2021年5月31日月曜日

夜廻り猫

遠藤平蔵(通称平さん)というネコらしからぬ名前をもつネコが、毎晩街をまわって涙の匂いを嗅ぎつけ寂しい人の心に寄り添う。さみしさを抱えてない人の目にはただの野良猫にしか見えないけれど、寂しい人には平さんの言葉が聞こえる。

崩壊した家庭、介護の重荷、貧乏で進路も選べなかった、いじめ、遠慮ばかりでやりたいこともいえなかった、そんな人の辛い思いをただ聞くだけ。解決はできないけれど、聞いてもらえる人がいるだけで少し心が軽くなる。いやむしろ解決できないのにもっともらしくアドヴァイスしないのが嬉しかったりする。

ツイッターで見かけて全部Web連載で無料で読んでいるけど本も買ってしまいました。まだ一部のファンだけに知られていた2016年3月川越の「Gallery & Cafe 平蔵」の「夜廻り猫」展の初日に行って、店の外に行列ができていてびっくり。カフェのおかみさんの故郷、秋田と故郷福島の味を楽しんできました。おかみさんちの猫が平さんのモデルだとか。同じお店での2017年3月8日-の「ファンによる夜廻り猫作品展」も楽しかった。今度は机を取り払って飲み物とデザートのカフェメニューだけの営業でした。2019年8月の京王百貨店新宿店でのチャリティイベント「みんなイヌ、みんなネコ」での「夜廻り展mini」も覗きに行った。

つらい人生を送ってきて暖かい永沢家の飼い猫になっても遠慮ばかりしているラミーに共感。猫らしいわがままいっぱいのモネちゃんも癒やされる。

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2021年5月18日火曜日

ねことじいちゃん

じーちゃんとばーちゃんとねこの多い、漁業を生業とする、のんびりとしたとある島。大吉じいさんは76歳、島の小学校のもと校長先生。奥さん佳枝ば-ちゃんに2年前に先立たれて10歳と7ヶ月のねこのタマと一人と一匹暮らし。ばーちゃんがいたころはまったく手を出さなかった家事も、丁寧にこなす。幸いにして郵便配達のさとしさんや診療所の若先生やカフェ海猫のマスターの孫美智子さんなど、若者がいないわけではない。畑や釣りの帰りにお裾分けに顔を出すご近所さんもいる。

ご近所の巌じいさんも76歳で一人暮らし。ねこ大嫌いなのにねこがたくさん集まってくるのは、ねこは嫌いといいながら釣りの成果をいつもたっぷりお裾分けしているから。

たまにやってくる息子の剛さんは、ほんとうは自分の近くへ呼び寄せたいのだが、奥さんがなくなってから意外としっかり生活している大吉じいさんに、もう少しそっとしとくかと思いながらも、体が大丈夫かオレオレ詐欺や投資の勧誘にかかってないか心配してうるさがれている。

タマは実は人間の言葉がわかる。でも喋るのはネコ語なので人間には理解できない。「このしもべ今ひとつ役には立たない」「一人で散歩にも行けないのだから」といいながら大吉じいさんの散歩につきあったりと、「しかたがないので吾輩が面倒を見てやることにした これはおばーちゃんとの内緒の約束」と。病気で先立つばあちゃんに「おじいさんのことをみてやってね」と頼まれたのだ。取り込んだ洗濯物にじゃれついたり、大吉じいさんにスリスリしているうちにガブガブ噛みついて愛情表現をしたり、ねこの集会に毎日参加したり、かとおもうと雨なのに買い物についていきたがったり、ねこがねこらしくのんびりとしたねこの仕草がねこらしい漫画。時々でてくる新鮮な朝取れ魚や使った使った大吉じいさんの料理がおいしそう。

1巻「こころのこり」の急に胸が痛くなって、タマが閉じ込められてしまわないよう必死で窓を開ける場面、一人暮らしの人なら胸をつまされたのでは。窓を開けたお陰で郵便配達に来たさとしさんに発見されてよかったよかった。

第二巻で、逆にどこかに出かけていて3日目にお魚を手土産に返ってきたタマに「もしもの時がきてもひとりで逝かないでくれよ」という大吉じいさんも切ない。

お盆のキュウリの馬をF1カーにする大吉じいさん、じ~んと来ます。そういえばお嫁さんの洋子さん、大吉じいさんのために東京オリンピックのチケット取るといっていたけど・・・ワクチン済んだかなあ。1964年の東京オリンピックは佳枝さんにプロポーズした思い出の年なんだよね。

巌とクロもまたネコあるある。子どもにとって自分の1/3もあるネコは結構怖いって、記憶になる限りネコ大好きな私だけど、2歳くらいの時縁側からネコが入ってきたら大泣きしたと何度も聞かされたから、まったく記憶はないけどわかる!

第三巻ばーちゃんでも診療所に新しく来たイケメンの研修医若田先生、通称若先生にはときめく。でもたみさんはじめ島には個性的な手強いじいさんばあさんが多いし、苦手な魚を毎日もらうし、時にはなまこまでもらって前途多難。でも肺炎になりかけて診療所に来たたみさんの本音は、家族も夫も見送ってきた、大切な存在を見送るのしんどくて疲れてと。

4巻では島唯一の売店の夫婦が店を閉めて島をでてしまい、タマの餌を買いに本島にいく大吉じいさん。友達にあれこれ買い出しを頼まれて、一人で到底運べない領になってしまったけれど、本島のスーパーに勤めている教え子が買い物を手伝ってくれて港まで車で送ってくれて、島の港にお迎えにこれなかった人の分は船で一緒だった高校生が届けてくれて、若者の力をかりんと買い物もままならないとは、いつまでこの島で暮らせるだろうかとふと思う大吉じいさん。

タバスコというものを知らなくてどっさりかけて食べるのに難儀するのは、同級生が昔いっていた。私の世代の子どもの頃はあるあるな経験。

喫茶にはマスターの孫の美智子さんが働くようになって、若田先生もさとしさんもドキドキ。メニューもなにやら華やいで、島のじいさんばあさんにも大好評。美智子さんはファッショナブルに見えて、あっという間に50cm越えのチヌを釣り上げる豪傑でもある。いっぽう若先生も島の子どもたちに教わって釣りを始めたが、イソメを見て悲鳴を上げ、あたりが来ても魚に逃げられ、無人島ではいきられんわとじいさんたちに噂されている。マスターは張り切って看板をつくったが、喫茶の名前が「海猫」であったのは、常連の誰も知らなかった。

うさみみカチューシャ?をすると大吉じいさんが見分けられなくなって威嚇するタマさん。これまたネコあるある。ポスターを持って帰ったら尻尾が大きく膨らんだうちのネコを思い出した。

珍しくお腹をこわしたタマさん。獣医さんは島外にでないと当然無い。原因はデパートのペットグッズ店で買った高級おやつの食べ過ぎ。しかし7.9kgはちょっとダイエットした方がいいのでは。

5巻では、本島のN市立大学病院からお誘いのかかった若田先生。結局秋から春までお世話になった大学病院で恩返しをしてから島に赴任するとの決断。大吉じいさんと巌じいさんと美智子さんだけにその決心を告げて、いったん島を離れる。

本島のスーパーに勤めているもと大吉じいさんの教え子の発案で、島にトラックの移動スーパーが来た。島に居ながらにしてキャットフードもしょうゆも手に入る。

先に寝ているタマさんに気を遣ってふとんの端で寝る大吉じいさん。ネコあるある。

そして3月、正式な医者になって晴れて島に戻ってきた若田先生。誰にもいわなかったはずが、病院に健診に行っていた巌じいさんの連絡で、桟橋ではじーさんばーさんが垂れ幕をもって歓迎。カフェにリフォームした喫茶では美智子さんと、預けていたネコのマロンが歓迎。

6巻大吉じいさんのお父さんの代からのボンボン柱時計がとうとう壊れてしまった。東京に修理してくれるお店があると言うことで、東京まで持参した大吉じいさんの思い出は、東京オリンピックのあれこれ。息子の剛さんの家に泊めてもらって、先輩の成田先生と会ったり、佳枝さんと待ち合わせた洋食店の思い出の席で一人珈琲を飲んだり、剛さんとお寿司を食べにいって帰宅するとひ孫が待っていて、剛さんも大吉さんもメロメロ。

じいさんばあさんの多い島では立て続けに人を見送ることもある。ちょっと黄昏れている若田先生を、おいしいものを持ち寄ってさりげなく囲むみんな。若田先生も今ではシャコもガザミも大丈夫、来たばっかりの頃よりずっと成長した。

7巻番外のねこカフェ笑った。店外で珈琲を飲むと、港にたむろするねこが一杯。美智子さんこ、これは斬新なねこカフェ!

百合子姉ちゃんに頼まれて昔の写真を探していた大吉さん。昔の写真が次々出てきて・・・スバル360は小さい頃走っていたので懐かしい。もう手術もできなくてホスピスではなくて島の家に帰りたいという佳枝さんとタマと最期に海辺を散歩したときに出会った教え子が撮ってくれた写真。おじいさんが飲み物を買いに行っている間に、こっそりタマに「タマちゃん 私を忘れないでね」と言っていた佳枝さん。もっと佳枝さんと一緒に写真を撮っておけばよかったと、今更ながら思う大吉じいさん。突如タマの写真を撮り始めて警戒して毛が逆立つタマ。無理矢理撮ったタマとのツーショットは笑顔なのは大吉じいさんだけだけど聞きとして剛さんに送る。

美智子さんのカフェがテレビで紹介されて、大繁盛。ところが離島の悲しさ、来るはずの材料が今日は届かないという。午後から予約も入っているのにピンチ。大吉じいさんの機転で島のばあさんたちは畑の野菜を持参して大集合、その間にじいさんたちは船を出してマスターと本島の市場に買い出しに。巌さんの無線を聞いて採れたてのしらすを持参してくれる漁師さんもいて、料理はベテラン主婦のばあさんパワー大活躍。過去最高のお客さんを無事こなして、みんな生き生き。

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2021年5月13日木曜日

漫画に見るハデス様のイメージ

「コレットは死ぬことにした」を読んでいて、今まで注目したことのなかったギリシア神話のハデス様の扱いに興味が湧いてきたので、ハデス様がでてくる他の漫画を読んでみた。

マンガギリシア神話 1999年

里中満智子は「アリエスの乙女たち」「悪女志願」「あすなろ坂」などなど、昔ずいぶん読んだ。この「マンガギリシア神話」シリーズは神話に忠実に漫画化してるので、ギリシア神話を知るには良い。もちろんギリシア神話っていろいろなバージョンがあるのだけど。とりあえず某所で無料だった第一巻と、冥界と関わりのあるエピソードを集めたこの第三巻を読んでみた。

冥界のようすや冥界の神々の姿はなかなか美しく描かれている。ちょっと登場人物の顔が似ているけれど。ハデス様が真面目で純情で美男子に描かれていて、好感が持てる。特に地上に繋がる割れ目からコレーに一目惚れしたときに、コレーの父親であるゼウスに伺いを立てるなんて真面目。オルフェウスの竪琴に心を動かされたりとか、冥界は怖いだけじゃないと描かれているし。ヘルメスは天界と冥界の連絡係で、旅人の神として死者に付き添って冥界にくることもあるんだ。地底の冥界は生命の源という考え方は好き。あと死んだ後は悪いことをしていなければエリュシオンで永遠に暮らせるのもいい。でもハデス様はここが好きでいるんじゃないけど誰かがやらなくてはならない大切な仕事だといっていたなあ。いつか必ず死ぬものだからこそ生命は尊いとも。

ハデスさまはお気の毒さま 2017年

冥府の神・ハデスは、超真面目で女性との浮いた噂もなく、仕事への厳しさから天界の人々に恐れられていた。実はハデスは近侍のエルヴィラのことが好きなのだが、いつも的外れに終わる残念な人でもある。実はエルヴィラもつけいる隙もない態度だけどハデスが好きなのだが。途中でアレスがエルヴィラに言い寄りだしてイライラが募るハデス。アフロディーテ相手に練習でエルヴィラをデートに誘う言葉を継げたはずがそこには本人がいて、ほんとうにテーマパークでデートをすることになって・・・

ハデスさまは現代的な美男子でまじめな堅物で恐れられている。しかしオリュンポス十二神に入れてもらっているのね。そういうバージョンのギリシア神話もあるようだけど。奥手のハデスさまを何かと世話を焼こうとするアフロディーテ様やヘラ様は男性の設定。おまけに婚姻と貞節の神のはずのヘラ様は妻が100人いるという爆笑設定。これはこれで楽しくよかった。

聖闘士星矢 1985年-

長いのでハーデスが関連していそうな19巻-28巻だけ購入。243年ぶりにアテナによる封印を解き、聖域へ侵攻を始めた冥王ハーデスと108人の冥闘士から地上を守るためアテナの聖闘士たちが闘う。今まで戦いで死んだ面々も復活してでてくる。ハーデスは地上に現れるときには美しい少年の体に宿る。今回は聖闘士アンドロメダ星座の瞬に。
アテナはハーデスを討って、永遠の闇をもたらす「グレイテスト・エクリップス」から地上を開放するためハーデスの本体がある冥界のエリシオンに赴く。星矢たち聖闘士はアテナに聖衣を届けようとする。ハーデス本人との最終決戦で星矢が体を呈してハーデスを攻撃し、ハーデスの肉体は消滅、冥界は崩壊し、地上には太陽が差して救われる。太陽が復活と共に地上に真の平和が訪れた。

ハーデスは本体も人間に宿って地上に現れたときも、美しい青年の姿をしている。が、人間は愚かで、悪いことをすると死後地獄に落ちて未来永劫苦しむことになるという恐れがあって、かろうじて今の状態を保っていると考えている。人間にとって神や恐れ敬うものなのに、その敬虔な精神を忘れた今、地上を滅ぼそうとしていると。冥界や冥府の王の人間に鉄槌を下す恐ろしいイメージを膨らませたもの。いかにも少年漫画らしいアクションで、一気読ませる。好みではないけどヒットしたのはよくわかる。

続編もあるようだ
聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話

ハデスさまの無慈悲な婚姻 COMIC WALKERで連載中

エロ-スの矢を額に受けたハデス。その矢を抜いたのは、なぜか冥界に忍び込んでハデスの元に落ちてきた春の神コレー。矢を抜いたら望を叶えるというハデスの約束にコレーの望みはハデスがお妃を迎えること(自分が妃になることじゃないの?・・)。ノリノリの部下たちが天界大海に冥妃募集の通達を出して、ドタバタ喜劇に。しかしこの設定の冥界偉い賑やかだ。コレットは死ぬことにしたに冥界は静かだけど、確かに本来はもっとメンバーがいるはずなのよね。
結婚の女神ヘラ様の加護で次々にお妃候補が送られてくる。
自分で自分のことを無慈悲だといいながらけっこうハデス様真面目で優しい。
冥界の番犬ケルベロスがケルとベロとスーに三匹の子犬になってこの方がお腹が空かなくていいというのは、コレットで似たような設定を読んだなあ。

アリーズ

神話の時代に母親レアの偏愛するゼウスの奸計によりハデスとポセイドンはオリンポスを追われる。ポセイドンは海へ、肉親と争いたくないハデスは冥界へと退く。父王クロノスを倒したハデスを慕う氷の女神ヘカーテも共に冥界へ。冥府を統治したものの、恋人のデメテルは大地の女神なので冥界へ行くと地上の生命が枯れてしまうため、離ればなれになってしまう。デメテルの娘ベルセフォネーを狙うゼウスから保護するためハデスは妃とする。しかしレアの予言ではベルセフォネーは世界を手にいれる鍵、ヘルメスによってオリンポスに連れ去れ、助けにいったハデスを庇うためヘラの刃を受けて死ぬ。ここまでがアリーズZERO

そして本編は数千年後高校生亜里沙として生まれ変わったベルセフォネーは、封印されていて前世の記憶がない。一方同級生の天野はハデスの生まれ変わりで、記憶も神の力ももつ。神話の時代からの因縁のゼウスやヘラやポセイドンやヘカーテも次々あらわれて戦ったり協力関係にあったり・・・雷鳴剣や三叉の鉾やケ-リュケイオンなどの古典的な武器に神の力が加わって、少年漫画風の戦いが続く。最後はポセイドンとハデスが協力してレアとゼウスを倒す。

続編アリーズⅡでは、今度はアポロンが地上を制圧しようとする。ポセイドンとハデスは再び協力して戦う。

アリーズでは常にハデスが一番優れた力のある神で、世界はハデスによって治められるはずだったのにレアとゼウス、続編ではなんとウラヌスとウラヌスに操られるアポロン他の神が、人間を滅ぼして全世界を統治しようとする戦いが続く。ハデスは一番情が深くて肉親とは戦いたくないので、ティターン族の勝利のきっかけとなった父のクロノスを殺したことは心の傷となっている。自分を陥れた母のレアもなかなか殺せない。ポセイドンも時には対立することもあるけど、切り捨てられない。かつての恋人デメテルは、本編と続編では時にはベルセフォネーの為にハデスを殺そうとするのに、やはり切り捨てられない。

ともあれハデスは美男子で、情を捨てて全力を出したときは一番力のある神で、何回生まれ変わってもベルセフォネーとの絆はいつも絶対である(続編ではベルセフォネーはポセイドンと、ハデスはヘカーテと婚約しているが)。

安彦良和のアリオンは冒頭だけ試し読みで読んでみたけどハデスはおじさんなのね。普段電子書籍を買っているRenta!にはおいてないし、まあいいや。

2021年5月6日木曜日

「コレットは死ぬことにした」最終回に向けての今後を予想してみた

「コレットは死ぬことにした」が最終クールに入ったと2月20日に買った花とゆめ6号(3/5号)の欄外に書かれていたし、私は電子版しか買ってないけど本屋で見かけた18巻の帯にも最終章突入と書いてあったし、114話(2021年5/5・5/20 花とゆめ10-11合併号 2021/4/20発売)でハデス様はコレットにプロポーズしたことだし、いよいよ終わりも近いのかなということで、大好きな漫画が終わってしまうのは寂しいけれど、どういう終わり方をするか希望的予測をしてみました。

ハデス様は替えのきかない冥王様だから今後も冥府に住むだろうけど、最近はラダマンテュスたちに仕事を任せて休暇をとってコレットと街に行ったりとだいぶ柔軟になってきたし、神話では死後裁判は主にラダマンテュスたち3人がやっていたことになっているから、これからもコレットと地上で会ったり二人の時間を楽しむこともできるようになったかと思う。

コレットは薬師を繋げたいという野望を地上で続けると共に冥府の妃として、冥府と地上を行き来していると思う。ハデス様がコレットに惹かれたのは、薬師としての仕事ぶりだから、冥府の妃にしても冥府に縛り付けることはないと思う。

ただコレットも、セラとポーラは薬師としてだいぶ成長したし、トルカちゃんとモネちゃんも弟子入りしたことだし、ハデス様と同じように、働き方をもっと柔軟にしてもいいのでは。冥王様と結婚したとは言えないだろうけど、そろそろ回りから結婚の圧力も受けるだろうし、やんごとなきひとと結婚したと言うことで、時々休暇をとって冥府にお泊まりしてもいいと思う。以前もアポロン様がバカンスに行ってしまったときに6日間も天界に行っていたのだし(3巻13話)。アンノ先生が診療所を経営しながら、コレットの村を訪れたように。

冥府との行き来がもっと簡単になるように「どこでもドア」が欲しいところだけど、似たようなものをヘルメス様がつくってくれたりしないかな。

コレットとハデス様の結婚、ハリーは張り切って美しい衣装をたくさんつくるだろう。冥府の皆は、ガイコツは複雑な気分だろうけど、でもコレットのことは認めているし、祝福してくれるだろう。ということで冥府で結婚式。天界にも報告に行って、ディオニュソス様が張り切って大宴会を開くかも。人間が冥府の妃になることについては神様たちはどう思うだろうか。コレットは神様キラーなので天界も基本的に歓迎してくれるとは思うけど、コレットと親しくない神様(ヘラ様とかアルテミス様とか)はどう反応するかな。あとハデス様のファンの女神様はどうかな。ならばコレットも神様にすれば・・・とはいかないかなあ。ディオニュソス様はもともと半分人間半分神様だったけど今は神様だし。

コレットが時々寂しくなるのは、「ずっとはないんだよね」ということ。ハデス様はいつまでも若くて美しいけれど、コレットは人間なのでいずれおばあちゃんになって死んでしまう。で、冥府でハデス様の裁判を受けて当然アスポデロスにいくだろうけれど、そこでだんだんハデス様と愛し合ったことも忘れて最期は消えてしまう。一応転生することにはなっているけれど、この漫画の設定では前世は完全に忘れるので、まあ消滅するのと同じで切ない。でもラダマンテュスたちのようにエリュシオンに行かせてもらえれば、前世を覚えているまま永遠に滞在できたりしないのかな。

この漫画では、もとのギリシア神話の設定をはずれているところは多々あるけれど、ギリシャ神話のハデス様の妻コレー(ペルセポネ)は、デメテル様の娘で女神だったので不老不死だったので、なんとかこのオリジナル設定を生かして欲しい。

ポイントはまだ伏線が回収されていない、

アスポデロスで育っているザクロの木:神話ではペルセポネはハデス様が一方的に一目惚れして略奪してきて、デメテル様の怒りをかって天に帰すときに、ザクロの実を何粒か食べさせて、年に何ヶ月かは冥府に所属することになったのだけど、コレットを騙して食べさせるというのはこの漫画のハデス様には合わない設定なので、了承の上で何粒かコレットが選んで食べるとか?農耕神のクロノス様は前にザクロが枯れそうになったときに復活させたし、ザクロを実らせてハデス様の代わりに食べさせるとか。あと一年のうち何ヶ月かは冥府にいるというのはコレットの、なるべくたくさんの病気の人のところに駆けつけて、薬師のいない村で薬師を繋ぐという野望には合わないから、そこも時々冥府にお泊まりするとかにしないと。

デメテル様との再会:デメテル様にはエレウシスの秘儀というのがあって、不老不死にすることができるようなのだけど、冥府の妃になったら愛する弟のためにコレットに施してくれないかなあ。それともいっそコレットを養女に。

ゼウス様の力:ミノス、ラダマンテュス、アイアコスは生前の功績からゼウス様に特別視されて、新たな体を与えられたわけだから、コレットが死んでしまったらハデス様が永遠に嘆くことになるから新しい体を与えて永遠に冥府の妃にする力はありそうだけど、この漫画のゼウス様の性格(いやバリバリのおじさんのはずのミノス、ラダマンテュス、アイアコスを子どもの姿にして、巨神ティターン族のクロノス様さえ赤ちゃんにしてしまうという作者の想像力)では幼女になることになりそうで、赤ちゃんのメンテに心を奪われていたハデス様だから、幼女のコレットのことを可愛がるかもしれないけど、それはロマンティックでないので勘弁してもらいたい。

もう一つ不死になる方法を思い出した。カロンはステュクスないしはその支流アケローン川の渡し守の筈だけど、ステュクスといえば不死をもたらす神水で(猛毒という説もある)、アキレウスは赤ちゃんの時にこの川に浸されていたから、コレットもカロンの渡し船から落ちて・・・アキレウスのように踵を捕まれたりしないようにしないとね。

そういえばこの漫画にはレウケーが出てこないけれど、白ポプラになったレウケーのように、コレットもアスポデロスで植物になって生きる・・・いやいやそれもハデス様悲しいだけ。

あと寂しいから、連載が完結した後もたまにスピンオフで登場して欲しいのだけど、オルフェウスが冥府から妻エウリュディケを連れて帰れなかった逸話はあまりにも悲しいからこの漫画の雰囲気に合わないと思うのでパス。ディオニソスが母を冥界から連れ戻すのもこの漫画と合わないような気がするし、アスクレピオスが死者を蘇らせるのもコレットと折り合いをつけるのが難しいからダメそう。コレットとハデス様の、105-107話あたりに見られるような甘々の冥府での生活ぶりとか、他の神様との逸話とか。あ、ペルセポネがアドニスを可愛がったのにアフロディーテ様にとられる逸話はあってもいいかも。あとテセウスがペルセポネに横恋慕してハデスの策略で何しに冥界に来たか忘れてしまう話なんかもよさそう。アイネイアースが父アンキーセースに会いに金枝をペルセポネへの贈り物として冥府を訪れるのは、生前のことを忘れてしまうこの漫画の設定には合わないかな。お告げを得るくらいならいいかも。オデュッセウスも冥界にいっていろいろな霊と話をしている。こう考えてみるとけっこう冥界に出入りするものはいたし、ハデスやペルセポネも情に流されるところが多々あるんだなあ。

次回が6月5日までおあずけなのでいろいろ考えてみました。