2021年11月30日火曜日

神様はじめました14-19

(79話)巴衛の容態のは急変して社を保っていた妖力が消えていく。桃丹を飲ませようとしてもそんなもの効かぬという。そこへ現れたミカゲ様は巴衛の心の臓を凍らせてを鏡に閉じ込める。20年ぶりにミカゲ様が帰って荒れていた社は静けさを取り戻す。しかしあの痣は死に至る呪いで古い約束の代償として刻まれたもので、巴衛はもってあと7日だという。

500年以上前ミカゲ様と巴衛が初めて出会ったときに、もう巴衛の顔には死相がでていて死に場所を探していた。全身に回った死の痣は、神堕ちした邪神と契約した呪文だという。愛しい人間の女と一生を共にすると誓ったけど、その女が死んだから自分も逝かねばならないと。だが自分は人になり損ねたから死んでも雪路のいる所へは行けないと。ミカゲ様は呪紋を無効にすることは出来ないが忘れさせてくれた。ただし暗示が解けて巴衛が雪路を思い出すと発動すると。そして巴衛は彼女を思い出してしまった。ミカゲ様は巴衛の最期を見届けるために来たという。巴衛は君を忘れたくないように雪路のことを忘れたくないと。ミカゲ様の暗示は人を好きになることで解けた、すなわち巴衛は君が好きなんだと。

(80話)巴衛はもう助からないし苦しむ姿を見せたくないので、このまま鏡の中で静かに逝かせて欲しいというミカゲ様に、社にいたくなくて逃げ出す奈々生、そこに夜鳥があらわれて霧仁のところへつれていかれる。霧仁は妖怪で、死体に宿っているが、黄泉の国にあるその本体を取りに行くために奈々生に生き埋めになって神柱になれという。

霧仁は誰もが恐れ慄く大妖怪だったがどうしよもなく阿呆だったという。昔の俺に会えるなら殴りとばしてやりてえという言葉に、奈々生は昔の巴衛に会いに行くことを思いつき夜鳥の縛めを解いて去る。

(81話)瑞希の時廻りの香炉で過去にいって巴衛の契約を止めるという奈々生に、ミカゲ様は、もし契約がなかったとしたら巴衛はこの社に来ることもなかった。つまり君は巴衛と出会う未来を捨てることになると。それでもこのまま死に別れるよりずっといい!と。そんな奈々生を頭が冷えるまで大人しくしているようにとシャボン状の縛めに閉じ込めるミカゲ様。ミカゲ社に500年いた巴衛のお別れに来た妖したちや鬼火君や瑞希を思ったところでシャボンが割れる。ところが瑞希は時廻りの香炉を持ってどこかへ消えてしまったという。自分が過去を変えてしまうと巴衛は助かっても瑞希は一人に戻ってしまうことに気がつく。それでも奈々生の机に梅の枝を残して、ミカゲ様の目の届かないヨノモリ社で待っていると居場所を教えてくれた。

訪れた奈々生は過去は変えずに巴衛と契約した神堕ちに会って巴衛の呪いを解く鍵を持って帰って現在を変えるという。過去を変えて瑞希を一人にはしないという。瑞希はミカゲ様の邪魔が入らないように自分は残るので、少しでも危ないと思ったらすぐ戻ってきてと。

自力で思い至ることが大事なんだとつぶやくミカゲ様。        
う~ん・・・そうかなあここはミカゲ様答えを教えてあげてもいいのに。巴衛には時間がもうあまり残されていたいのだもの。巴衛と奈々生の気持ちが育つのを待っていたのとはちょっと事情が違うよ。

(82話)500年前の山の中に一人で到着した奈々生、たくさんの人が死んだ廃村に迷い込む。ミツハという駆け出しの女神に会う。出雲からの回覧を見せてもらうと不死身の鬼悪羅王と妖狐の巴衛の指名手配が載っていて、戦神が出雲の大国主の勅令で討伐に進軍していることを知る。ミツハの社でミツハの育てている神使の卵を見せてもらっていると、そこにこの川を牛耳る妖怪の長、絞龍が現れる。絞龍は社には入れないが、周囲の村をつぶしてミツハを脅かす。ミツハは既に絞龍に腕を食われている。それでもミツハは今はまだ弱いけれどいつの日か妖怪など人々に手出しさせない神になるという。ミツハにつくってもらった笹舟で悪羅王達がいるかもしれない西に一人で向かう奈々生。ミツハは夜ノ森(ヨノモリ)水波姫(ミツハノヒメ)と名乗った。瑞希の主だった。

(83話)悪羅王と巴衛は戦に干渉して村を焼いたり地つきの妖怪を滅ぼしたりしている。近くの集落にたどり着いた奈々生は巴衛の気配を感じる。妖怪に襲われた村の生き残りで問屋の養子になった雪路の噂を耳にし、雪路の打ち掛けを雪路の家の奉公人に取り戻してあげる。

川からでてきたところを見られていた奈々生は妖怪だと思われて縛られる。そのときに村の男達に「妖怪の首領の一匹妖狐の巴衛を退治するよう」神のお告げがあったことを聞かされる。そこに打ち掛けを拾ってくれたお礼に助けに来た雪路が現れる。

(84話)巴衛が郭で暇を持て余しているところに、戦神建速が退治に乗り込んでくる。大国主の神剣で斬られた巴衛は遊女ツクネの術で下界に逃れたものの、退治にきた人々に追われる。

一方奈々生は雪路の家で世話になっていた。川辺で狐の妖怪がでたというが雪路は妖怪は嫌いだという。子供の姿に化けた巴衛は奈々生に助けられ、心を奪われる。

(85話)医者に診せようと子供の姿をした巴衛を連れて帰った奈々生だが、雪路はそのガキは今追われている狐の妖怪かもしれないと刃物を向ける。この子は私の生まれた村の姫太郎という子で私を追いかけてここに来たみたいだから助けてやって欲しいと雪路に頼む。奈々生は巴衛が元気になったら雪路との縁を邪魔しないよう出ていこうと思う。

一方雪路は奈々生が拾ってきたケガした子供が狐ではと責められる。雪路はあの子供が狐の爪にかかって川原で倒れていたのを自分が拾ったという。妖怪に滅ぼされた村の出身である雪路自身、妖怪を手引きしているのではと疑われているが、もしあのガキが本当に狐だったら俺がこの手で八つ裂きにしているという。聞いていた奈々生はこの屋敷に巴衛の見方は自分しかいないのを知る。川でなくした桃丹の入ったリュックを探しに行った奈々生は、奈々生を妖怪だと疑う村人達に捕まりそうになるが、そこに一瞬現れた巴衛の幻に助けられる。

(86話)リュックを見つけた奈々生は寝込んだままの姫太郎の姿の巴衛に桃丹を飲ませる。

結納金目当ての養父の意思に従い、縁談先に会いに行く雪路は、自分の故郷はある日妖怪に襲われて全部燃えて、この世に自分の親も兄弟もいないこと、でも奈々生は家族の懐かしい暖かさを愛しさを感じること、嫁ぐって言うことは血を分けた家族をつくることだという。

熱が下がり目を覚ました姫太郎に、世話をしている奉公人は奈々生に頼まれて、姫太郎を助けて連れてきたのは、このお屋敷のお嬢様雪路だという。奈々生や夜こっそりようすを見に来る。

嫁ぎ先に顔を出しに行く雪路は奈々生に「俺の不在中いなくなったりするなよ」と言い置いて。

一方奈々生に惚れた巴衛は体が回復したら奈々生をさらうつもりなのだが、どうして自分が寝ているときしか来ないのか疑問を思っていた。一方奈々生は巴衛が回復してきたので雪路が帰る前に、雪路と巴衛の恋路を邪魔しないようでていくことにした。奈々生は巴衛の前では自分は雪路と名乗っていた。

雪路は昔は妖怪のせいで村を焼き出されたり苦労したけれど、お金持ちの家に嫁ぐと奉公人に聞いた巴衛は、人は脆くてすぐに壊れて動かなくなる。他の男のもとにやるくらいなら自分が二度と動かなくしてやろうと思い、出て行こうとしている奈々生を襲うつもりが、助けてしまう。

(87話)奈々生は奉公人から邪神が住む池の話を聞いてでかけ、出会った妖怪から怨嶽山の黒麿殿の話をきく。怨嶽山まででかける体力がなくなった奈々生は、妖怪に桃丹と引き換えに黒麿を呼んでもらうが、時間切れでミカゲ様に現代に引き戻される。時廻りは体力を使うので体力を養うよういわれる。瑞希や鞍馬や姫御子や小太や龍王とその妻が駆けつけて用意してくれた食事でしばし休息。

(88話)悪羅王は塞ぎ込む巴衛にいらいらする。

雪路は都に行く途中山の中で馬がぬかるみに足を取られて巴衛に助けられる。姿を現さずに名前だけ聞いて雪路は妖狐がそのような名前であったことを思い出す。雪路がお礼に置いていった内掛けを前に物思いにふける巴衛は、悪羅王からの戦の加勢の要請を断る。

悪羅王の部下は巴衛から都の女の匂いがしたので、巴衛は人間の女に恋をしているのではないかと吹き込む。その部下「毛玉」に意中の女を見つけてこいと命令する。

奈々生は皆の応援の餞別を持って2回目の時廻り、荷物の重さに道ばたでバテた奈々生の前に悪羅王が「都はどこだ」と声をかける。

(89話)悪羅王と都の祭りを見物することになってしまった奈々生、櫓も人間も壊れたら戻らないと知って、「じゃあ壊さなければ良かったな つまらねえという。」のを聞いて、最初は怖かったけどこう見えて性根はいい奴なのかなと思う。奈々美を襲った暴漢を殺して、奈々生の荷物の桃缶を楽しむ悪羅王。暴漢を殺したことを責める奈々生に「すぐに死ぬ奴が悪い」といわれて、道理とか言葉とか根っこのところで通じないと気がつく。そこに毛玉が現れ巴衛が執心する雪路を見つけたという。

(番外1)巴衛とタヌ子の「これで奈々生も用無しか 仕方あるまいうるさいんだよあいつは」という会話を聞いてもやもやする奈々生。そっとタヌ子が持ってきた物を探すと、洋梨のタルトが食べたいという奈々生のために手にいれた洋梨だった。タヌ子は「巴衛様にわがままが言えるお方は土地神様だけですもの」という。

(番外2)「興味もたれないってのは女としての魅力がないってこと」とセクシー下着を友達に買わされた奈々生、巴衛に見られないように咄嗟に蒲団の間に隠したのに、その蒲団を巴衛は乾燥技にかける。何でもできる巴衛に見とれて「巴衛って 本当に競争率高そう こんなにきれいに家事こなせちゃう男子どこ探してもいないもんね」という奈々生に「別に俺がお前を選んだわけではない お前が俺を選んだのだ お前の神使が務まるのはこの世で俺くらいのものだからな」と、奈々生の奇妙な下着を畳む巴衛に神妙になりかけた奈々生が爆発

(90話)突然雪路が目の前に現れて、奈々生にこんなところで何をしてるんだと聞く。雪路は自分が留守の間に奈々生が姿を消したことを知っていた。同じ日に雪路宅で療養中の姫太郎こと巴衛も出て行ったらしい。奈々生が家をでてこちらの世界では3ヶ月がたったようだ。巴衛の過去の呪いをかけた黒麿に早く会わねばと焦る奈々生を雪路は抱きしめ「縁があれば星は巡ってくるよ だから今夜はこの宿でゆっくり休みな」という。雪路はお嫁に行くはずの都の長者と会ったらいきなり押し倒してきたので思い切り顔をけりとばしてやったという。そのお陰で大名家に嫁ぐという別のよい縁談をもらったのでもうすぐ祝言を挙げる予定だという。

退屈していた巴衛は悪羅王を呼び出す。悪羅王は雪路という美人が輿入れするときいて、その行列から花嫁を引きずり出して俺の前につれてくるよう手下に命令したという。巴衛は見たくないし、悪羅王がどうしようと構わないという。

一方奈々生は雪路を連れに来た悪羅王の手下に襲われそうになったところを、後ろから雪路が妖怪を切って助ける。妖怪は「無事に輿入れなどできると思うな」との言葉を残す。雪路の幸せのため奈々生は身代わりになる決心をする。

(91話)自分が身代わりになる代わりに怨嶽山に住む神堕ち黒麿を探し出して欲しいと、雪路の養父に交換条件を出す。悪羅王は煌かぶりに、花嫁行列から雪路の顔をとってこいと命令する。その情報は毛玉からだという。巴衛は自分が摘み損なった花をこんな連中に踏み荒らされるのが面白くない。

化粧をして髪を整えた奈々生は雪路にそっくり。雪路が無事大名屋敷にたどり着くまで、派手な花嫁行列で囮となることにした。一方巴衛はあんな輩に片付けられるくらいならもう一度次は確実に俺の手で殺してやると決心する。

(92話)花嫁行列の道中、毒の霧に包まれ、煌かぶりが現れる。お供の物を殺す煌かぶりに、抵抗しない、悪羅王のところにいくから(お供の物)を殺さないでという奈々生。次はあなただと煌かぶり。死者こそ美の体現者、あなたを最高に装って悪羅王に献上するという。お供の助君が、人違いでその人は雪路様じゃないと言ってしまうのをきいて、煌かぶりを惹きつけるために逃げ出す奈々生。奈々生は、現生で黄泉の国で巴衛が助けに来てくれたことを思い出す。煌かぶりの毒にやられて動けなくなったところへ、巴衛が現れ「それは俺の何だ」と煌かぶりを切る。俺は悪羅王の手下ではないと。奈々生を連れていった500年前の巴衛は、毒で動かない奈々生を見て「俺を見ろ、雪路」と。泣いている奈々生を見て、「お前に泣かれると調子が狂う」と。

(93話)留守中の山賊の隠れ家に奈々生を連れ込み「さらっては来たが所詮弱い生きもの、俺が手を下すまでもない。飢えや寒さで頬っておいても勝手に死ぬ。」といいながら自分の着物と体で奈々生を覆い、「もうしばらく生かしておいてやろう 悪羅王には渡さぬ 俺の手元に置いておく」とそのまま寝てしまう。目を覚ました奈々生に「お前は悪羅王にはやらん 俺が飼うことにした」と。「巴に会えて凄く嬉しかった でも私帰らなきゃ(五百年後のあなたにもう一度会うために 私を奈々生と呼んでくれる巴衛に会うために)」と思って「そんな巴衛(悪羅王と変わらない残酷で自分勝手な)は嫌」と言う奈々生を一晩ほおっておくことにした。

そこに山賊たちが帰ってくる。奈々生を救うために山賊を殺そうとする巴衛に、奈々生は「やめて 殺さないで」という。「巴衛は悪羅王とは違う 人の痛みのわかる狐でしょ」と。「では俺が嫌ではないと言え」といわれて「嫌じゃない」という奈々生に赤面する巴衛。

(94話)500年前の巴衛は、奈々生を「雪路」と呼ぶ。一緒には行かないという奈々生に、人間の男などに嫁ぐのかと巴衛。現代で巴衛にもらった簪を、その男にもらったのかという巴衛。現在の巴衛にもらったかんざしなんだから「返して」と。簪と同じ花咲く桜の木々の中に巴衛に連れて行かれた奈々生は、「やっと笑ったな ずっとそうしてろよ」「俺のものになれ」と。「覚えているか?」あの雨の日 初めてお前と出会った 妖怪に食われそうになっていたくせにお前は俺にまで歯を立てて あの日からずっと俺はお前に恋い焦がれていた 川原でお前に助けられたことも」と赤面しながら告白する。「毎夜お前が忍んできて俺の頭をなでてくれたことも知っていたよ」「お前がなにより愛しい そばにいてくれ」といわれて今だけ奈々生として応えたいと。「私はもうとっくに巴衛のものよ」「でも今は行かなくちゃいけないの 私にはやらなくちゃいけないことがあるから だけど約束する 私は未来であなたの妻になるわ」「巴衛も約束してね もう一度そのときが来たら はぐらかしたりしないでちゃんと今みたいに言ってね」時間切れが迫ってくる。

巴衛にやられて動けない煌かぶりを毛玉は食べてしまう。

(95話)風太は雪路に、奈々生が無事お屋敷に戻ったと伝える。雪路のいる大名屋敷に巴衛に送ってもらい、雪路とはち合わせするわけに行かないので、奈々生は屋敷内の人に見られない場所におろしてもらう。奈々生はこの時代の巴衛に会うのがこれで最後であるのを知っている。巴衛も「この手を放したらしばらく会えない気がする」という「もう一度誓え必ず俺の妻になると 約束の証にお前のかんざしを俺によこせ」と「お前のいう「その時」が来たら必ず迎えにくるからな雪路!」と去って行く巴衛を見てしまった雪路。

時間切れで奈々生は消える。奈々生は何者なのだと思いながら雪路は取り残される。ミカゲ社に帰ろうとしているのにどこかに呼び寄せられた奈々生は、風太が黒麿の住む怨嶽山を見つけたところを見る。必死の力を振り絞って黒麿を呼ぶと姿を現してくれた。「あなたは契約を結べば妖怪を人間にできると聞いた その契約を無効にするにはどうしたらいいか 教えて!あなたの呪紋で死にそうになってる男がいるの 彼を助けたいの!!」という奈々生に「契約を結ぶためには誓いをしるす品物を私に差し出さねばならない お前の男も何かを私に差し出したはずだ 男がその印を取り戻せば契約は無効になるだろう だが私はまだ男から印をもらってないからね 返すことはできないよ」と現世に黒麿に送られる。

ミカゲ様は鏡の中の巴衛に「あと少しの辛抱だよ」と語りかけていた。

(番外編)たこ焼き屋で皆の顔を思い浮かべて5人分買ってしまった奈々生。帰ってから巴衛と瑞希がケンカしながら食べる様を見て、一人ぼっちの部屋で誰かが「今だけだお前はその内嫌になるくらい賑やかな社の主になる」と言われたことを思い出す。かつて(62話)年神の社に入るときの十二鳥居で12年をふりかったときであることや、紛れ込んできた巴衛の言葉であることは思い出せないけれど。

(96話)ミカゲ様にもう一度時廻りに送り出された奈々生は再び怨嶽山へ。今度は雪が積もり黒麿は雪の中に倒れていた。狐の妖怪に会ったという。結局雪路と添いとげることはできなかったらしいという。雪路は死んだと。

黒麿に見せてもらったのは、雪路は嫁いで8年になる嫁ぎ先で大名には愛されているものの病弱でとても子など産めまいと言われている。大名に子を産める若い娘を娶るよう側室か正室に迎えるよう諭すが、大名は雪路を気に入っているし雪路も自分を気に入っているのだろうという。子供がいない以外は幸せな結婚生活をおくっていたところ、妊娠した。

巴衛が下界で塞ぎ込んでいると聞いた悪羅王は、巴衛が気にかけているという雪路の屋敷を襲撃し、雪路の前に夫の首を見せびらかす。召使いが雪路だと身代わりで名乗り、雪路はお腹にいる愛する人の子を守らねばと、かけつけた巴衛に助けを求める。

(97話)巴衛は雪路を助けたものの妙に心にひっかかる。雪路は自分をこんな目に遭わせた妖怪が憎いので今はまだお前を受け入れられないという。所詮自分は人間の女のことはわからないのかと巴衛は思う。たった8年前なのに。雪路は死んだ夫がよく夢枕に立つという。人間は死んでも魂はそこにいるという。自分が死んだら巴衛のところに会いに行ってやると。体が弱いと子供を生むときに死んでしまうと村人に聞いて、かつては未来を約束したから身を引けたが今は二度と手放したくないと巴衛は思い、不老長寿の丹である龍王の右目を獲ってくる。そこに現世から戻ってきた奈々生が一瞬現れる。巴衛は戻って雪路に、ずっと俺と生きよう。人としてお前の側で生きようと決心する。

(98話)黒麿は雪路さんのことを最後に笑って死ねればそれは良い人生だと思うよと巴衛にいう。
悪羅王が巴衛のところに現れる。出雲に行って暴れようというが、巴衛は人間の女を好きになってその女と共に生きるために俺は人間になろうと思っていると。悪羅王は俺は弱い奴が嫌いだ。お前が最弱の人間に身を堕とすなら俺が速攻で殺してやるというのに、お前に殺されるなら仕方がないと巴衛。それでも悪羅王に俺はもう行ってやれないが出雲の連中には気をつけろ。一人では行くなという。悪羅王を倒しに現れた出雲の神の討伐隊を毛玉が食べるが、悪羅王は毛玉に消えろという。龍王の目を呑んで回復した雪路を巴衛は人間に預ける。雪路は女の子を出産する。

(99話)出産するときに雪路の中の龍王の目は娘の柊の体に移った。雪路の血は短命で本来なら自然界で淘汰された血族だが、子供を産む度に子供に龍王の目が受け継がれ代々補ってきて、今のお前に伝わったのだと黒麿はいう。

雪路の出産を見届けた巴衛は黒麿のところへ来て「人になって添い遂げたい女がいる」という。その条件としてあんたはその女と一生を添い遂げないといけないと黒麿はいう。もし守れなかったらその呪文があんたを食い殺すと。この契約の印として巴衛が差し出した誓いを立てる品物は・・・奈々生が渡した簪だった。巴衛は500年先の奈々生と結婚をしたかったのだ。

滅多に読まないけど、SFの世界

簪を私に渡してと言う黒麿に、この簪はこの時代のものだからこれを持って帰ってもその未来に巴衛はいないことになる。お前は自分の時代に戻ってそこで簪を見つける。私はここで死ぬからが眠るこの場所をよく覚えておいでと。巴衛が雪路に先立たれて条件を満たせなかったように 私も巴衛を人に出来なかったのだから私はここで死ぬ。約束を守れなかった私達はお互いツケを払わなければならないと。

一方毛玉は人間に食べられ人間の体を乗っ取っていた。

(100話)巴衛は500年も自分のことを待ってくれたと知った奈々生は現代に戻る。

鏡の中の巴衛にミカゲ様は奈々生が契約の印を夜霧車で取りにいってくれるからもう大丈夫という。「俺は雪路を一人で逝かせた 人間は弱い 奈々生も同じだ 俺はもう求めたくない」という巴衛に「彼らはお前達と生き方が違うだけだ 雪路は子供を残して逝ったろう その子は無事大人になって子供を産んだんだ その子供もまた大人になってまた・・・奈々美さんは雪路の遠い子孫なんだよ」とそこに簪を持って現れた奈々生。500年経って記憶もない状態で全く違う出会い方だった それでもあなたはちゃんと私を見つけてくれてたんだ」巴衛の痣は消えた。

(101話)奈々生の緊張の糸が切れ倒れている間に、ミカゲ様は500年前巴衛が好きになった女性は時廻りで過去に飛んだ奈々美さんであることを話す。

目が覚めたら元気になった奈々生、「雪路は俺に・・・」とつぶやいていた巴衛は姿を消していた。ミカゲ様は「巴衛にとって奈々生さんが愛した女性なら 雪路は情をかけたひとなのでしょう 大丈夫ここに君がいる限り巴衛は帰ってきますから」と。沼の皇女の宴にいこうとした奈々生にかんざしを作り直しにいったと現れた巴衛。「私達って両想いなの?結婚の約束も有効?」「「当然だ これからはこの俺とその他大勢を一緒に扱ってもらっては困る」と。雪路は血まみれで絶命したが、笑っていたと。愛する夫の元に旅立てて幸せだったと奈々生は察する。



(102話)日常が戻ってきた奈々生は平和ボケして脳天気。そんな巴衛は突如勉強に精を出す。鞍馬は、お前と同じ目線で人間界に居るつもりなんだろう だからあいつはただ遅れてる分を巻き返してるんだよと言われて目が覚めた奈々生は、一緒に勉強することにした。

(103話)
ミカゲ様から「この前のテストの結果を見る限り奈々美さんは少々勉強が遅れているようです これでは修学旅行にはとても行かせられません どうしても行きたいと言うのなら二週間後の期末試験で全科目80点以上取ってみせてください」と。貧乏だったから修学旅行って一度も行った事ないし、学校の皆と行ける最初で最後の旅行だから行きたいと突如ガリ勉を始める奈々生。瑞希が引き出したミカゲ様の本音は「本当はテストの点など何点でもよろしい 私はただ机に向かって欲しかっただけです 80点取るまでもない 今の彼女ならすでに合格していますよ」と、結局80点に届かなかったけど無事沖縄行きは決まる。

まあ今まで勉強してなかったツケはあると思うけど、100点じゃないんだから80点くらい取れよという気はするけど、そのための努力がメインテーマではないから、そういう設定にしなかった作者のセンスもいいかも。

(104話)瑞希も転校生として沖縄修学旅行に参加する。突発的台風で気流が乱れて飛行機は途中で尋常でない揺れ方をし、なんとか着陸した那覇も悪天候。鞍馬と巴衛は上空にいた時から嫌な障気が覆っていて、着陸しても海から風に乗って恨みがましいうめき声が聞こえるのに気がついていた。那覇の空港では奈々生は憔悴して出血している霧仁と出会い、いきなり口づけをされる(実は精気を吸い取られている)。霧仁は巴衛が元気になったのを知っていた。

鞍馬を慕うあみちゃんに「あいつは所詮お前とは違う世界の住人だ やめておけ」という巴衛を奈々生はたしなめるが、あみは「ちゃんとわかってるから大丈夫だよ」という。

デリカシーがないとあとで巴衛を責める奈々生に「正体を偽っている男に恋をしても仕方なかろう」と。

お風呂に入ったあみちゃんは、何者かにさらわれて消える。

(105話)あみが行方不明になったと巴衛や鞍馬や瑞希が呼ばれる。と、お湯の中にザン(人魚)の使いだという妖怪が。ザン(人魚)の長ウナリからの伝言で「人間の娘を盗人幇助の咎で捕らえた 返して欲しくば盗んだ羽衣を返せ」と。ウナリの洞穴に入れるのは女だけなので巴衛の反対を押し切って奈々生は一人で行く。あみちゃんはジュゴンになっていた。

うなりの寝所に忍んできたのはウナリの説明から霧仁であって、霧仁の血がついた奈々生のハンカチからその男の行方を知っているはずと思い込んでいる。ウナリは奈々生に羽衣を持ってくればあみちゃんを解放してくれるという。ジュゴンの姿でも人の会話はわかるのであみちゃんは、奈々生の自己紹介を聞いて、奈々生はあんな怖いひと目の前にしても平気でいる しトチガミって何 あみの知っている奈々生ちゃんとは違う と想う。

(106話)霧仁は、悪羅王の体を取り戻すために黄泉比良坂の火の山を登るために人魚の羽衣を盗んだのだが、霧仁の耳にはウナリの歌が聞こえ、具合はますます悪くなる。夜鳥は歌は霧仁を逃がさないという人魚の呪いだという。

巴衛は狐火で、奈々生とあみがいるはずのウナリの寝床を探す。鞍馬は人間界の居場所を失いたくないのだと、あみの友達に言い聞かせる。

霧仁から羽衣をとりかえすためにウナリの洞窟をでた奈々生は嵐の海に放り出される。引き上げてくれたのは霧仁の式神、菊一。羽衣を返して欲しいと奈々生は頼む。そこへ巴衛の狐火がやってくるが、羽衣で消される。羽衣は炎を退ける神具だという。ただでやれないという。霧仁は今弱っていて死にそうなのでお前の精気をくれるのならこの羽衣を渡そうと取引した。菊一はウナリを殺してこいと命じられたのだが、霧仁の命を助けたくて裏切ったのだ。

(107話)一方、夜鳥は、龍神の羽衣を自分に預けてくれれば、自分が黄泉までいって悪羅王の体を取り戻すという。霧仁の隠れ家にたどり着いた奈々生だが、霧仁の式神菊一につけられていた。その頼みで奈々生は霧仁に精気を吸われる。そこへ巴衛が現れる。

(108話)霧仁は巴衛に、あの女には俺の糧になってもらったという。菊一が巴衛のじゃまをしているあいだに霧仁は夜鳥に連れ去られる。巴衛が見つけたときは弱りきっていた奈々生だが、105話でザンの伝言を伝えに来たバスタブの小鬼の薬で元気を取り戻した。霧仁とキスをしたことを奈々生は巴衛に告白する。

(109話)瑞希がウナリのすみかの海底洞窟が見つかったと鞍馬の部屋へ来る。自分は人間だと無視しようとする鞍馬を「飛ばないと落ちちゃうよ」と瑞希はベランダから放り出して無理矢理天狗の翼を使わせる。鞍馬も妖怪だと知ったあみの友達上原ケイちゃんは「あみを連れて帰ってこなかったらあんたの正体マスコミに言いふらしてやる」と脅かされてしぶしぶ出発する。

ジュゴンになったあみはだんだん脳が働かなくなってきた。(あみちゃん、おさかなになっちゃうんだといってるけど、ジュゴンはおさかなじゃないよ・・・)

ぶつぶつ文句をいう鞍馬に瑞希は、「人間界で自分の正体ひた隠しにして生きてくのってきつくない?これから先人間界でやってく気ならせめて君の本当の姿を知ってる人間を少し身近に置いてみるのもいいんじゃないか」というが「天狗も御山も俺にとって本質の部分だからそーゆーのは無闇に人間には知られたくない」と。

瑞希と二手に分かれて一人になった鞍馬はジュゴンになったあみと出会う。奈々生を見なかったかと語りかける鞍馬を、ジュゴンはウナリの住処に連れて行く。あみはもうあみの記憶をなくしつつあるがなぜか胸がくるしい。

(110話)一人でウナリの海底洞窟にたどりついた鞍馬は、寝所で寝ているウナリを見つける。目を覚ましたウナリは、あみなら今頃ジュゴンになって人間だった頃のことを忘れて洞内を泳いでいるだろうという。あのジュゴンはあみだったのかと知ったが、姿を元に戻してくれと頼むと、自分を女として見た男はお前で二人目だ。一人目は私を謀り私の羽衣を盗んで逃げたと、君のように美しい人にそんなことをいう鞍馬に、私は夫になる男にだけこの素顔を見せると決めていたのと。それに対して君の夫になるなら俺も人魚にならないと。という鞍馬。この進化の水を飲めば進化の源に立ち返って思うままの姿に変化することが出来ると。ならばジュゴンを人間に戻すことも出来るはずだと進化の水を持って飛び去る鞍馬。怒ったウナリは鞍馬を殺そうとする。そこに瑞希が現れて合流する。

(111話)ウナリは人魚と龍族の子供で頭には醜い角がある。羽衣をかぶっていればどこにいってもお前が傷つくことはない。いつか醜いお前を可愛いと言ってくれる男性があらわれると母に言われてきた。

瑞希は大事な羽衣を盗まれたウナリをやさしく慰め、手助けしたいから嵐を止めてくれというが、近づいてくるのは腹に一物ある者のみだと怒り狂うウナリ。それを「ひとりぼっちでさみしいんだね 天狗くんはだめだ かわりに僕が君の旦那さんになるのはどう?」慌てて止めようとする天狗に「耐えがたい孤独にどうすることもできない焦燥感 そんな感情僕にも覚えがある 僕には奈々美ちゃんがいたから救われたけどね」と。「僕の一番は奈々美ちゃん それだけはくつがえることはない そんな僕でもいいなら君の夫に立候補する」とウナリを抱きしめる。解放された天狗にあみちゃんのことを頼んだよと瑞希。

瑞希はウナリの目は沖縄の海みたいに澄んだ青で僕はきれいだと思うと。ウナリの喜びの歌に巴衛は何が起こったか悟る。天狗は「古巣を離れたあの日から もう誰とも関わらないと決めたのに本当は待っていたのかもしれない」と猫田あみを思う。ウナリの歌に導かれてあみと天狗も出会い、無事進化の水を飲ませる。あみは「空を飛んでいるくらまくんのことが好き」と。

(112話)瑞希がウナリと結婚してミカゲ社からじゃまものがいなくなると喜ぶ巴衛だが奈々生が気がついて、巴衛とウナリのところへ羽衣を返しにいくという。

瑞希に海の妖怪がちょっかいを出すが、瑞希の本体の蛇が反撃「神使の僕に妖怪風情が好き勝手言ってくれる」と彼方に飛ばす。今更ながらウナリは瑞希のことを何も知らないことに気がつく。

鞍馬にホテルに連れて帰られたあみ。飛んで立ち去る鞍馬の姿を杵島ルリコに盗撮される。

水中で溺れそうな奈々生の前に縞々の海蛇?が現れて案内してくれる。ウナリに奈々生への思いを話す瑞希。「そんな誰かが心の中に一人でも住んでいれば君だって救われるのにって思ったんだ」と。そこに羽衣を持ってきた奈々生がたどり着く。空気袋を忘れて目の前で溺れそうになった奈々生に口づけで空気を送る巴衛「お前の一番はお前が一番ではないらしい 私達本当に似ているのね 瑞希」とウナリ。

(113話)約束の羽衣だから瑞希は返してもらうわと奈々生。「羽衣はもう必要なくなった。瑞希が私を受け入れてくれたから。」といって瑞希に餞別に羽衣を渡し、「もう行って あなたの一番大事な娘のところへ」と「この世界のどこかに居てくれたらそれでいい 私は私を受け入れてくれる伴侶が欲しかった だがそばにいなければ成り立たない伴侶ならそれは独りと変わりない 愛しい人がそばにいなくても想っている限り私は独りじゃない 瑞希もそうなのよね」と、水流で皆を押し出す。瑞希は一年に一度君に会いに来ると。

そして無事晴れて来て修学旅行が続く。

神様はじめました9-13/神様はじめました20-25

2021年11月25日木曜日

暁のヨナ37

 (211話 2021年7月20日発売 花とゆめ16号8/5)

なんと勝手なと怒るキジャに「ありがとう」といいながら承知するヨナ。逆にヨナは戦には加担しないというかと思っていたので驚くケイシュク。いくけれど、いつぞやのお披露目会(ってのはスウォンの隣に王妃のごとくヨナを座らせた四龍お披露目の武術大会31巻180、181話32巻182,183話)みたいに王とヨナちゃんの結婚式を始める演出なら参列しないと釘をさすジェハ。「兵の大半はあの大会でお二人は婚約されたと思っているでしょうからもう十分です だからこそ陛下の代理となっても皆納得するのですから」とケイシュク(なかなか策略家だけど、ハクの気持ちを知っている風の部族は納得するかな まあどっちみち今のケイシュクの雰囲気からはヨナの気持ちを無視して無理強いすることはないと思うし、スウォンはヨナと結婚する気などないと思うけど)絶対に嫌だというシンア「この戦が乗り切れるなら誤解されるのは嫌だけど戦略として堪えるわ 嘘を言った覚えはないし みんなと・・・ハクが信じてくれるなら平気」というヨナ。陛下にも相談すると帰っていくケイシュク。210話の四龍が死に緋龍城が燃える不吉な夢、ゼノに相談しようとして邪魔されたけど、まだ気にしているヨナ、ゼノに話してみたら。地の部族領にいるハクとユンも案ずる。

一方金州ではグンテはまだ意識不明なままだが、翌日地心城から医務官が来るというので、阿波に出発しようとするハクとユン。ところがグンテ将軍負傷を知っている南戒は倍以上の兵力で再び攻撃してくる。ハクはユンを一人で行かせて金州に残ることにする。「独りで阿波いける?」といわれてハクの決意を察したユンは、「馬鹿にしないでよね 俺は天才美少年なんだから」と久々に台詞を決める。
「空の部族軍の新米でございます 緋龍城では雑用係の三十五番隊 皿洗いが得意です そんな下っ端に手古摺ってるようじゃ 当分高華国どころかこの大刀の先よりこっちにも入れないでよろしく」とハク 

久々に戦闘力全快、超格好いいけど、当分ヨナとは再会できそうにない。
ハクほんとうに阿波に行く途中だっただけ?(途中のコースじゃないんだけど)多分ユンは千樹草を持ってもう一度阿波に戻ってくる予感。

 (212話 2021年8月19日発売 花とゆめ18号9/5)
金州から阿波まで荷馬車に乗せてもらいながらなんとか一人でたどりついたユン。ハクがいなくて夜は怖かったというけどどんな旅行の仕方をしてきたのだろう。今回は王の許可を得た旅だからなんらかの手形とか持っているはずだけど。

港から大砲の音。沖に現れて怪しげな動きをする南戒の船を脅かしてきたという。船は出したけど追い返したのは役人だという。悪徳役人のクムジがいなくなって今では役人や兵士とも協力関係にあり、いざとなったらグンテ将軍もきてくれるという。阿波は大丈夫なようだ。ってグンテ将軍は今闘えないけど。

色男ジェハを慕う街の女たちは、ギガン船長に「ジェハはいつ帰ってくるの」というけど、ジェハは他の女(ヨナ)を追っていってしまったからもう帰ってこないという。と、ユンに気がついたギガン船長は、船に上げ、あっさり千樹草を分けてあげる。季節柄もうこれしかないといいながら。ひと株しか入ってないようにみえるけど、これで何人分なんだろう。とりあえずスウォンとメイニャンに持って帰るのが使命だけど、その前にグンテ将軍もハクも必要そうだけど。

ハクからの伝言を伝えるつもりでジェハからの「愛」と書いた紙を間違って渡すとギガン船長はくしゃくしゃポイ!相変わらずのジェハとギガン船長のやりとり。ジェハもたまには里帰りできるといいのだけど、先は長そう。

ハクの伝言をみたギガン船長は手下に力自慢を集めるようにと指示する。金州を助けにいくのだろうか。

お題はさっきの女たちの家に来てお金を落とすようにと言うギガン船長に、今ではハクはヨナと両思いで、無理であることを告げる。ということはジェハはフラれたのかい?と聞かれて「そこは干渉しないことにしている」と。まあ少しずつ異なるけど、四龍はみなヨナLoveではある。ゼノはヨナを見守る保護者的な愛、シンアは姉のように慕っていて、キジャは恋心は抱いているけど一番一途にヨナを守りヨナの幸せを見守る決意で、ジェハが一番恋人的な気持ちを隠さないかな。

「ヨナは今もよく泣いているのかい」とギガン船長。そういえばヨナはギガン船長を母親のように慕っていた。「俺の知らないところできっと泣いていると思う」緋龍城に帰ってからは確かにヨナは、常に辛い思いをしていたけど、今では四龍とは常に一緒だし、ユンも会えたし、ハクも牢から解放されたし、ハクを目の敵にしていたケイシュク参謀もジュドも今ではハクにもヨナにも一目置いているし、スウォンの病気のせいとはいえやっとここまで協力関係を築いてきたから、戦は心配だけど、一人で泣いている状態ではなくなったと思う。

南戒の鳳凰宮では、暗殺者を連れて緋龍城を襲いメイニャンを連れ戻すという気の重い命を受けて憂鬱なヴァル将軍。メイニャンがらみと察したビッタン将軍は「お前ほどメイニャン様を大事に出来る奴はいねえだろ」と。でも、意図的に緋龍城にいったメイニャンを南戒に連れ戻したら、ただでは済まないのを察しているヴァル将軍。

新たに登場したサドっぽいラーン将軍は、ハクに金州にいる自分の部隊を一つ壊滅させられたので、出撃するという。すごくお金のかかる策を打ってあるという。チャゴル殿下といいこのラーン将軍といいなにやらサドっぽくて不気味。

一方ハクは相次ぐ攻撃に消耗気味。グンテや他の負傷者を見るのに手一杯だからと医務官にも診てもらわずに。ハクは何らかの形でスウォン国王かケイシュク参謀の許可証を得ているはずだから、示せば特別扱いしてくれると思うけど・・・それに一番士気が高いと言われていた地の部族、グンテ将軍がいなくなるとこんなに弱くなるのはちょっと頼りなさ過ぎ。

 (213話 2021年9月3日発売 花とゆめ19号9/20)
高華国本土から金州への橋を落とされ、周囲はラーン将軍に固められ、援軍も食料も医療品も足りない中疲労していくハクと地の部族の兵、更に敵の来襲の知らせにもう行きたくないと弱音を吐く地の部族の兵とカルガンに、東のコムタン川から来る奴らを手伝ってくれと指示して尚も戦の先頭に立つハク、川を遡ってやってきたのは海賊たちの小舟に乗ったユンと食料や医療品。ハクが危ないと聞いた海賊たちは、戦いに参加する。撤退するラーン将軍はそろそろ作戦を決行しましょうと不穏な会話をしている。
緋龍城ではスウォンはヨナが戦について行く必要はないし、ヨナに伝える情報もないというが、同盟はまだ続いているはずだとヨナは迫る。金州への橋が壊されて援軍も入れないし情報も途絶えたというスウォンに、あまり地元の人にも知られていない獣道を教えるヨナ。自分の知らない高華国をヨナに教えられるとはと驚くスウォン、渓谷を伝って少数の兵を送って敵の背後を狙い相手が驚く間に、商船のふりをして援軍を対岸に送る最速の道も教えるヨナ。
スウォンはヨナが金州にいたことも知らないし、(って南戒の使者との会談では話したけど、スウォンは緋の病ででていないから人づてにしか聞いてないはず)スウォンのもつヨナのイメージはかつての緋龍城にいた世間知らずのお姫様というのがなかなか抜けないから、後継者も、戦に参加するのも拒否しているのかな。まあプライドもあるだろうけど。

(214話 2021年10/5花とゆめ20 2021/9/18発売)
千樹草はグンテ将軍のためだろうと海賊なかまたちに言われて、国王の病気は内緒なので言葉につまるユン。ハクが自分のためだというと、村人や地の部族軍と微妙な関係に。
ハクと一騎打ちをしたいと一人で現れたラーン将軍。ワナと感じながら対戦するハク。一方滝が止まっているのに気がついた海賊達は様子を見に滝の上流に行くと、南戒軍が川をせき止めて一気に水責めしようとしているのに気がつく。水を止めようと走る海賊達に南戒の兵士が襲いかかったところへ、ジェハとキジャが現れる。

215話 2021年10/20花とゆめ21 2021/10/5発売)
水攻めにあう金州、スウォン国王に空の軍精鋭部隊の道案内を頼まれたジェハはキジャを連れて先鋒として到着。グンテ将軍に代わる誰かが地の部族軍を統率して堪えているはずなので、会ってみたいという。それがハクであることを知ったジェハとキジャ。

水攻めから櫓や海賊の船に避難する金州の民を助け、間一髪でユンを助けハクの苦境に跳んでいくジェハ。

ラーン将軍との一騎打ちに勝ったハクは、愛馬レーリンにラーン将軍を乗せ、避難させる。一人残ったハクに襲いかかる水。必死に駆けつけようとするジェハ。

(216話 2021年11/20花とゆめ23 2021/11/5発売) 
水攻めに呑み込まれてハクは行方不明のまま。グンテ将軍は意識が戻って「地の部族が世話になった 絶対探し出して礼をいいたい」と。現地対策はジュドと空の部族軍に任せて、ユンとキジャとジェハは、ハクの大刀だけ持って、ヨナやケイシュクに報告に緋龍城へ戻る。スウォンはケイシュクから、金州を包囲していた敵兵は撃退したものの、集落は悲惨な状態であること、グンテが倒れた後の地の部族兵を率いていたのはハクだったこと、水攻めにのまれて行方不明であることを聞く。ヨナも帰還した3人から話を聞く。ヨナは呆然としたものの、3人にハクは大丈夫だから休むようにと言う。

緋龍城に招集された風の部族は、ハク様に挨拶がしたいという。ハクが死んだことを伝えれば風の部族の士気が下がるが、戦場に出なければいずれ悟られて混乱を招くし、今伝えるべきかケイシュクが迷っていると、ヨナが現れ「ハクは別の任務で外に出ているの」とだけ伝えて去る。テウもヘンデも久しぶりの登場だけどずいぶん大人びた。スウォンの執務室で戒帝国や策略の資料を読んでいたヨナは、震えているところをスウォンに優しい言葉をかけられて、「ハクがどこに流されたのか どこかで動けないのか あなたなら分析できる?ハクだから絶対大丈夫だって思うの 思いたいの でも怖くて震えが止まらない ハクを助けたい ハクに会いたい」