2021年5月18日火曜日

ねことじいちゃん

じーちゃんとばーちゃんとねこの多い、漁業を生業とする、のんびりとしたとある島。大吉じいさんは76歳、島の小学校のもと校長先生。奥さん佳枝ば-ちゃんに2年前に先立たれて10歳と7ヶ月のねこのタマと一人と一匹暮らし。ばーちゃんがいたころはまったく手を出さなかった家事も、丁寧にこなす。幸いにして郵便配達のさとしさんや診療所の若先生やカフェ海猫のマスターの孫美智子さんなど、若者がいないわけではない。畑や釣りの帰りにお裾分けに顔を出すご近所さんもいる。

ご近所の巌じいさんも76歳で一人暮らし。ねこ大嫌いなのにねこがたくさん集まってくるのは、ねこは嫌いといいながら釣りの成果をいつもたっぷりお裾分けしているから。

たまにやってくる息子の剛さんは、ほんとうは自分の近くへ呼び寄せたいのだが、奥さんがなくなってから意外としっかり生活している大吉じいさんに、もう少しそっとしとくかと思いながらも、体が大丈夫かオレオレ詐欺や投資の勧誘にかかってないか心配してうるさがれている。

タマは実は人間の言葉がわかる。でも喋るのはネコ語なので人間には理解できない。「このしもべ今ひとつ役には立たない」「一人で散歩にも行けないのだから」といいながら大吉じいさんの散歩につきあったりと、「しかたがないので吾輩が面倒を見てやることにした これはおばーちゃんとの内緒の約束」と。病気で先立つばあちゃんに「おじいさんのことをみてやってね」と頼まれたのだ。取り込んだ洗濯物にじゃれついたり、大吉じいさんにスリスリしているうちにガブガブ噛みついて愛情表現をしたり、ねこの集会に毎日参加したり、かとおもうと雨なのに買い物についていきたがったり、ねこがねこらしくのんびりとしたねこの仕草がねこらしい漫画。時々でてくる新鮮な朝取れ魚や使った使った大吉じいさんの料理がおいしそう。

1巻「こころのこり」の急に胸が痛くなって、タマが閉じ込められてしまわないよう必死で窓を開ける場面、一人暮らしの人なら胸をつまされたのでは。窓を開けたお陰で郵便配達に来たさとしさんに発見されてよかったよかった。

第二巻で、逆にどこかに出かけていて3日目にお魚を手土産に返ってきたタマに「もしもの時がきてもひとりで逝かないでくれよ」という大吉じいさんも切ない。

お盆のキュウリの馬をF1カーにする大吉じいさん、じ~んと来ます。そういえばお嫁さんの洋子さん、大吉じいさんのために東京オリンピックのチケット取るといっていたけど・・・ワクチン済んだかなあ。1964年の東京オリンピックは佳枝さんにプロポーズした思い出の年なんだよね。

巌とクロもまたネコあるある。子どもにとって自分の1/3もあるネコは結構怖いって、記憶になる限りネコ大好きな私だけど、2歳くらいの時縁側からネコが入ってきたら大泣きしたと何度も聞かされたから、まったく記憶はないけどわかる!

第三巻ばーちゃんでも診療所に新しく来たイケメンの研修医若田先生、通称若先生にはときめく。でもたみさんはじめ島には個性的な手強いじいさんばあさんが多いし、苦手な魚を毎日もらうし、時にはなまこまでもらって前途多難。でも肺炎になりかけて診療所に来たたみさんの本音は、家族も夫も見送ってきた、大切な存在を見送るのしんどくて疲れてと。

4巻では島唯一の売店の夫婦が店を閉めて島をでてしまい、タマの餌を買いに本島にいく大吉じいさん。友達にあれこれ買い出しを頼まれて、一人で到底運べない領になってしまったけれど、本島のスーパーに勤めている教え子が買い物を手伝ってくれて港まで車で送ってくれて、島の港にお迎えにこれなかった人の分は船で一緒だった高校生が届けてくれて、若者の力をかりんと買い物もままならないとは、いつまでこの島で暮らせるだろうかとふと思う大吉じいさん。

タバスコというものを知らなくてどっさりかけて食べるのに難儀するのは、同級生が昔いっていた。私の世代の子どもの頃はあるあるな経験。

喫茶にはマスターの孫の美智子さんが働くようになって、若田先生もさとしさんもドキドキ。メニューもなにやら華やいで、島のじいさんばあさんにも大好評。美智子さんはファッショナブルに見えて、あっという間に50cm越えのチヌを釣り上げる豪傑でもある。いっぽう若先生も島の子どもたちに教わって釣りを始めたが、イソメを見て悲鳴を上げ、あたりが来ても魚に逃げられ、無人島ではいきられんわとじいさんたちに噂されている。マスターは張り切って看板をつくったが、喫茶の名前が「海猫」であったのは、常連の誰も知らなかった。

うさみみカチューシャ?をすると大吉じいさんが見分けられなくなって威嚇するタマさん。これまたネコあるある。ポスターを持って帰ったら尻尾が大きく膨らんだうちのネコを思い出した。

珍しくお腹をこわしたタマさん。獣医さんは島外にでないと当然無い。原因はデパートのペットグッズ店で買った高級おやつの食べ過ぎ。しかし7.9kgはちょっとダイエットした方がいいのでは。

5巻では、本島のN市立大学病院からお誘いのかかった若田先生。結局秋から春までお世話になった大学病院で恩返しをしてから島に赴任するとの決断。大吉じいさんと巌じいさんと美智子さんだけにその決心を告げて、いったん島を離れる。

本島のスーパーに勤めているもと大吉じいさんの教え子の発案で、島にトラックの移動スーパーが来た。島に居ながらにしてキャットフードもしょうゆも手に入る。

先に寝ているタマさんに気を遣ってふとんの端で寝る大吉じいさん。ネコあるある。

そして3月、正式な医者になって晴れて島に戻ってきた若田先生。誰にもいわなかったはずが、病院に健診に行っていた巌じいさんの連絡で、桟橋ではじーさんばーさんが垂れ幕をもって歓迎。カフェにリフォームした喫茶では美智子さんと、預けていたネコのマロンが歓迎。

6巻大吉じいさんのお父さんの代からのボンボン柱時計がとうとう壊れてしまった。東京に修理してくれるお店があると言うことで、東京まで持参した大吉じいさんの思い出は、東京オリンピックのあれこれ。息子の剛さんの家に泊めてもらって、先輩の成田先生と会ったり、佳枝さんと待ち合わせた洋食店の思い出の席で一人珈琲を飲んだり、剛さんとお寿司を食べにいって帰宅するとひ孫が待っていて、剛さんも大吉さんもメロメロ。

じいさんばあさんの多い島では立て続けに人を見送ることもある。ちょっと黄昏れている若田先生を、おいしいものを持ち寄ってさりげなく囲むみんな。若田先生も今ではシャコもガザミも大丈夫、来たばっかりの頃よりずっと成長した。

7巻番外のねこカフェ笑った。店外で珈琲を飲むと、港にたむろするねこが一杯。美智子さんこ、これは斬新なねこカフェ!

百合子姉ちゃんに頼まれて昔の写真を探していた大吉さん。昔の写真が次々出てきて・・・スバル360は小さい頃走っていたので懐かしい。もう手術もできなくてホスピスではなくて島の家に帰りたいという佳枝さんとタマと最期に海辺を散歩したときに出会った教え子が撮ってくれた写真。おじいさんが飲み物を買いに行っている間に、こっそりタマに「タマちゃん 私を忘れないでね」と言っていた佳枝さん。もっと佳枝さんと一緒に写真を撮っておけばよかったと、今更ながら思う大吉じいさん。突如タマの写真を撮り始めて警戒して毛が逆立つタマ。無理矢理撮ったタマとのツーショットは笑顔なのは大吉じいさんだけだけど聞きとして剛さんに送る。

美智子さんのカフェがテレビで紹介されて、大繁盛。ところが離島の悲しさ、来るはずの材料が今日は届かないという。午後から予約も入っているのにピンチ。大吉じいさんの機転で島のばあさんたちは畑の野菜を持参して大集合、その間にじいさんたちは船を出してマスターと本島の市場に買い出しに。巌さんの無線を聞いて採れたてのしらすを持参してくれる漁師さんもいて、料理はベテラン主婦のばあさんパワー大活躍。過去最高のお客さんを無事こなして、みんな生き生き。

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