹をたてたキョーコは「あんた格好つけだもんね。『悔しがったりなんかしたら、負けを認めてるみたいで格好悪りィ」とか思ってるんでしょ。腰抜け」といいつのる。キョーコに、「うるせぇ」と殴って頬に爪で傷をつけてしまった尚。我に返って傷をつけてしまったことをあわてる尚。キョーコは尚につかみかかるが、警備員に追い出されてしまう。ドアの外で様子をうかがっていたビーグールのレイノとミロク。レイノはキョーコに興味を持つ。

これ、キョーコは自分の為と思ってるけど、尚のことを恋しなくなっても、けっこう思いやって鼓舞してる。

作者さんは、蓮にPVの天使キョーコを見させるつもりはなかったそうで、読者の要望に折れたからということだけど、今後もなにかと重要な蓮の嫉妬と独占欲は、やっぱりあれ見ないと。それにキョーコの初ドラマ出演で出世作となったDARK MOONに出演するきっかけのPVだし。今後も次々と変身するキョーコに驚かされる蓮様には、その原点である天使キョーコをぜひ見て欲しい。

蓮のために、出演者から不破尚のPVを借りて蓮に渡す社さん。キョーコちゃん人外の美しさだったよと目を輝かせて力説する。「このPVでのキョーコちゃん見て不破ってなにか思ったりしなかったのかな。こいつってこんな可愛かったのか!?」「それは無いでしょ・・・今更」「子どもの頃からよく知ってる相手だからこそ度肝抜かれると思うんだけど。改めて女の子として意識してもおかしくないんじゃないかと思うんだけど」(「今更冗談じゃない」と心の中で思う蓮)

椹さんにTBMで騒ぎを起こしたことを怒られるキョーコ。偶然椹さんに用事があって来た蓮とはち合わせして、DARK MOONの現場に一緒に行くことになる。頬の怪我は『不幸な事故』とごまかすが、現場に着くとなんと尚がキョーコを待っていた。

(ACT.82 ラブストーリーは突然に Aメロ③)
尚は昨日キョーコを殴って怪我させてしまったのが後味悪くて、スタントをやってる知り合いから、よく聞くと教わった傷薬を渡す。昨日京子がいったことは図星で、見抜かれて傷口に塩ぬりたくられる様な事言われて腹が立ったけど、怪我させるつもりなんかなかったし、わざとじゃなかったとしても女に手を上げるなんて最低だ、と顔を背ける。

DARK MOONのスタッフや役者達は突然の尚の登場に、京子ちゃんとの関係を想像して噂する。なぜか一人冷静に着替えに行く蓮に、呆然とする社さん。実は京子と尚の会話を立ち聞きにいったのだが。

まあ京子もいきなり楽屋に押しかけたし、図星とは言えもう少し言い方があってもよかったかもしれないけど、その前にあまりにも尚が京子に酷いことをしてるし。
話としては、この後の蓮と3人の展開、わくわくする。尚に勝ち目は絶対無いけど、それは最初にどんな事をしたかを考えれば当たり前・・・と尚はいつか思えるかな。

敦賀さん立ち聞きしていて、京子の怪我の理由は察したようだ。

戻ってきた京子は皆から質問攻めに遭うが、触れて欲しくない様子。そんな中、蓮だけが何も訊かない。それが不気味で、社さんが気を利かせて控え室で蓮と二人で出番を待つようにしてくれたのに、息が詰まる京子。「何か怒っていらっしゃいます?」と聞くが「別に怒ってないけど」と言われる。京子の怒り感知器もでてない。けど静けさに震えてもんもんとする京子に、吹き出す蓮。「本当に怒ってないよ」と笑ってくれたのでやっとホッとする。ほんとうは蓮は不破の話などしたら、なんとか押さえ込んでる気持ちがあふれ出して激流のごとく京子を追い詰めて、もう二度と京子は心をひらいてくれないだろうから押さえているのだが。

なんて重い嫉妬。
もし京子を問い詰めてしまった場合はそこで京子への気持ちが溢れて全然別の展開になりそうで面白そうだけど。

(ACT.83 ラブストーリーは突然に Bメロ)
DARK MOONのロケで5日間軽井沢に行くキョーコ、前日夜、準備していると蓮が電話がかかってくる。蓮はモデルの仕事で翌日から沖縄に行って、3日目から合流の予定だ。キョーコの準備できたか忘れ物はないか現地で羽目を外さないようになどなどあれこれ子供のように口うるさく言ってくるのが、キョーコには快い。

実は敦賀さんは自宅で尚のPVを見てしまっていてもたっても居られなくてかけてしまった。
敦賀さんまだ折りたたみ式携帯なんだ。
そして独占欲の塊!

軽井沢に着いたキョーコ達一行の滞在する霧ヶ滝メンフィスホテルの近くの、ウッド・スティックレコーディングスタジオは音楽界セレブのたまり場でスタッフや役者はわくわくしているのだが、キョーコはこういう方面には疎い。

一方蓮と社さんは、沖縄の海岸の撮影現場で京子の噂。社さんは「軽井沢ってなんか嫌な想像するものあるだろ。もしそんな偶然あったとしたらあの二人・・・何か強い結びつきがあるとしか思えないね」という。

百瀬さんから、敦賀さんへのライバル意識を聞いているところに出会ったのがなんと尚。百瀬さんは、DARK MOONの撮影現場に尚が来た時はいなかったようだが、二人のただならない関係を小耳に挟んでいる様子で気を遣って先に行ってしまう。

(ACT.84 ラブストーリーは突然に Bメロ②)
蓮は、尚がどんな瞳をして京子と向かい合っているのか確認したかったけれど、あんな京子を見て、不破はまだ京子を家政婦代わりの幼馴染みと言えるのか、あの時の(キョーコを見た尚の)あの表情が本当に演技だと??更に盗み聞きしたDARK MOON現場での尚の「お前にケガをさせるつもりなんかなかったんだ」といった時の表情は、本当に罪悪感だけで見せた表情だっていうのか。まさか真剣に不破の中であの子の存在価値が変わってきてるんじゃ・・・と落ち着かない。これ以上あの子を振り回すのはやめろよな。お前にはそんな資格なんか無いんだぞ。
敦賀さん、落ち着きたくて尚のPV見たんじゃなかったの!
スタジオを抜け出した尚を祥子さんの元に連れ戻すキョーコ。DARK MOONのロケで来たことも伝える。レコーディングがうまくいかないからって途中で放り出して怠けよう何てそんな甘ったれたこと言ってるからビーグルなんかに足元掬われるのよ。と禁句をキョーコが禁句を口にしたので、あわてる祥子さんだが、尚は一瞬凍り付いた後、ビーグル犬が脳裏に浮かんで吹き出す。

そんな尚を見て「キョーコちゃんてやっぱりスゴイわね。ありがとうね。あの子元気が出たみたい。本当なら、レコーディングがうまくいかないくらいで仕事を放棄する様な子じゃないのよ。でも尚がそういう事にしてあるみたいだから・・・」
ビーグルは私もツボにはまって笑いました。腹筋痛いくらい。

ホテル内を歩いていると、展示されている楽器の向こうになんとビーグールが。尚が使っているから使用スタジオまでパクるのかと思いつく。それにしてはパクられたら悔しがるのが格好悪くてポーカーフェイスのはずのショータローが、なりふり構わず仕事を放り出すなんて格好悪い真似をどうしてしたのだろうか。ビーグールが何かしたのだろうか。と考えているとレイノがこちらを見る。慌てて棚の影に隠れるキョーコ。見えないはずなのに瞳があったような気がして悪寒が走る。

一方一人でキョーコの「ビーグル」を思い出して、大笑いする尚。「ほんの数時間前目の前が真っ暗になるくらい絶望的にヘコんでたくせに、こんな時にこんな笑えるんだ。アイツと暮らしてたときは当たり前だったのにな。アイツもうすっかり昔の面影なんて微塵も残ってないと思ってたけど、俺のテンションが上がるセリフを計算しないで言えるコト、全然変わらないんだな」ととろけそうな笑顔で思い出す。いい顔だけど、過去にキョーコにしたことを思い出せよ!!

「尚がまだ音入れの途中の曲と同じ様な曲をVGが録り終えてるなんて、尚側のスタッフが盗んでVGに売ったのよ。このスタジオキャンセルして他へ行きましょう」と祥子さんがいうと、キョーコに「腰抜け」といわれたことを思い出す尚。盗むなら盗め!パクるならパクれ!本物がどういうもんか見せてやらぁと決意する。

2022年2月14日月曜日

スキップ・ビート!13

2006年6月19日発売
(ACT.73 ダークムーン)
「(百瀬さんは)必ず俺が演技させます」との蓮の言葉に、何度もリテイク出してた人にそんな事言われてプライドが傷ついて反発する百瀬逸美ちゃんは「演る」という。キョーコはわくわくして見守る。

そりゃあ百瀬さんに対して失礼だよね。反発も計算済みの敦賀さんだけど。

カップを落として手を切った美月(百瀬)の手をとって口元にもっていき、夜の帝王になる敦賀さんの嘉月。演技させられるものならさせてみろと思っていたのに、動揺して悲鳴を上げる百瀬さん。そして吹き出す嘉月(敦賀さん)を見て昨日のパターンだとキョーコは思う。「本気で舐められると思った?まさかやるわけないだろう。好きでもない娘に」と冷たく鋭利な目で嘉月(敦賀さん)に見られて心が凍る百瀬さんの美月。『僕から逃げてくれ。どうか僕になんか捕まらないでくれ』という心の叫びが聞こえる様で、見ていた社長さんも監督もキョーコも呆然とする。

それは敦賀さんのキョーコに対する複雑な恋心。

(ACT.74 ドラマ・トリック)
温和な敦賀さんが、あんなダークな表情を見せて驚く緒方監督とスタッフ。ローリィも何か思うところがあるようだ。キョーコは敦賀さんの怒りをなんどかかって睨まれたことがあるけど、あんな刺々しく相手を突き放す様な敦賀さんを初めて見たと思う。好きな男性にあんなセリフをあんな表情で言われたら、美月は傷ついて何も言えなくなってしまうと。百瀬さんは、これでは嘉月の言動に何も言えなくされてるみたいじゃないと動揺して、後ろを向く。しかし観客は立ち上がった嘉月(敦賀さん)の切ない表情から、わざと美月を傷つけて自分との距離を作らせようとしたことが伝わる。

後ろを向いている美月(百瀬さん)には様子がわからないが、突然嘉月(敦賀さん)が「ひょっとして今のもスゴイ真剣に受け取ってる?」と冗談にすり替える。そこでセリフをいうのはしゃくに障る百瀬さんの美月は、再び後ろを向いてピアノの脇で沈黙する。

それ、すべて計算済み。

セリフを言わずに、大丈夫という意思表示をするためにピアノを弾く美月(百瀬さんほんとうは上手く弾けるはずの美月がぎこちなく弾く姿は切なく聞こえる。まるで「冗談だった」といわれてもまだ笑って嘉月に向き合えない複雑な気持ちを乗せるみたいに。嘉月(敦賀さん)が無言なので、美月(百瀬さん)が思わず様子をうかがうと、嘉月(敦賀さん)は神々スマイルを浮かべて美月を見つめているので、赤面して崩れ落ちる。見ていた社さんは、ああなった蓮に真っ向から見つめられて平常心でいられる女の子がそうそういる訳がない。さては百瀬さんをキョーコちゃんにおきかえて演ってるなと思う。キョーコちゃんも神々スマイルの流れ弾を受ける。私にも時々見せてくれるけど、なぜここで美月にと思うキョーコちゃん。それは愛しい人だから!!!キョーコちゃん気付いて!

(ACT.75 クライマックス・コンチェルト)
敦賀さんの神々スマイルをみて、私にも時々見せてくれるあの笑顔をここで美月に見せるということは、私は思っているほど敦賀さんに嫌われてるんじゃないかもと思うキョーコ。
というか、代マネの看病はともかく、夕食をつくりにいったりダークムーンごっこをしていたりするのに、まだ嫌われてると思うとは、余程最初の頃の印象が悪すぎるのか・・・
嘉月(敦賀さん)に「何か弾いてみたら」といわれる美月(百瀬さん)だが、実は猫踏んじゃったしか弾けないので躊躇っていると「大丈夫だよ。家の人に見つかったら僕が頼んで弾いてもらってるっていうから」。そこで、美月はピアノは大好きだけどこの家のピアノを自由に使う立場に無いことを思い出して、弾かなくて良かったと思う百瀬さん。更に一緒に弾こうかとやってきた嘉月(敦賀さん)に、「月籠り」で保津周平が実際に弾いていたからと、敦賀さんが習っているというショパンの「幻想即興曲」を弾くの?と焦る百瀬さん。が、弾き始めたのは、音を外しまくりで音階も低い「猫踏んじゃった」。ピアニスト感満載の敦賀さんと、「猫踏んじゃった」のシンボルの不細工猫の対比が好き!

美月(百瀬さん)を誘い連弾をすると、嘉月(敦賀さん)の外れる音が減ってくる。そして美月の音にぴったり合ってきた。百瀬さんは蓮が自分の手の運びを覚えていってるのに気が付く。そして「明日から昼休みの第二音楽室のピアノ貸し切りかけて、勝負しよう。僕を捕まえられたら昼休みはピアノ使い放題決まり」と言って、嘉月(敦賀さん)は突然速く弾き始める。その無邪気な子供のような敦賀さんの顔を見て、美月(百瀬さん)は嬉々として追いかけ、追いつき、嘉月はまた逃げ、音楽で二人で遊ぶ。ふとキョーコが見ると所長さんも笑っている。社長さんの中でオリジナルを超えているのがわかる。最後は猫も不細工じゃなくなって精悍だけどけっこういたずらっぽい表情。

(ACT.76 ラブ・ファントム)
「先生 どうして『猫踏んじゃった』なんて弾いたんですか。」「君をイメージした曲だから」とじゃれあう二人、嘉月がうっかり壊れたカップを踏んだので、新しいお茶を替えに行く場面まで無事到達。美月が退室した後、嘉月は美月を突き放そうとしたけれど、今以上に自分から離れてしまわなかったことに喜びがこぼれ、破顔する。

社長さんの意見は「悪かねーな、お前にしちゃ。まずまずの及第点なんじゃねーの」
あれだけ百面相する程のめり込んどいてそんな言いぐさ!!?とキョーコ。

「今はお前も『嘉月』のすべてをちゃんと理解できる様になったみたいだからな。頭じゃなくココ(心)で」「演技見ただけでバレてるのか」と内心思う社さん。「敦賀さんに好きな子がいること・・・」とキョーコも内心思う。自分だとは思ってない。

百瀬さんにわざと挑発する言葉を聞かせたことは「役者として誇りも実力もある百瀬さんが相手だから言えたことなんだよ。最初からうまく演れる自信があった。百瀬さんとなら。」という蓮の言葉を聞いて赤くなる百瀬さん。

敦賀さんにそういってもらえる百瀬さんをうらやましいと思って、一人落ち込むキョーコ。蓮が「最上さんどうした?」と話しかけるとキョーコは思わず一歩下がる。あんな風に敦賀さんに言ってもらえる役者に私はいつなれるのかな、でも昨夜の夜の帝王を思い出して、相手役は演りたくないと思いにふける。もう二度と誰にもドキドキしないって決めたのに。

しかし・・・なぜにラブ・ファントム?確かに敦賀さんとキョーコの組み合わせは、漫画のラブ・ファントムに似て無くも無いけど。それともオペラ座の怪人の意味?B'zの曲?とか思ったら、解説が途中であった。ファントムは戦闘機ファントムの意味もあって、敦賀さんもイメージしていると。共演者キラー、ロックオンした相手は落とすまで逃がさない・・・等々・・・そのわりにヘタレだけど。
ここで、蓮はキョーコを思い浮かべて演技していたといつか明かされることがあるのだろうか。

(ACT.77 アクセス・ブルー)
百瀬さんが、敦賀さんの夜の帝王と神々スマイルに動揺していたことを思い出して、昨夜の夜の帝王敦賀さんに自分がドキドキしたって不思議じゃないんだと思うキョーコ。あれは間違っても『恋』の前兆なんてことはないんだ。と。「まだ大丈夫。私は『恋』なんてしていない」

Hummer Limousineの中で話す蓮と社長。緒方監督は先ほどの社長に見てもらうためだけにつくったアドリブの場面を実際に映画に使うという。「今日の敦賀君はまるで嘉月そのものだったから」「今日敦賀君はこれまでの『敦賀蓮』のイメージからはとても想像できない表情をいろいろ見せてくれました。僕はその衝撃を視聴者にも味わってもらいたい」と言っていたと。
「今回お前が捨て身で嘉月を演ってるのがわかった。日本に来るときお前が自分で封印したはずの昔の『自分』を出したときに。」
役者としてはもう何年かやってきているはずだけど、闇を抱えた役とか惹かれてはいけない人に惹かれる複雑な恋をする役ってやったことなかったのね。
下を向いて沈黙する蓮に「むしろ俺はいい傾向だと思ってるんだ。お前が演技中に昔の自分を出したって事は少しは自分をやってもいいって気持ちになりつつあるって事だろう」と社長。「お前にはどうしても封印してきた昔のお前が必要なんだからな」と。

キョーコは社長さんに呼ばれていって戻ってこない敦賀さんに、お昼の場所を知らせに来るが、車の中で社長さんと話している蓮が辛そうにしているのに気が付く。出直した方がいいのかうろうろしているキョーコを見た社長さんが、あれ最上君じゃないか。もしかしてお前のこと待ってんじゃ・・・といいかけて蓮の表情を見てすべてを悟って愕然とする社長さん。「そんな顔見りゃ誰でもわかるわ!さっきのテストで美月に誰重ねてたか丸わかりじゃねーか」。先ほど一歩引かれて軽くショックだったのでついうれしさが顔に出てしまったようだ。

「かえってあのくらい手強い方が助かるってもんか。そうそう簡単に手に入るような娘じゃ困るんだろう?お前まだ自分には幸せになる資格が無いとか思ってんだから」

後ほどキョーコの母、冴菜さんと社長さんが話し合った(37巻ACT.222, 38巻ACT.225)のもこのリムジンかと思うけど、応接室がわりにもする豪華車が中にいる人の表情までわかるのかというところを突っ込みたい。でもWebでいろいろリムジンを見たところでは中が明るければある程度は見えるのかも。

蓮が外でキョーコと話す姿を見て、「蓮に『嘉月』は演れないと思っていた。嘉月の生き方はキツくなってもおかしくない程わかりすぎるヤツで恋愛面はからっきし分からん奴だと思ってたから。しかしその恋愛面もクリアした。あいつ完璧に嘉月を地でやってるぞ?周平お前本当に負けそうだぜ」とつぶやく社長さん。

社長さんいい勘をしている。蓮のこともよくわかっている。ところで連載だとずいぶん時間がたってしまっているけど、読者は「周平」って誰だか覚えているかな。オリジナルの月籠りの嘉月をやった保津周平で、ここではまだ明かされていないけどLMEから飛び立ってアメリカで活躍する蓮の父クー・ヒズリ。

社長さんが、蓮がキョーコに惚れていることを悟ったときに、蓮が後ろ向いていて顔が見えないのが、最高。これが実写映画だと、カメラを回したくなるけど、見えないで読者に想像させるところが、2次元の漫画の骨頂で大好き。たぶん神々スマイルを浮かべていたんだろうけど、それを想像だけで表現している。

(ACT.78 フェアリーマジック)
一旦姿が見えなかったキョーコが戻ってきて蓮に渡したのが、前に蓮が事務所で拾ってくれた「コーン」の石。10年前のあの時と真逆だと思う、コーン本人である蓮。のぞくと色が変わって嫌な気分を吸収してくれた瞬間なんです。と嬉々としてメルヘンの世界にはまるキョーコに、あのときと同じだと笑いを堪える蓮。その石をくれた男の子コーンは妖精界の王子だとこそりうち明けられて、「まだ信じてたんだ」と呆然とする蓮。吹き出した蓮に、コーンは空だって飛んで見せてくれたんだとキョーコ。羽が何度も生えたけど、お父さんの指にひっかかって一瞬で羽がボロボロにまってもげてしまうんだって、長くは飛べなかったと、「父さんの手は大きすぎてまだ自由に空を飛んだことは一度も無いんだ」。

あれから10年だから、今頃はコーンも立派な大人になって、誰よりも綺麗に輝く大きな羽でお父さんの手も高く高く飛び超えてるはずというキョーコに「それはどうかな」と当のコーンである蓮。「コーンは王様になるために生まれたんだもの。それだけ力を持って生まれた人なんです。これまでお父さんを超えられなかったのは、コーンがまだ子供だったから。大人になったコーンならやりますよ!絶対にやれる」と。

「ありがとう」とポツリと言う蓮。「もうコレに頼らなくてももっと確かな魔法を手にいれた」と心で思い、「俺は大丈夫だから。コレは君の宝物なんだろう。」10年前の二人を思い出しながら、コーンの石に口づけしてキョーコに返す蓮に、なんだかこれを受け取ったら何か悪い魔法にかかるような予感がする。でも誰にもこの魔法の効き目は見せないとキョーコ。
なんと象徴的な。蓮はお父さんの手からは離れたものの、まだ思うように自由に飛べたとは言いがたいから、複雑な気分だろうな。でもキョーコちゃんが信じてくれるから、きっとできる。

キョーコには悪い魔法なのね。


2022年2月10日木曜日

スキップ・ビート!12

2006年2月17日発売

(ACT.67)ディープ・ショック
本来の「やっぱきまぐれロック」のTBMから坊の衣装の頭部を持ち出して、本体はLMEからアヒルの着ぐるみを持ち出し、蓮が控え室入りしているTV日本に駆けつけたキョーコ。チキンダック!😄🐔

朝、運転中の蓮にちょっと昨夜のことをイジったら、いきなりポルシェを塀にこすったし、控え室でため息ばかりつく蓮に、キョーコを昨夜送った仕掛け人、社は気が気ではない。スターが運転してマネージャーが助手席って、この頃はずっとそうだけど、やっぱり変。おまけに通常は役作りの際は独りになりたくて雲隠れするのに、CDを聴いている。蓮の自宅で音楽CDなど見たことがないのに。

そこに坊(キョーコ)が控え室のドアをノックする。誰もいない廊下で、昨夜の歳の差カップルの話題をふる。19歳差カップルがOKで4歳差カップルがダメというのは矛盾していることを蓮は素直に認める。更に坊が「君が気にしているのは相手が『高校生』だからじゃないのか」というと、少なくとも今まではそうだ、といったあと、「理由なんてなんでもいいんだ。俺があの子に惚れたりしないための『枷』になるなら何だって」と。心の中で昨夜のキョーコを思い出しながら「あの子が高校卒業してもきっと俺は何かまた新しい理由を見つけて鍵をする。『この子はダメなんだ』『恋愛対象にはならないんだ』そう思い込むために」「前に話しただろう。俺はここで大切な存在は作れない どこに居ても」と寂しそうな傷ついた顔に、これ以上触れちゃいけないと思って聞けないと思って、キョーコは何も言えなかった。

闇を抱えた、この表情の敦賀さん好き。でも大切な存在は作れないというのは、間違ってるってたぶんローリィ社長も思ってるから、浅い付き合いをするなと言ってるのに。今はともかく、目標を達してからもまだまだ人生は続くんだから。ってこの時点では「何故」というのが説明されてないから読者にはわからないだろうけど。まあ蓮としては、敦賀蓮は仮の姿で、いずれ目的を果たしてアメリカでスターになったら捨てるつもりだから、その状態で会っている人とは深い付き合いはできないと、線を引いてるんだろうけど。そういう意味では、この漫画は蓮の心の成長物語。

明後日現場で、社長立ち会いで蓮は嘉月を演ることになって、もし演技中に社長が席を立ったら即刻嘉月を切らるという電話連絡を、緒方監督から蓮は受ける。

(ACT.68)ワンナイト・コネクション
作者さん漫画の柱コーナーで、蓮とキョーコのDARK MOONごっこはやめようかと思ってそういうネームもちょっと切ったけど、結局つまらなかったと言ってる。今後もダークムーンのカーアクションとか、BJ撮影とかで、蓮の過去の闇がでてきて克服するのには常にキョーコが関わるのだから、これがなかったら完全に話の進め方が変わってしまうところだった。

社さんと移動しながら坊との会話を思い出す蓮。「あの子が高校卒業してもきっと俺は何かまた新しい理由を見つけて鍵する」俺ならどうするんだ?どんなに鍵を重ねて自分に言い聞かせても嘉月の様に気持ちが育ってしまったら。自分にしかできない嘉月を考えていると、
午前中、学校をさぼって、蓮にお弁当を渡したいために、制服のまま蓮を待っていたキョーコがいた。
こういうときキョーコはすごく積極的。これは相手によってはすごく押しつけがましく感じるだろう。キョーコと恋愛関係を進めたくなかった尚は、その辺感じてたのかな。

無表情からふわっとした神々スマイルに変わる敦賀さん。「元気の出るお弁当もらいついでにできればもらいたいものがあるんだけど。君の今夜の時間と身体」

夜8時に蓮のマンションを訪れるキョーコ「変な言い方しないでくれますか。」「あれ?もしかして何か期待させた?」予想通りの淡泊な反応で多少つまらなかったけれど、自分にドッキリされても困る蓮。

いや、独り暮らしの男性の部屋に夜訪れて、ドッキリするのは当然でしょう。

二人は台本を使わずに、素で嘉月と美月の名前と人物設定だけ使って部屋で過ごす、つまりDARK MOONごっこをすることにした。「俺の嘉月はそれでいいんだ」という蓮が、嘉月を掴みかけていることを察するキョーコ。

(ACT.69)ゲーム・ヒート
風邪で学校を何日か休んでいるのを心配した美月が嘉月の様子を見にくる設定。美月が嘉月の部屋で過ごすのにその方が不自然じゃないけど、そこまでこだわらなくてもと思うキョーコ。

ところがキョーコ美月のドアのベルにしばらく待たせた後、ドアを開けたとたんにダメ出しをする蓮。
ここは自分とキョーコしかいない1フロアー1室のマンションの廊下ではなく、「駅から徒歩5分ほどすなわち人通りも少なくないテラスハウス」で「嘉月は、美月を毛嫌いしている従兄弟操の恋人で、目撃されたら大変な状況なはず」「嘉月の方も見られたら、本郷への復讐がだいなしになるはず。」自分はまだまだだなあと思いながら、敦賀さんが本気で演技の相手をしてくれているのでわくわくするキョーコ。

そういえば、未緒は嘉月の天敵のはずだけど、DARK MOONで二人が絡む部分がまったく見られないのが残念。やはりこれはどこかで京子と蓮が本格的にダブル主役として共演してもらいたい。3巻ACT13-12の松内瑠璃子ちゃんの当て馬でも素人なりに蓮に対峙していたけど、今後京子が成長したら、迫力あると思う。

もう一度ベルを鳴らすところから。
今度は、通りがかりの人の目を気にする美月になって、出てこない嘉月に焦って何度もベルを鳴らしたあと、植え込みに隠れているつもりになる。ちょっとドアを開けて話をしたところで蓮の嘉月に「本郷も今日はもう家に帰りなさい」と言い聞かせてドアを閉められそうになったので、足をドアに挟んで怪我をしながらも、「先生お腹すいてない、ずっと寝こんでて」と、強引に怪我の手当てのために部屋にあがる展開にする。驚きながらもこの先の俺の演技にどう返して来るんだろう、と蓮もわくわくする。ケガの手当てをしたら帰りなさいという展開になりそうな所を「私が生徒としてここに来たんじゃないとすれば?要するに身内。だって先生将来は本郷の家に入るんでしょう?操さんと結婚して。」何をいうのかと思っていた蓮は、その発想に驚くと共に他の女との関係を指摘されて胸が痛むのを感じる。

京子ちゃん松内瑠璃子とのことで捻挫と骨折をしているし、後ほど天宮千織に階段から突き落とされて右手も負傷するし(23巻ACT.133)、将来紅葉としてアクションをする(40巻-)のに大丈夫だろうか。

(ACT.70)ハニー・トラップ
胸が痛んでいるのは、嘉月だろうかそれとも俺が?と思いにふける蓮は、キョーコに「先生どうかなさいました?」と言われて演技中であることを思い出してハッとする。

蓮の風邪の演技が真に迫っているのと、玄関で元気そうに見せたのは美月を安心して帰すためだと気付いたキョーコ。蓮の手を取って「急いで先生でも食べられそうなもの作りますから それまで先生は寝てて下さい」と手を引く。更にベッドが乱れているのを見て、ついさっきまで寝ていて急いで飛び起きてそのままという状態がつくってあることに気が付き、だから嘉月はインターホンになかなかでてこられなかったと気が付く。

役の”行動”や設定に対する視野の広さも奥深さも、自分とは全然違う敦賀さんに、呆然とする京子、目に涙を溜めてフリーズした京子に狼狽える敦賀さん。気を取り直した京子は「おかゆの作り方がわかりません。でも先生のご飯を作りたいんです。だからお願いします。『帰れ』なんて言わないで」と自分ながらその場の思いつきの理由だと思うが、嘉月に台所に行かされる。

実は蓮は京子を『抱きしめたい』衝動に駆られて、そうなる前に台所に追い払ったのだが、キョーコへの気持ちがどんどん膨らんでいくのを感じる蓮。

と台所から大音響が。椅子の上にゴミ箱をおいて上の収納棚をおろしたら出っ張ってきて、にっちもさっちもいかない状況のキョーコを助けたところが、バランスを崩したゴミ箱が外れキョーコは後ろに落ちる・・・はずだったのが蓮に抱きしめられて床の上。

キョーコが落ちた衝撃を受けてないなら、敦賀さんの上に落ちて抱き止められたはずだけど、それでどうして敦賀さんが上になって抱きしめている???いやそれは助けた後思わず押し倒したのか。

(ACT.71)ギルティ・シーン
蓮は、抱きしめた昔のガールフレンド達を思い出すが、彼女たちの感覚に香りに胸を締め付けられることはなかった キョーコだと、こんなに愛おしいなんて、とそのままギュッとキョーコを抱きしめる蓮。

嘉月なら思わず触ってしまってあわてるのではと思って、反応に困った京子は、「先生、あのもしかしてご気分でも悪くして」と言われてハッとする蓮。

こんな所で俺の気持ちに気付かれる訳にはいかないんだと、夜の帝王の顔になり、京子のくちびるを手でなぜ「キスしたことある?」「教えてあげようか」と更に迫る。焦った京子は「先生お気を確かに。私は操さんじゃありませんよ」との声に、また素で暴走しかけたことに気が付いて呆然とする蓮。

ろくに料理しないのに冷蔵庫や棚が大きくて立派なことが、まんがParkで言われていたけど、敦賀さんアメリカ育ちだから、これはアメリカの典型的なキッチン。巨大な冷蔵庫といっぱな棚や綺麗なシンクや調理台、で、実は料理はほとんどしない。

思わずキョーコを抱きしめたのが嘉月じゃなくて自分であり、芝居を忘れて暴走したことに呆然とする蓮。思わず笑う蓮に、むっとするキョーコ。「教師の言う事聞かないで家に帰ろうとしないから、おしおきしたんだ。」と芝居に便乗して本心を隠す蓮。実は『嘉月』でも『敦賀蓮』でもない素の自分(ここではまだ明かされないけど久遠)がでてしまったのだけど。
今日ほどテンパった自分に出会える機会が訪れた事が一度もなかった。自分も知らなかった自分の一面を彼女が引き出した。過去は持ち込まないって決めたのにとため息をつく。一方キョーコも抱きしめられた後の蓮が、嘉月ともいつもの敦賀さん違う誰かであるような気がしていた。

蓮の頭に、「嘉月を楽しいと思えるようになったら出てきて下さい」という緒方監督の言葉が浮かぶ。過去は持ち込まないと決めていたけど俺はその嘉月を演ってみたい。俺にしかできない嘉月を。

なにか吹っ切れたような蓮から「今夜はありがとう。つき合ってくれて」と言われて「敦賀さんの嘉月が」とキョーコ「演れそうだ」と蓮。

敦賀さんほんとうに恋を自覚したのね。しかしこの先が長い。しかし素の敦賀蓮=久遠って夜の帝王なの・・・まあ10代前半に両手の指に余るほどの彼女とつきあってSexしてきたんだろうけど。

(ACT.72)シナリオ・ジャック
敦賀さんの嘉月が見られるとウキウキと撮影現場にキョーコがいくと、なにやら重苦しい雰囲気で、未緒の衣装もまだ用意されてないし、宝田ローリィ社長が蓮とにらみ合っている。宝田社長が来た時、1回目も2回目も京子はいなかったし、スタッフも監督を刺激しないように口に出さないようにしてきたのだ。
「俺がタイクツする様なヘタな演技しやがったら即刻降板だ。保津周平のインパクトに劣っていても降板だ」と社長。「保津周平の表現力も影響力もインパクトも超えてみせます。あなたの目の前で」と蓮。

蓮にとって大変な事態なのに自分だけ知らなくて、と独り拗ねるキョーコ。昨日の別れ際に何も言われなかったので、キョーコは多分知らないと気付いていた蓮。「一番最後まで敦賀さんの側にいたのは私なのに、敦賀さんの身に大変な事が起きてる事知らなくて、悔しかっただけ」と腕で膝を抱えていうキョーコに、「俺の理性を試しているのか」と無表情で思う蓮。

宝田社長曰く、これは蓮仕様の俺の愛情表現なんだと。
宝田社長はどうさせたかったのか、結局よくわからなかった。蓮を挑発して、久遠を解放させたかったのか、まだその時では無いから悔しさだけを胸に残したかったのか。

テストは敦賀さんがスランプに陥って演技ができなくなった、美月が嘉月に紅茶を出しに来るところからだが、百瀬逸美のため息を聞いた蓮は、「美月でカップで手を切った後からのセリフ、アドリブでやらせて下さい。」と緒方監督にも申し出る。
「台本の中の嘉月のままだと俺の演りたい嘉月にならないんです。」「嘉月のセリフが変わると美月のセリフも変わってしまう。百瀬さんだって困るよ」という緒方監督に「百瀬さんは演ってくれますよ。もう何度も同じ演技やらされて飽きちゃってるはずだから」話の流れは絶対変えないし、このシーンの引きも変えません。「もし美月のセリフが出てこなかったら?」となおも言う監督に、「俺が演技させます」と蓮。俺が演技させますって・・・なんと挑発的な。


2022年2月5日土曜日

スキップ・ビート!11

2005年10月19日発売

(ACT.61 ひかれた引き金)
演技テスト後キョーコが、「この傷は姉のひどい仕打ちで負ってしまった未緒の心の傷なんです。未緒が姉を許せない限りこの傷は一生消えません。『憎悪』という悪い魔法をかけられたおとぎ話のお姫様は、他人を憎むことしかできない自分を誰よりも実に醜いと嘆きながら、身も心も澄んだ美しい王女様にはもどれないのょぉぉぉぉ」と突然悶えだしたキョーコに、あわてる緒方監督。敦賀さんは「あれは彼女の趣味いやクセですから(昔からと心の中で付け足す)」

その夜、夢の中で10年前のキョーコちゃんとの別れを思い出す蓮。住む世界が違うからと手紙も拒否。泣いているキョーコに、のぞくと色の変わる石、菫青石を渡す。あいかわらずメルヘン思考は健在らしいと思い出す蓮。精神安定剤なのは後ほどでてくるからわかるけど、蓮様、時計とペンダントして寝るんかい!安眠出来なさそう。

20年前の月籠りのDVDを前にした蓮。徹夜で見てしまう。

撮影は、役をつかんだ京子のど迫力で進んでいる。10年前の未緒を超えるのは、飯塚さんも認めている。キョーコちゃん撮影の度に伝説を残してトップ女優になりそう。

京子が敦賀さんと親しいのを面白く思わない女性共演者だちだが、百瀬逸美さんは、京子は思ってた以上に演技できる子で嫌いじゃないと思う。

20年前の月籠りのDVDを蓮が見たと社さんから聞いて「『月籠り』なんか見ちゃったら、無意識に演技影響されたりしませんか?」という京子に、「原作より激しい、悪鬼の様な君の未緒が、今更月籠りの未緒に汚染されるなんて有り得ないから」と蓮にいわれ、むくれて蓮を笑わせる。「俺も最上さんみたいになりたいって事」「どうしても初代"嘉月"とは同じ様な演技をしたくなかったから、だから俺はあえて月籠りを見る事にした。初代の演技を知るためにね」お芝居に真摯ないつもの敦賀さんに見えたのに、ほんの少し違和感を感じるキョーコ。撮影前から月籠りを超えるのを目標にしてたのに、どうして初代"嘉月"の演技を今になって見ておこうなんて思ったのか・・なんか今まで見ない様にしてたのにここに来て、いても立ってもいられず見ちゃったみたいな感じが・・・、敦賀さんはDARK MOONで緒方監督に唯一ダメ出しをもらった事がないミラクル俳優なのに、そんな馬鹿な、と思ったところで、緒方監督のダメ出しがかかる。それは美月への気持ちが「気になる存在」だったのが「愛おしい」に成長したところ。

(ACT.62 月蝕)
事業に失敗した嘉月の父は家族を守るため古い知人だという大富豪に大きな借りを作った。その知人の口利きで、大富豪の弟のお抱え運転手を勤めるようになった。それからまもなくその弟一家が事故を起こし、娘一人を残して亡くなったとき、父は休日で事故車には同乗してなかったが、その日から悪夢に魘されて、亡くなった人達に謝罪し続けていた。そして警察に行こうと父が決心した夜に、意識を失った父と母は車に乗せられた。その車は海から引き上げられた。屋外にいた嘉月は独りその様子を見ていた。雇い主が亡くなり借金苦から一家心中ということになった。
復讐を誓ったその子は、施設で育った後、幼少の頃から頭も気立ても良く器用だったのを気に入られて養子になり、養子先の名字「橘」を名乗り、本当の名前、本当の素性は封印して「嘉月(偽名)」となった。
嘉月は自分と年の近い本郷家の長女「操」を利用して、本郷家を内部から叩き潰して復讐することにした。その操との接点として音楽を始める。
復讐のために本当の素性を隠すその状況は敦賀さんに近い

蓮は、こんなにダメだしされたことはないから、内心すごい動揺してるんじゃと心配する社さんに、坊内防諜で監督の言う事聞かなくてクビにされたことが何回もあったというのは社さんに会う前の事なんだと思うキョーコちゃん。昔は余程生意気な役者だったのかなと。確実に日本に来る15歳以前だから、子どもの頃のキョーコちゃんにあった頃かも。
嘉月と美月の間には教師と生徒であるタブー、嘉月の父親が自分たちの幸せのために美月の両親の命を奪ったというタブー、復讐のために近付いたのは操だというタブーがある。そして美月に惹かれていく自分に戸惑うリアルさ・・・と緒方監督に説明されて、先代の嘉月の映像が浮かんでしまう。
何度やり直してもフリーズする蓮、見ていたキョーコはもっと深刻な役者の命に関わるような深刻なことがあるのではと思う。
スキップビートのスピンオフとかで、劇中劇をやってもらいたい。

控え室で一人、ラブラブの手作り弁当で敦賀さんとイチャイチャするキョーコを妄想して荒れる尚。星一徹暴れって、2000年代の読者さんに通じる?

(ACT.63 そのコンタクトは許される)
敦賀さんが嘉月の演技をできなくなってしまって、監督から「思い切ってお休みとろう。嘉月を楽しいと思える様になったら出てきて下さい」と無期限の休みを言い渡されてしまう。蓮は、携帯のスイッチも切って社さんとのコンタクトも拒否し、マンションで独りお酒を飲んでいる。

不安にさいなまされる緒方監督。昨日の敦賀君はまるで少し前の自分みたいだと思う。何をやっても父の真似をしているみたいで自力で父を超えようともがけばもがく程身動きが出来なくなる。
キョーコも昨日の敦賀さんは嘉月の気持ちをどう表現したらいいのか急にわかんなくなったんじゃないかと思う。
僕を苦しみから救ってくれた様には彼を救ってあげられないと落ち込む監督に、私も敦賀さんが私を助けてくれた様には敦賀さんを助けてあげる事なんかできないと思うキョーコ。
監督が倒れたときに何と耳打ちしたか、ここではまだ読者に明かされてないから、これを連載で読んでいたら、状況がピンとこないかも。14巻ACT.79で「あなたは伊達監督とは違うんですよ」と。

でも、この状況の本当の意味、蓮も大きすぎる父の影響から逃れて自力ではばたきたいともがいていたわけだけど、「父さんの手は大きくてまだ自由に空を飛んだことは一度も無いんだ」とコーンが言っていた(13巻ACT.78)のにちょっと示唆されているけど、はっきり文章になっているのは、クーが来日して蓮と話し(19巻ACT.110)てるところだから。

自分みたいな新人になにができるだろうかと、「やっぱきまぐれロック」の収録中も考えるキョーコが、坊を片付けにいこうとした倉庫で、落ち込んでブラックホールを醸し出す蓮を見かける。天手古舞いで社さんにも訊かずに独りで悩んでいた敦賀さんを思い出して、他人には絶対本音をそのままぶつけないことを思い出す。自分の悩みを他人に相談するのは、弱みを見せるみたいで嫌なのかなと・・思ったところで、それを指摘した坊には全力で怒りを見せたことを思い出す。坊には真剣に天手古舞いとはどんな舞かを訊いたり、監督のいう事聞かなくてクビにされた事をうち明けてくれたこと。

京子は坊を着て、落ち込んでいる敦賀さんに「久しぶり」と声をかける。

(ACT.64 夜明けの呪文)「話してごらんよ。その悩み」とはいったものの沈黙が続く。天手古舞いの意味とはグレードが違うし、坊はセリフのない仕事だしとキョーコが考えていると蓮がなにかいった。「君は恋をした事があるか」敦賀さんが行き詰まってたのも、嘉月の恋の演技だったと思い出す。「君みたいな立派な男子が恋をした事がないって方がサギだよね、そんなモテ顔で恋愛経験が無いなんて言われたって」「・・・」思わず「今無いって言った?」と坊に聞き返されて顔を赤らめる蓮。この辺今の敦賀さんから想像がつかない初心顔。「正確には俺は自分はちゃんと恋をしてきてるんだと思っていた。でもある人に『お前は本気で他人に惚れた事が無い』と言われたんだ。だから今回のドラマの役は『お前に演り通せないからやめろ』って止められた」(社長さんの事ねと思うキョーコ。)「『お前は必ず演技に行き詰まる。そうすればオリジナルの真似をするしか道が失くなる』とも」。「今言われた通りの状況に陥ってる」このまま役の気持ちがつかめなかったら・・・子どもの頃役を切られたことが頭に思い浮かぶ。自分の腐った恋バナが役に立つかとショータローのことを思い出したら、妄想の中のゴキブリいやショータローを追い払おうとしてしまったキョーコ坊に腹をたてた敦賀さんは、坊の頭を引っ張る。頭のコック帽子が取れてバリカン禿げになった坊。

坊は敦賀さんの笑いのツボにはまったらしい。「敦賀さんが笑ってくれたからまあいいか」と、スタジオに戻る敦賀さんと歩きながら「誰かのふたした表情やしぐさを見て『綺麗だな』とか『可愛いな』など思わず思って見惚れてしまったりした事とかはないのかな」と。言われて、尚のPVにでたけどアイツへの復讐心いっぱいの汚れた気持ちで演技はしてなかったという時のキョーコを思い浮かべる。(車の中で無表情だったときね)「それが恋の前兆なんだよ」とキョーコ坊。

一方撮影現場には、仮面舞踏会の準備で乗り込んだ社長さん。蓮の姿が見えないと言われて焦る緒方監督。状況を察して、明日出直して来るという。

(ACT.65 サイレント・サイレン)坊に「君が素直に認めないのは何か理由があるのかい」といわれて、蓮は「相手はまだ高校生だ」と。狂喜乱舞する坊。「君が今やってるドラマの役も確か恋する相手は高校生だろう?!そのままのシチュエーションが今そこに。その彼女ともっと関係を深めたまえよ!!」「今はまだ誰とも恋愛をする気はない。ここで大切な存在は作れないんだ。今の俺では。」と控え室で坊との会話を思い起こす蓮。

坊も人間が入ってるのはわかってるのに、よほど敦賀さんは感情をぶちまける相手に飢えてるんだ。あとキョーコの声音の変化の技術がすごいんだろうな。のちほど再会した大人になったコーンが敦賀さんの声としゃべり方をしている(35巻ACT.206-)とキョーコちゃんが不思議に思うのと対照的。キョーコちゃん既に敦賀さんを上回る演技が出来てる。

「ドラマの事で頭がいっぱいで気が滅入ってるのはわかるけどさ」と社さんに声をかけられて、ドラマの事を忘れていたことに気が付いて呆然とする蓮。「お前本音をぶちまけられる人間ってどこかに居るのか?せめて俺にくらいグチこぼしてくれればいいのに」と心の中で社さんはつぶやく。

ダークムーンの未緒、美月の場面の撮影は順調。着替え中に「今ついていける自信が無いのは『嘉月』への恋心かしら 何度も同じシーンのリテイクに付き合わされた時からどうも良くないんですよね。敦賀さんNGリテイク知らずの俳優で有名だから、この仕事すごく期待してたのになんだかガッカリ」という百瀬逸美ちゃんの声が隣から聞こえてくる。

「アレなら共演者の立場で言わせてもらうと演技は未緒の方が上手いですね」と聞こえてきて呆然とする京子。「いやああああ、やめて、そんな話もう聞きたくない」と涙声で走り去る京子。

トーク番組で「ほな今は?好きな女性とか居て貼りませんの?」と聞かれてなぜか詰まる敦賀蓮。見ていた社さんの携帯に京子からの着信が鳴る。敦賀さんの明日のスケジュールを教えてもらえないかという。「別に教えてあげない事はないんだけどっキョーコちゃんだしっ」という社さんの言葉を軽く流す京子に、プライベートで電話し合う仲にまで発展してるのに、この子って蓮のことそういう意味で全然意識してないのかなと思う。教えてあげる条件として社が出したのは、蓮に夕食を作ってやって欲しいと言うこと。

帰りに車の運転を止めて、嘉月をどう演るか考えないとと落ち込んでいるところを窓を叩く音が。キョーコの顔を見て思わず破顔する蓮。
恋の警報!しかし蓮さん、車線の真ん中に停車してませんか?

(ACT.66 アンバランス・ロック)社さん、蓮に夕食をつくってくれるようにキョーコちゃんを送っておいて、自分は一人でレトルトご飯?
それに社さん理由は分かってないけど、なかなか鋭い。蓮は嬉しいと無表情になるのよ。

しかしキョーコの顔を見て神々スマイルになったのに、社さんから頼まれたんです。お夕飯を作らせていただけないでしょうかと、次に目を向けたときは、嘘・毒吐き紳士スマイルに変貌していた。
なにが機嫌を損ねたのかわからないままテレビに目をやると、元教師と元教え子の19歳の年の差カップルが。じーと見ている蓮に「ああいうカップルの事どう思います?」「すごいなぁ? ガンバレーッ」(4つの年の差で四の五の言ってるくせに でもそれは坊しか知らないネタだし)更にテレビでは「こいつが高校出ちゃったら一気に箍が外れちゃって」と言っているのを聞いて、(敦賀さんが躊躇うのは想い人がまだ高校生だから?)と考えているキョーコをじっと見つめた後「あの二人のせいで余計なことに気が付いてしまった」とため息を吐いた後ほとんど口を開かなくなった。

車で送るときにもキョーコと目をあわさない蓮に、逡巡したけれど、車から降りて運転席側にまわり「待ってますから。嘉月に、一日も早く、逢えるの。美月よりも私が。」と赤くなりながら伝える。びっくりした蓮だが、無表情になって「頑張るよ」と去って行った。その後交差点で蓮は青信号に変わったのも気付かず、キョーコの顔を反芻していた。
敦賀さんの方が先に意識し出すのね。キョーコは、敦賀さんに恋を経験させたいとこのあと画策するのに。気持ちを押し隠そうとすると無表情になるのはわかるような気がする。


2022年2月1日火曜日

スキップ・ビート!10

2005年6月17日発売

(ACT.55 月籠り)かつて大ヒットした『月籠り』のリメイク版『ダークムーン』の制作発表のテレビ宣伝で、なぜか緊張しまくってる緒方監督。なぜか蓮も緊張している。

インタビューがいざはじまると、緒方監督は冷静に受け答えしているので、キョーコも、テレビで生中継を見ていた緒方監督の親友の麻生春樹さんもホッとするが、最後の質問「前回『月籠り』の監督をなさってた伊達大尊監督はお父様だそうですね。緒方監督は以前までお父様と同じ様に本名伊達啓文で活躍なさってたと聞いたのですが 何故今回を期に緒方啓文と改名されたんですか」と言われた途端、呼吸困難で倒れてしまう。
 
病院に運ばれた緒方監督には、新人で次の仕事が何もないキョーコが付き添った。麻生さんも駆けつけて退院などの手続きをする。キョーコは「来ないと今日教えてもらった京子ちゃんの携帯番、尚に横流ししちゃうから」と麻生に脅迫され、3人で一緒に食事。その後、キョーコは、病院で麻生さんに聞いた話や、3人で食事をしながら話したことを蓮に電話で報告する。緒方監督はずっとまわりに、父親のおかげでうまくやって来たって評価されてきたから、父親の存在がひどくコンプレックスになっているという麻生さんの言葉を思い出して無言でいるうちに、留守電が時間切れになる。

(ACT.56 資格を持つ者)現場に復活した緒方監督、制作発表で倒れたのが嘘のように元気そうだが、蓮はキョーコちゃんから電話で「パニック障害みたいなものらしいです。監督きっと、今ギリギリの力で自分を支えてるんだと思うんです。大き過ぎるお父さんの名前と実績の重みから」と聞いたことが心に残っている。高校生役のエキストラの子達が「緒方監督は伊達大尊監督の息子だから、伊達マジックで今回のドラマも大ヒット間違いなし」と大声で噂しているのを聞いて、3時間かかった傷跡特殊未緒メイクのキョーコが「こんど一度でもその話題にふれたら呪うから」と怨キョを出しながらいうと、キョーコの迫力に皆逃げていく。唖然とする社さんと敦賀さん。
「未緒の雰囲気もうつかんじゃってるんだね」と社さんに言われて、演技してなかったキョーコは落ち込む。子どもの頃のキョーコを知っている蓮は「こんな子じゃなかったのに何でこんなに変わり果てて」とケンカを売ってきた尚を思い浮かべる。

役作りで悩んでいるキョーコ。養成所の役作りの授業は『やっぱきまぐれロック』の収録と重なって思うようにでられてない。そんなキョーコに「昨日の三度目の電話ってそのためだった?」と蓮。電話での緒方監督の話に、蓮の反応が深刻だったので言いだせなかったのだと気が付く。「役作りは台本に描かれていない登場人物のバックグラウンドや心理を考えてやることを言うんだよ」と蓮に言われて、「芝居は台本に描かれてる事だけ忠実に表現すればいいの!登場人物のバックグラウンドなんてよけーな事考えなくていいのよ!」といったモー子さんと比べて混乱する。二人がプライベートで電話し合う仲と、初めて知って、浮かれる社さん。トイレに行ってくるからと気を利かせる。

まだキュララのCMしか知られてないキョーコが、敦賀さんと二人っきりで話しているのを見て、先ほど脅かされた高校生役のエキストラたちは陰口をたたく。

20年前の未緒を演じた飯塚さんは、今回は未緒の母親役だが、プロフィールの一番先に未緒が紹介されるほど未緒は自分の代名詞だ、とプライドが高く、キョーコのことを『今時の新人タレント』と監督に不満をぶつけ、更に緒方監督が制作発表で倒れたことを「あなたみたいな頼りない監督だけにまかせておいたら『月籠り』が壊されてしまう!!」と。

演技中に蓮のいったことを反芻していて、思わずヘマをしてしまったキョーコに切れた飯塚さんは、「未緒の役作りできてるんでしょうね」と詰問する。「もちろんです」と反射的に答えてしまうと、「本当に未緒を理解してるかどうかテストをしてあげる。一つでもわからない事があったら、あなた未緒を降りてもらうわよ」と。なだめようとした緒方監督に「伊達監督は、当日役作りのできてない役者なんて容赦無く切り捨てましたわよ。伊達監督を見習った方が宜しいんじゃございません」と地雷を踏む。

黒髪ストレートのキョーコちゃん、女子高生らしくて似合う。後にカリスマ高校生「ナツ」をやるけど高校生の内に、清楚な高校生の役もいいな。オカルト映画もできそうだけど。
飯塚さん、演技に対して厳しい姿勢はいいのだけど、キョーコちゃんだけに求めるのは、自分のプライドが入りすぎてる。

(ACT.57 心の印)飯塚さんのテストが始まろうとしたところで、飯塚さんの言葉を反芻していた緒方監督が、呼吸困難で倒れる。伊達監督を起こした蓮は、伊達監督に何かをささやくと、嘘のように呼吸困難が収まる。

何事も無かったように飯塚さんの質問攻めが始まる。

未緒は内気で引っ込み思案で、母親がなにかにつけ才色兼備な姉の操と比べるのがコンプレックスとなって、姉の操も母親も憎んでいる。唯一未緒はバイオリンの才能が姉より秀でていたが、嫉妬した姉は山の別荘に行ったときに、切り立った斜面下に投棄されていたガラスの山の中に突き落とす。未緒の顔には傷が残る。父は姉を未緒と比較したりはしないが、父が自分の欲望のために実の弟夫婦を殺しのを知っているので、憎んでいる。一人生き残ったその6歳の娘の美月は、未緒の両親にひきとられたが、二人とも内心美月を疎んでいる。嘉月は未緒の嫌いな姉の操の婚約者なので、やはり未緒は憎んでいる。

未緒が、美月を子どもの頃から嫌っている理由を聞かれて・・・そこまでは考えていなかったキョーコは言葉に詰まる。だったら始めに言ったとおりあなた未緒を降りてちょうだいと飯塚さん。
まあ考えていなければならないけどね。
敦賀さんの「この子に少し時間をあげて下さい。この子は必ずあなたが満足する未緒を見つけてきますから、俺が保証します」というとりなしで保留になったものの、敦賀さんは答えは教えてくれなかったので、社さん相手に愚痴るキョーコ「これは蓮の愛のムチなんだ!!キョーコちゃん蓮に愛されてるんだよ」という社の言葉もスルー。

心の拠り所が無いのは未緒と変わりないのに、美月は、未緒みたいに暗くもならず前向きで元気で明るくて心優しい素敵な娘さんで、私の理想のお嬢様、それに比べて未緒は・・・と思うが、内気で引っ込み思案の人が自分のそういったストレスを時には面と向かって堂々と美月や嘉月にぶつけたりできるものだろうかとも思う・・・と水面に映る自分の特殊メイクの傷を見てはっとするキョーコ。社さんはキョーコの一人七変化に見とれている。

この、自分の世界に入りこんで周りが見えないキョーコちゃん楽しい。社さん後に(40巻ACT.240)紅葉のオーディション前にキョーコちゃんのマネージャーを希望して兼任するのも、この何が起こるかわからないけど、覚醒したらすごい俳優になるキョーコちゃんができあがっていくところに惹かれたのでは。もちろんあれは森住仁子が気になったというのもあるだろうけど。

一方ダークムーンの制作発表をテレビで見た祥子さんは、京子が敦賀さんと共演することを知って、尚が、大嫌いな敦賀蓮と『自分のモノ』といってはばからないキョーコちゃんの組み合わせを知るのは気分悪いのじゃ・・・と焦る。次の尚の仕事はDARK MOONを制作している富士TV。

(ACT.58 不測の風)そして突然荷物を持って「すみません!すぐもどりますから」といって潜在能力を出し切って社さんを振り切って外に出て行ったキョーコに焦る社さん。
でた!ファンもおいつけない、パワー全開で蓮を後ろに乗せた自転車を漕ぎ(7巻ACT36)、後にルトさんも(31巻ACT.187)蓮も(44巻ACT.271/45巻ACT.277)振り切られる潜在能力の70%を出したキョーコ!しかしなんで70%なんだろう。
非難の声が巻き上がる現場に、一人冷静に「必ず返って来ますよ。あの子は決して自分の仕事を途中で投げ出す様な子じゃありませんから」その確信の目に緒方監督も「僕は京子さんを信じます」と飯塚さんを説得する。
まあ代マネでのキョーコちゃんを知ってる蓮からすればそうだけど、いきなりすごいキョーコちゃんへの信頼。もっとも役者としては短期間にブレスも息継ぎも完璧になったし、蓮の台本読みの相手もできるようになったし、役者としての素質を認めてるのね。

全員に反対されるだろうから何も言わずに飛び出してきたけど、未緒が本当はどういう人なのか見えて、その未緒が演ってみたくてドキドキするキョーコ。

3時間後戻ってきたキョーコは、傷跡を隠すはずの髪の毛をばっさり切ってショートカットにして、黙って台本を見ながら座っていた。呆然として口々に皆非難する中、蓮の声にも反応しないキョーコ、「顔を上げて」と手を出した蓮を憎悪のこもった刺すような目で睨み台本で叩く。

ストーリーが『原作と違う』というのはあまり好きじゃ無いけど、人物像の表現の仕方として解釈は色々あって言い。少なくても20年前の真似は、『月籠り』を追い抜くためにはダメだよね。そういう意味では画期的。この時の蓮をも本気で睨むキョーコちゃんかっこいい。これ、別の映画かドラマで再現してもらいたい。真剣に闘う蓮とキョーコちゃん。

「未緒がついてます」という蓮。飯塚さんに「試しに話しかけてみて下さい。あなたも嫌われてるはずだから、きっと冷たくあしらわれますよ」「未緒の顔の傷を隠すための長い髪は内気で引っ込み思案の未緒の象徴なのにそれを取り払ってしまうなんて、京子さんの未緒は既成の未緒を根底から覆している」「世界を破壊と混乱に巻き込む竜巻だ」と目が離せない緒方監督。

社さんもうすぐ誕生日なの?囲碁将棋が趣味?

(ACT.59 世界が壊れた日)未緒の憑いたキョーコの、演技テストに不満そうな飯塚さん。まわりの意見も「あの未緒じゃだめだろ。あれじゃ『内気で引っ込み思案』って未緒らしさが全然感じられないし」蓮は緒方監督に「監督のおっしゃるとおり俺も正直あの未緒は原作の未緒としてはどうかと思いますよ。でも『役作り』も初めての彼女が、一人で一生懸命考えて出した答えがあの未緒なんです。もし彼女の役者としての自信を育てる協力をしてもいいと少しでも監督が思って下さるなら、もう少し彼女の『未緒』を見てやった上でダメ出しをしてやってくれませんか」と。「もしかして敦賀君にとって京子さんは特別・・・?ひょっとして敦賀君、京子さんの事を」ドキドキする緒方監督。緒方監督なかなか鋭いって全くの新人の京子にここまで肩入れしたら当然か。「でも僕には京子さんのあの未緒は使えない。どんなに京子さんの未緒を見せてもらっても」

母親(飯塚さん)の呼びかけを無視して、歩み去ろうとする未緒。再度呼ばれて振り返った時の憎悪の顔に、皆衝撃を受ける。ニッと笑う蓮。まるで気位の高い金持ちのお嬢様だという声。「お姉様のお名前(操)をもじったりせず、私にはもっと違うお名前をつけて下されば良かったのに。そうすれば一文字抜けたらずいぶん出来が違うんだな、なんて笑われ方をする事は一度もなかったはずなのに」カチンとくる飯塚さんは、完全に未緒の演技にひっぱられている。

なんとかキョーコの未緒を引き摺り落とそうとする飯塚さん。

劣等感はプライドがあるから感じるんじゃないのかと、自問しながら必死で否定する緒方監督。

「はっきりおっしゃっても構わないのよ。この傷が本郷の娘には相応しくないって」未緒の母親の性格ならこの状況ではきっとそう思うはずと気が付く飯塚さん。ならば日本有数のお金持ちがなぜ娘の傷跡をそのままにしておくのか。「自分の醜い心が見えるんでしょうね この傷を見る度にお姉様の美しいお顔がね、醜く歪むの まるで苦痛にでも耐えるようにとふっと笑う。つまり未緒自身が傷跡を隠すことを望んでないからだという。「よし いい答えだ」と心で思う蓮。衝撃を受けた緒方監督は目まいと動悸と身体の震えが止まらない。「彼女の未緒は激しすぎる。彼女の未緒は使えない。始めは思ってました。」蓮を始め全員驚く。「演技を見始めてからは、必死で自分に言い聞かせたんです。あの子の未緒は原作と違いすぎる。使えないんだって。なのにそうやって必死で抵抗してるのに、あの子は、あの子の未緒を僕に否定させなくしてしまうんです。最後の彼女(下線部)を見た瞬間、体中の血液が沸騰する感じ。それから作品を撮りたくてこんなに胸が疼く感じも。あそこに居るのはもう20年前の未緒じゃない。生まれ変わった未緒なんだ。だったら僕が次は彼女が生きていける新しい『世界』をちゃんと作ってあげないと。『月籠り』に囚われない20年前とは違う新しい『月籠り』の世界『DARK MOON』を。

たしかにかつての大ヒット作のリメイクって、すべての役を考え直して新しい解釈が出来ないか検討しないと、単なるものまねで終わってしまう。前作の監督の息子である緒方監督もそしてここでは語られてないけど前作の主演の息子である蓮も。

(ACT.60 それぞれの「影」)カチンコが鳴ってやっと未緒が抜けたキョーコ。土下座して謝る。「京子さんのその思い切った未緒のおかげで僕は自分がどういう『DARK MOON』を撮りたいのかはっきりわかったんです。僕は京子さんの未緒と仕事がしたい。」と緒方監督。

原作の未緒に似ても似つかない未緒を使おうなんて憤怒の飯塚さんに「未緒としての一番重要な部分は変わってないんですよ。それは未緒を演じた事のあるあなたが一番よくわかるはずです」と。それは憎悪。

別人のように自信をもった緒方監督。「『月籠り』を超えるためには『月籠り』を飲み込んでしまう程のインパクトが必要なんです。未緒だけじゃない。出演者全員に言える事」と。言葉は低姿勢なのにNOと言わせない威圧感があった。

「監督は大きすぎる父親の影から飛び出せるきっかけを掴んだんです」と社さんに説明する蓮。蓮の頭には、社長の言葉「そんなお前に表現できるのか?彼女の事が愛しくて愛しくて、それでもそれを必死で自分の中で押し殺す男の気持ちが」が頭に響く。

飯塚さんの未緒も興味あるけどね。

そこに蓮に怒られることを予想したキョーコがあらわれる。「怒ってたよ。君が無断でいなくなった事に関してはね。」「もし型通りのありきたりでつまらない未緒でも作って来ようものなら2・3年分の涙が枯れ果てるまで泣かしてやろうと思うくらいには」と「だったけど君は俺の予想以上の未緒を作ってきたからね」呆然と見守る社さんと緒方監督。「文句無いよ」とふわっと笑う敦賀さん。「君の未緒は嘉月の天敵としては理想的なんだ・・お互い役に入ったら本気で闘おう」といわれて敦賀さんと握手するキョーコ。

富士TVは、敦賀蓮の大写しのDARK MOONのポスターばかりで気分が悪いので着替えも省略して早々に帰ろうとする尚に、スタッフがDARK MOONのポスターを見ながら「あの子惜しい事したよねェ、尚君のプロモの発表がもうちょっと早ければ、あの子絶対今より扱い良かったはずなのに。役はいいはずなんだけど、CMが話題になってもまだ名前が売れてないから、報道番組とかでも、特別取り上げてもらえなくてさ、せめて制作発表でくらいいじってあげてもって思ったよ。主演の敦賀蓮と同じ事務所なんだか・・・」あわててスタッフを止める祥子さん。はっとしてポスターをじっくり眺めて京子の名前を見つける尚。