2022年9月27日火曜日

スキップ・ビート!41

(2017/10/20発行)
(ACT.243 不死の怪物)
社さんは、呉崎プロデューサーが前もって準備や役作りできてない人間が嫌いだと知ってたけど、あえて茶髪でいった方が印象に残るかな思ってそのままにしたという。「だってキョーコちゃん、こんな事でおとなしく引き下がったりしないだろう」社さん、蓮に付いてキョーコと対峙しているときは乙女社さんになって顔が崩壊していることが多いけど、このオーディションでは無茶苦茶格好いい。

庭で『紅葉』の準備をして、オーディション中の一階の稽古場へ。その様子を見る絵梨花様のお付き。オーディションは軽い殺陣ののちのリアクション。どういったものかは森住仁子は伯父から聞きだしてあるので誰よりも上手くできる自信がある。「千鳥」や前回の「紅葉」のオーディション時に融通してくれればすんなりあたしのものになってたと機嫌の悪い仁子。なんだかんだで、少なくとも森住譲二監督はけっこう公正。

刀を手に審査員の前まで歩いて行くのに、前回、高園寺絵梨花は、忍びのように足音を立てず特技のクラシックバレエを生かして軽やかに滑るようにいって差をつけたという。が、仁子はストッキングで足がすべって笑いをとってしまう。いきなり斬りかかって名前を聞く呉崎プロデューサー。「鎌鼬だ」と応える仁子、何か違ったような気がするけれど。

そこに入ってくるキョーコ。「LME所属京子です。先ほど不戦敗を言い渡されましたが諦めきれず参りました!!今日のため私なりの紅葉を作ってきました身としては、オーディションに復帰できずとも、せめて私の『紅葉』がどんなものなのか見届けて頂く事だけでも出来ないでしょうか!!

まるで別人のようなDARK MOONの『未緒』とBOX"R"の『ナツ』を知っている、主演の坂上志津摩役の古賀弘宗は、履歴書見たときから気になっていたという。「この子がどんな紅葉演んのか見てみたかったな」という。ナツは知らないが、未緒を思い浮かべる呉崎プロデューサー。

古賀さんこのあと泥中の蓮撮影中もずっとキョーコに意地悪だけど、キョーコのこと最初から気に入ってるんだよね。蓮への気持ちも最初から知ってるし。古賀さんも好きな娘は苛めたくなる面倒な男っぽい。

ドアの外で控える社さんは、車椅子に乗ってやってくる高園寺絵梨花に気が付く。

(ACT.244 不死の怪物)
呉崎は「君のその度胸と執念に免じて一度だけチャンスを与えよう。ただしこれから見る君の対応が、他の受験者と同等またはその水準に達していないと判断した瞬間、発言、行動、総ての君の自由をそこで剥奪する。わたしがキレる前にここから即刻消えて下さい。誓いますか」と。

呉崎プロデューサーもこの堅物のイメージが後に随分変わるんだよね。

仁子にとって頼りの伯父、森住譲二は、携帯をいじってるだけだ。退出を命じられてドアを出た仁子は、ドアの外の社さんに気が付くが、階段を駆け上がって2階から様子をうかがう。「無名の新人ごときがこの条件下で一体何ができるのか。蓮さんと並列にマネージメントされる器がどの程度のものなのか、見せてもらおうじゃない」と。

高園寺絵梨花は、一度失格を宣告されたのに、あの呉崎プロデューサーにケンカを売るなんて、私と同等の『紅葉』が演れるなら望みはあるかもしれないけど、そんなのとてもあなたに出来ると思えない。って高園寺さん、キュララのオーディション大逆転を忘れたの?高園寺さんを最終的に吹き飛ばしたのは、キョーコの方だよ。奏江もキョーコのことを絶賛していたのに。あの時、世間的には美人のモー子さんの方が評判になったけど、黒崎潮監督が評価していたのはキョーコの方だし。

呉崎プロデューサーに呼ばれても跪いたままのキョーコ。「志津摩様の命が無ければ動けません!!」と。呉崎は古賀にマイクを渡して紅葉を呼ばせると、足音を立てず、いきなりトップスピードに乗って滑るように駆け寄った。見ていた絵梨花も仁子も唖然とする。

キョーコ格好いい!!これを機会にアクション女優として名を売って欲しい。

呉崎の刀での攻撃を受け、両刀遣いで喉に刀を突きつけるキョーコ。「鎌鼬」とつぶやいた呉崎に「その名で呼ぶな。父からその字名まで引き継いだつもりはない」

思わずバランスを崩しそうになった絵梨花を、気が付いて駆けつけていたお世話係が支える。

「紅葉、控えよ」の古賀の声に、刀を納めるキョーコ。

呉崎が「特別にオーディションに復帰する権利を」といいかけたところで森住譲二が、応募書類にLMEのどこの部に所属してるか書いてないことを問う。松島主任が「ざっとLMEとだけ書けばいいから。タレント部とか細かい事書かなくていいから。」と念を押すように言うから書いてないだけなのでキョトンとしているキョーコ。

お前の信念は役者で無い半端者は使わない。いいのかこの子タレントだぞ、とLMEのキョーコのプロフィールのページのスマホを見せる。

呉崎さん「他の受験者と同等またはその水準に達していないと判断した瞬間、発言、行動、総ての君の自由をそこで剥奪する。」といったんだから、この時点で他の受験者よりも上だと判断したわけだよね。呉崎さん、頭でっかちのブランド志向ではあるけど、意外と役者の才能を見る目はある。

(ACT.245 SURVIVOR COMBAT)
オーディションの前、社さんは社長に、キョーコを俳優部門に移籍させることを提言していた。呉崎雪之丞氏は、社長曰く「頭でっかちのブランド志向」で芝居にはタレントやお笑い芸人を絶対使わないんだろ?「キョーコちゃんってタレントとしての仕事って何かしてましたっけ?」という社さんに「はっきり言わねーけど最上君からもラブミー部関連で予定入ってるっての聞いた事あるし」という社長に、キョーコから何やらバレたら命が無いみたいな思いつめた顔で極秘の仕事があることを言われたことを思い出す。って、琴南さんは最初から俳優部門所属だけどラブミー部だよ。

社さんは社長が「このままの方が面白い事になりそうだからむしろ移動なんかしなくていいんじゃねーのw」という顔をしてるのがわかる。「”役者”でなければ素人同然と”タレント”を見下してる人間が、凝り固まった常識も価値観も粉砕されたらどうなると思うよ?そんな己のプライドも常識も打っちゃってまで最上君を使ってみたいと呉崎君に思わせられたら」「呉崎氏初のタレント起用 これは『演技者』としての箔が付きますね」と社さん。「プラス世界が広がんだろ。呉崎君のよ。勿体無ェと思わねェか?世の中タレントだろうが芸人だろうが芝居の才能を隠し持った奴は居るんだよ。それを肩書きだけで見落としてるなんて。視野を狭める高い囲いをぶち壊してやりゃ、この国にはまた一人、『鬼才』の域に手をかけ得るクリエイターを誕生させることができるんだ。それをあの娘がやってのけちまうんじゃねーかと思ってる。」

社長との対話を思い出しながら、中の会話を聞く社さん。

タレントとしての傍らで何やらふざけた感じの活動もしてるらしい。ラブミー部。
「お笑い芸人もやってるのか」とキョーコに聞く呉崎プロデューサー。天宮さんを見たことがある古賀さんは「『マジスカ』にも一人出てるよね。」とわくわくと聞く。だが瑠璃子ちゃんの世話も代マネもセッカもクーさんの世話も天宮さんの代マネも、相手のことを考えるといえない。なんとなくぼかして説明するが、それは俗に言う雑用で、お笑い芸人より立場下なのでは?と皆思う。

社長さんのいうこともわかるけど、キョーコをそこまで茨の道にしなくてもいいのに。
キョーコが女優として世界に羽ばたくところが見たいキョーコ推しとしては、ラブミー部を卒業させて女優に専念させて欲しい。まあ社長さんにとって一番大切なのは、産まれたときから知っている久遠なので、なにかと久遠の御守りにさせる口実をつくりやすいから残しておきたいのかなとも思ってしまう。こういうとき、東京クレージーパラダイスの鴨さんの、司が好きだしその才能をかってるけど、なんといっても産まれたときから知っている竜二のためが第一な立ち位置を連想して、主人公推しとしてはちょっとひっかかる。

自分の信念との矛盾に葛藤する呉崎プロデューサー。そんな呉崎を見て、森住譲二監督が提案したのは、キョーコと希望により他の候補者全員が殺陣のテストをうけること。

ネットでキョーコを検索していた森住仁子のマネージャーが見つけたのは、キュララのCM。社さんは「また随分レアな覚え方してますね。今ならDARK MOONで『未緒を演ってた子』と認識されるのが定番かと」という。「去年の頭から日本とアメリカを行き来して、中過ぎには生活の拠点がほとんど米国だったから、あんまり日本に居なかったのよ。私も仁も」と。
これまた気になる。アメリカでセドリックと交流があったのかと思うけど、いったいどんなな関わりが?

演技テストは、切られ役の役者さんの一連の殺陣を見て、再現すること。流れを忘れてても自力で考え流れを止めずとにかく最後まで演じ切った者だけわたしは『演技者』として評価する。と呉崎プロデューサー。

森住仁子は、あのままにしておけば呉崎プロデューサーはキョーコをクビにしたのにと、こっそり森住監督に抗議するが、「あいつがああいう餅巾着みたいな顔する時は、キレてるっていうより葛藤してんだよ。『役者』じゃないから使いたくないけど、このまま切って捨ててしまうのも惜しいって。だから決断がもう二度と揺るがない様にダメ押ししてやったのさ。」という森住監督に、自分に有利な記憶力が勝負になる様なテスト内容を選んでくれたのも、さすが身内!さすが味方!!と自分に都合良く解釈する仁子。仁子は即興より決められたことをそのまま覚えて演じる方が得意なので。

森住監督はキョーコの才能をどのくらい見抜いていたのだろうか。仁子は自分に都合良く解釈しているけど、結局他の受験者を圧倒したのはこの殺陣のシーンだし、その後の泥中の蓮での撮影中や森住監督や呉崎プロデューサーのキョーコに対する態度を見ていても、キョーコの才能を高く評価しているし、特に呉崎プロデューサーはキョーコのアメリカ進出の鍵になると思う。

社のスマホに、蓮から2日早いけれど日本に到着したとのメールが入る。

(ACT.246 SURVIVOR COMBAT)
社さんの返事は、「明日にでもまたこちらから連絡します」と。「今日連絡できないって何か忙しそうだな。予定では間に合わないと思ってたけど。まだ今頃だと。最上さんはオーディションの最中だろうか」

早く長い殺陣に、圧倒される紅葉候補者の中で、余裕の仁子。一方キョーコはなんと途中から目をつぶる。

そこに担当者に連れられて入ってくる琴南さんたち千鳥の候補者。

モー子さんを見て喜ぶキョーコ。

「まずは君の実力を計るために始めたテストだ。君から演ってもらおうか京子さん」
退出する受験者だが、キョーコの様子を見ていた候補者が、途中から最後まで目を閉じて手本演技見てなかったとつぶやく。「でもあの子DARK MOONで『未緒』を演ってた子でしょ。今ならBOX"R"で『ナツ』も演ってるわよ。その別人ぶりやDARK MOONでの飯塚さんを納得させた演技の噂をする候補者達。

仁子のマネージャーは社に「真相は?」と聞くが、社は応えない。
そのようすにキョーコ登場の時の呉崎との殺陣を思い出した仁子は、稽古場が見下ろせる2階にかけあがる。他の候補者も続く。

これって、キョーコは途中からアドリブをやるから問題ないけど、本来やるはずの見本を再現するのなら他の人の演技テストを見ちゃったら、2回以上模擬演技を見たことになるから、ずるいのでは。まあ、どっちみち森住仁子以外はもうキョーコに圧倒されて棄権するのだけど。

「まぁ気になりますよねェ役者なら」という社さんに「自信があるの?あの子が『紅葉』を獲る。」「さぁそこまではっきりした事は断言できませんけど、俺が確実にわかる事は一つありますよ。こういう何をやらかすかわからないキョーコちゃんが出す結果に『及第点』はありません。特に呉崎さんの様な性格の方が相手では。出る目は必ず0か100、又は黒か白か、合か否か」

キョーコがオリジナルな解釈の未緒で飯塚さんや緒方監督を納得させるのを、目の前で見ていた社さんだからわかる。でキョーコの才能のあり様をよく知っている社さんがマネージャーにつくのは絶妙なコンビ。

いっぽう再々オーディションを見る絵梨花は、もしも呉崎プロデューサーに『ラブミー部員』である事がバレたのだとしたら・・・

(ACT.247 SURVIVOR COMBAT)
「ラブミー部員が役者としてどこまで演れるのか呉崎プロデューサーに試されている。」とお世話係に言う絵梨花。絵梨花も先ほどの大乱闘殺陣の流れを覚えていて、なぞっているのがわかる。

そしてキョーコが覚えることを放棄したところから、両刀遣いの紅葉のアクションでの攻撃を入れ皆を魅了する。見ていた琴南さんだけは『アレだ』と虎徹さんのところで見たアクションを思い出す。

「あの子途中から何も覚えてないですね。」と古賀。当然呉崎プロデューサーも気が付いている。「覚えてないから攻撃『される』側から『する』側に切り換えて殺陣の『対処』をプロに丸投げしちゃったんだ。大胆な事をするなぁ~なんかすきだわぁあの子」
古賀さんこのあと撮影時もRouteプロジェクトでもキョーコに意地悪だけど、実はキョーコ好きだよね。

一方森住譲二監督は「正しい選択だな。素人がプロを相手に主導権を握って立ち回れる訳が無い。あの子はある程度『忍び』の修行をしている様だ。今のあの様子では『殺陣』の何たるかも理解している。あの子が『タレント』だと知っても即刻切らなかった次点でお前の腹はもう決まってたんじゃないのか」

森住譲二監督も公平だね。仁子よりキョーコの才能を買ってる。

一瞬でも止まらない殺陣に、圧倒される、盗み見の候補者達。

「流れの一挙手一投足を丸々完璧に覚えようとするな。『殺陣』には暗黙の約束事がある。相手の『声』を聞き動きを良く見ろ。手の向き刃の向き身体の向きで、自ずと太刀筋は読めて来る」と虎徹さんに鍛えられた日々が生きてくる。

そして相手のポジショングを見て、全員一殺の圧倒的アクションを見せる忍者キョーコ。

強い女大好きな私には萌え~~~キョーコには将来また殺陣をやってもらいたい。それも敦賀さん相手に真剣に闘って欲しい。あと映画の宣伝でこの場面を取り上げてキョーコの演技やアクションを日本全国に見せつけて欲しい。日本を代表する女優になる第一歩として。

この漫画の魅力は、主人公キョーコが最高に格好いいところ。古賀さんの感想からすると、これは原作の紅葉の技なようだから、斬られ役の人も原作をよく研究して、紅葉に吹っ飛ばされてくれたプロなんだろうな。キョーコは斬られ役の役者達も魅了してしまったのがわかる。

紅葉の殺陣は最高に格好いい。もっとスキップ・ビート!グッズにしてくれないかな。

(ACT.248 フライング・ショック)
審査員達に美しいお辞儀をした後、斬られ役の役者達にも礼を述べるキョーコ。「旋風閃火からの龍爪嵐牙」「血振り」「納刀」と解説してリアル紅葉を絶賛する古賀さん。

時代劇における『殺陣』の存在を問う呉崎プロデューサー。虎徹さんの教えと自分の見解をくわえて「茶道の経験がある私が感じた正直な気持ちは、時代劇における『殺陣』の存在とは、必要不可欠な様式美である”日本の心”に根付くあらゆる伝統芸能に通じるものがあると言っても過言ではないと思っています。魅せる殺陣は斬り手と斬られ手の両者が創り上げるものだということを短い修練中に私が得た『殺陣』の心得です」と。

「その通りだ」とやわらかい表情になる呉崎プロデューサー。
呉崎プロデューサーも第一印象とすごく変わった。最初オーディション前に髪の毛の色で引導を渡されたのに乱入してきたときは、「君のその度胸と執念に免じて・・」と『君』呼びだったのがここでは完全に『京子』さん呼びになってるし。

尚の実家での女将さん修行のあれこれ、直接使っては居ないけど、今のキョーコをつくる助けにはなってるね。

社長に呼ばれて挨拶がてら飲む蓮。
「今日は例のオーディションのはずだろ最上君」と振られて、「オーディションに間に合う様に帰ったからって俺に何が出来るんです?現場にかけつけて応援するんですか?過保護な親みたいに。あの子の事は特に心配していません。紅葉は必ず獲ると思ってるので」「現場にかけつけても周りが納得しそうな関連性は無くは無いがな」といって社がマネージャーとして付いていることを知らせる社長。

いや、オーディションが終わったところでお祝いにかけつけていれば、その後の森住仁子に殺されかけた展開はなかったし、森住仁子の事を蓮が好きなんだという誤解もそれほど酷くならなかったから全く違う展開になりそうだったのに。

しかし「あの子の事は特に心配していません。紅葉は必ず獲ると思ってるので」って、蓮に言わせるキョーコすごい。

先ほどの帰国を知られたメールの社さんからの返事に、キョーコのオーディションに付き添っていることやキョーコのマネージャーをやっている件が、何も書いてなかったのでびっくりする蓮。

「お前を事務所に呼びつけたのは見せたいものがあったからだ。これを見てもさっきと同じ涼しい顔して心配してねぇって言えんのか?」と見せられたのは、夜の横丁でキョーコにキスする尚。

社さん、この後も決してキョーコの危機を守れてないので、この写真を社長さんがわざわざ蓮に見せたのは、社さんがキョーコのマネージャーとして続投する理由づけよりも、蓮を煽るためにしか見えない。

2022年9月21日水曜日

スキップ・ビート!40

(2017/3/20発行)

(ACT.237) 武士と狩人
久遠の髪に戻った蓮は、社長に、キョーコが紅葉のオーディションを受けること、母子関係にも改善の兆しが見られることなどを報告して、TRAGIC MARKERの最後の撮影のためにグアムに飛び立つ。成田空港で受信したキョーコからの応援のメールには念願の顔文字で万歳三唱が記載されていた。人生終わった\(^o^)/顔文字ではあったが。返信には君ならやれるよლ(゚д゚ლ)と顔文字付き。この顔文字何???敦賀さんとまったく似合わないのだけど。でも久遠はいい顔になった。

キョーコは錦賀荘苑で奏江と待ち合わせて、虎徹さんに弟子入り。初めて見かけた虎徹さんは、目上の者とすれ違うときに『行』の挨拶をスパルタ指導の途中だった。畳の縁を踏んだ弟子は正座一時間。

このあいだ見かけた敦賀さんは弓道場でCM撮りだそうだ。弓道着で弓をひく凜とした敦賀さんを想像するキョーコ。

奏江を見た途端顔がゆるゆるになる虎徹さん。キョーコには冷たいまなざしを送るが、座敷に入る際に真の礼をしたキョーコを見直したようだ。茶道をやっていたことも見抜き、キョーコの所作の端々には茶道が息づいていることを指摘する。ただしキョーコが今度やる忍びでは全く役にたたないが。

虎徹さん、なかなか一本縄ではいかないおじいさんだけど、面白い。

奏江の見たところでは虎徹さんはキョーコのことを気に入ったという。基本的に行きずりの講習者の名前なんて覚えないのだが、名前を訊かれたことを指摘する。

モー子さんとの扱いに差がありすぎるから、これでも虎徹さんに気に入られているというのはモー子さんに言われないとわからないよね。モー子さん優しい。

(ACT.238) 衝撃の先に
殺陣を習う奏江に対して、4日間ひたすらバトンを回し続けるキョーコ。しかし虎徹さんは「上達が早い」と褒めてくれて、次に渡されたのがボールと棍棒。飛鷹くんにゲンコツ落とした過去やゲストに来てくれた番組内で嫌がらせされたことが虎徹さんに伝わっていれば虎徹さんに好かれないのもまともに指導してもらえないのも納得でき・・・と奏江に愚痴っているところを飛鷹君に「俺のじいちゃんをバカにすんなよ。じいちゃんは芝居にそれも時代劇に出たくて真面目に役作りに取り組んでる奴に自分が気にいらねェからってインチキ指導する様な下衆じゃねーよ」とゲンコツを落とされる。「お前と奏江じゃ殺陣は殺陣でも同じじゃダメだろ。『紅葉』は忍びでおまけに二刀流なんだから。」はっと気が付くキョーコ。「以前のことは今回のコレ(飛鷹君からのゲンコツ)でチャラだから二度と持ち出すんじゃねーぞ」と。

キョーコの手鞠歌の替え歌楽しい「盾だってタテさ殺陣さ殺陣だってさタテ違(たが)さ」
飛鷹君なかなかいい男になった

中一の飛鷹君が「中二(病)」かというのが面白い。モー子さんの前では背伸びしたいよね。いつかモー子さんの身長を追い越した2人が見たい。

まだ入院中の天宮さんのマネージャーの見舞いに行くと「嫌なことから一度逃げ癖ついたらもうなし崩しでしょ?あなたの進言にならあの子は必ず耳を傾ける」と。

みんなキョーコの人を癒やし変えていく力を認めている。

病院で子供とぶつかってボールをすっとばすと、その先にボールを手にしていたのが車椅子の髙園寺さん。

(ACT.239) 青い落葉
以前とあまりにも違う精気のなさに、すぐに理解できなかったが、お付きの男性陣を見て、キュララのオーディションであった、琴南さんの子供の頃からの天敵、高園寺さん(5巻ACT.24-6巻ACt.30)と思い出すキョーコ。以前と同じように、お付きの男性がキョーコのノーメイクや、洋服や鞄を使い古していることを揶揄するが、反応がない。

と、「ラブミー部員」と何かいいかけた高園寺さんだが、いいかけてやめたのは「私がこんな風になってる事、言わないように。特にあの子(琴南さん)には。といってボールを返す。本当は他に何か言いたいことがあったんじゃと思うキョーコ。

高園寺さんのあとを見送って振り返るとお付きの男性2人が床で土下座している。「我らが絵梨花様の心の叫びを代弁し『ラブミー部員』『京子』に依頼する。この怨みを晴らして欲しい」

椹さんのいっていたことがキョーコの脳裏に蘇る。電話はこの男性が裏声を使い絵梨花様を装ったという。絵梨花様はオーディションのあと、車道に転がり出て、バンパーに手荷物が挟まって車に数メートル引きずられたという。車の同乗者によれば、誰かに突き飛ばされたように見えたそうだ。打撲と擦り傷が少しひどいくらいだが事故から2日後意識を取り戻したあと何故か『心因性下肢麻痺』で『立つ』どころか僅かに脚を動かす事すらできなくなっていたという。絵梨花様が出演できなくなったら、紅葉に繰り上げでなる次点の女のしわざに違いないと。
でもこれはキュララのオーディションに落ちたときに、高園寺さんが琴南さんにやろうとしていたことだよ。琴南さんを傷つければ次点の自分がコマーシャルに出られると、おつきの人達に襲わせたり、自分が指輪付きの手で顔を殴ると脅かしたり。(6巻ACT.30)まあモー子さんに宣戦布告されて以来心を入れ替えたわけだけど。

再オーディションは絵梨花様の父、豪将(かつまさ)様が、オーディションのやり直しに応えなければ、高園寺グループは『泥中の蓮』のスポンサーを全面的に降りると圧力をかけたためだ。

しかし今まで絵梨花はモー子さんとの宣戦布告(6巻ACT.30)以来、家柄でオーディションに影響を与えなよう、相手に気づかれないように工夫して、お付きの同行も拒絶してきたという。

キョーコは『私の代わりに紅葉を奪って欲しい』のかと思ったのに、彼等の希望は最初は、以前怨キョで琴南さんを守ったキョーコに『相手の女を残酷無比に呪い殺して欲しい』ということだった。既に『紅葉』のオーディションに再応募していると聞いて喜ぶお付きの男性陣。

(ACT.240) 無欠のPICK UP ARTIST(ナンパ師)
キョーコは事務所で、お世話係から名前を聞いた、くだんの紅葉オーディションのでの容疑者、森住仁子のブログを見て、おととし敦賀さん主演のドラマに共演していることに気づく。そこにやってきた社さんから、森住仁子は、芸能一族の出身で、森住一族が噛んでいるところに出演することが多いという。とはいっても演技は特に下手では無いという。

環境にも才能にも恵まれているようなのにあまり露出がないのは、テレビ業界以外のところで活躍しているのだろうかと違和感を感じるキョーコ。更に調べると泥中の蓮は監督/脚本が森住仁子の伯父である森住譲二であることを知って出来レースかと絶望するキョーコに、社さんは、この業界で発言権屋決定権を持ってるのは『プロデューサー』だと説得する。

そういえば紅葉は一度は高園寺さんに決定していたことを思い出して、少なくともプロデューサーには森住の人間以外を選べるフェア精神と配役繰り上げほどを受け入れる柔軟性があると思い直す。キュララのオーディションでメーカー側は出端から既に高園寺さんで気持ちが固まっていたのに逆転したことも思い出す。

そして元気を回復したキョーコに、バレンタインのお返しのカボチャの馬車のアロマキャンドルホルダーを渡す社さん。こんな業界の場合お返しが都合よくホワイトデー当日に渡せない人の方が圧倒的に多いから一ヶ月以内までって決めてるみたいだよ(たぶん蓮は)と。蓮からお返しをもらえなかったことを更につきつけられて落ち込むが、敦賀さんに送ったのはチョコレートでなかったことを思いだして無理矢理自分を納得させるキョーコ。

キョーコは最近BOX"R”の影響で芝居以外の仕事も入って来て、芝居との板挟みになるので相談役の社員をつけているという椹さんの話と、森住仁子を気にしていた様子、蓮のいない間に2週間の合宿免許をこっそりとっていたことから、期間限定でキョーコのマネージャーを申し出る。

このあと結局社さんは蓮が帰国しても、キョーコのマネージャーを兼任で続けるわけだけど、この設定が絶妙だと思う。一番の目的だったと思われる、森住仁子に変なことを吹き込まれるのは防げなかったし、森住仁子にあやうく大怪我をさせられるのを防いだのも社さんではなかったし、蓮と兼任では常に傍にいられるわけじゃないからさまざまな場面で不便ではあるけど、マネージャーが共通というのは蓮とキョーコちゃんが一緒に行動するのに本人達も周囲もすんなり納得できる理由になっている。

社さん、免許取り立てで初心者マーク付きだと思うけど、運転の腕は心配なさそう。社さんも何事もそつなくできてしまう天才タイプかな。

(ACT.241) 煩悶の種
社さんがマネージャーとしてついてくれて8日、アクションも身につけて「付け焼き刃とはいえよくここまで頑張った。後はもうお前が思うままお前の『紅葉』に料理せぇ」と虎徹さんにいわれるほどになった。

このあと「プル・ベル」というエステの港区の本店にいく奏江に、社さんはTBMにいくキョーコちゃんを送りがてら送ってくれるという。奏江にTBMに何をしに行くのか社さんは知ってるのかと訊かれるが、「ラブミー部として正体を知られてはいけない仕事をしているので詳細は明かせない」といったら、社さんは「そこには触れて欲しくない」って部分を的確に感じ取ってサポートしてくれるという。社さんが敦賀さんのマネージャーをまかされているのがわかる気がするとも思うキョーコ。

「あんたなら大丈夫よ。仮にこの間私が言ってた子がオーディションに居たとしてもあの子はあんたに敵わない」と奏江にいわれているところに社さんが帰ってきた。

もしプロデューサーも監督も高園寺さんの素性を知っていたのだとしたら、高園寺グループは泥中の蓮の一番大きなスポンサー、と昨夜思いついたキョーコの顔は晴れない。

百瀬さんとTBMで偶然であって敦賀さんのバレンタインのお返しのパッケージについていたチャームを携帯のアクセサリーにしているのを見てショックを受ける。百瀬さんはなにか手違いがあってキョーコに渡ってないだけではと思うが、送ったのがチョコじゃないからというキョーコの迫力に負ける。

帰りに送ってくれる社さんの車の中でも浮かない顔のキョーコに、「『森住仁子』の事なら特に下手とは思わなかったって言ったけど、つまりそれ特筆すべきインパクトも無いって事だから、彼女はキョーコちゃんには敵わない」といってから、昼間琴南さんがいったのも森住仁子のことかと気が付く。キョーコも「彼女以外どんな受験者が居たとしても誰よりリアルに『紅葉』を演れるのは私。必ず手に入れてみせます。」と応える(ただし悪の破壊の魔女が強力な魔法を効かせていなければ)この最後のト書きっぽいのはキョーコの気持ち?それともストーリーの暗示?

しかし敦賀さんからホワイトデーのお返しもらえなかった(と信じている)気持ちがそのまま紅葉が主人の志津摩様を一方的に慕う気持ちになっているのね。

まあ敦賀さんも自分だけバレンタインにチョコを貰えなかったと思っていたのだから、(ゼリーをもらってこの失望がいきなり歓喜にヒートアップしすぎて、尚への対抗意識もあって、頬チューになったけど)これも2人お似合いな設定。

(ACT.242) 希望の綱
紅葉の再オーディションの日で、例のラブミー部員が紅葉争奪戦に加わるとの事なので、わたしは現場に偵察に潜入して来ようかと思います、とのお世話係の言葉に車椅子の上で手をギュッと握る高園寺さん。

オーディション会場の撮影所は有力な映画会社数社が共同・総力上げてつくったもので、辺境の地ではあるけれど宿泊施設も完備で、生活する上で困らない施設も揃っていて一つの街のようなエリアもあり、そこも撮影に使われると。社さんはキョーコと奏江を送ってきてくれた。

紅葉のオーディション受験者待機室に社さんも同行する。「先にちょっと今回のオーディションの顔ぶれを参考までに見ておこうかと思って、俺の知ってる顔が居るなら対策と心構えができるだろう」と。10人ほどの先客はキョーコの顔を見ても全く誰だか理解できないようだ。黒髪の森住仁子を見て、時代劇なのだから自分も髪黒く染めてくれば良かったと気づくキョーコ。この髪の色不利ですよねというキョーコににっこり笑う社さん。

社さんに気づく仁子のマネージャー、仁子は社さんに声をかける。「森住さんなの?」びっくりしたように装う。「記憶してる印象と違ってたから名前言ってくれるまで誰かわかんなかったよ」という社さんに驚くキョーコ。先ほど森住仁子を教えてくれたのに。

仁子のマネージャーに「あなたどこかで見てる気がするんだけどどこだったかしら思い出せないわ。失礼だけど名前を聞いても構わないかしら」といわれて「京子と申します。LEM所属です。」と聞いてびっくりする他の応募者。その反応に驚いて、「いままでどういったお仕事をこなして来たのか伺っても」といいかけたところで入ってきた呉崎プロデューサーに、他の落ち着いたダークブラウンの髪の女性2人と共に肩を叩かれ、もう帰ってもらって構いません。と引導をわたされる。絶望するキョーコににっこり笑う社さん。

キョーコちゃんのマネージャーやってる社さんってすごくカッコいい。蓮は最初からできあがっているスター性のある役者だったのに対して、キョーコはまだこれから育てる余地のある女優だから、マネージャーとして育てがいのある新鮮な素材だったんだろうな。

キョーコが一番浮いた明るい茶髪で、事前調査を怠るはずの無い社さん(と社長さんもグルになってるのは後にでてくるけど)なのにキョーコをあえてこの髪のまま行かせたのは、呉崎プロデューサーが拒否するであろうタレント部所属のままにしたのと同じ理由で、呉崎プロデューサーに逆インパクトを与えるため?しかしここでの社さん、敦賀さんより役者!

いずれにせよ、茶髪とかどうにもなる外見で、役ができてないと判断する呉崎プロデューサーはおかしい。別の映画やドラマの撮影中にオーディション受けることも多いのに。

2022年9月14日水曜日

スキップ・ビート!39

(2016年9月20日発売)
(ACT.231 GROUND CALL)
10分かけてシャワーを浴びる冴菜さん。その間御園井さんはフロッピーディスクにいくらでも接触できる。その後、御園井さんが自動販売機に飲み物を買いに行ったあいだに、冴菜さんはフロッピーディスクをチェックするが、今度は逆転していない。触れてないのは既にデータを盗んでいるからという可能性もあるが、あの優しさも笑顔も全部嘘だなんて信じたくない冴菜さん。

戻ってきた御園井さんの携帯のバイブが鳴ると、顔が険しくなる。突然用事ができたといい帰る御園井さん、冴菜さんを振り返り「ごめんな」といって消えていったのが最後だった。改めて冴菜さんがフロッピーディスクを調べると偽物で空フロッピーディスクだった。

そもそも冴菜さん、重要資料を持ち出すのがまずいでしょうが。確かに仕事が終わらなくて、表に出したら大問題になるような個人情報を、持ち出して家で仕事をした経験、私にもあるけれど、弁護士さんの扱う情報は、企業秘密や個人情報でも特に重要なものも多いし。

そしてどう考えても、今まで2回フロッピーディスクが逆さまに入れられていて十分怪しいのに、まだ自宅に持ち出し禁止のはずの重要情報を持って帰るのは、あまりにも非常識。御園井さんを信じるかどうかの問題じゃなくて、たとえ恋人でも夫婦でも、仕事上の機密情報を晒してはいけないし、相手が信用できるかどうか賭けをするなど、問題外。

御園井さんもかなり詰めが甘いようだけど、冴菜さんがほんとうに自分を信じているから心が揺れたのかな。将来キョーコの父として現れるのだろうか。今頃家庭を持っていて、キョーコの異母兄弟がいたりして。キョーコも冴菜さんも許さないで欲しい。いや御園井さんがいないとこの物語、始まらないのだけど。

そして御園井一志という男はその存在ごと消えた。携帯は電源が切られていて翌朝には解約されていた。彼から聞いていたアルバイト先にもそんな人物を雇った記録はなかった。藤道さんの一族は代々警察関係の職務に就いている人が多く、身内のコネで照合してくれるのだが、冴菜さんの部屋には指紋も髪の毛も彼の私物もなかった。

しかし冴菜さんとSexもする関係だったのに指紋も髪の毛も残さないというのは、最後の日の冴菜さんがシャワーを浴びている10分間に、あと片付けもしたのかな。すごいプロ。いったい御園井さんって何者?将来あかされるのかな。キョーコも冴菜さんも許さないで欲しい。しかし、そこまで用意周到なのに避妊しなかったの?キョーコこそ重要な証拠なのに。

盗まれたのは5年闘ってきた裁判の明暗を分ける重要な情報だから、表立った騒ぎにすることは許されなかった。当時冴菜さんや藤道さんや片桐先生の所属していた業界最大手の『アスカム』という弁護士グループの、片桐先生は京都支部の要だったが、その上層部東京本部から、事務所内からの情報漏洩である事は何があっても隠蔽する様命令があった。この裁判にケリをつけられれば東京本部に栄転するはずだった片桐先生の昇進もなくなり、総ての責任を片桐先生はとらされた。

状況を見ると、恋をしたとか、騙されたとかを差し引いても、冴菜さんにかなりの落ち度がある。もちろん盗んでもいいわけじゃないけど。本人もわかっているので御園井さんを恨んではいないと言っているけど、自分の浅はかさや愚かさへの嫌悪感をキョーコに向けてきたわけで、これは絶対に許されない。キョーコこそこの件に無関係なのに。

今日母と会うことになったというキョーコの伝言を、CM撮影中の上杉虎徹さん(飛鷹君のお祖父さん)の屋敷の弓道場で聞いて、頭を抱える敦賀さんと社さん。自分を鼓舞するための『敦賀袋小路計画』だったのだが。キョーコちゃん尚のPVで演技に行き詰まったときも、繋がらなかったけど、敦賀さんにアドバイスをもとめていたっけ(8巻ACT43)。通常なら敦賀さんに個人的なことで電話しないけど、やはりいざというときに思い浮かべるのは敦賀さん。で、敦賀さんがメッセージを聞いただけでなくかけ直そうとして(8巻ACT44)社さんを驚かせたけど、まだ二人が微妙な関係だったあの頃から敦賀さんにとってキョーコは気になる存在ではあった。

(ACT.232 ENDLESS GIVE UP)
虎徹家に殺陣を習いに来た奏江が、頭を抱える敦賀さんと社さんを見かけて、キョーコと母親の件だろうか、でもなんで敦賀さんが知っているのか疑問に思う。敦賀さんにこんな顔をさせられるのはキョーコしかいない。さすが琴南さん、よく見ている。でも親友に自分が聞けなかったことを敦賀さんが知っているかもと思って、敦賀さんの方に嫉妬してる琴南さん、最高に好き。😍

敦賀さんをガン見する琴南さんを見て、奏江もああいう男が好きなのかと勘違いする飛鷹君。いや琴南さんもラブミー部員だよ、飛鷹君。

キョーコが心配だけど電話が繋がらないのでSMSを送る敦賀さん。「文字じゃつまらないからメールは使わない主義」は頑強な主義思想でもない。せいぜい麩菓子レベルと社さんに答える。

回想
冴菜さんがキョーコを身籠もっていることに気づいたのは妊娠5ヶ月を過ぎた時期で、法律で中絶が許されるボーダーラインが迫っていた。

そこで言葉を躊躇う冴菜さんだが、キョーコに「どうぞありのまま仰って下さい。私は大丈夫ですから」と励まされて「お腹の中のキョーコは自分の汚点の象徴としか思えなかった。大切に育んでいく気になんて到底なれなかった。この手で触れる事も愛していけるという仄かな現実ですらも私には持てる自信が無かった」という。引き受けてくれる医師に辿り着く前に法的タイムリミットを迎えてしまったという。そしてお腹の中のあなたもろとも滅んでつけるケジメの仕方を選んでしまった、と。

キョーコを自分の汚点の象徴と思うのなら生まない方が良かったと思う。あるいは産まれたらすぐ養子に出した方が良かったのでは。これはネグレクトもいいところ。親子だからって、合わないことも当然あるのだし。まあキョーコに励まされたからと言え、正直に伝えられる冴菜さん、まだキョーコとの関係の修復の可能性あり。何もわからないまま嫌われるより、キョーコにとってはよかった。

途中で仕事に呼ばれる冴菜さん。キョーコは冴菜さんが呼ばれた後、呼びに来た藤道さんと
「消してしまいたいと思う程愚かで浅はかになり下がる様な不様な恋を私も経験した事があります。(経験も相手の男も)あの人と同列にするのはおこがましい程小っぽけでハナクソみたいなものですが」と話す。

滅びる(すなわちお腹の子とともに自殺?)はずだった冴菜さんもキョーコも奇跡的に無事で、片桐先生が現在の事務所の前身になる事務所をを立ち上げて「本気で私に詫びる気があるのなら私のために馬車馬になって働け!」と冴菜さんを引っ張ったという。

いや、片桐先生素晴らしい。部下の新人弁護士のおかげで出世を棒に振って職場もやめざるを得なかったのに、そのドジをした新人弁護士の娘を自分の妹夫婦に預けて、今では立派な弁護士事務所をたて、今ではメディアでも「笑いも取れる弁護士」として活躍って。

「君は感性が柔軟だ。幼い君からしてみれば最上の取って来た態度は理由がわからなくてさぞ理不尽だったことだろう。あいつの頭から君があいつの一部か分身かの様な思い込みが消えない限りその境遇は続いたはずだから。わかってやって欲しいとは言ったが決して容易いことじゃない。」という藤道さんに、「少し前の私なら無理だったかも」とキョーコ。

藤道さんはずっと冴菜さんを見てきたから、冴菜さん寄りなのはわかるけど、17歳のキョーコには「わかってやって欲しい」というのはあまりにも酷。

「なら最上を許せる?」といったところで冴菜さんが戻ってくる。「私子供の頃、あの人にほめてもらえるのが夢だったんです。よく頑張ったわねって頭をなでてもらうのが。あの人の望む結果を出し続ければいつか叶うと思っていた。必ずいつかやさしく微笑みかけてくれるって。今日私の知らないあの人の事情を聞いて、私やっぱりもう諦めます『あなたに愛されたいと思うこと諦める事を』諦めます。」

あと3年で成人だし、そこまで母親にこだわらなくていいし、許さなくていいけど、冴菜さんも自分を冷静に見つめてキョーコにすべてを話せるというのは、救われるところがある。大部分の毒親は自分を正当化すると思う。冴菜さんの性格からして、今後もべたべたした関係にはならないだろうけど、遠くから相手の幸せを祈る穏やかな関係になれるといいな。

冴菜さんの子供はいません発言も、ローリィ社長に何をやらせてもかまわないけれど、親子だと世間に知られないようにしてくれるならといったのも、自分の手を離れて羽ばたくのがキョーコのためだと思ったからかな。キョーコを自分とは別の一人の人間なんだと認めつつ在るのだと信じたい。まあそういう意味でも大人になったキョーコにとっては過干渉すぎる親よりマシかも知れない。

「私に子供はいません」発言もう一つの解釈。冴菜さん、テレビにでるのは不本意だったと思うけど、本名で出てるから、どこかで御園井さんが見ていることを危惧しているとか。御園井さんは自分と冴菜さんの子供がいることを知らないと思うけど、もしキョーコの存在を知ったらどう思うだろう。いや通常は芸名の『京子』だけしか表示されないから、通常気が付かないと思うけど。

遙か昔3巻ACT.17の養成所の実技テスト「天使のことだま」で、「お父様だって人間よ。我を忘れて取り乱せば本気で人を傷つけてしまう事もあるはずよ?」「わかるでしょう?親だって本気で実の子を憎めるの」といってキョーコの気持ちはこの冴菜さんの態度から来ているのかな。あれはでも結局本気で父親に憎まれてないことを妹に悟らるためだからそれも心のどこかでキョーコは感じていたのかも。切ないけれど。あれは、うっかり口にした言葉から、まだこれから演技を習いたいというところなのに自分で演じることになって、敦賀蓮ならどう演じるだろうかと思ったけど、役柄が女の人なら問題外と思ったのだよね。

(ACT.233 CLEAR MIST)
「これまで何度も期待しては否定され続けて来て、ガッカリするだけだからもうやめようってもう期待はしないって自分に言い聞かせてきた。なのにやっぱり期待してしまう。あなたの些細な一言にもしかして・・・って性懲りも無く淡い期待が芽生えるのを止められない。だったら私はもう自分の気持ちに抵抗しない。私にはあなたと本気で嫌いになれない。あなたがどんなに私のことを嫌いでも。」「今はまだ主役を引き立てる役柄しかもらえないけど、誰もが認める日本を代表する女優になってみせる。この身体にあなたの血が流れている事をあなたが誇りに思えるようなすごい女優になってみせるから、その時は頭をなでてもらっていいですか?」頭を近づけたキョーコの耳元でそっと「あなたがそれを求めるのなら」と冴菜さん。

帰って行くキョーコを見送りながら「嘘でも『あなたを嫌いな訳じゃない』って言ってあげれば良かったのに」という藤道さんに「嘘はつきたく在りません(あの子に触れると過去の自分に逆戻りしてしまいそうで嫌悪と恐怖で拒絶し続けた。長い月日の流れの中で可愛いと思う瞬間もありましたけれど私には普通の親の様に愛せる自信は・・・)」「君に視界を濁らせるその呪われた霧はいつか必ず晴れる。彼女が君には到底まねできない様な何かを成し遂げた時に。或いは彼女の言う目標が果たされるのを待つまでもなく霧は晴れる」と(「私にできた事がどうしてあんたにできないの」とキョーコに当たった日々を思い出す冴菜さん)

しかし冴菜さんどこかでキョーコに謝って欲しい。あとここまで自分をわかっていながら自分を変える気はないのね。未だに人間としてはキョーコより未熟。母親が子供から無償の愛をもらうなんて。子供から見たら、どんな親でもなかなか嫌いにはなれないものだよ。藤道さんも鰐顔先生もどれだけ冴菜さんを支えてくれたことか。社長さんの言うとおりラブミー部で少し鍛え直した方がいい。

キョーコのメールボックスには、留守録のメッセージを聞いた敦賀さんから心配するショートメールが入っていた。

琴南さんからも事務所部室で待つというメッセージがあったので、事務所に寄ると、椹さんから、この3日ほど匿名でラブミー部への変な仕事依頼の電話があったという。オーディションで勝ち取った『くの一』役を、後日事故を装い怪我をさせられもう二度と自分の脚では立てない身体にされて、卑怯な手段で負け犬に奪われた怨みを晴らして欲しいと。

(ACT.234 泥中の蓮)
どうもその役は、内容を聞くと社長がモー子さんに押しつけた「泥中の蓮」の登場人物のようだ。

部室に来た琴南さんは元気いっぱいのキョーコを見て、用が済んだという。敦賀さんの珍百景はこのことは何の関係もない可能性が高いと、心の中で思う。

改めて「泥中の蓮」の『くの一、紅葉』のオーディションの話を琴南さんに訊いてみると、確かに一度決まったはずのくの一役のオーディションをやり直すことになったという。普通は決まってた人が何かの事情で出られなくなったんならオーディションで次点候補だった人が選ばれるはずなのにオーディションのやり直しをするのは松島主任も不思議がってたという。そういえば琴南さんが『千鳥』役のオーディションを受けた時も力ずくで奪う系のひどいのがいた。という。結局落ちたけれど。

琴南さんもまだこれから2次審査だけれど既に役作りを初めて、時代劇の重鎮で飛鷹君のお祖父さん上杉虎徹さんに殺陣の指導をしてもらっているという。

それで『千鳥』のオーディションに落ちた力ずく系女子が『紅葉』のオーディションにも乗り込んで行ってたとしたら、さっきの物騒な恨み節話も全くのデタラメじゃないかもしれないと言い始めた琴南だが、キョーコは琴南さんとの共演を目指して、紅葉のオーディションを受ける気になっている。俳優部で松島主任に京子ちゃん所属がタレント部だから情報がそっちには回らなかったんだなと言われて、どうしてタレント部なら情報が回らないんだろうと思うキョーコ。

キョーコ、LEMに入るときは何をやりたいかも全く考えてなかったからタレント部に入ったけど、女優になりたいとはっきり目標が定まったのだから、俳優部に移籍していいのでは。

原作を琴南さんから借りるために一緒に帰るキョーコに、琴南さんは、今日敦賀さんを見かけた話をする。何の撮影だったかは知らないけれどものすごい苦悩してる様子だったという。文字通り頭抱えちゃっててらしくないとこ見たと思ったと。仕事上のトラブルかな・・とは思うけどといいながら、ふと思い出して「アンタ、敦賀さんに母親関係の話ってした事あるの?」と聞くが一度も無いと言われて、やっぱりこの子の事が原因ってわけじゃないと思う。
モー子さん正解だったんだけどね。

一方キョーコは、敦賀さんがまた自分の闇に捕らわれているのでは心配するが、いつもこっそり一人で解決しようとしているを知っているキョーコは聞けない。明日の夜またグアムに発ってしまうのに、キョーコも明日はBOX"R"の全員揃って撮る最後の撮影だ。敦賀さんは私を簡単に元気にしてくれるのにと、もどかしく思いながらだるまやの看板まで手伝いをしたあと暖簾をしまおうとして落としたところへ助けにくる敦賀さんと社さん。

この後ろから突然「ごきげんよう最上さん」とアップで登場する敦賀さん、素敵すぎてキョーコは心臓がとびだしそうだったろうな。

(ACT.235 SAKURA メッセンジャー)
お騒がせして誠に申し訳ございませんでした・・・と点々だらけのメールはまるで心配してくれと言わんばかりだよなと敦賀さん。そのメールを送ったときはむしろ清々しいしい気分で・・というと「それならそれで何故清々しい顔文字の一つも入れない!!」と叱られる。(コイツは何て尤もらしい送らせようとしてるんだ送らせようとしてるんだ、貴島のタイヤキメールにキレてたもんな。なんか俺ってその流れに持っていくために上手く利用されてない?)と内心突っ込む社さん。

「私の凹み元が母だと気づいて様子を見に来て下さったんですか?」とキョーコ。以前代マネしてくれた時の『編入試験』に対する君の様子でご両親が随分厳しい人なのかなっていう印象が強かったから」「清々しい気分だったって事はお母さんとの関係に何か良い兆しが・・・?」「はいっ」

社さんと蓮にオーディションを受ける話をすると、もともと泥中の蓮の『浪人』の役は蓮に話が来ていたので、ストーリーを知っている社さん。

BJのクランクアップより泥中の蓮のクランクインの方が早いスケジュールだったしBJは最後は海外だし断ったという。でもオーディションとか言ってるって事はまだ撮影始まってないんだなと。

隣の蓮を見るとなんか落胆目をしているように見えるし、と落ち込む社さんに、何かトラブルがあったらしく撮影に入れないのもそれもあるのじゃないかとキョーコ。

そして『紅葉』は琴南さんが演る予定の『千鳥』を守るのではなく、どちらかというと憎しみの対象で、主人公を挟んで『紅葉』と『千鳥』は恋のライバルだと社さんに教わって埴輪になるキョーコ。

そこに大将とおかみさんが来る。

帰りの車で「もし『紅葉』を本当にゲットできたとしたらキョーコちゃん公で初めて誰かに恋をする役を演るんだな」という社さんに、似非紳士スマイルの蓮。社さん、わざとやってる?

TBMへいくと祥子さんにばったり出逢う。尚の「余計な事は一切考えるな。お前はお前の決めた未来だけを貫き通せ」という言葉を思い出し、お礼がしたいと尚の控え室に祥子さんといく。が、尚の顔を見たキョーコのリアクションはいきなりスネへの蹴り。

(ACT.236 呼応野望(ハウリングアンビション))
京都の尚の母と電話で話すと「ウチの子がキョーコちゃんをまきこんで家出た事は詳しい事情なんか訊かんでもわかりきってる事なんや。何度訊いても『キョーコちゃんとなんてもう会うてない。居場所なんか知らん』で済ませるなんて無責任すぎる。ほんまの事言うたら今月キョーコちゃんに会えるなら連れて帰る算段つけようと思てたんや。でも冴菜さんからキョーコちゃんの好きにさせてやって欲しいて頼まれてしもたさかいに『なりたいものがあるみたいでそれには東京に居る方が便利が良いみたいだから』て。

これが一年前ならどんなにアイツが憎くても女将さん相手に我を通して東京に留まっていたとは思えない。復讐とは別に小さく芽吹いたお芝居への感情も不純すぎたし(蓮を私の演技でアタフタさせたいと)アイツ、もしかしてどこかで守ってるつもりはあったのかな。ようやく見つけた自分を活かせる私の未来を。

母親に愛されず、尚の家では遠慮と気遣いばかりで、自分のしたいことを全く考える余裕がないキョーコに、『これが自分』と言える個性を持てというのはわかるけど、それが伝わるように尚はキョーコに言ってない。まあ尚自身も意識してないのかもしれないけど。結果的にキョーコが京都の家から解放されるように尚はしているんだけどね。で空っぽの人間が嫌いなくせに、いざキョーコが目標を見つけて羽ばたけば新しい人間関係もできるのに、独占欲を見せる尚はちょっとね。まあいいところもあるから、二人がもう少し穏やかな兄妹のような関係になれる日がくるといいな。

しかし尚、40万円の靴が買えるなら、東京に来たときに生活費やマンション代キョーコに返せ!

女将さんと話して、あの人(冴菜さん)とも会って話し、二人の理解は得られたので京都には帰らない。自分の野望を果たすまで。(アンタが嘘をつき続けていなければこんな事を言える私は居なかったけど)

グッジョッ👌ジョブといってやってもいいかと思ったけど、乙女の唇に事項も事故もありゃしないと尚の40万円の靴を掘削するキョーコ。

こうなるところが幼馴染みの気安さ。で、蓮がキレる原因でもあるんだけどね。

私はここから高みへ昇る。次へのステップも決めてある。今に上から旋毛を踏んであげるから。というキョーコに、「お前の言う次のステップってのを上がり切るその前に俺はまた一足飛びにスケールのでかい更なるステージへ・・・」祥子さんに挨拶して出て行くキョーコ。

雑誌のあらゆるジャンルの変わり種をのせるコーナーのインタビューで、天宮さんと共にラブミー部員へのインタビューに応じるキョーコ。「私の野望はどんな役でもこなせてしまう最高で最強の日本を代表する一流女優になる事です!!」と。

キョーコはオーディションに備えて、モー子さん→飛鷹君を通じて虎徹さんに殺陣を指導してもらえるよう頼む。

(番外編 あの時の彼 ~MGHと14年目の親心~)
幼いキョーコと会った藤道さんは「藤道奨(しょう)」と自己紹介する。しょうちゃんといっしょだとキラキラしたキョーコだが、ほんとうは(すすむ)と読むようだ。嘘だからとにっこりする藤道さん。「どこの馬の骨とも知らない男の血を引いてる君が憎らしくて、本名なんか教えてやるかと思ったけれど、君の身体に流れる血の半分は最上のものだと思うと『格好良い』と思われたいと思ってしまった」「僕は複雑によじれて絡みまくった知恵の輪みたいな、こ難しい女性がタイプでね」と。

先ほど藤道氏の紹介で面会した鰐顔先生も「コイツはエリート揃いの身内に司法試験は最度でクリアしないと一族追放と言われてわざと2度失敗してみせるマゾで下衆な変態だからあまり懐いちゃダメだよ」といっていた。
それって藤道さん、ものすごく屈折した冴菜さんへの愛。冴菜さんの心に余裕ができればキョーコちゃんへの態度もかわるから、素直に冴菜さんへの好意を表してくれれば少しは状況が改善したのに。

あと司法試験をわざと失敗するって、頭のいい人の嫌味な行動としか思えない。

2022年9月9日金曜日

スキップ・ビート!38

(2016年3月18日発売)
(ACT.225 POP CHORD)
キョーコが心配で付き人とともに戻ってきた尚は、緑が多そうな所にいるだろうと(さすがキョーコをよく知ってる尚、なかなかいいカンしている)、キョーコと蓮の居る路地に歩いて行こうとする。覆面サングラスの男が突然現れて、ストーカーまがいの事をしてくる。尚は体重64.8kg ヒップ87cm 身長181cm。
しかしルトさん他社の歌手なのに、ショータローの身体データや祥子さんと同棲していることまで知ってるの?これは社長さんがショータローに興味を持ったからかな。

恥も外聞もなく全力で色々解き放ってすがりついて号泣したらコーンではなく敦賀さんだと気が付いて動揺するキョーコに、蓮は何度も謝る。「コーンがここに居てくれたらもしかして何か相談したい事でもあった?話を聞くくらいなら俺にもできると思うんだけど。何か辛い事があったんだろう?弱音を吐くのとクールダウンは違うんだよ。たとえ不条理な目に遭ってもそれへの憤りすら燃料にして自力で立ち上がるのが君なのに、それができないなら泣いてたんじゃないのか?だったら自力で消化しきれない鉛みたいな感情は外に吐き出すべきだ。」と説得するが、話そうとしないキョーコに俺がコーンだったらここまで口が重くないはずだよなと思い、(「どうして俺は禿げに恐れをなしておかなかったんだ。あの時ミス・ウッズの杞憂に影響されて髪をクオンのままにしておけば、すぐにでも昔みたいに話を聞いてあげる事ができたのに」ということろが抱腹絶倒!私がスキップ・ビート!が好きなのは、たぶん大部分のファンと違って、冴菜さんの存在があるからで、冴菜さんのキョーコを愛してないわけじゃないけど優しくできない不器用さは、決して認めないし、キョーコも許さないでいいと思うけど、毒親崩壊家庭育ちの私にとって、すごく理解できてそんな育ちのキョーコに共鳴するから。

毒親や家族との軋轢を扱った漫画はたくさんあるけど、シリアスで読んだ後どよんとした気分になるのは御免被りたい。スキップ・ビート!はシリアスな中にこういった抱腹絶倒な部分がいいバランスで入っている。キョーコがこういう育ちだからこそ、成長してこういった過去も糧にして、女優として世界に羽ばたき、自分を卑下する事なく蓮と結ばれて、クーやジュリエナに思いきり甘えて欲しい。

しかし今回のグアム滞在そんなに長くないから、日本出国の時、敦賀蓮カラーからコーンの金髪→カインヒールの髪→コーンの金髪→敦賀蓮カラーになって、更に日本滞在も3日ほどだからすぐにコーンの金髪→カインヒール髪になるのよね。まあミス・ウッズが頭皮の心配をしたくなるのもわかる。

「思いっきり泣いたのでスッキリしちゃったみたいです。」というキョーコに、泣いた後、河原の石の目玉焼きハンバーグごっこで驚異の復活をとげていた子供のキョーコを思い出すが、同時に「だいたいは不・・アイツの話をふったらい一瞬で・・」と思い出したくない奴の事も思い出す蓮。

どうしてこんな所にいらっしゃるんですかというキョーコに、グアムでの食事を摂る証拠動画を見せに来たという蓮。わざわざこんな時間にと言われて、ウォーキングを教えろと夜中に家の前で待ち伏せしてた君からそんな風にいわれるなんてといいながら、「この日本滞在中今夜しか時間が取れそうにないみたいでね」(といいながら翌日の夜もあらわれる敦賀さん)まぁ別に本当は何も今夜じゃなくても良かったんだけど、とにかく君に早く逢いたくて、と思わず本音をつぶやくが、頬を染めて見つめるキョーコに気が付いて、ものすごく頑張ったから早く見てくれると食事動画を見せる。思わず自分の都合のいい様に聞き取ってしまう所だった。と思うキョーコだけれど、目の前に居るこの男性が”敦賀蓮”だとわかったら、あんなに重苦しかった胸の痛みも後ろ向きな感情もいつの間にか消えていたのに気が付くキョーコ。

照れずに君が心配できたといえばいいのにな~~~~社長さんから母親の事を聞いたのは隠す必要ないのに。で、敦賀さんコーンでなくても十分キョーコを元気づけられてるよ。

一人で冴菜さんとの会話を思い出すローリィ社長。「あの子を可愛いと思った事なんて一度も無いと言えば嘘になります。だけど無理なんです。私にはあの子を愛せる自信が無い」「ラブミー部に入れられないだろうか」と思うローリィ社長。

まあ、まあ不器用なりに冴菜さん自分をわかってるんだろうな。キョーコと二人で向き合ったら傷つけてばかりになってしまうと。

ルトさんからなにやら報告を受けてるのは尚があらわれたことかな。

すごく元気をもらったのでこの勢いを借りて私、今回の凹み元に正面きって体あたりしてみようかと思います。という。

(ACT.226 MARBLE FLAG)
表紙の注射器を構えた敦賀医師、サディストっぽくて萌え。
母親に奇襲をかけるらしいと、翌朝社長に電話で報告する蓮。朝食中だったマリアちゃんは「蓮様の方からお電話して来てね♡」と伝言してそっと席を外す。

「お前が必死な形相で食物を接種する(接種・・・摂取の誤植では?)ようすは弱った人間の心に大いなる生きる勇気と気力を与えるのかもしれない」という解釈の社さん。「一種の御守みたいなもんさ。コレがあるから何があっても大丈夫って」。キョーコに∞のラブミースタンプを押したことを思い出す。「敦賀さんからいただくから意味があるんです」と満面の笑顔でいるキョーコに「あなたはできる。絶対勝てる。そう惚れた女に魔法をかけてもらうだけ」といったリックを思い出す。しかし蓮は「成功者のサインなど御利益求めて無駄にほしがる人も居る。御利益と魔法って違いますよね」とDr.学習能力に鎮静剤を打たれて願望から覚醒する。

敦賀さんからもらった∞のラブミースタンプ、プリンセス・ローザの首飾り、コーンの石をもって戦闘服ラブミーツナギでいくはずだったのが、学校からアポをとるつもりで仲介者に電話したら(公衆電話!)冴菜さんは午後3時から予定空いちゃったみたいだからといわれ、勢いで会った方が良いんじゃないかなと言われて、午後から早引きして高校の制服のまま喫茶店で待つキョーコ。

やってきたのは冴菜さんの同僚弁護士藤道さん。キョーコは3、4歳の頃一、二回あっただけだ。冴菜さんの事情は知っているようだが、同僚の人生最大の地雷劇といわれて、やはり父親に原因があるのだと、尚に捨てられた自分と同じ思い、あるいはそれ以上の経験をしたのかと想像して「やっぱりやめておきます。訊きたい事無くなってしまったので」と車の中で藤道さんにいうが、もうウィリデ法律事務所について目の前を歩いて行く冴菜さんに、藤道さんは呼びかける。「確かに戦う覚悟で心の準備も整えていた。でもそれはずっと目を逸らしてきた疑問に答えをもらいたいと思ったから。人生で最大だというその傷跡に刃物をつき立てて無理矢理抉り出すのが目的な訳じゃない。私はこの人を傷つけるために来たんじゃないんだ」と思いながら車から降りるキョーコ。

この期に及んでも冴菜さんを傷つけたくないというキョーコ、そこまで人の気持ちを思いやる姿に心が痛む。

(ACT.227 SPIRA+ ECHO)
車から降りたって、藤道さんの車越しに対面するキョーコと冴菜さん。二人同時に喋り始める。二人のセリフも吹き出しの中でダブってるのが笑える。聞き返すと冴菜さんはふいっと横を向く。(キョーコがいったのは「あなたには感謝してます。」)

冴菜さんの言葉を聞き取った藤道さんは「今、君が着てる制服は衣装なのか?って」と伝える。「衣装の要る仕事って、演劇か何かやってるのかな?」と言われて、「私は芸能・・」といいかけて冴菜さんの眉間のしわに気が付く。端役で他人から嫌われるしかないイジメ役、ラブミー部員というふざけたアレ・・と冴菜さんの声なき声を聞き取って、芸能関係の仕事につきたくて裏方スタッフからエキストラまでやらせてもらっていて、海外ロケは極秘任務なので代わりは立てられなかったと藤道さんに伝えて怪しまれる。

「高校通ってたの ちゃんと」といわれて、「学費の事なら事務所の社長が助けてくれてます。もちろん少しずつですが返していけてはいますので。」「あの男性が」という冴菜の表情にもしかして心配してくれた?とほっこりしたところで「学歴が中学止まりだなんて怒りで目の前が真っ赤に染まり歪んで何度不法を承知で籍を抜いてしまえたらと思ったか知れない。後先も考えず男にくっついて家出するなんて頭が悪いにも程がある。もう紙の上ですら関係していたくないレベル」それで『子供はいない』発言と思うキョーコ。さ・・・冴菜さんそれはあまりにも自分勝手な。キョーコが尚に依存するのも冴菜さんへの満たされない気持ちもあるし、いずれにせよ、あなたがそんなこと考えられる立場じゃない。「情けなくてイライラする。そんな所だけ似るなんて」ハッとするキョーコ。だから????と言いたい。

藤道さんが宥めて部屋に二人を連れて行く。藤道さんがキョーコは家業を継ぐのが嫌で逃げ出した大好きな幼馴染みにホイホイついてって結局別れて人生を棒に振ったことを知っていることに、不思議に思うキョーコだが、キョーコちゃんからの手紙で荒れている冴菜さんを酒に誘って口を割ったという。「ロクでもない事しかしでかさないバカな娘とはすぐにでも縁を切ってしまいたいのにプライドと職業柄がそれを許さない。出口の見つからないジレンマに押し潰されて?」というキョーコに「それは全く否定しないけれど、心底縁を切りたいと見限ってる相手のやる事にあいつならいちいち腹は立てないよ」と。先ほどの高校へ行けてないと心配していたらしい言動を思い出すが、だけどやっぱりもう期待はしないと思うキョーコ。
冴菜さん、お酒が弱いのか。キョーコはどうだろう。
藤道さん、気が利いて人の気持ちがわかる、優秀な弁護士なんだろうな。

冴菜さんとキョーコは二人だけになって、また同時にしゃべり出す。

「あなた松君とはいつからそういう仲だったの」と駆け落ちしていたと思う冴菜さんに家政婦代わりに恋愛関係ですらないことを思わず勢いよくしゃべって更に呆れられる。

「まぁ何にせよ最悪の状況を避けられてるだけでも救いだと思える。子供なんてできていたら目も当てられない」といったところで突然黙り込んだ冴菜さんに、「純粋に若気の至りで取り返しのつかない事にならなくて良かったと言った事が、結果私の存在を蔑む事になっちゃってマズイ事言っちゃったとかって焦ってる?」と冴菜さんを見つめるキョーコ。

子供の頃から瞬時に読み取るようにしていた眉間のシワは、怒りと『あんたが憎い』の信号だとずっと思っていたけれど・・・藤道さんの「もう十分知ってるだろう?キョーコちゃんだってあいつが難解で困難な性格だって事は」という言葉が蘇る。

「私、今の自分がすごく好きなんです。あなたから見れば嫌われ役しかやらせてもらえない私はみっともないかもしれないけれど、この仕事に出逢って自分の狭い世界が広がった。経験も人との繋がりも総てが私に生命力をくれる。京都に居た頃の私なら間違ってもやってみようなんて思わなかったこの仕事に出逢わせてもらえた総ての出来事に感謝しています。」「それは松君にも感謝していると言ってるかの様に聞こえるけれど」「もちろん一番に感謝しているのはあなたにですけど」「私を産んでくれてありがとうございます」

いやキョーコちゃん、どんな理由があっても冴菜さんの態度は理不尽過ぎる。いい人過ぎて涙が出てくる。結果的に女優である現在へ、蓮を思う現在へつながっているけど、本来ならもっと幸せな子供時代を送れたはず。

母娘とともに、似たような性格だけど、キョーコにはコーンやだるまやの夫婦や、琴南さんや社長さんや蓮がいた。つまり冴菜さんよりはキョーコは人間関係を築く力はあるのかな。でもこの育ち方で17歳で、つい失言してしまうお母さんに「産んでくれてありがとうございます」って切なくて涙。

(ACT.228 GROUND CALL)
回想 若き日の冴菜さん。一流大学首席入学首席卒業、在学中に司法試験ストレートクリアしたスーパーエリートで、片桐先生の事務所に入って二年で『城生』のプロジェクトにくわえられたのに、ぼーとしていて山口さんという先輩から怒鳴られる。「正直言ってあなたは存在するだけで私に喉の奥から苦い物を込み上げさせる。」(「別に他人を見下した事なんて一度も無いのに」)と心の中で思っていると、「そのつまらなさそうな顔やめてくれる?まるで相手にされてないんだなって傷附くわ」「あなたくらい優秀な人なら安心して私の後を任せられる。私がここに居られるのも後少しなんだからしっかりしてちょうだい」「次の公判で『城生』の案件にケリをつけられれば片桐先生の東京本部への栄転が確定されるはず。私達で片桐先生のサポートをしっかりやっていきましょう」と。

そこに帰ってきた藤道さんに、口紅を変えた(正確にはグロスを)ことを指摘されて、ドキッとする冴菜さん。この状態で今の職場が居心地が良すぎるという冴菜さん。山口さんを「歯に衣着せずに物事をはっきり言いますけれど、逆にそれがいつも本心で向き合ってくれてるってわかるので、安心できるんです。私の様に対人スキルの乏しい人間には。
藤道さん、このころから冴菜さんへのひねくれた愛が見られるけど、もっとストレートに冴菜さんを口説いていたら、冴菜さんも幸せになったのに。冴菜さんが他の男とつきあっているらしいのを察してるのに、揶揄するだけ?

夜、恋人の御園井さんに、今日職場で山口さんに私の様に対人スキルの乏しい人間には今の支部のメンバーみたいに厳しいくらいの本音で接してくれるのがちょうどいいと思っていたのだが、その山口さんに『存在が嫌味』だとズバリ言われ久しぶりに心が折れそうだったという。山口さんは、優秀な人で司法試験を2度目で通過したと聞いた御園井さんは「元々優秀な人間であればある程少しの泥でもついちゃうと本来自分はこうだったはずって理想の姿を目のあたりにすると嫌でも嫉妬心が芽生えてしまう。その証拠に大学3浪、30を過ぎてもまだ司法試験をクリアできない俺なんて冴ちゃんには憧憬は感じても嫉妬心なんて沸き起こりようがないもの」という。眉間にまるで怒っているかのようにしわが寄る冴菜さんに、「今どうフォローしたものかと考えあぐねてる。冴ちゃんは他人に誤解され易いよね。すごくどうでもいい事で悩んでる時も眉間に皺よっちゃうから」「怒ったときは小の字が大きくなって彫刻刀で彫られたみたいに深く刻みこまれていくからすぐわかる」と。

いつの間にかちゃんと『つき合おう』とも言われてないのに一度も男性とつき合ったりした事もなかった自分が御園井さんと3か月でそんな関係になっていた。司法試験の特訓してよといわれて家に出入りしていた。

「私はあなたにお礼を言われる様な事は何もしていない。あなたの母親になろうとした事もない。産まれた瞬間からあなたに触れる事すら拒絶した人間です。(総ての悲劇の原因を何も知らないあなたになすりつけた)」

今のキョーコにはこの言葉は通じるだろうけど、17歳やそこらでそんな気持ちが通じてしまうように、人を思いやる心が溢れているキョーコが逆に可哀想。今頃間違っていたと思われても。

(ACT.229 GROUND CALL)
子供の頃から嫌われている事にも憎まれている事にも覚悟はあった存在を否定された事も乗り越えた。抱きしめてくれた蓮の顔がキョーコの脳裏に浮かぶ。∞をくれたラブミースタンプも。今更何を聞かされても私はもうへし折れない。

「憎んでたから?」というキョーコ。あなたの事を呪われた子だと思った。だけど間違っていた。呪われているのは私の方。「怖かったのよ。あなたを傷つけてしまいそうで」「心を?」「今更でしょう。もうそれは。よく泣きながら私の後を追って来てた」(じゃあ体を!!)と思い当たり愕然とする。総てはそれが最善の道と判断して片桐先生が不破さんを紹介して下さったからよ。あなたが不破さんのお宅に預けられたのは。私からあなたを守るため」
松君のお母さん彌生さんは片桐先生の妹だと。

鰐顔の片桐先生を見ると子供のキョーコは泣き叫んだという。母の法律事務所のホームページで初めて見たと思ったテレビの中の人との過去に何度も会ってたなんて。これも現在の『私』を作った一片。もしかしたら自分の知らない過去の片鱗にはまだ現在の私へと形を変えられないまま放置された一片があるかもしれない。その一片色がつき形を変え、息衝く事ができたなら私の夢の未来図に私の夢の未来図に何か更なる変化をもたらすんじゃ・・・いやこの人の私の出征を語らせるってことは地雷劇だというこの人の過去をほじくり返すってこと・・と悶えるキョーコ。
キョーコは冴菜さんが自分を否定する理由を訊く権利があるよ。そこまで気遣わなくても・

あなた今日は何か私に用があってきたんでしょうと冴菜さんの方から言い出す。あなたにはその権利があるのだから言いたい事でも訊きたい事でもあなたがそれを求めるのなら私は決して拒みません。これまで一度も「母親」らしい事をして来なかった。だからこそ今のあなたからの望みにはでき得る限り応えていく。それが私の当然果たすべきけじめです。ただしあなたも無傷ではいられないかもしれませんよ、と。いやキョーコは既に冴菜さんに子供の頃から傷つけられまくってきたよ。
冴菜さん、理知的な人だし、キョーコを今まで傷つけてきたのも十分わかってるし自分をよくわかってる。だったらもう少し冴菜さんの方から手を伸ばしてくれれば、キョーコは救われたのに。

回想
28歳の冴菜さん。遅くまで弁護士事務所で仕事をする冴菜さんに、おでんの差し入れも持ってきてくれる藤道さん。仕事に熱中すると食事も忘れる冴菜さんは、蓮と似てなくもない。さりげなく、気負いすぎないように、年長の弁護士に頼るようにとアドバイスする藤道さん。

喫茶店で偶然知り合った、弁護士事務所でアルバイトしているという御園井一志さんは、疲れている冴菜さんに、お家デートでご飯をつくってくれる。食べるとなぜか急に眠くなる冴菜さん。意識が飛ぶ直線に御園井さんに頭をなでられた記憶だけが残る。

(ACT.230 GROUND CALL)
眼が覚めるとベッドで、御園井さんは既にいなかった。おかげでゆっくり眠れた冴菜さん。冴菜さんは優秀なのに自己評価が低くて一人でがんばりすぎてしまうところキョーコに似ている。藤道君の中では神経が高ぶって眠れそうにないなら睡眠薬でもこっそり盛っちゃおうか計画が立ってたんだよという先輩弁護士のあてこすりに、昨夜の作用の感覚が睡眠薬を飲んだときと似てたと思う冴菜さんの心に御園井さんへの疑惑が湧く。

昨夜は自宅で資料に目を通しておこうと、禁じられているけれど資料のコピーをを持ち出していた。いったん案件のボックスに戻そうとすると3つのフロッピーのうちNO2が逆さまに入っている。

しばらく会えないと伝えた御園井さん、なぜかお弁当をもってマンションに冴菜さんを訪れる。そのまま帰ってしまってけれどほっこりする冴菜さん。

翌夜も差し入れに来てくれた御園井さんを、思わずマンションに招き入れる。途中でクライアントから電話があってマンションの外で電話をする冴菜さん。そして御園井さんが帰った後またもやNO2のフロッピーが逆に入っている。「製品開発資料の全容が相手方側の手に渡らない限りこちらは負けない」といった片桐先生の言葉が頭をよぎる。製品開発の資料が入っているのがNO2だ。
フロッピーディスクっていつまであったっけ・・・時代を感じる。持ち出して無くしたり、人の手に渡ったら大変なことになる書類やデータを持ち出して私も昔結構やったけど、やはり弁護士さんの扱う情報は機密度が全然違うから、まずいよ、冴菜さん。仕事が終わらないから持ち帰るのは私も同じだから気持ちはわかるけど。
もうこの情報は持ち出さない方がいい。私は利用されてるだけなのかなと悩む冴菜さん。帰るとマンションの前では御園井さんが待っていた。

(番外編 あの時の彼等 丑三つ刻の人間曼荼羅)
深夜、冴菜さんのことで傷ついていたキョーコを元気にした後、ラブミースタンプを押すために、キョーコに招かれてだるまやに顔を出す敦賀さん。

キョーコは尚君とでていったはずなのに。「ま、いいか。誰が相手だったってひとまずはキョーコちゃんを元気にしてくれたみたいだし」と頭を切り替える女将さんだが、大将は不審の目で睨む。蓮に、魚料理を出す大将。「食ってけ」との圧力にびびる蓮。そこに戻ってきたキョーコが、「お魚料理出すのウチのお店のバイト採用試験なんです。お魚を綺麗に食べられる人が大将好きみたいで。食事の仕方って自然と人となりが現れるんですって」いや育ちの良さ、しつけの良さは現れるかも知れないけど、心の中までは測れない。査定されていたのを悟る蓮。

尚君と違って人あたりのいいニヤけたあの笑顔が気に入らん。詐欺師みたいだ。結婚詐欺師・・と窘める女将さんにぶつぶつつぶやく大将。