(205話 2021/3/19発売 花とゆめ8号4/5)メイニャンはハクの牢を開け、自分を庭園に案内するよう命じるが、ハクは拒否。「会いたい人はいるけど、今俺だけの感情で動いたらその人が俺を守ろうととすると。」緋の病の頭痛に悩まされながらなんとか一人で庭園にたどり着いたメイニャンは、ホーを探すが見つからない。ユンに出会ったところで倒れて、ユンの泊まっている屋敷で手当てを受ける。ユンはユンなりに空の部族と打ち解けてきたけれど、メイニャンを匿って大丈夫なのだろうか。あとユンはハクが突如いなくなったことをどう思っているのだろう。四龍達はヨナともう毎日会えるようだし、ハクのことも知っているようだけど、ユンは四龍とも会ってなさそうだし、ハクが牢に居るけど健在であることは知るわけないと思うが。
(206話 2021/4/5発売 花とゆめ9号4/20)
南戒の使節団は西京へ戻ってチャゴル殿下と謁見。ランタンを殺した(という)ヨナ姫は連れてこられなかったしスウォンの謝罪もなし。スキンヘッドに入れ墨を施したチャゴル殿下から無能と罵られる。南戒の皇族や貴族は腐敗していますとランタンが言っていたから(35巻199話)もっと軟弱な王かと思っていたら、チャゴル殿下なかなか精悍。”メイニャン様はスウォン王を見るなり親しそうに声をかけて、その後スウォンは必ずまた私に会いたくなるといって、それ以降姿を見なくなった”と使節団から聞いて、第一の側室シャンテ妃が、メイニャンはスウォン王と通じているのではと示唆。
南戒のヴァル将軍とヒッタン将軍は、ランタンが死んだのは身内に消されたと察している。ヴァル将軍は、メイニャンが出発前に「ホーちゃんがお前の顔見たいって言ってたんで来ただけ」といいながら挨拶をしに来たときに、ずっと緋龍城に行きたがっていたし、こいつ戻るつもりないんじゃないかと思ったという。これからツブすかもしれない国に行ってどーしろってんだ。(「どうしようってんだ」では???)とも。ホーちゃんとヴァル将軍は縁があるのかもしれないけれど、リスが顔を見たいというのは口実だろうから、メイニャンがヴァル将軍の顔を最後に見たかったのだろう。かつての同胞か?ヨナに対する昔のハクのように、メイニャンを心の中で慕っているようにも見える。
緋龍城ではメイニャンを捕まえるために、ケイシュク参謀はハクを釈放して協力を要請する。”南戒の人間で高華国の重大な秘密を握っている。その上兵士を複数殺した。一刻も早く捕らえなければまた新たな犠牲者が出るだろう”と。重大な秘密というのはスウォンのことかという質問には答えないが、答えないことが全て語っている。
ユンが滞在している棟で手当てを受けているメイニャンは、ユンが留守にした隙に剣を探し出して棟をでる。”脱獄した女は髪の長い美女”だと噂する兵士を盗み聞きして髪をバッサリ切って庭園でホーちゃんを探すが、ユンにはすぐバレる。再びユンの棟に戻って、ユンが湧かしたお湯でメイニャンが体を洗っているところへ、ハクがやってくる。ドアの外で「いつも心配だよ 一兵卒に俺はなるって言って田舎から出てったあのバカ息子生きてるかなみたいな気持ちで」と突然能弁になるユンに「ユン俺が目指してるの専属護衛な まちがっても一兵卒じゃない」と。ユンはハクに室内に入って欲しくないのだが、後ろから現れたジュド将軍が無視して入室する。そこへ衝立の後ろから剣を構えたメイニャンが襲いかかる。両刀で対抗するジュド、ユンを庇うハクに行燈(?)で反撃されて倒れるメイニャン。「牢は出ないんじゃなかったのかよ」というメイニャンに、「頼まれたんだよ あんたと捕らえろって ここにきたのは剣を持って城内をうろついてるというのでユンの無事を確認しに来た」という。「やっぱお前も敵だったか」(っていうのはハクが?)「スウォンなんかに殺されてたまるか」とハクに襲いかかるメイニャンを、「待って雷獣」と庇うユン。メイニャンが剣を持って襲いかかろうとしているのにハクが反撃しないようにメイニャンを背に庇うユン。「この人は俺の患者なんだ 人を殺した人を庇ったりするのは良くないのかもしれない その人だって死にたくなかっただろうし 暴力は大嫌いだ 俺が勝手にこんなことをしてはたくさんの人を困らせるのかもしれない 正しいのが何かもわからない でも俺 城で医術を学んでいるの 人を治したくて城に来たんだよ それが全てだ」と。
いくらメイニャンはかなりの武人だとはいえハクを釈放して捕まえさせるとは、ケイシュクの気持ちもだいぶ変わってきたのでは。205話でハクは見張りの兵士4人くらいじゃ意味ないのに本気で俺が脱獄するとは思ってないんだなともいっていたし。なんだかんだでハクが要請したとおり四龍とヨナ姫は会えるようになったし。ハクとジュドが一緒に行動しているのはそれだけメイニャンを警戒しているのと、ハクの見張りという意味もあるのだろうけど驚き。まあジュドはハクが言った「姫さんはあんたらと同盟を結ぶと決めた 主君の誓いを俺が一方的に反故にはしねぇ」(32巻185話)が真実の言葉だと信じているから休戦にしたのはわかるけど。
ユンの言葉はユンをよく知っているハクには通じたようだけど、ジュドはこのまま見過ごすわけにはいかないだろうし、いずれにせよメイニャンを南戒に帰すわけに行かないし、どうするのだろうか、次の展開が見当も付かない。ただメイニャンをここに置いておくと南戒が戦を仕掛ける口実になってしまう。もっとも殺してしまっても、204話でヨナがスウォンに言ったように、南戒が戦を始める口実に更になってしまうけれど。この際メイニャンが203話で言っていた、戒帝国に勝つための情報を握っているというのを生かすのがいいかと思うけれど、メイニャンはスウォンには絶対明かさないだろうからヨナと仲良くなってもらうのが一番いいかも。ユンも怪我をしてて髪をボサボサに切った女の人ってヨナと初めて会ったこと(2巻11話)を思い出すといっていたし、立場は違うけれど手を組める余地はあるかも。
(207話)2021年4月20日発売 花とゆめ10・11号5/5・5/20)
緋の病の頭痛で苦しみ出すメイニャン、近いうちに自分は死ぬんだ。スウォンもきっと長くはないというメイニャンの言葉が理解できずに呆然とするユン。ドアの外でずっと話を聞いていたミンスが入ってきて、スウォンの治療のために緋の病というものを知るために、メイニャンは監視付きではあるけれど自分の管轄になったという。話を知ってしまったユンに、自分は王の主治医で、自分の助手になればとりあえず身の安全は守られると提案する。ただし失敗は死を意味し、国で最も重要な秘密を命がけで守らなければならない。ユンには手を貸して欲しいと思ってはいたけれど、国の重大な秘密に巻き込んでしまうので躊躇っていたが、先ほどの会話を外で聞いていて、彼は医術において誰かを裏切ることは決してないと確信したという。ユンはメイニャンを引き続き見られるならやるという。ユンに千樹草をとりにいってもらおうとしていたのは(34巻198話)どうなったんだろうと思っていたけど、なまじ最初の試みがスウォンの病が四龍にバレた場面に出くわしたので中断して、改めて考えてみると国の最重要秘事にかかわらせることに(それもヨナの仲間なのを知っていて)躊躇っていたのね。
ミンスは、メイニャンは捕虜として緋龍城に置くこと、ユンに試したことがない薬草を採りに行ってもらうために外出許可を出すこと、ハクを護衛につけることの許可をスウォンから得る。スウォンは、ハクは自分の薬など取りに行かないでしょうといったが、ハクは行くという。このときのスウォンの心中を知りたかった。絵は後ろ向きだけど表情も見たかった。いやだからこそ後ろ姿なのだろうけど。ヨナもだけどハクもここでスウォンが志し半ばのまま死んでは、あの謀反はなんだったんだということになるから、今スウォンの死は望んでないのだろうと思う。ケイシュクもヨナ姫と四龍を残してハクが敵対するような行動はしないだろうし、何としてもスウォンの病を消し去らねばと言うことで同意する。ケイシュクの「こんな時に私は回復を待つしかない 神にでも祈りたい気分だ」というのは、神や神の力を否定するユホンとスウォンを崇拝するケイシュクが言うのが感慨深い。欲しいのは神の力ではなくて人の力というスウォンはファンタジーであっても正しいけれど、神に祈りたい気分を否定してはいけないかと思う。しかしミンス根回しご苦労様。王の主治医として最強の存在ではあるけど、治療できなくて王が亡くなるとその責任を問われるし、秘密をもらしても死罪なわけね。
睡眠薬で眠るメイニャンを前にジュドはメイニャンがチャゴルの寵姫であることを話す。「ただのお姫様じゃねえな 女でここまで剣振れる奴初めて見たぞ」って、懐かしの真国のコウレン姫(今はコウレン王)を忘れてるよ、ハク。メイニャンは、ユンとハクの会話で雷獣という言葉が出てきたので反応して目を覚ます。ヨナ姫は四龍も雷獣も健康な体も不自由ない暮らしもすべてもっていてずるいからみな取ってやろうと思っていたという。それに対してハクは「あんたの身体治したくて必死になってる奴の言葉だけは響いて欲しいんだがな」と。メイニャンはユンについては「死んでもお前のことは命の恩人だと思うよ」と心の中で思う。城を出発しようとするハクとユンを見て窓から飛び出してきたヨナは、ハクに「ユンをお願い(これから命懸けの秘密と仕事を背負う大切なユンを)」という。飛び出してきた四龍達とも挨拶しているときに、青龍の肩でアオと一緒にいるもう一匹のリスに気がついたユンは「ホーちゃんいたよぉぉ」やっとホーちゃんがメイニャンさんに返せそう。ヨナが返すのかな。そうすればリス繋がりで少しはメイニャンのヨナへの気持ちも変わるかも。二階(?)の窓から飛び降りるヨナを、下から描くの・・・
暁のヨナが好きな理由はいろいろあるけれど、次の世代まで殺し合うほどの親族間の憎しみという、ものすごくシリアスな問題を扱っているのに(ちなみに私も家庭内暴力を経験しているのでよくわかるし、家族だから許し合うべきなどと言う人とはつきあいたくない)、ユーモラスな表現でほっこりさせてくれるところも大きい。207話のユンくんとハクの「時々俺3つくらいに分裂しねーかなって思うよ」からの会話最高。ユンの「3つともヨナのとこ走ってくんじゃないの?」「自分で言うのもなんだがそれはウザいな」その理由がユンも四龍もヨナも守りたいからなのだけど、それをこういう風に表現する二人の会話、最高。更にヨナも「私の所に来なくていいから3つともユンの所に行って」(まさかの一体もいらない)という理由が、ヨナや四龍のように政治的に必要とされてないユンが、結局、命懸けの秘密と仕事を背負うようになってしまったからだけど、これまた適度にユーモアが添加させててこの匙加減が好き。
(208話)2021年6月05日発売 花とゆめ13号 6/20)
ジュドに監視されているメイニャンのところへ四龍を伴ってヨナ姫が訪れる。身構えるメイニャンに飛びついたのは、リスのアオとホーちゃん。ヨナ姫がホーちゃんを保護してくれていたと知って、少し心を和らげたようだ。外では火と水の部族軍が到着した音がする。まもなく高華国全軍が南戒に向けた進軍するという。ハクの帰りを待たなくても大きな犠牲を払うことなく勝利できるというジュドに、メイニャンは「南戒の兵力は高華国の倍あるしいざとなったら北戒にも援軍を要求できる。チャゴル殿下はここ数年でかなり力をつけたし勝つためなら何でもする。高華国は沈む」といい放つ。また自分はもと将軍であることも明かす。ヨナはハクとユンのことで不安を感じる。
スウォンに一人呼ばれた黄龍ゼノは、やつれたスウォンの姿に、晩年緋の病で臥せる緋龍王の面影を見る。そんなゼノにスウォンは玉座や政に興味はあるかという。空の部族の武官や文官に優秀な跡継ぎ候補はいるが、不死身で高華国の歴史をずっと見てきたゼノを後継者に考えていたらしい。しかしゼノは断る。スウォンの後継者候補にはヨナはまったく入ってないという。ケイシュクはずいぶん変わってきてヨナを認めつつあるけど、スウォンにとっては緋龍王の生まれ変わりヨナを後継者に認めたら、イル国王を暗殺してまで自分がやってきたことを全否定することになるのだろうな。更に緋龍王の子孫に緋の病から回復したものはいるかとの質問に、いないし千樹草で直るものではないという。ただそういってもユンやミンスは試さずにいられないだろうから言わなかったと。緋の病は天界の反対を押し切って人間になった緋龍の代償、自分以外の龍も人ならざる力を持つものの代償で短命だという。このところの流れでひょっとしてスウォンとメイニャンは千樹草で直るか延命するのだろうかとも思ったけど、それはないようだ。ということはスウォンもメイニャンもそんな遠くないうちに死ぬということ・・・いずれゼノ以外の龍も死ぬ・・・それは悲しい終わりになりそう。頭痛で薬を飲んで眠りに落ちるスウォンを前に「いつか俺の旅も終わる その時は神さまに背いても願いを叶えてみせる」と密かに決意をつぶやくゼノ。何を決意したのだろうか。暁のヨナはまだまだ先が読めない。
スウォンが、部族にとらわれない人が王の後継者として欲しいといっているのを見ると、やはり、王としての素質はあったんだなと思う。ただ、武力で敵対する国を押さえつけた父ユホンの影響を多大に受けてはいるけど、これを乗り越える人がいずれ王になるのかな。やつれ具合を見ると今のスウォンには戒帝国との戦をやりとげられないと思うし、仮に5部族が一丸となって戦って四龍やハクが協力して勝ったとしても、その後ずっとこれだけ広大な地域を治めていくのは難しいから、和平を結ぶのが得策だと思うけど・・・
(209話)2021年6月18日発売 花とゆめ14号 7/5)
南戒の酉京の鳳凰宮では、ヴァル将軍がチャゴル殿下から、戦が始まって手薄なところを狙って、メイニャンを奪い返してくるよう命じられる。殿下の配下にあるドロモスという暗殺集団をつけるという。戦の方がましだと憂鬱なヴァル将軍はメイニャンのことを回想する。仲良かったものの恋人同士では無くて、メイニャンはチャゴル殿下が美しい女将軍に興味を持ったとのことで謁見するという。上手くいけば側室になれるかもといって、ほんとうに寵姫になって去って行った。殿下に憧れていたのか地位を欲していたのかわからないけれど、それがあいつの幸せなら良かったというヴァル将軍は、まるでスウォンとヨナが結婚して国を治めればいいと見守っていた、昔のハクみたいな立場かな。その後ボコボコに怪我してホーちゃんを預けに来たメイニャンにも何も聞かなかったけど、チャゴル殿下はDVなのかな。
地の部族領となった金州は、グンテ将軍自らが滞在して、南戒から鉄鋼石が盗まれるのを防いでいる。そこへ南戒が100人ほど略奪に来たということで、先頭に立って一人でほとんどの敵を倒すグンテを見たカルガン(懐かしい!)は、「ハクみたいだった!」という。「一人しか浮かばねぇんだが」と思うグンテ。(ハクは一人しかいません)そこにまだ残っていた兵が矢を射かける気配を感じて「刀触らせてと」慕うカルガンを庇って背中に矢を受けるグンテ。「俺のことはいい!行け!」と警備兵に命じるグンテに尚も飛んでくる矢を、突然現れたハクが大刀で止める。
久々の戦闘するハク、見開きでかっこいい。で、どうしてハクはここにいるの・・阿波の千樹草を取りに行くユンの護衛だったはずで、金州は通り道では無いから、グンテ将軍に用があって来たのだろうか。
今までヨナたちは火の部族を助けてキョウガ将軍やテジュン将軍補佐との関係を築き、水の部族からナダイを取り除いて更に斉国からの侵略を防いでジュンギ将軍とはともかくその娘リリとは親友になったし、風の部族はもともとハク様が絶対だし、空の部族は一応同盟関係にあるけど、地の部族は阿波の海賊とは親密になったもののグンテ将軍とは全く関わってないけど、南戒との戦いを前にして何らかの目的があってグンテに近づいたのだろうか。
ハクもヨナを庇おうとして矢を受けて重症になったことがあるけど、グンテもカルガンを庇おうとした。グンテはユホンの信奉者で、力で解決できる強い王に従うのでカン・スジンの乱の頃からスウォンに忠誠を尽くしていたけど、ハクのことは小さい頃から気に入っていたし(まあ強いからだけど)、ここで心を通わせれば、南戒との関係も少しはいい方へいかないだろうか。
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