(79話)巴衛の容態のは急変して社を保っていた妖力が消えていく。桃丹を飲ませようとしてもそんなもの効かぬという。そこへ現れたミカゲ様は巴衛の心の臓を凍らせてを鏡に閉じ込める。20年ぶりにミカゲ様が帰って荒れていた社は静けさを取り戻す。しかしあの痣は死に至る呪いで古い約束の代償として刻まれたもので、巴衛はもってあと7日だという。
500年以上前ミカゲ様と巴衛が初めて出会ったときに、もう巴衛の顔には死相がでていて死に場所を探していた。全身に回った死の痣は、神堕ちした邪神と契約した呪文だという。愛しい人間の女と一生を共にすると誓ったけど、その女が死んだから自分も逝かねばならないと。だが自分は人になり損ねたから死んでも雪路のいる所へは行けないと。ミカゲ様は呪紋を無効にすることは出来ないが忘れさせてくれた。ただし暗示が解けて巴衛が雪路を思い出すと発動すると。そして巴衛は彼女を思い出してしまった。ミカゲ様は巴衛の最期を見届けるために来たという。巴衛は君を忘れたくないように雪路のことを忘れたくないと。ミカゲ様の暗示は人を好きになることで解けた、すなわち巴衛は君が好きなんだと。
(80話)巴衛はもう助からないし苦しむ姿を見せたくないので、このまま鏡の中で静かに逝かせて欲しいというミカゲ様に、社にいたくなくて逃げ出す奈々生、そこに夜鳥があらわれて霧仁のところへつれていかれる。霧仁は妖怪で、死体に宿っているが、黄泉の国にあるその本体を取りに行くために奈々生に生き埋めになって神柱になれという。
霧仁は誰もが恐れ慄く大妖怪だったがどうしよもなく阿呆だったという。昔の俺に会えるなら殴りとばしてやりてえという言葉に、奈々生は昔の巴衛に会いに行くことを思いつき夜鳥の縛めを解いて去る。
(81話)瑞希の時廻りの香炉で過去にいって巴衛の契約を止めるという奈々生に、ミカゲ様は、もし契約がなかったとしたら巴衛はこの社に来ることもなかった。つまり君は巴衛と出会う未来を捨てることになると。それでもこのまま死に別れるよりずっといい!と。そんな奈々生を頭が冷えるまで大人しくしているようにとシャボン状の縛めに閉じ込めるミカゲ様。ミカゲ社に500年いた巴衛のお別れに来た妖したちや鬼火君や瑞希を思ったところでシャボンが割れる。ところが瑞希は時廻りの香炉を持ってどこかへ消えてしまったという。自分が過去を変えてしまうと巴衛は助かっても瑞希は一人に戻ってしまうことに気がつく。それでも奈々生の机に梅の枝を残して、ミカゲ様の目の届かないヨノモリ社で待っていると居場所を教えてくれた。
訪れた奈々生は過去は変えずに巴衛と契約した神堕ちに会って巴衛の呪いを解く鍵を持って帰って現在を変えるという。過去を変えて瑞希を一人にはしないという。瑞希はミカゲ様の邪魔が入らないように自分は残るので、少しでも危ないと思ったらすぐ戻ってきてと。
自力で思い至ることが大事なんだとつぶやくミカゲ様。
う~ん・・・そうかなあここはミカゲ様答えを教えてあげてもいいのに。巴衛には時間がもうあまり残されていたいのだもの。巴衛と奈々生の気持ちが育つのを待っていたのとはちょっと事情が違うよ。
(82話)500年前の山の中に一人で到着した奈々生、たくさんの人が死んだ廃村に迷い込む。ミツハという駆け出しの女神に会う。出雲からの回覧を見せてもらうと不死身の鬼悪羅王と妖狐の巴衛の指名手配が載っていて、戦神が出雲の大国主の勅令で討伐に進軍していることを知る。ミツハの社でミツハの育てている神使の卵を見せてもらっていると、そこにこの川を牛耳る妖怪の長、絞龍が現れる。絞龍は社には入れないが、周囲の村をつぶしてミツハを脅かす。ミツハは既に絞龍に腕を食われている。それでもミツハは今はまだ弱いけれどいつの日か妖怪など人々に手出しさせない神になるという。ミツハにつくってもらった笹舟で悪羅王達がいるかもしれない西に一人で向かう奈々生。ミツハは夜ノ森(ヨノモリ)水波姫(ミツハノヒメ)と名乗った。瑞希の主だった。
(83話)悪羅王と巴衛は戦に干渉して村を焼いたり地つきの妖怪を滅ぼしたりしている。近くの集落にたどり着いた奈々生は巴衛の気配を感じる。妖怪に襲われた村の生き残りで問屋の養子になった雪路の噂を耳にし、雪路の打ち掛けを雪路の家の奉公人に取り戻してあげる。
川からでてきたところを見られていた奈々生は妖怪だと思われて縛られる。そのときに村の男達に「妖怪の首領の一匹妖狐の巴衛を退治するよう」神のお告げがあったことを聞かされる。そこに打ち掛けを拾ってくれたお礼に助けに来た雪路が現れる。
(84話)巴衛が郭で暇を持て余しているところに、戦神建速が退治に乗り込んでくる。大国主の神剣で斬られた巴衛は遊女ツクネの術で下界に逃れたものの、退治にきた人々に追われる。
一方奈々生は雪路の家で世話になっていた。川辺で狐の妖怪がでたというが雪路は妖怪は嫌いだという。子供の姿に化けた巴衛は奈々生に助けられ、心を奪われる。
(85話)医者に診せようと子供の姿をした巴衛を連れて帰った奈々生だが、雪路はそのガキは今追われている狐の妖怪かもしれないと刃物を向ける。この子は私の生まれた村の姫太郎という子で私を追いかけてここに来たみたいだから助けてやって欲しいと雪路に頼む。奈々生は巴衛が元気になったら雪路との縁を邪魔しないよう出ていこうと思う。
一方雪路は奈々生が拾ってきたケガした子供が狐ではと責められる。雪路はあの子供が狐の爪にかかって川原で倒れていたのを自分が拾ったという。妖怪に滅ぼされた村の出身である雪路自身、妖怪を手引きしているのではと疑われているが、もしあのガキが本当に狐だったら俺がこの手で八つ裂きにしているという。聞いていた奈々生はこの屋敷に巴衛の見方は自分しかいないのを知る。川でなくした桃丹の入ったリュックを探しに行った奈々生は、奈々生を妖怪だと疑う村人達に捕まりそうになるが、そこに一瞬現れた巴衛の幻に助けられる。
(86話)リュックを見つけた奈々生は寝込んだままの姫太郎の姿の巴衛に桃丹を飲ませる。
結納金目当ての養父の意思に従い、縁談先に会いに行く雪路は、自分の故郷はある日妖怪に襲われて全部燃えて、この世に自分の親も兄弟もいないこと、でも奈々生は家族の懐かしい暖かさを愛しさを感じること、嫁ぐって言うことは血を分けた家族をつくることだという。
熱が下がり目を覚ました姫太郎に、世話をしている奉公人は奈々生に頼まれて、姫太郎を助けて連れてきたのは、このお屋敷のお嬢様雪路だという。奈々生や夜こっそりようすを見に来る。
嫁ぎ先に顔を出しに行く雪路は奈々生に「俺の不在中いなくなったりするなよ」と言い置いて。
一方奈々生に惚れた巴衛は体が回復したら奈々生をさらうつもりなのだが、どうして自分が寝ているときしか来ないのか疑問を思っていた。一方奈々生は巴衛が回復してきたので雪路が帰る前に、雪路と巴衛の恋路を邪魔しないようでていくことにした。奈々生は巴衛の前では自分は雪路と名乗っていた。
雪路は昔は妖怪のせいで村を焼き出されたり苦労したけれど、お金持ちの家に嫁ぐと奉公人に聞いた巴衛は、人は脆くてすぐに壊れて動かなくなる。他の男のもとにやるくらいなら自分が二度と動かなくしてやろうと思い、出て行こうとしている奈々生を襲うつもりが、助けてしまう。
(87話)奈々生は奉公人から邪神が住む池の話を聞いてでかけ、出会った妖怪から怨嶽山の黒麿殿の話をきく。怨嶽山まででかける体力がなくなった奈々生は、妖怪に桃丹と引き換えに黒麿を呼んでもらうが、時間切れでミカゲ様に現代に引き戻される。時廻りは体力を使うので体力を養うよういわれる。瑞希や鞍馬や姫御子や小太や龍王とその妻が駆けつけて用意してくれた食事でしばし休息。
(88話)悪羅王は塞ぎ込む巴衛にいらいらする。
雪路は都に行く途中山の中で馬がぬかるみに足を取られて巴衛に助けられる。姿を現さずに名前だけ聞いて雪路は妖狐がそのような名前であったことを思い出す。雪路がお礼に置いていった内掛けを前に物思いにふける巴衛は、悪羅王からの戦の加勢の要請を断る。
悪羅王の部下は巴衛から都の女の匂いがしたので、巴衛は人間の女に恋をしているのではないかと吹き込む。その部下「毛玉」に意中の女を見つけてこいと命令する。
奈々生は皆の応援の餞別を持って2回目の時廻り、荷物の重さに道ばたでバテた奈々生の前に悪羅王が「都はどこだ」と声をかける。
(89話)悪羅王と都の祭りを見物することになってしまった奈々生、櫓も人間も壊れたら戻らないと知って、「じゃあ壊さなければ良かったな つまらねえという。」のを聞いて、最初は怖かったけどこう見えて性根はいい奴なのかなと思う。奈々美を襲った暴漢を殺して、奈々生の荷物の桃缶を楽しむ悪羅王。暴漢を殺したことを責める奈々生に「すぐに死ぬ奴が悪い」といわれて、道理とか言葉とか根っこのところで通じないと気がつく。そこに毛玉が現れ巴衛が執心する雪路を見つけたという。
(番外1)巴衛とタヌ子の「これで奈々生も用無しか 仕方あるまいうるさいんだよあいつは」という会話を聞いてもやもやする奈々生。そっとタヌ子が持ってきた物を探すと、洋梨のタルトが食べたいという奈々生のために手にいれた洋梨だった。タヌ子は「巴衛様にわがままが言えるお方は土地神様だけですもの」という。
(番外2)「興味もたれないってのは女としての魅力がないってこと」とセクシー下着を友達に買わされた奈々生、巴衛に見られないように咄嗟に蒲団の間に隠したのに、その蒲団を巴衛は乾燥技にかける。何でもできる巴衛に見とれて「巴衛って 本当に競争率高そう こんなにきれいに家事こなせちゃう男子どこ探してもいないもんね」という奈々生に「別に俺がお前を選んだわけではない お前が俺を選んだのだ お前の神使が務まるのはこの世で俺くらいのものだからな」と、奈々生の奇妙な下着を畳む巴衛に神妙になりかけた奈々生が爆発
(90話)突然雪路が目の前に現れて、奈々生にこんなところで何をしてるんだと聞く。雪路は自分が留守の間に奈々生が姿を消したことを知っていた。同じ日に雪路宅で療養中の姫太郎こと巴衛も出て行ったらしい。奈々生が家をでてこちらの世界では3ヶ月がたったようだ。巴衛の過去の呪いをかけた黒麿に早く会わねばと焦る奈々生を雪路は抱きしめ「縁があれば星は巡ってくるよ だから今夜はこの宿でゆっくり休みな」という。雪路はお嫁に行くはずの都の長者と会ったらいきなり押し倒してきたので思い切り顔をけりとばしてやったという。そのお陰で大名家に嫁ぐという別のよい縁談をもらったのでもうすぐ祝言を挙げる予定だという。
退屈していた巴衛は悪羅王を呼び出す。悪羅王は雪路という美人が輿入れするときいて、その行列から花嫁を引きずり出して俺の前につれてくるよう手下に命令したという。巴衛は見たくないし、悪羅王がどうしようと構わないという。
一方奈々生は雪路を連れに来た悪羅王の手下に襲われそうになったところを、後ろから雪路が妖怪を切って助ける。妖怪は「無事に輿入れなどできると思うな」との言葉を残す。雪路の幸せのため奈々生は身代わりになる決心をする。
(91話)自分が身代わりになる代わりに怨嶽山に住む神堕ち黒麿を探し出して欲しいと、雪路の養父に交換条件を出す。悪羅王は煌かぶりに、花嫁行列から雪路の顔をとってこいと命令する。その情報は毛玉からだという。巴衛は自分が摘み損なった花をこんな連中に踏み荒らされるのが面白くない。
化粧をして髪を整えた奈々生は雪路にそっくり。雪路が無事大名屋敷にたどり着くまで、派手な花嫁行列で囮となることにした。一方巴衛はあんな輩に片付けられるくらいならもう一度次は確実に俺の手で殺してやると決心する。
(92話)花嫁行列の道中、毒の霧に包まれ、煌かぶりが現れる。お供の物を殺す煌かぶりに、抵抗しない、悪羅王のところにいくから(お供の物)を殺さないでという奈々生。次はあなただと煌かぶり。死者こそ美の体現者、あなたを最高に装って悪羅王に献上するという。お供の助君が、人違いでその人は雪路様じゃないと言ってしまうのをきいて、煌かぶりを惹きつけるために逃げ出す奈々生。奈々生は、現生で黄泉の国で巴衛が助けに来てくれたことを思い出す。煌かぶりの毒にやられて動けなくなったところへ、巴衛が現れ「それは俺の何だ」と煌かぶりを切る。俺は悪羅王の手下ではないと。奈々生を連れていった500年前の巴衛は、毒で動かない奈々生を見て「俺を見ろ、雪路」と。泣いている奈々生を見て、「お前に泣かれると調子が狂う」と。
(93話)留守中の山賊の隠れ家に奈々生を連れ込み「さらっては来たが所詮弱い生きもの、俺が手を下すまでもない。飢えや寒さで頬っておいても勝手に死ぬ。」といいながら自分の着物と体で奈々生を覆い、「もうしばらく生かしておいてやろう 悪羅王には渡さぬ 俺の手元に置いておく」とそのまま寝てしまう。目を覚ました奈々生に「お前は悪羅王にはやらん 俺が飼うことにした」と。「巴に会えて凄く嬉しかった でも私帰らなきゃ(五百年後のあなたにもう一度会うために 私を奈々生と呼んでくれる巴衛に会うために)」と思って「そんな巴衛(悪羅王と変わらない残酷で自分勝手な)は嫌」と言う奈々生を一晩ほおっておくことにした。
そこに山賊たちが帰ってくる。奈々生を救うために山賊を殺そうとする巴衛に、奈々生は「やめて 殺さないで」という。「巴衛は悪羅王とは違う 人の痛みのわかる狐でしょ」と。「では俺が嫌ではないと言え」といわれて「嫌じゃない」という奈々生に赤面する巴衛。
(94話)500年前の巴衛は、奈々生を「雪路」と呼ぶ。一緒には行かないという奈々生に、人間の男などに嫁ぐのかと巴衛。現代で巴衛にもらった簪を、その男にもらったのかという巴衛。現在の巴衛にもらったかんざしなんだから「返して」と。簪と同じ花咲く桜の木々の中に巴衛に連れて行かれた奈々生は、「やっと笑ったな ずっとそうしてろよ」「俺のものになれ」と。「覚えているか?」あの雨の日 初めてお前と出会った 妖怪に食われそうになっていたくせにお前は俺にまで歯を立てて あの日からずっと俺はお前に恋い焦がれていた 川原でお前に助けられたことも」と赤面しながら告白する。「毎夜お前が忍んできて俺の頭をなでてくれたことも知っていたよ」「お前がなにより愛しい そばにいてくれ」といわれて今だけ奈々生として応えたいと。「私はもうとっくに巴衛のものよ」「でも今は行かなくちゃいけないの 私にはやらなくちゃいけないことがあるから だけど約束する 私は未来であなたの妻になるわ」「巴衛も約束してね もう一度そのときが来たら はぐらかしたりしないでちゃんと今みたいに言ってね」時間切れが迫ってくる。
巴衛にやられて動けない煌かぶりを毛玉は食べてしまう。
(95話)風太は雪路に、奈々生が無事お屋敷に戻ったと伝える。雪路のいる大名屋敷に巴衛に送ってもらい、雪路とはち合わせするわけに行かないので、奈々生は屋敷内の人に見られない場所におろしてもらう。奈々生はこの時代の巴衛に会うのがこれで最後であるのを知っている。巴衛も「この手を放したらしばらく会えない気がする」という「もう一度誓え必ず俺の妻になると 約束の証にお前のかんざしを俺によこせ」と「お前のいう「その時」が来たら必ず迎えにくるからな雪路!」と去って行く巴衛を見てしまった雪路。
時間切れで奈々生は消える。奈々生は何者なのだと思いながら雪路は取り残される。ミカゲ社に帰ろうとしているのにどこかに呼び寄せられた奈々生は、風太が黒麿の住む怨嶽山を見つけたところを見る。必死の力を振り絞って黒麿を呼ぶと姿を現してくれた。「あなたは契約を結べば妖怪を人間にできると聞いた その契約を無効にするにはどうしたらいいか 教えて!あなたの呪紋で死にそうになってる男がいるの 彼を助けたいの!!」という奈々生に「契約を結ぶためには誓いをしるす品物を私に差し出さねばならない お前の男も何かを私に差し出したはずだ 男がその印を取り戻せば契約は無効になるだろう だが私はまだ男から印をもらってないからね 返すことはできないよ」と現世に黒麿に送られる。
ミカゲ様は鏡の中の巴衛に「あと少しの辛抱だよ」と語りかけていた。
(番外編)たこ焼き屋で皆の顔を思い浮かべて5人分買ってしまった奈々生。帰ってから巴衛と瑞希がケンカしながら食べる様を見て、一人ぼっちの部屋で誰かが「今だけだお前はその内嫌になるくらい賑やかな社の主になる」と言われたことを思い出す。かつて(62話)年神の社に入るときの十二鳥居で12年をふりかったときであることや、紛れ込んできた巴衛の言葉であることは思い出せないけれど。
(96話)ミカゲ様にもう一度時廻りに送り出された奈々生は再び怨嶽山へ。今度は雪が積もり黒麿は雪の中に倒れていた。狐の妖怪に会ったという。結局雪路と添いとげることはできなかったらしいという。雪路は死んだと。
黒麿に見せてもらったのは、雪路は嫁いで8年になる嫁ぎ先で大名には愛されているものの病弱でとても子など産めまいと言われている。大名に子を産める若い娘を娶るよう側室か正室に迎えるよう諭すが、大名は雪路を気に入っているし雪路も自分を気に入っているのだろうという。子供がいない以外は幸せな結婚生活をおくっていたところ、妊娠した。
巴衛が下界で塞ぎ込んでいると聞いた悪羅王は、巴衛が気にかけているという雪路の屋敷を襲撃し、雪路の前に夫の首を見せびらかす。召使いが雪路だと身代わりで名乗り、雪路はお腹にいる愛する人の子を守らねばと、かけつけた巴衛に助けを求める。
(97話)巴衛は雪路を助けたものの妙に心にひっかかる。雪路は自分をこんな目に遭わせた妖怪が憎いので今はまだお前を受け入れられないという。所詮自分は人間の女のことはわからないのかと巴衛は思う。たった8年前なのに。雪路は死んだ夫がよく夢枕に立つという。人間は死んでも魂はそこにいるという。自分が死んだら巴衛のところに会いに行ってやると。体が弱いと子供を生むときに死んでしまうと村人に聞いて、かつては未来を約束したから身を引けたが今は二度と手放したくないと巴衛は思い、不老長寿の丹である龍王の右目を獲ってくる。そこに現世から戻ってきた奈々生が一瞬現れる。巴衛は戻って雪路に、ずっと俺と生きよう。人としてお前の側で生きようと決心する。
(98話)黒麿は雪路さんのことを最後に笑って死ねればそれは良い人生だと思うよと巴衛にいう。
悪羅王が巴衛のところに現れる。出雲に行って暴れようというが、巴衛は人間の女を好きになってその女と共に生きるために俺は人間になろうと思っていると。悪羅王は俺は弱い奴が嫌いだ。お前が最弱の人間に身を堕とすなら俺が速攻で殺してやるというのに、お前に殺されるなら仕方がないと巴衛。それでも悪羅王に俺はもう行ってやれないが出雲の連中には気をつけろ。一人では行くなという。悪羅王を倒しに現れた出雲の神の討伐隊を毛玉が食べるが、悪羅王は毛玉に消えろという。龍王の目を呑んで回復した雪路を巴衛は人間に預ける。雪路は女の子を出産する。
(99話)出産するときに雪路の中の龍王の目は娘の柊の体に移った。雪路の血は短命で本来なら自然界で淘汰された血族だが、子供を産む度に子供に龍王の目が受け継がれ代々補ってきて、今のお前に伝わったのだと黒麿はいう。
雪路の出産を見届けた巴衛は黒麿のところへ来て「人になって添い遂げたい女がいる」という。その条件としてあんたはその女と一生を添い遂げないといけないと黒麿はいう。もし守れなかったらその呪文があんたを食い殺すと。この契約の印として巴衛が差し出した誓いを立てる品物は・・・奈々生が渡した簪だった。巴衛は500年先の奈々生と結婚をしたかったのだ。
滅多に読まないけど、SFの世界
簪を私に渡してと言う黒麿に、この簪はこの時代のものだからこれを持って帰ってもその未来に巴衛はいないことになる。お前は自分の時代に戻ってそこで簪を見つける。私はここで死ぬからが眠るこの場所をよく覚えておいでと。巴衛が雪路に先立たれて条件を満たせなかったように 私も巴衛を人に出来なかったのだから私はここで死ぬ。約束を守れなかった私達はお互いツケを払わなければならないと。
一方毛玉は人間に食べられ人間の体を乗っ取っていた。
(100話)巴衛は500年も自分のことを待ってくれたと知った奈々生は現代に戻る。
鏡の中の巴衛にミカゲ様は奈々生が契約の印を夜霧車で取りにいってくれるからもう大丈夫という。「俺は雪路を一人で逝かせた 人間は弱い 奈々生も同じだ 俺はもう求めたくない」という巴衛に「彼らはお前達と生き方が違うだけだ 雪路は子供を残して逝ったろう その子は無事大人になって子供を産んだんだ その子供もまた大人になってまた・・・奈々美さんは雪路の遠い子孫なんだよ」とそこに簪を持って現れた奈々生。500年経って記憶もない状態で全く違う出会い方だった それでもあなたはちゃんと私を見つけてくれてたんだ」巴衛の痣は消えた。
(101話)奈々生の緊張の糸が切れ倒れている間に、ミカゲ様は500年前巴衛が好きになった女性は時廻りで過去に飛んだ奈々美さんであることを話す。
目が覚めたら元気になった奈々生、「雪路は俺に・・・」とつぶやいていた巴衛は姿を消していた。ミカゲ様は「巴衛にとって奈々生さんが愛した女性なら 雪路は情をかけたひとなのでしょう 大丈夫ここに君がいる限り巴衛は帰ってきますから」と。沼の皇女の宴にいこうとした奈々生にかんざしを作り直しにいったと現れた巴衛。「私達って両想いなの?結婚の約束も有効?」「「当然だ これからはこの俺とその他大勢を一緒に扱ってもらっては困る」と。雪路は血まみれで絶命したが、笑っていたと。愛する夫の元に旅立てて幸せだったと奈々生は察する。