2021年6月29日火曜日

高嶺と花

姉に、父の勤める会社の親会社の大財閥の御曹司である才原高嶺とのお見合い話が来た。姉には恋人がいて見向きもしないのに、立場上父は断れずに、とりあえず高校一年生の花が身代わりとして出席する。厚化粧に鬘をして似合わない大人びた服を着込んだのに、高嶺から見破られ、見下した態度をとられて怒って鬘を投げつけて、席を立つ。

ところが高嶺からは気に入られて、相変わらず失礼で見下した態度のまま連れ回されるようになる。 反発しながらも互いに惹かれていって、見合いを継続する2人。

高嶺は昔からよくよく人間関係にトラブルを起こすようで、学生時代に気まずいままになっているファッション業界の御曹司ルチアーノさんと再会するもののギクシャクしている。しかしいつの間にか花の仲間と馴染んでしまって、花の高校や幼なじみの家のお好み焼き屋までよく出入りしながら、複雑な高嶺と花の相談相手になるルチアーノさん。

優秀な部下霧ヶ崎から別れるように言われて改めて高嶺への気持ちを自覚する花。結局霧ヶ崎も花を認めるようになる。

途中で財閥会長の祖父にすべての財産を取り上げられて花の父のいる孫会社で一からやれというミッションを課されて、今までのプライドをすべて失って花も拒絶する高嶺を強引に助ける花。

祖父の次のミッションは、会長に用意された豪華な家に引っ越した花一家(野々村家)との同居。一階と二階に別れて暮らすもののトラブル続出。

アメリカから帰国した高嶺のいとこの八雲は高嶺に複雑なライバル意識を持っていて、屈折したサイコパス。誘拐されて命の危機にあう花を、幼なじみのおかモンと高嶺の協力で、追う。ヘリコプターで劇的に乗り込む高嶺が、人質の花を救うためプライドも捨てて服を脱ぐ。

幼なじみのおかモンは花に二回告白。真に受けて身を退こうとする高嶺はおかモンに罵倒されて自分の気持ちやその適切な表し方を少しずつ自覚していく。高嶺はやっと素直に自分の気持ちを伝えて晴れて恋人に。

勢いで祖父の前で婚姻届を書いてしまって、入籍した高嶺と花、祖父からのプレゼントで高層マンションで二人だけの新婚生活?を送ることになって、ギクシャクしながらだんだん素直に気持ちを伝えられるようになっていく。

いとこの八雲も高嶺の信奉者である息子の大海の家出を伴う抗議で、これ以上高嶺に嫌がらせをしないことに合意して、強すぎる母親氷冴世の影響からも距離を置けるようになって、八雲と高嶺の間にも和解が見えてきた。

そしてくせ者だらけの鷹羽一族へ二人の入籍発表会。陰口をたたくものも多い中で、ルチアーノさんは一族を引き連れてお祝いと応援、花の家族も応援に駆けつけ、八雲はスキャンダルにしたてようという週刊誌を牽制。

お祝いの席での挨拶で、「自分がその席にすわるのにふさわしいと思っているのか」という意地悪な質問に、花は「少しもひけ目はありません 私が納得したからここに座ったんです そうでなきゃ彼に失礼ですから」と堂々と答える。生意気だと憤慨する人、肝が据わっていると面白がる人。まだまだこれからもありそうだけど、とりあえず一件落着。 

そして半年後、花は大学に合格し、おかモンはプロのサッカー選手に。

花は結婚式と披露宴は、花の希望通り高嶺のお母さん十和子さんとおじいさんが出席して、いままでのわだかまりも解け、結婚の誓いはいつも通り高嶺のむちゃに花は誓わず、花のささやかな誓いを高嶺が誓い、ハッピーエンドに。

しかしあのサイコで花を殺そうともした八雲が、高嶺と和解してこれから二人で鷹羽グループをひっぱっていきそうな展開はちょっと無理がある。人間ってそんなに急に気持ちを切り替えられないよ。

ルチアーノさんの「人を好きになるって相手のこと全部好きになんなきゃいけないって事じゃないよ 嫌いなとこあったっていいんだ 何個でも それを差し引いても寄り添っていたいって思える気持ちが愛ってやつなんだから」という台詞に救われたような気がした。推しの芸能人でもスポーツ選手でも漫画でもあるいは現実の人間関係でも、その人、その作品が100%好きということはないけど、好きな人の嫌な部分を見てしまうと失望するけど、恋人であっても100%好きである必要はないんだという考え方はほっとする。

ハンサムで大金持ちででも残念な男性が、元気いっぱいが取り柄の女の子に惹かれていって、二人とも変わっていくという少女漫画の王道だけど、テンポのいい展開が面白かった。

関係ないけど、「高嶺のハナさん」という漫画もあって、検索するときにいっしょにひっかかってきてしまう。

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