2021年12月10日金曜日

神様はじめました20-25

(114話)女子トークで盛り上がる奈々生を見て巴衛は、人の輪の中に居ると奈々生は時々違う顔をする、とちょっと寂しい。バスタブの小鬼が現れてキジムナーだと名乗る。今度はこの島の精神世界を司る人間の大王(おおきみ)がウナリの件で人神に礼がしたいとの伝言で祝福の光りを浴びる。奈々生や巴衛や瑞希や鞍馬には見えるがあみちゃんには見えない。鞍馬が自分の羽を渡すと見えるようになった。島の巫女か あの娘らしい礼の仕方だな 元気にしているのかと巴衛は何か知っているよう。


一方杵島ルリコも鞍馬の羽を拾って、妖怪が見えるようになって腰を抜かしていた。気がついた巴衛は 誰しも自分の世界から出る時は相応の覚悟が必要だ 時には命が代償になることもあるぞ と、元の世界へ飛ばす。恐怖におののいた杵島ルリコは元の世界へ戻ってホッとする。

(115話)修学旅行最後の夜名残を惜しむ奈々生に「来たかったらまた来ればいいだろう」という巴衛「どれも今しかない高校生の思い出だもん 大事にしたいの そうしてね大人になって思い出すのよ 楽しかったなーって」ホテルの男子生徒部屋で寝ている巴衛のところにミカゲ様が来て「島の巫女から礼状が届いて人魚のあらましはきかせてもらったよ 私からの返礼としてこれを届けて欲しいんだ」と。巴衛は昔ミカゲ様の使いで島の巫女に会いに丸島にいったことを思い出す。雨の中であった子供に、足の汚れないきれーな近道を案内してやるからお前の傘に入れろと」ところが案内するといいながら道に迷ってたどり着かないので私の実家の小屋に泊まっていくといいという。そんなガキを掴んで巴衛は空を飛んで丸島へ。そこで突然ガキに傘を奪われ「お前はこの先入っちゃダメ」と言われる。実はそのガキが巫女。ミカゲ様の贈り物とこの傘は頂いておく。もう帰れと言われてその島から放たれる光の帯に気圧され帰った。

数十年ぶりの丸島だが、巫女は病で体が動かないという。島からはあの時の神気が感じられない。寝所の巫女は別人のような老婆になっていた。たったの百年足らずで人はこんなに変わるのかと巴衛は愕然とする。巴衛を案内してきたのが次の新しい巫女だと。お前と出会ったあの日、本当は自分はこの島にいきたくなかった。たくさん友達もいたし遊びたかったけれど巫女になるために島に住まねばならない。だからお前に手を引いてもらって嬉しかった お前と飛んだ空楽しかったなあ。俺が空に連れていってやるという巴衛にもう私の目は見えん 心の目は健在だよ お前の心に住んでいる娘いい子だね その娘を幸せにしてやりたいならお前も変わらねばならんよ と。巴衛は 巫女が変わったように奈々生もいつかこうやって変わっていくのだろう 楽しかったと笑うのだろう その時俺はどうしたらいいと自問をする。

(116話)ミカゲ社で団欒中、突然巴衛が「俺が人間になったらお前どう思う?」と言い出した。あまりに急で奈々生は何も言葉が浮かばなかった。既に巴衛が妖怪であることを知っている猫田あみちゃんや上原ケイちゃんに「巴衛が私のために人間になろうって思ってるなら 私は今のままで幸せだから必要ないと思うけど・・・」という。ケイちゃんには寿命の問題を指摘される。巴衛は500年以上生きている妖怪で、人間になると男の平均寿命は80歳だからあと62年しか生きられない。あっという間と。

止めなきゃと焦って巴衛の所に行くが、巴衛は人間になりたいって言っただけで本当になれるってわけでもないのにと思い出して言わないことにする。聞きつけた鞍馬は巴衛に「人になったらできないことだらけになるんだぞ」と。

あみちゃんから自分は進化の薬を飲んで人間に戻ったんじゃなくて人間になったんだから人間になれちゃうんじゃないかと言われて、急に現実味を帯びてきて、巴衛の所に駆けつけると、巴衛と鞍馬は進化の薬の入った壺を前にしている。奈々生は「まだ巴衛は人間にならない方がいいと思う」と壺を取り上げる。人間になったらあと60年くらい経ったら死んじゃうんだからと言われて巴衛は「60年しかお前と一緒にいられないのか」と。「巴衛が人間になったって今より不自由になるだけ 妖力も使えなくなるし神使でもなくなっちゃう」「お前は俺より先に死ぬではないか!」「私は巴衛に一緒に死んで欲しくない」と。

(117話)進化の水の壺を前にあらそう二人「お前の方こそ知らないのだ 妖たちがどんなにか弱い生き物なのか」ミカゲさんは「心配しなくてもそんな簡単に妖怪は人にはなれませんよ」という。500年前は力のある神も主も多かったから巴衛は人間になろうとして死にかけたけど、と。その一人が死んだというのだが、お祝いの席に奈々生が連れて行かれる。これで紫殿もはれて自由の身だと。昔毒を受けて紫殿は姿を変えて樹木になったけど苦しみでのたうち回って幹や根はうねっていた。気が遠くなるような年月の苦しみの果てにやっと自由になったのだと。これは巴衛の未来の姿で、禁忌を犯した者は漏れなくその病すなわち恋に蝕まれることになると。紫殿は人間の女と道ならぬ恋をして彼女が亡くなるまで彼は彼女の家の庭に住んでいた 彼女が死んだ後動く力もなくなりその場に留まり根を下ろしたと。彼女が今の彼を見たらどう思うだろうね、と。巴衛が言った「お前の方こそ知らないのだ 妖たちがどんなにか弱い生き物なのか」の意味がわかって「私は巴衛をこんな風にはさせない それをミカゲさんに見届けてもらうのも嫌です」と。

奈々生は進化の水を巴衛に返すが「私が卒業するまで待ってくれる?」という。「それまでに私たくさん勉強してもっともっと大人になるから 巴衛のとなりで巴衛のことちゃんと支えられるくらい強くなれるまで」、といったのに目の前で巴衛は進化の水を飲む。「500年前の二の舞は演じぬ!お前にいつも今じゃない あとでと待たされて 俺もようやく気が付いた お前に関しては機が来れば速やかに為すべしだ!」と。しかし巴衛は人でなく狐になってしまった。

(118話)ミカゲ様は「だから言ったでしょう 簡単に妖怪が人間になれないと 妖と人では根本的に祖が違うのですから進化の水を飲んだところで交わりませんよ」と。ジュゴンが進化して人間になるわけでもないけど・・・
不本意すぎて拗ねる狐の姿の巴衛。ミカゲさんには大人しく手入れされているのに奈々生は避ける。一人で買い物に行きながら奈々生は「私だってもっと弱いところ見せてほしい」とそこに霧仁が現れる。奈々生の精気を吸って霧仁は元気になっていた。突然奈々生は霧仁が500年前の悪羅王であることに気が付く。「どうして巴衛のことを憎んでるの?仲良しだったんじゃないの?」と「俺は狐に裏切られた しかし今あいつとどうこうする気はない 今の俺の望みはただひとつ 巴衛に殺された悪羅王の身体を取り戻すことだけだ」と。あいかわらず人間の身体になってか弱くなっても、喧嘩をして追われているらしい悪羅王に「私暴力はきらい」「巴衛はあんたなんかと違う 巴衛は人を殺したりなんてしないわ 巴衛があんたを殺めたって言うならきっと殺めるだけの理由があんたにあったからよ 私は巴衛のこと信じてる」と。霧仁は急に切なそうになって「どうしてお前の言葉がこんなに俺に突き刺さる?」と。

(119話)「昔何があったか知らないけど今の私達には関係ない もう巴衛にも私にも構わないで」「今私達のいる場所は平和で穏やかで血の臭いなんかしない所よ そう望めばいくらでも幸せになれる場所 誰の命も奪われてはいけない世界 巴衛はそういう場所で生きられるひとだよ」と。昔巴衛に「俺は一方的な殺戮は好かん」と言われたことを思いだした悪羅王は「そうだな」と。

ミカゲ様は大国主様になんとかして下さるよう手紙を書いている。大国主はイヤだとごねる狐。

悪羅王のことを話していいのか迷う奈々生に、夜中に巴衛がやってきて「元気がないな 出先で何かあったか?」と言われて、狐の姿でも話せるのを初めて知る。巴衛のことをもっと知りたいと「巴衛は昔仲良い友達とかいた?」と聞くと「一人だけいつも一緒にいた男がいた 真っすぐで遊び好きで楽天家で快楽主義 全く趣味は合わなかったが 俺にとっては好ましい男だった」「今はこの世にいない その男はもう動かない 俺があの世に送ってやった」「許せないことをされたから 今も許してない きっと永遠に許さない」「憎かった?」「いやさみしかった」きっと巴衛は悪羅王のようにはならない だって誰かを大切に想うことができるひとだからと確信した奈々生は、今日悪羅王にあったと伝える。

(SP番外編)昔巴衛がまだミカゲ様に仕えていた頃、こき使われてミカゲ様の懐鏡に隠れて昼酒を飲んでいたら、お前の居場所はこっちだよと呼ぶ声がする。私との約束を果たせと。慌てて鏡から飛び出した巴衛はミカゲ様に捕まる。ミカゲ様に怖い夢を見ないおまじないをしてもらって20年くらいはもつだろう。20年経ったら悪夢を追い払う優しい女神が手をさしのべてくれるだろうと。(ここから一巻に続くらしい)

(120話)奈々生は、悪羅王は黄泉で自分と一緒にいた霧仁に乗り移っていると。悪羅王とは時廻りであったけど霧仁が悪羅王なのは今日偶然ばったり会って本人から聞いたと巴衛に告げる。動揺する狐の姿の巴衛を抱きしめて、私は大丈夫 何もしてないし何もされてないよと。霧仁は黄泉にある悪羅王の身体を取り戻すって言っていた。500年前に何があったの?と聞くが金輪際奴には近づくなと。早く元の姿に戻らねば もう二度と悪羅王に遅れをとったりはせぬと。

一方霧仁を見つけた夜鳥は、人間の娘を人質にとって狐に火を消させる案をだす。霧仁は「あの娘には手を出すな」という。式神の菊一は、沖縄では俺のために身を盾にして腕を一本落とされた。お前に同じ真似ができるってんならその腕を切り落として見せろ 俺は腹の中を見せられない奴は信用しない お前みたいな嘘つきは特になと。それに対して夜鳥は私の主人はただお一人あなたです。と。自分は500年前悪羅王に拾ってもらった小さくか弱い毛玉だと。自分の望みは、あなたの一番になること 狐でもなく菊一でもなくこの自分が。それに対して霧仁はお前の望みは却下だ。と菊一は自分が身を削って作った式神。お前がついてくるのはお前の勝手。それに俺の一番は俺だ。と。それでこそ悪羅王と思う夜鳥。

雪山事故以来霧仁が変わったと思う霧仁の母親。霧仁が帰宅すると、連絡もしないで心配した。親が子供の心配をするのは当たり前ですと。何があったとしても母さんはお前の味方よ。と言われる。そんな話を聞いている悪羅王に「本当にあなたは何も変わってない?」と疑問を思う夜鳥。

(121話)出雲の大国主が巴衛を元に戻してくれることになったという。巴衛が心配なので奈々生も一緒に行くと言うが、ミカゲ様に拒否される。「奈々生は目を離すと危なっかしいのに、特に今は」と文句を言う巴衛に、ミカゲ様は出雲の方に良くない風が吹いているという。巴衛が心配なら僕が出雲への近道を探してあげると瑞希は言う。神社仏閣は神様しか使えない道が通ってて全部繋がっているという。だから瑞希も奈々生とは行けない。ミカゲさんも巴がいるので夜霧車に乗っていった。奈々生ちゃんは最初にあった時よりもずっと強くなったと瑞希は言う。神の道は最上層その下は魑魅魍魎の下層界が広がってるので足を踏み外して落ちないようにと。しかし出雲まで10分でつくと瑞希は言っていたのに20分経ってもつかない。

突然夜鳥と出会う。この道は神しか通れないのにと驚く奈々生。「出雲に行くなら一足遅かった。大国主にはもう会えない。悪羅王様がもうじき蘇る。どうせ全員悪羅王に殺される」と。奈々生は「悪羅王と巴衛は昔みたいに殺し合ったりしないと。」という。奈々生に激高した夜鳥は「あなたに悪羅王様の何がわかる?この私でさえ未だお側にも寄らせてもらえないのに。霧仁が人間になびく前にここで始末しておく」そういえば最近マモル君が登場しない。夜鳥の背後にまわって直接貼らないとお札の効力が効かないので、下層界へ奈々生は降りる。下層界まで追ってきた夜鳥を欺くために、悪羅王の姿になる奈々生。

(122話)「あなたに感謝します こんな所で再びあの方の顔が見られるなんて」といいながら見破った夜鳥は奈々生を殺そうとするが、ここで引いたらもう巴衛に会えなくなると必死の奈々生は退魔結界の札を貼るが、夜鳥には効かなかった。人間はロウソクのようなちっぽけで無力な存在、一方巴衛殿は灯台のように嵐にだってビクともせず遠くまで届く強烈な光線、その彼にあなたはロウソクになって儚く燃え散れという。それでもあなたはそれが最善だと言える?と問うが、奈々生は「そうよ」と答える。その小さなロウソクを愛おしんで生きるのが私達の幸せ。だから私はあんたにどう見られようとどうでもいい。急に呼吸が苦しくなった奈々生に「あなたの寿命残りわずかじゃないですか 霧仁殿に命をわけたせいでもうほとんど残っていない」と伝える。そこに突然黒い羽が後ろから夜鳥に刺さる。御山の真上の霊道に風穴が空いたので見に来た鞍馬山の二郎だった。

(123話)夜鳥を封じた二郎だが、夜鳥に奈々生の命はもう長くはないと伝えられる。鞍馬山で養生する奈々生は桃丹で怪我や病は治ったが奈々美さんの魂魄が何かに吸い取られたように弱っているという二郎と翠郎の会話を耳にする。僧正坊の見立てでは奈々生さんの命はもって半年という会話を聞く。
 
御山は橙丸も成長して立派で優しい。奈々生は翠郎に自分がいなくなったら巴衛の力になってくれと頼む。翠郎は「自分が翼が戻らぬと聞いたとき周りの者に嘆かれると更に辛くてなんでもない事だという風に振る舞っていました。今のあなたみたいにね だけど本当の私は今でも弟達が大空に舞い上がる姿を見送る時ふいに鳴きそうになるんです。と。あなたは私よりももっと過酷だ 今くらい自分のために泣いていいんですよ奈々生さんと」
泣く奈々生を女嫌いの翠郎が何も言わずに抱きしめてくれた。

(124話)翠郎は、他の人間の精気を吸い取ると助かるという。もちろん吸い取られた人間は死ぬし、人選にもいくつか問題が・・・と言いかけたところで二郎が現れ下界と縁を断ち奈々生がこの鞍馬に留まって下界の邪気にふれなければ生きながらえるという。しかし鞍馬の天狗たちは大反対。奈々生は二郎に「私がいたらきっと迷惑がかかる 巴衛と婚約してるのは本当だけど巴衛はまだ私の身体のことは知らない」と。二郎は狐が恋しいなら会いに来させればいい。年に数度の逢瀬くらいならば保証しよう。と。「俺はそなたに生きて欲しいのだ たとえ誰のものであっても」
翠郎は奈々生のことが課題になる朝礼会議にでるように誘う。朝礼会議は混沌。翠郎は「あなたはどうしたいですか?奈々生さん」という。二郎はなぜそこまで女人に肩入れするのだと皆に問われて「惚れている!それがどうした」「俺の想いなど関係ない 女人に死んで欲しくない天狗は他にもいるぞ」と。橙丸や牡丹丸も同調する。翠郎は「私は奈々生さんが決めたことならどちらでもいいです!鞍馬が天女の里になるのも一興 二郎がフラれるのも一興」と拡声器で叫ぶ。拡声器を渡された奈々生は「私は鞍馬山が好き みんなのことが好きです そして巴衛のことが好き!巴衛に会いたい!だから巴衛の元に返ります」と。

(125話)鞍馬山まで瑞希が迎えに来て、出雲は今大国主様の御霊が行方不明で大変だと伝える。夜鳥が「大国主にはもう会えませんよ」といっていたことを奈々生は思い出す。

三日前の晩何者かが大社に侵入し大国主様の御霊を奪って逃走、番兎たちが大社の庭で、猿のような人のようなタヌキのようで蛇のようで獰猛な虎のような不審な影を見ている。大国主相手にこんなことができるのは悪羅王だと巴衛はいい、奈々生が心配なのでミカゲ社に帰るという。大国主は人の縁のすべてを取り仕切る人の世にとってなくてはならない人だとミカゲさんはいうが、俺は奈々生のそばへ行く。あいつを雪路のような目にはあわせない。と。そこに瑞希と奈々生が到着する。番兎たちが見た不審な影は、奈々生が神の道で鉢合わせした夜鳥かもしれないという。夜鳥が大国主の御霊を同伴していたとしたら神の道を通っていたのもあり得るとミカゲ様。夜鳥は悪羅王の臣下で一介の妖ではないのかもと。

奈々生は悪羅王の魂だけが乗り移ってこの世に留まっていて黄泉にある本体を取り戻すために暗躍していると。巴衛は激怒する。

その頃夜鳥は大国主の魂を霧仁の元に持ち帰り、黄泉への道を開いた。霧仁は菊一を連れていく。夜鳥はまだ身体が万全でないのでお先にといって残る。そこへ黄泉の入口が開く音に驚いて様子を見に来た霧仁の母が来る。私の息子にを返しなさいと迫るが夜鳥に首を絞められる。夜鳥は黒麿と合体しているようだ。

巴衛は神連中やミカゲが黄泉で悪羅王を捕らえる算段をしているからお前は行くなよ。俺の身体のことは心配しなくていいから。というが、自分には時間がないことを知っている奈々生は、狐を抱きしめ、私に巴衛のことを助けさせてよという。私を愛しているなら私の愛を受けとめてと。

(126話)戦神たちは悪羅王を捕らえに黄泉へ。「奴らが殺らなくても俺が殺す」という巴衛に奈々生は「殺すなんて、巴衛の口から聞きたくない」「だがあいつはお前を殺しに来るぞ(雪路を殺したように)」と。奈々生もミカゲ様や乙比古神やマモル君や巴衛と黄泉へ。

戦神たちが霧仁を探すために、黄泉の岩を砕き森を焼き泉を干上がらせたのでイザナミ様は怒り狂って黄泉の門を閉ざす。イザナミ様達に挨拶に行くミカゲ様や奈々生に、巴衛はここに残るという。巴衛は「今の俺ではお前を守ってやれない」から奈々生にミカゲ様の側を離れるなという。奈々生たちが去ったあと巴衛は霧仁を見つける。

(127話)乙比古は悪羅王は決して滅びることのない妖怪で、滅びないと言うことは驚異だという。悪羅王は突然変異で生まれてしまった妖怪で不老不死、肉体は無限に自己再生され永遠に朽ちない。永遠に死ねない。大国主様でも消滅させることは不可能なのだと。だから悪羅王は痛みに疎い。己の命さえ彼には軽い。命が尊いのだと彼が知る日は永遠に来ないでしょうとミカゲ様も言う。

俗世に生まれ落ちた悪羅王は悪業三昧、最悪だったのは悪羅王のそばにはいつも巴衛がいたということ。悪羅王が矢面に立ち脇から巴衛が狩る。思慮の足りない悪羅王も巴衛の後ろをついていけば道に迷うことはない、と。奈々生は巴衛が以前「いつも一緒にいた男がいた 真っすぐで遊び好きで全く趣味は合わなかったが俺にとっては友達だった」

一方霧仁は狐の姿になっているので巴衛とは気づかず抱きしめる。そこに菊一が戻ってくる。今の霧仁なら狐の姿の自分でものぞぶえを掻き切れば殺れると襲いかかろうとする巴衛だが、菊一に捕まる。殺そうとする菊一を霧仁は止め、狐は嫌いじゃないといい、雪が降る中、狐を抱きしめる。

(128話)黄泉の霧仁のもとに夜鳥も到着。すぐさま狐が巴衛であることを見抜く。妖力が弱いことも。「仇討ちのつもりで?」「ご存じないんですか?奈々生さんどうやらお体が悪いらしくあと半年も生きられないそうです」今さらながら奈々生が「私に巴衛のことを助けさせてよ 私を愛しているなら私の愛を受け止めて」という奈々生の真意を知る巴衛。夜鳥に攻撃されて崖から落ちる。

一方奈々生たちはイザナミ様のお茶室にたどり着いていた。茶室は淑女の園だと入ることを拒否するイザナミに、奈々生はこの間はあなたを騙すような真似をしてごめんなさいと声をかける。ミカゲ様達も大国主の御霊を取り返すのに協力して欲しいというが、わらわのティータイムに相応しい格好で来るというのなら話を聞いてやらんでもないというので、こんなことしている場合じゃないと思いながら全員ひらひらに着飾られる。イザナミは奈々生の記憶から拝借したあみちゃんの姿をしている。バラの香りのお茶に思わず口をつけそうになる奈々生だが瑞希は「黄泉の物を口にしたら黄泉人になる」と注意する。ミカゲ様は奈々生にティースプーンを差し出す。奈々生と瑞希はお茶会を盛り上げる。イザナミはただ自分たちと楽しい時間を過ごしたいだけなのかもしれないと奈々生は思うが、「全部終わらせてからもう一度ここへあなたのお茶を飲みに来ます その時はもっとゆっくり色んなお話しをしましょう」と。

イザナミ様は大国主の御霊と鏡越しにコンタクトをとってくれたが、大国主は私は囚われの身のようだが私自身は今の状況をとても楽しんでいるといったところで回線が切れてしまう。

(129話)大国主は黒麿と話をしているようだ。イザナミは迷路庭園にみなを誘い、自分から一時間逃げ切れた者はひとつだけ望みを聞いてやろうという。苦しくなってきて休む奈々生は「死にたくない」という誰かが現れる。そこをイザナミに見つかってしまう。自分の死を受け入れられぬ者が時にさ迷うという。「もうじき自分もああなるのではないかと心配か?己の命の期限を知っているのであろう?死ぬのは怖いか?」とイザナミ様。「私のお母さんも雪路さんもみんな先に逝った人達はどこに行ってしまったの」と問う奈々生に「黄泉にはおらぬ そなた達が還るべき場所を見せてやろう」と。

他のメンバーは、「今問題なのは霧仁ではなく悪羅王の体だ。その所在が黄泉の火の山であると知られてしまった。あの体を悪用しようとする者ならばそれが霧仁であろうとなかろうと関係なく厄介だ」ミカゲ様の案は悪羅王を復活させ彼の進化をやり直させる。進化の水を使って突然変異を起こすずっと前からやり直させるんだ。と。

奈々生はイザナミ様に連れられて黄金の湖に。死者は黄泉を通ってここから更に深いところへ言ってそこでは個が個でなくなり執着も後悔も悲しみも喜びもみな溶けてひとつのエネルギーとなると。「それでも大切なひとを置いていくことが 大切なひとが悲しむのが怖い」という奈々生にイザナミは「お前の狐は人間になりたいそうじゃな 妖怪は不便なのじゃ 悲しみを忘れられぬ 人になれば傷の癒やし方も学べよう なにより人になれば還る場所はおまえと一緒じゃ」と。

イザナミはお前の狐を元の姿に戻してやっても良いぞとも提案する。ただし巴衛はお前を愛してはいても人間を愛しているわけではない そんな者が人になろうなどと気に喰わぬ。それは奈々生も思っていた。イザナミは奈々生に球根を渡す。もし巴衛が心から人を愛し人になりたいと願うことができたらこの球根から花が咲く。その花を食べれば狐は元の姿に戻れよう。もしダメなら大国主にでも頼んで戻してもらえと。奈々生は巴衛はきっと人間のことを好きになってくれると思う。人間の私を愛してくれた人だから。と

(130話)かくれんぼは瑞希だけになった。奈々生には見つかったけど、イザナミからは隠す。奈々生は時廻りで若い頃のヨノモリ様ミツハちゃんと生まれる前の瑞希を見たことを話、瑞希を置いて消えたミツハちゃんの気持ちを思うと胸が苦しい。私がいなくなってもミカゲさんも巴衛も瑞希にはついてるからねという。鐘が鳴ってゲームは終わるが苦しそうな奈々生に大丈夫じゃないと悟る瑞希。イザナミ様の前に奈々生を連れていく。奈々生の命はまだ数ヶ月はもつという。誰かに精気をくれてやったようだとイザナミに教えられて、瑞希やミカゲ様は愕然とする。かくれんぼの勝者として奈々生を直してと瑞希は言うがそれはできないと。奈々生の若さに見合う相性の良い人間の精気を与えれば助かるけれど奈々生の代わりにその人間は死ぬと。瑞希はやれることがあるのなら鬼にも悪魔にもなれると、お願いは黄泉の門を開けてくれるよう頼む。地上へ出ようと鍵を持って走る瑞希を奈々生は追う。かつて深い湖の底にヨノモリ社が沈むと決まった日、ダム工事を諦めるまで事業者に厄を飛ばすと思ったけど、ヨノモリ様はお前がそんなことをしなくてもいいと。大切なものを守るためなら僕は悪い子で構わないのに。追いついた奈々生は「止めなくたって瑞希は人なんか殺せないよ」と。追いかけてきたのは瑞希が傷ついていたから。この世に一人取り残されたみたいに泣いてた気がしたから「ありがとう 大好きよ瑞希」と言いに来たと。

(131話)雪の中で倒れた狐の巴衛は、亜子という女の子と出会う。「わんちゃん雪の中で眠ったら凍っちゃうよ」と。亜子は何かを探してた気がするんだけど思い出せないと。巴衛は亜子と雪の中で寄り添う。

瑞希と黄泉の門を開けに行った奈々生はイザナミ様からもらった球根を見ると少し芽がでていた。球根の説明をすると、巴君が人間のこと好きになるかなあ?奈々生は私の体のこと巴衛にはまだ言わないでと。巴衛を不安にさせてこの小さな芽が枯れちゃわないようにしたいと。

屋敷で待つイザナミ様と乙比古神とミカゲ様のところに亜子を背負った狐がたどり着く。イザナミ様は「その顔は奈々生の体のことを知っているようだな」と。ちょうど黄泉の門を奈々生が開けて明るい光が差し込む。

闇が開けるのを見て霧仁は、奈々生かと思う。

黄泉の門から瑞希と奈々生が出てくると巴衛が待っていた。夜鳥にお前の命が残りわずかだと聞いたという。奈々生は「私って図太いからそんな簡単に死なないと思う だから大丈夫」といい明るくいい、イザナミからもらった球根の話をする。巴衛は芽が出たばかりの球根を食べてしまう。巴衛の姿に戻るが「死が間近だとわかっていてどうして俺に黙っていた 俺に隠し事はしないと約束したではないか そうやって笑いながらまた俺の前からいなくなる気か」と。傷つけたくなくて取り繕ったことが巴衛を傷つけていることに今さらながら気がつく。「俺はお前に思いやってほしいわけでも背負ってほしいわけでもない お前にとって俺は辛いときに辛いと泣き言一つ聞かせられないような甲斐性のない男か」と奈々生を抱きしめる。瑞希は「奈々生ちゃんの体がこんなになったのは誰かに精気を吸い取られたせいなんだから 君がちゃんと守ってないからだ 僕は君が邪魔でいつも奈々生ちゃんを守れないんだから」と。巴衛は「奈々生の寿命が精気を奪われたせいで短くなったのなら奈々生を助ける方法がないわけではあるまい」という。が、そこで狐の姿に戻ってしまう。

(番外編)ミカゲ様が北の友神に逢いに外出する。巴衛は帰りに水飴をもらってきてくれという。巴衛が昼寝をしていると奈々生の話し声が聞こえる。巴衛ってミカゲさんにはちゃんと甘えるよねと瑞希にいっている。巴衛はミカゲはお前と違って優しいからなといいながら奈々生を蒲団に引っ張り込んで俺を寝かしつけてくれという。奈々生は言霊縛りで「寝ろ」

(132話)イザナミはがみがみいいながらもう一度球根をくれた。イザナミ様は亜子はまだ死んでない、生死をさ迷う生霊だと。亜子は大切なものを失くしたので見つかるまでお家には帰れないという。なんだか思い出せないけれど黄泉にあると。悪羅王の体がある火の山へ奈々生は行くという。ミカゲ様の進化の水を飲ませる案を瑞希とミカゲ様が説明する。そのために瑞希は乙比古神と沖縄へ行って進化の水をもらってくると。ウナリにもらった龍神の羽衣を奈々生に渡して。火の山は大国主がつくった山なので大国主なら道も開くという。そのために霧仁は大国主の御霊を手にいれた。奈々生と巴衛とミカゲ様は火の山へ向かう。

その頃大国主の御霊は、夜鳥に引っ張り出された黒麿の残留思念に、消滅する前の神としてのことを思い出させて口説いていた。夜鳥と霧仁と菊一は火の山に向かっている。

(133話)イザナミ様が貸してくれた車で火の山へ向かう巴衛と奈々生と亜子ちゃんとミカゲ様。亜子を連れてきたことにぶつぶつ文句を巴衛はいうが、球根に芽が出たのを亜子に見せて、巴衛ほんとうは亜子ちゃんを心配してるのよという。「その球根に花が咲くことはあるまいよ 人は変わらない 俺の考えもな」という巴衛に亜子ちゃんは「人は変わるよ 亜子知ってる 知ってたけど思い出せない」と。戦神たちは火の山に結界を張って霧仁が結界を破れれば殺すという。亜子ちゃんは「霧仁を殺さないで」とつぶやく。このガキは悪羅王を知っているのかと巴衛やミカゲ様は思う。

霧仁と来た夜鳥が結界を破る。攻撃の盾となって菊一は倒れる。「夜鳥に運ばせる」という霧仁を尻目に夜鳥の中の黒麿が菊一にとどめを刺す。

水晶鏡に映った霧仁を見て亜子ちゃんの体が大きくなり「私がいかなきゃいけないの お願い ずっとあの子を捜していた気がする」と。「お前が何者か知らんが霧仁という男には近づかないことだ あの男は人間に情は持たない」悪羅王を誰よりも知っている巴衛の言葉は思いが、「人は変わるよ」と亜子はいう。

式神を殺されて激怒する霧仁に夜鳥は「私を許せぬとお思いなら悪羅王様に戻られた後で私を殺せばいいのです」と。上空にたどり着いた奈々生たち。亜子は霧仁の母のしての記憶を思い出す。「あなたを守るためならなんでもできる だから地の底に迎えにいこう 今度こそあなたをとり戻すために」

(134話)黒麿の残留思念の入った夜鳥は強く戦神も苦戦する。あの力のせいで私は皆に恐れられた だから私は神籍を捨てたんだとい黒麿に、大国主の御霊は「その寂しさは愛されないからではなくて 愛したことがないからじゃないのかい?」と。

火の山で大国主の鏡をかざそうとした霧仁に噛みつく狐。「奈々生の精気を返してもらうぞ 悪羅王」と。「お前は惚れた女を皆早死にさせるな」狐の姿のままの巴衛は夜鳥に捕まり手も足も出ない。そこへ霧仁の母の姿に成長した亜子が追いつく。

ミカゲ様も追いついて夜鳥を退魔結界に閉じ込める。

母上に「死にたくなかったらさっさと地上に帰れ」と焦る霧仁。「お前が雪山で遭難したとき駆けつけられない自分が辛かった。飛んで行って凍える体を抱きしめて何をなげうってもうちに連れ帰っていやりたかった お前は無事に帰ってきてくれたけどすっかり心を閉じてしまった だったら今度こそ母さんが見つけようって 守ろうって思ったのよ 何があっても母さんはお前の味方 もうひとりじゃないわ 一緒におうちに帰りましょう 霧仁」そこに現れた夜鳥が「あなたの味方はわたしだけ 悪羅王のためならこんな女何度でも殺しましょう」と母上の首を絞める。「一度殺したような口ぶりだな」と夜鳥を「その面二度と見せんな」と追い払う。邪魔物は排除すると亜子を殺そうとする夜鳥に狐は噛みつき「亜子 逃げろ」と。振り向いた霧仁は「なにやってるんだ?俺は」と思いながら母を抱きしめる。

(135話)やっとイザナミ様の車から火の山へ奈々生も降り立った。瀕死の菊一が「私を霧仁様のところへ運んでくれ 霧仁様の命が消えようとしている」という。

母上を庇って死ぬ寸前の霧仁を目にした巴衛は「お前らしくないぞ お前は人間なんか庇って死ぬような男じゃないだろう!」と。「俺もびっくりよ らしくないついでに俺の命の残りカス 奈々生にくれてやる」と。霧仁は母に「お前の息子は雪山で死んだ さようなら母さん」と。そこに奈々生が菊一とたどり着くが霧仁の命が消えると共に式神の菊一も消える。

「悪羅王 お前を変えたのは何だ?」と巴衛、「俺は俺だ したいことしかしねえよ お前こそ人間になるんだって? 奈々生が胸張って言ってたぜ あの女は面白いな 結局俺は妖怪には戻れなかったが人間の体も悪くはなかった 妖怪のままじゃわからなかったことが色々わかったしな」「兄弟 お前に別れを告げられた時は寂しかったけど あの時のお前の気持ちがやっとわかったよ 人を愛したのか お前も もう俺は独りじゃなくなったんだ お前や母上式神達 今の俺の胸んなかには大事なものがたくさん息をしてんだよ」

「俺はあいつは変わらないと思っていた だが人になってあいつは変わった 俺も変わるのか?」と奈々生に問う巴衛に「変われるよ」と。奈々生の手の中で球根の花が咲いていた。(ヒガンバナ?

(136話)すべてを見ていた黒麿と大国主。黒麿は「私は他者と運命を共にしても満たされなかったのに悪羅王は自分の命を捨てて尚あんなに満たされている 私もあんな風に逝きたかった」「では手始めにこの私を愛してみては」という大国主に「お前に私は救えない このまま独りで眠らせてくれ」と。

とどめをさそうとする戦神の手を逃れて夜鳥は霧仁の元へ。大国主の鏡を取り上げ、「霧仁殿がいなくなったところで支障はないのです。私の望みはただひとつ悪羅王様と同化することなのですから」「たとえ悪羅王の体を手に入れても霧仁の心が入ってなきゃそれは悪羅王じゃない それでもいいって言うならあんたは悪羅王の強さと不死の体に執着してるだけの薄っぺらい男だわ」と奈々生。花を食べてもとの姿に戻った巴衛が奈々生に俺を妖に戻せと。神使では生ぬるい この男をこの世から跡形もなく消し去ってやる。神々も追いついてきたのを知った夜鳥は鏡を持って火の山へ。巴衛は奈々生にキスをして妖に戻る。

(137話)進化の水は百年にたった一滴だけ生まれ落ちる。もうここに進化の水はないとウナリに言われショックの瑞希と乙比古神、そこに一滴、今日がその百年目だった。

火の山の中で悪羅王の思念と会話する巴衛。黄泉を出たら俺は生まれ変わるよ人間に。お前も生まれ変われるはずだ 好きなものに 何に変わっても俺が見つけてやる。

悪羅王の体を見つけ出した巴衛。夜鳥は悪羅王の体を見つけられないので巴衛が探し出すのを待っていた。夜鳥は「最後なので告白しますが私はあなたが一番邪魔でした 今の私はあなたより強いと思いますよ」しかし巴衛は強い「強さも美しさもあなたは全部持ってる その一つでも私にあれば悪羅王様はずっと私をお側に置いてくださっただろうに」「雪路様の嫁ぎ先を悪羅王様に教えたのも私 狐殿と逃げ込んだ集落の場所を教えたのも私」という夜鳥に「貴様みたいなちっぽけな奴のために雪路も悪羅王も死んだのではない」「悪羅王は思慮は浅いが狭量な男ではなかった 貴様が勝手に自分の身を気に病んでいただけだ」と夜鳥の首をはねるが、首だけになった夜鳥は悪羅王の体を手に入れる。

待っていた奈々生は火の山から良くない気配が生まれたのを感じて巴衛のところに行きますと。

(138話)龍神の羽衣を着て火の山に入る奈々生。悪羅王の肉体は永遠に再生を続け不滅だが、巴衛は大国主の鏡を取り上げる。お前の細胞は別だと。燃えないように火の山から脱出しようとする夜鳥。夜鳥なんぞが悪羅王になるなら・・・「巴衛殿あなたが悪羅王になりますか」と夜鳥。

「このままでは悪羅王が再びよに解き放たれてしまう そして再び罪のない人間がたくさん死ぬだろう 本当にそれでいいのかい黒麿」と眠りの中に綴じ込もった黒麿に呼びかける大国主は黒麿に「ならば共に堕ちろ」と言われて黒麿の闇に倒れる。そこを見つけた奈々生。大国主は鏡の中に奈々生をひっぱりこむ。奈々生を見ると黒麿は動揺して引っ込む。「黒麿さんのお陰で巴衛は呪紋から救われました。きちんとお礼が言いたかったの 出てきてください」という奈々生に「そもそも狐の呪紋は私の蒔いた種だ 私を看取ってくれたお前に再びこんな情けない姿をさらしたくはなかった」「貴方がいなかったら今の私はここにいないわ いてくれてありがとう」「私は誰かにそう言われたかったのかもしれない ありがとう奈々生」

(139話)黒麿は「私は私の行くべきところへ行く お前も行くべきところへ行っておいで」

巴衛は夜鳥に自分が悪羅王になるかと言われて動揺していた。夜鳥は「私の体はもはや悪羅王様の一部 そこに貴方が加わるというなら歓迎しますよ その気がないようでしたら先を急がせてもらいますよ」そこに巴衛の中の奈々生が「だめだよ巴衛 一時の感情に流されて自分を捨てないで 私が愛しているのは貴方よ」と。突然夜鳥の体の一部だった黒麿の手が崩れていった「思い残すことはなくなった 私は逝く 人の子が私の存在を肯定してくれた これでやっと晴れ晴れとした気持ちで逝くことができる」と。醜いちっぽけな妖怪だった夜鳥の夢が叶おうとしているのに、黒麿の力がなくなると火の山の火で焼けてしまった。

呆然とする巴衛の元にやっと奈々生の本体が駆けつける。

奈々生の体は戻り、夜鳥は焼けすべてが終わった。あとは大国主の御霊を探すだけ。

(140話)大国主の御霊は鏡にはいなかった。悪羅王の体は炎で膨張して原形を留めていないので瑞希が進化の水を持ち帰ったら俺が運ぶ。それまでは良からぬ考えの者に二度と触れられないようにそれまではここの炎に守らせておこう。

死んだ霧仁を前にした母親に寄り添うミカゲ様や戦神の元に奈々生と巴衛が戻る。なぜここで霧仁が死ななければならないのか呆然としている母に、奈々生は香夜子から「その体の本当の持ち主だった息子さんは雪山の事故の時すでに亡くなっていた」ことを告げる。ミカゲ様はまだ霧仁の体に残っていた悪羅王の魂魄を見せ、息子さんの体を動かしていたのはこれだと告げる。母は本当はわかっていたのかもしれない もうあの子はどこかへ行ってしまったのだって だけど認めたくなかった この妖怪があなたの息子の振りをしていたのですというミカゲ様に振りなんかじゃなかったと霧仁を抱きしめる。

巴衛は「ここにいては腐敗が進む イザナミの宮殿に戻ろうと霧仁の体を運ぶ。

大国主は「また悪羅王の体を狙う者が現れんとも限らんぞ すぐにあの忌々しい火の山ごと黄泉からつまみ出せ」とイザナミに怒られていた。「悪羅王の体の処分方法が見つかるまで黄泉に置いて下さい」と500年前と同じことをいう。そこに奈々生たちがたどり着き、「悪羅王を滅ぼすことはできないけれど生まれ変わらせる事はできます」と。
進化の水を飲ませる話をするが、戦神や大国主は果たしてその水が本当に悪羅王に有効なのかどうかイチかバチかでは乗れないと。

そこへ瑞希が進化の水を一滴持って帰ってきた。もう一滴生まれるのにあと百年かかるそうだよ。と。イザナミはその一滴はわらわに飲ませよ それが悪羅王の進化を操るに足るものかどうかをわらわが確かめてやろうぞ。その上でわらわが決め追って沙汰をする。と。それでは百年間器もないまま悪羅王の魂に漂い続けると言うのかと巴衛。百年先では奈々生も人間になったあとの巴衛も生きていないので悪羅王が生まれ変われたとしてももう会えない。そこへ亜子さんがその子を私にくださいと言うと悪羅王の魂魄が亜子さんの元へ。私の体内で新しい命となって生を受けられるように私がもう一度この子の母親になるわ。と。

(141話)人になって添い遂げたいという黒麿の言葉を思い出す大国主。

亜子も奈々生も地上に帰る。巴衛も妖怪のまま戻る。桜の前の巴衛を見て、「私未来で貴方の妻になるわ」という500年前の約束を思い出す奈々生。神使の契約のキスをしようとすると瑞希に邪魔される。鞍馬も快気祝いに来るが、巴衛を見て「どうしてこいつ野狐のままなんだ?」と。そこにミカゲ様も現れる。そして大国主が黒麿の最後の仕事を引き受けにきたという。巴衛と黒麿の約束の場所を見させて、「我が旧友の弔いのために彼にかわってこの大国主がお前を人にしてやろう」という。しかしミカゲ様は、「今はまだ巴衛が人として生きられる目処が立ちません そして奈々生さんも人になった巴衛とどう生きるのか決めていません」と大国主に、そして奈々生には「人間になるということは人間界で生きるということです あなたも人神ではなく人間の娘として生きていくということですよ」それはミカゲ社にはいられないってことだ。二人の将来の方向が定まるまで「一年下さい 私達が高校を卒業するまで」と。

(142話)あと一年で奈々生ちゃんは人間の世界へ帰ってしまう。嫌だと思いながらも瑞希は「よかったね奈々生ちゃん 僕達ミカゲ社で奈々生ちゃんのことずっと見守ってるから」と。それで君が幸せになるのなら少なくとも君の前では僕は物わかりの良いいい子でいることにしよう・・・

寂しい瑞希の気持ちを思いやって怪我をした怪鳥を渡すミカゲ様。
将来を考えてバイトを探している奈々生に思わず「一年後いなくなっちゃうのに帰りまで遅くなるんだね」と本音が漏れた瑞希。

怪我した怪鳥を鞍馬の所へ連れて行き治療してもらう瑞希。そのまま鞍馬の家に泊まり「僕はここにいるよ ここは落ちつく取り繕わなくていいから」「行くなって言えよ奈々生に まぁ言ってもあいつは出ていくだろうけどな 一番嫌なのは信頼してる奴に本心を言ってもらえないことなんだぜ」と。

翌日鞍馬が学校へ行った後一人でまだ傷が完治してない怪鳥に友達が迎えにきた。引き留める瑞希を振り切って仲間と飛んでいこうとする怪鳥に奈々生を重ねる瑞希。そこに鞍馬に聞いた奈々生が「帰ろう」という。「私だって寂しいよ」という奈々生にせき止めていた思いが溢れて「ずっとミカゲ社にいてよ!永遠にこのままで何がいけないの」と。「ミカゲ社にいると楽しいよ 時間が止まったみたいで現実を忘れそうになる でも時間は止まったりなんかしない 私は大人になっちゃうんだよ 歳を取っていくんだよ ずっと変わらない妖怪達とは違う」と。奈々生に抱きしめられて泣く瑞希。

(143話)奈々生は卒業したら進学しないで働き、ミカゲ社をでて巴衛との生活を支えるつもりで、連休も二人の新生活のためにバイトを入れている。「引っ越し費用とか生活費とか今の内に準備しとかなきゃ」と具合が悪くてもバイトにいこうとする奈々生。「この馬券で一発逆転だ 大学まで行かせてやるぞ」という夢みたいな父親の夢みたいな言葉に振り回されてきた奈々生は自分がしっかりしなくてはと思うがとうとう熱で倒れる。そんな奈々生に「この俺にできないことはない だからあとはこの巴衛に任せて眠れ」と。焦燥感に駆られて不安な奈々生を抱きしめる。

奈々生に化けて奈々生の代わりにバイト先に行ってきた巴衛。バイト先ではうまく出来ずに失敗ばかりで自信をなくしてミカゲ様にすがりつく。「今の俺が満足にできるのは神使の仕事だけ だからミカゲ社で神使として働いている間 俺にバイト代を与えてくれまいか」

連休中3日寝込んでいた奈々生は巴衛が代わりにバイトに行っていると聞いて駆けつけると、巴衛がりっぱな店員として働いていた。落ち込んでいる奈々生に「俺はお前の百倍優秀だ
 お前が金銭に憂いていれば俺が賄うだけのこと だから望む人生を歩け どこだろうと隣には俺がいる 俺の夢はお前を世界一幸せにすることだ」と。

そしてミカゲ様には時給500円でいいと契約書を書いてもらって、巴衛は神使の報酬五百年分を受け取る。

(144話)10ヶ月後、2月、巴衛に勉強を特訓してもらい奈々生は短大保育科の合格が決まった。

3週間後にミカゲ社をでてもミカゲ社の皆や皇女や鞍馬山の皆に会えるのかと聞く奈々生に「神の印を返せばお前の目の前に広がる妖の世界は閉じられる」と。巴衛が連れてきた小太郎が「皇女に1ヶ月連絡が取れないので皇女のようすを見てきてもらえないか」という巴衛と奈々生がいくと皇女は病気だと会わせてもらえないが、皇女の部下、青竹がこっそり案内してくれた。小太の子を妊娠していると。沼の者達は父親が人間なことを危惧して生まれるまで自分を閉じこめておくつもりらしいと。妖力を使えば簡単に出られるけれどこの姿で産みたい。幸せだという。本当は小太とミカゲ社で式を挙げてから産みたかったけれど皆を説得できなかったので奈々生に先を越されてしまいそうだという皇女に、巴衛は「どうしてそんなものせねばならんのだ 面倒臭い」と。奈々生は予想通りだと思うけれど皇女は「結婚式は女にとって一生に一度の晴れ舞台だぞ」と怒る。奈々生がやりたいといったらとの皇女の言葉に「お前結婚式をしたいのか?」と直球で問う巴衛。「別にしなくてもいいよもともとそういうタイプじゃないし」と巴衛を気づかう奈々生を皇女は青竹に連れて行かせる。

(145話)皇女の衣装部屋に連れて行かれた奈々生は、召使い達に「あなた様は今の皇女にとってただ一つの星 世界一の星にしてさしあげます」と。

奈々生を待つあいだ、皇女は巴衛に小太の子を産むかわりに人間との関わりを断つよう迫られているという。だから小太とも連絡がとれないし人神である奈々生も入れてもらえないと。だからこそそなたらに式を挙げて欲しいと。人と妖の婚姻の魁となれが沼の者達の頭も少しは寛大になろうと。だが巴衛は妖と人の婚姻には反対だという。成就せんとは言わんがそれは俺の望む形ではない 俺にとっての恋の成就とは共に生きていくことだからなと。「わらわの恋は祝福されなかった 責められるのみじゃ だが奈々生は皆に認められ 皆に祝福される それがどんなに幸せなことか 狐殿にわかるか?」「わらわは奈々生に幸せになってほしい」と。

皇女が小太郎と結婚することを夢見て用意した婚礼衣装の数々を見せられる奈々生。白無垢で巴衛や皇女のもとに戻ってくる。

召使い達に祝福の花束をもらう奈々生「祝福されて心から笑うことができる花嫁は幸せじゃ」と。まだまだある花嫁衣装。結婚式など考えてなかったが「してもいいな」と巴衛。「幸せに笑うお前の顔を俺が見たい」と

約束の日が近づいて「奈々生ちゃんの未来には僕がいない」とミカゲ様にすがりつく瑞希。「そんなことはない 縁は巡ってくるものさ たとえ一時道が分かれてもそれで終わりというわけじゃない 時が来て再び交わる日が来るかもしれない 縁を信じてみるといい」と。

(146話)鞍馬は御山に帰ることになったとミカゲ社に報告にきた。

奈々生と巴衛はミカゲ社で結婚式を挙げることにした。今まで二人が関わってきた人達に招待状が届く。招待状をもらったあみちゃんは、「私は誰も知らない鞍馬君を知ってる。鞍馬君にとって特別な女の子 それだけでいい 押して引かれて振られたくない そう思って待ちに入っていたけど それだけじゃだめなんだよね」と思う。そこに人気アイドルKURAMAが芸能活動引退のテレビ報道が。そし鞍馬に誰もいない学校の教室に呼ばれていくと「俺 実家に帰ることになったんだ だから人間の鞍馬はしばらく休止 親父が早めに跡継ぎ候補を探すことになったんだと 四代目僧正坊の選定人の役を受けることにした 四代目が決まるまで公式の選定人として御山で働く」と。「選定には育成も入る これから生まれてくる小天狗まで候補に入れれば何年かかるかわからない だから君にちゃんと話しとこうと思ったんだ」と。「鞍馬君のこと待っててもいい?」というあみちゃんに誘惑に負けそうになりながら「だめだ」といって飛んで去る。「奈々生ちゃんは働き者のうさぎ!私はノロマな亀!だけどねのんびりで遅くても前には進む亀なの 私待つから!鞍馬君が帰ってくるの待つから!!」実は窓の下で聞いていた鞍馬は「だめだって言っただろ」

(147話)結婚式は明日。あみちゃんケイちゃんが手伝いに来る。出欠の返事を出さないものが多くていらいらする瑞希。そこへ鞍馬山のものも入れてくれと鞍馬がやってくる。巴衛に鞍馬が山に帰る話をあみから聞いたとふられ瑞希は「あもしかして彼女が好きで四代目の話蹴ってるの」と言われて「違う」という鞍馬に「深みにハマるのが怖い 引きかえせる距離を保ちたいとそんなところだろう」と他人のことはよくわかる巴衛。深みにハマってたら俺も狐みたいに何もかも捨てて人間界に生きる方を選んだだろうかと鞍馬は自問するが「俺は多分お前みたいにはできないな」と。大妖怪は、親友悪羅王がいるとはいえ基本一人狐だけど、鞍馬は天狗たちをしょって立つ立場だしね。
小太郎が隠れているのに気が付いて出てこいと呼びかける巴衛。「明日皇女ちゃんに会うべきか会わずに身を引くべきか 人を恋したあなたに教えて欲しいんです」と。それに対して「さっさと別れてしまえ むしろ離れるなら今しかない 川の妖は執念深く手強いぞ 特に身ごもっている女はな」と皇女から口止めされていることを口に出す。走り去る小太郎。「勝手に言ってよかったの」と瑞希「あの男は何かきっかけがないと動けない性分だからな」と巴衛。「だが一旦前に踏みだせば強い あとは自分で道を切り開いていくだろう」

ケイちゃんあみちゃんを夜霧車で送りながら、二人には虎徹くんと鬼切君が見えてない。二人に見えなくなっても我らのことを忘れないで下さいませ。鬼切も虎徹もずっとずっと奈々生様を見守っておりますゆえ。そこに護君も現れる。俺はお前の式神だ どこ行こうがついていってやるからな ただしこの姿はもう見納めだ ただの猿になっていまうけどよ と。

昏睡した瑞希は「僕 巴衛くんのこと好きだよ だから奈々生ちゃんをつれていってしまうのが君で良かった」と。

最後の夜を自分の部屋で過ごす奈々生のところにミカゲ様が来て「明日は奈々生さんの晴れ舞台 いなくなったお父様を呼ぶこともできます」「神なので人一人捜すことくらいは・・本来なら花嫁は両親と最後の夜を過ごすのでしょうが 彼なりに楽しく暮らしているようなので声をかけそびれました」と「それならよかった 父には父の大事なものがあるように 私には私の大事なものがあります 人生先は長いですから 父のことは大人になった私に任せます」と。この決心がこの漫画で一番好きなところ!そう親だって親の人生がある。娘だって娘の人生がある。結婚するからって和解しなくていいんだ。ミカゲ社のみんなは奈々生が自力でつくった家族だもの。
「ミカゲさんは巴衛の保護者だものだから今の私にとってはミカゲさんが義父さんです 瑞希のことどうかよろおしくお願いします」と。

(148話)そして卒業式、鞍馬は女の子達に囲まれている。そんななか「私だってあの子達に負けないくらい鞍馬君のこと好きなんだもの」と走って行くあみちゃん。ファンの群集で近寄れないけど「好き」と聞こえたあみをつかまえて「俺は君に何もしてやれない 待っててくれとは言えないんだ だけど一つだけ約束する いい女になっていい男をつかまえて だくさん恋をして そしてダメだったとしても 最後まで一人だったとしても その時は最後に俺がさらいに行く」と(って5年?10年後?20年後?)喜ぶあみちゃん。瑞希が迎えにくる。瑞希の作った道は参進の儀。皇女と召使い達が用意をする。何度も花嫁姿を見ている巴衛だが「やっと俺のものだ」と。次は龍王と妻、錦と蒼依と不知火まで見える。鞍馬山の小天狗たちや翠郎も二郎も。香夜子も亜子さんも。「時間が止まってしまえばいいって思う 離れがたいよ 今が一番幸せだったらどうしよう」と巴衛にいう奈々生。「もっとだお前はこれからもっともっと幸せになる 俺が幸せにする」と。

(最終話)静かな夜の空の下みんなに見守られながら厳かに粛々と結婚式が執り行われた。あみちゃんもケイちゃんも来てくれた。小太郎が来ているのに気が付いた奈々生は皇女を促す。「あの二人駆け落ちするかもしれんぞ」という巴衛に「そうなったとしても二人が決めたことなら応援する」と。夜も更けて大国主からの迎えが来る。皇女は小太郎と残る決心をしたようだ。瑞希は大人になったら飲んでとお酒を奈々生に差し出す。「素敵な大人になってね」と。護君は猿の姿でついてくる。

奈々美の見た夢は
奈々生は将来は保育園に8年勤め、子供ができて退職するけれどいつか実家で託児所をやる未来、実家で家業の神社を継ぐために、2年で自分が大きくした工務店を退職する御影さん(巴衛)は引き継ぎで部下をビシバシ鍛える。御影さんがいつも定時であがるのは学生結婚した結婚10年めの奥様と一緒にいたいから。まだ幼女の悪羅王とは電話で話す仲。
そして生まれた男の子ともと護君の猿を連れてミカゲ社に報告に来る巴衛と奈々生。

話が現実離れしていてほとんどネタバレだけになってしまったけど、この巴衛が人間になって奈々生と生きていく最後も大好き。

神様はじめました14-19


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