2021年8月24日火曜日

神様はじめました1-8

高校2年生の桃園奈々生は、ギャンブル好きの父親が借金を残して蒸発し、住んでいたぼろアパートを立ち退き強制執行命令で追い出され、途方に暮れていた。そんなとき、犬に追われて木の上に逃げたミカゲを助ける。ミカゲは家を捨て数十年ぶりに帰ってきたところだというが、事情を知って「君の方があの家の主にふさわしい」と言って奈々生の額にキスをして、ここへ行けばみんな歓迎してくれるはずと家の場所を教えて立ち去る。奈々生が教えられた場所に行くと、そこは廃れた神社が存在し、神使の御景巴衛、鬼火童子の鬼切・虎徹が「お帰りなさいミカゲ様」と迎える。額にミカゲの印があったのだ。ミカゲは神社の土地神であり、奈々生は神社を家として与えられたと共に、ミカゲが20年以上放棄していた土地神の責務も譲渡された。鬼切・虎徹は歓迎の宴を開くが、巴衛は「こんな小汚い娘に何が出来る 俺はミカゲの神使だ その女に使える気はない」と出て行く。

お参りに来る人の心の中のお願いの声が聞こえる奈々生。やはり自分には神様など務まらないと巴衛に挨拶して去るつもりで、巴衛のいるこの世とあの世の狭間の物の怪たちの住まいにいく。鬼切・虎徹は奈々生を案内しながら、巴衛にくちづけをすれば神使にでき、好きなように命令できると吹き込む。一方巴衛には奈々生の神使になるよう説得するが、あんな社などつぶれてもいいと巴衛は言い放つ。憤慨して帰る途中、奈々生は、土地神を食べたい鬼婆の家にそれと知らずに泊めてもらう。鬼婆に追われて切羽詰まった奈々生はお札で巴衛を呼び出す。呼び出されて来たものの高見の見物の巴衛に、憤慨して手を滑らせて落ちる奈々生は、追いかけてきた巴衛に口づけをして神使として「私を助けろ」と命じる。

翌日から「この俺がお前のような無能な小娘に使えねばならんこの屈辱・・・!!腸煮えくり返っとるわー」と相変わらず口は悪いが、この上は俺の主にふさわしい生き神になってもらおうと、必ず助けてくれる巴衛。

新しい土地神の様子をうかがいに来た多々良沼の皇女のほんとうの目的は十年前にであったた8歳の小太郎との再会。ここは縁結びの社でもあるのだ。巴衛は「妖怪と人間の恋路は禁忌」とつれなく断るが、皇女の様子を見た奈々生はできるだけのことはしてみると引き受ける。小太郎を探しに街に行くという奈々生に、街へ行くといったまま帰ってこないミカゲを思い出した巴衛もついていく。そこで偶然入ったアイス屋で小太郎が働いていた。夜小太郎と皇女を会わせる。小太郎のパズルキューブの腕に感心する皇女にときめく小太郎。不良に絡まれる皇女に立ち向かう。

宇治上高校に女子高生超絶人気のスーパーアイドルKURAMAが転入したとテレビでみた奈々生は、3ヶ月ぶりに登校。KURAMAから意地悪なことを言われてお金をとったことにまでされそうになり、同級生からは昼食も持ってこられない家庭の事情をからかわれる奈々生に、突然昼餉の膳を持つ召使いを従えて学校に現れた巴衛。奈々生は巴衛が自分を守ってくれているのを感じる。それ以来奈々生はお金持ちにひきとられた小公女とクラスメートには噂される。KURAMAは鞍馬山の烏天狗、奈々生が土地神なのを見破って心臓をひとかじりして自分が土地神になろうと狙っているが、巴衛はKURAMAをダチョウに変え、校内で狐火となって追いかけるが、奈々生にじゃまされて和解する。

ミカゲに巴衛を奪われたことを恨んでいる雷神鳴神姫、心配した巴衛は鬼切と虎徹を学校に行く奈々生につける。鳴神姫は神社にくるものと待ち構えていた巴衛は直接奈々生の学校に向かったことに気がついて駆けつけるが、鳴神姫の打出の小槌で小さくされ、体調不良で倒れる。奈々生はミカゲの印を取られる。鬼切と虎徹は社の精なので社の主に付き従わねばならないと鳴神姫と行ってしまう。立ち退きで家を追われたことを思い出す奈々生。偶然出会ったKURAMAの家に転がり込むが、巴衛は体だけ退行して元の妖力が体に収まらずに暴走しているので元の体に戻さないと治らないといわれる。巴衛は夢の中ではるかな昔、雪路という女性に看病されたことを思い出している。巴衛はもとの姿に戻るために奈々生のもとを離れ、鳴神姫の神使になるといって社へ。話を聞いたKURAMAは天狗の羽を一本与え、人の目に見えないものを見えるようにすると、社では巴衛が鳴神を避けて隠れて、鳴神が怒って社を壊そうといていると訴える鬼切と虎徹が。奈々生は鳴神に自分が巴衛を見つけたら元の姿に帰してくれるかと交渉、ミカゲの象徴である蝶がミカゲの懐鏡にとまる。その中で体調の悪い巴衛は子どもの頃の夢を見ている。鳴神は自分のものにならないのならいらないと、小槌と土地神の御印を帰して去る。神使の再契約と、奈々生に口づけをする巴衛。だんだん巴衛に惹かれていく奈々生。しかしドキドキする奈々生と対照的に巴衛の態度は変わらない。

多々良沼の皇女に月見のお茶会に招待された奈々生、小太郎との仲が進展することを期待する奈々生は巴衛に「鯰の姫が人間とどうやって親交を深めるのだ」「俺は人間の女など好きにならないよ」と言われて複雑な気分。

御殿では姫たちにもてもての巴衛に複雑な気分の奈々生に、皇女は自分の衣装を貸して、「あの神使殿が好きなのだろう わらわが小太郎に会う時そなたがわらわを可愛らしく着飾ってくれたな 好きな男に美しいと言われたら天にも昇る気持ちになろう」と。着飾った奈々生は「この方より美しい女神を俺は知らない 今宵はどうかこの私とお付き合い頂けませんか」と、本音は姫たちから逃げ出すきっかけが欲しかった巴衛に連れて行かれる。

学校に突然現れた白蛇を助けた奈々生は腕に印をつけられる。それは蛇との婚約の印だと巴衛「誰が来てもお前には指一本揺れさせないよ 蛇なぞに主人を娶られては俺の名にキズがつく」と翌日から巴衛は一緒に登校することになった。巴衛がうたた寝している間に職員室へ行こうとした奈々生は、白蛇ことヨノモリ社の神使、瑞希に連れて行かれる。夜中に縁側で独り座っている瑞希に気がつく奈々生。何かがおかしいと気がついて、神殿を調べるとこの社には神がいない。

いっぽう巴衛は狐火に奈々生の行方を調べさせ、ダムの底に沈んだ社に閉じ込められていることを知る。

この社は昔近くに大きな川があって子どもがよく流されたので、村人が祟りだと恐れて社を建てたのが始まりで、ヨノモリ様のように人に必要とされて生まれた神は、人なしでは存在を保てないので、人がこの土地を捨て去ってヨノモリ様はお隠れになったという。そんな瑞希に「もし巴衛が瑞希みたいにさみしそうにしていたらたまらない 社に縛られないで色んな生き方をしてほしいって思う ヨノモリもそう思ってたりしないかな」と奈々生。ずっと僕のそばにいてずっと二人で梅の花を見て暮らそうよと襲いかかる瑞希。駆けつけた巴衛は奈々生を抱きしめて「無事で良かった」と小さな声でつぶやく。瑞希は聖神使、巴衛は妖、神使の世界にも格差があるというが、瑞希の作った世界は疑似空間、心のよりどころのヨノモリ様の梅の木を燃やそうとする巴衛を止める奈々生、巴衛と帰るから一緒にいてあげられないけれど、瑞希が独りでさみしくなったらまた梅を見にくると約束して。もし私が死んで巴衛が一人ぼっちになって瑞希みたいになったらって考えたら放っとけなかったと。

熱を出したけど出席が危うくて休みたくない奈々生の代わりに、奈々生に化けて登校する巴衛、しばらく留守にしていたKURAMAは、巴衛が転入してきたと聞いて奈々生との仲を進めるために助けるつもりで、奈々生に化けている巴衛にアピールするものの、「お前が欲しいのはこの心臓なのだろう 私の神籍を狙っているのは知っていると」牽制。いっぽうこの学校の瘴気が濃くなっているので一人で暗いところに行くなとKURAMAは忠告。女子更衣室であちらからのお客さんに襲われたのは、猫田あみちゃん。女の子がたくさんやってきて脱いでくれるのを見ていただけだという妖怪を奈々生に化けた巴衛が退治しようとしていたら、心配したあみちゃんが戻ってきた。再び襲われそうになったあみちゃんを助けたのは鞍馬。鞍馬は巴衛が化けているとはしらずに、奈々生に「気をつけろよ おれはキツネみたいにいつでも守っていられるわけではないから」と。

一方巴衛が奈々生に化けて登校中に、社にやってきて風邪をひいた奈々生のために昼食をつくる瑞希。「巴衛くんって君の前では相当猫かぶってるんだな 彼は元々野狐だからね 主人の君が舵取りをしっかりしないと」と吹き込む瑞希。魂を過去に運ぶ時廻りの香炉で奈々生の魂を送ったのは、遙かな昔の雪路という娘の体、その頃悪羅王とつるんで悪さをしていた巴衛ではあるが、雑魚の妖怪に襲われていた雪路を助けてくれた。

夢から覚めたところで巴衛が帰ってきて、瑞希は逃げ出す。

この間のお礼を鞍馬に言いたいあみちゃんと鞍馬を、奈々生は取り持つ。しかし巴衛は「鞍馬は妖怪で、妖怪と縁を結ばれたとあの娘が知ればお前に感謝などすまいよ」と否定的。もしかして昔誰かこっ酷くフラれたとか・・・!!と思う奈々生。「人も妖怪も仲良くするのはいいことだと思う」といってみると「俺はお前が守れていればそれでいいよ」と。

どストレートだけど愛の告白ってわけではないらしい

巴衛が好きだという後輩に一緒に帰るのを譲ってモヤモヤする奈々生に「神使(おれ)にとってお前以上に優先すべきことなどない」といわれて巴衛を好きになっている自分を自覚する奈々生。盗み聞きした鞍馬に「奈々生の年頃を思春期といってな 普通の娘なら番を求め始める時期だ 人間に惚れられるのは不本意なんだろう?おまけに相手が自分の主ときては事は重大だよな もう少し取り扱いに注意すべきだな」と巴衛に忠告。

あみちゃんとケイちゃんにたきつけられて、帰り道に巴衛を水族館デートに誘った奈々生、巴衛はつまらなそうな顔をしながらも、人混みで水槽が見えないと抱き上げてくれる。更に夜景を見にいってはしゃぐ奈々生に巴衛は「お前 俺に懸想してないだろうな」と。「私が巴衛のこと好きって言ったらどうするのよ・・・っ」と必死に絞り出す奈々生に「気の迷いだ 頭を冷やすと良い」と抱き上げて屋上の手すりの外に連れ出す巴衛。「巴衛は私のこと・・・好きじゃなかった・・・!?私のこと可愛いって一度も思ってくれたことなかったの・・・!?」との言葉に動揺した巴衛は奈々生を取り落とす。「私のこと好きじゃないくせに・・・っ触んないで!!」という言霊で、落ちていく奈々生を助けられない巴衛は「もう二度とお前に触れないと約束するから 今は助けさせてくれ」と。

失恋したものの、奈々生に触れなくなっただけであいかわらず甲斐甲斐しく奈々生の面倒を見る巴衛の態度はかわらない。傷心の奈々生を海に誘うあみちゃんケイちゃんに、巴衛は海は魔物の巣窟で俺は海には入れないからダメだという。ちょうどやってきた瑞希が僕がついてってあげようかと。結局巴衛と瑞希は二人ともついてくる。瑞希は巴衛がどうして海に入れないか知ってるという。「奈々生ちゃんには言わないでいてあげるよ」といって瑞希は奈々生の肩を抱きながら海へ行く。大きな波にさらわれたあみちゃんを奈々生に頼まれて巴衛は海に入って助けるが、海を統べる龍王に見つかり、526年と208日前の午前2時18分41秒に竜宮の一部を破壊して龍王宿儺(すくな)の右目を奪って逃走した貸し付けを返してもらうと、蝶貝で巴衛を捕獲する。龍王の催眠が何故か聞かない奈々生は蝶貝にしがみつくが、龍王に海岸に連れ戻される。「奴に盗られた俺の右目を返せば命だけは助けてやらねーこともねぇかもな」と。龍王の目は不老長寿の丹だそうだ。宿に戻った奈々生は瑞希に時廻の香炉を借りようとすると、瑞希は「巴衛はこんなに愛してくれるご主人様がいてくれて憎たらしいな」といいながら奈々生を今度は魂だけでなく実体のまま過去に飛ばして自分もガイドとしてついていく。

雪降る中に夏の海辺の軽装のままたどりついた奈々生に、だれか(磯姫)が「お前の体内にあるその龍王の目 あたしにくれたらこの被衣をあげてもいいよ」と。追いついた瑞希と奈々生は526年前の巴衛が、盗んだ龍王の目を持ってある家に降りるのを見つける。巴衛は雪路という娘に「良い薬が手に入った これを呑めばお前の病もきっと良くなる」「ずっと俺と生きよう」と。だが、巴衛が立ち去ったあと苦しみ始めた雪路に「しっかり これを飲めば大丈夫だから」(呑めばでは?)と奈々生。びっくりする瑞希に「私だって巴衛のこと助けたい でも それでも目の前で苦しんでいる人間を見殺しにはできないよ」と呑ませて、瑞希と奈々生は現在に戻ってくる。

自分の手で雪路に呑ませた龍王の目が、なぜ現在自分の体の中にあるのか、奈々生は疑問に思わないのだろうか?

現在の磯姫に会った奈々生は「私の中に龍王の目があるならそれを取り出して欲しいの」と代わりの要求は「あんたの寿命30年分」「巴衛にはもう一日しかないから」実際は磯姫が抜いたのは土地神の御魂と龍王の目。見ていた瑞希は「巴衛くんは自業自得 君が肩代わりする必要なんかなかったのに 本当に奈々生ちゃんは僕なんかじゃ及びもつかない 手足になる神使もいず 人の身で誰かを守ろうというのなら もう一度お仕えしよう これが僕の最上級の敬意」と奈々生にくちづけをして神使になり、土地神の御魂を取り返す。目覚めた奈々生はこっそり逃げようとする磯姫を攻撃しようとする瑞希に「殺しちゃダメ」と言霊縛り。代わりにもらった竜宮城行きの乗車券で亀タクに乗っていると、途中乗車の龍族の人(亀姫)が夫にあげる羽織を持って乗り込んでくるが、竜宮からの振動で羽織は流されてしまう。竜宮では龍王と巴衛が戦っていたのだ。羽織は7日かけてつくったものだけどおかげでこの七日間とても幸せだったから、すぐ竜宮に向かいましょうという龍族の女性に、過去の巴衛と雪路にもやもやしていた奈々生だが「大事な人が自分にしてくれないことばかり考えてました」と。突然あらわれた奈々生に蝶貝に閉じこもる巴衛に「私のこと受け入れてくれなくてもいいよ 巴衛が別の人を好きでもいいよ 振り向いてくれなくてもいいよ 私が振り向かせるから 巴衛が向き合ってくれなくても私が巴衛を好きなことに変わりない それで充分」と。返そうとした龍王の目は干からびて石化していたけれど、どこかへ姿を消していた瑞希が「この羽織で再交渉ってのはどうよ?」と。

ということで巴衛は不満たらたらだが、瑞希も弟神使となった。

海辺の滞在最後の夏祭りの晩に、二人の手を繋いで「仲直りできないなら一生二人で手をつないでなさい!!」と奈々生は言霊縛り。ほんとうは巴衛が好きで、白蛇の姿で時々見ていた瑞希。奈々生が瑞希の分だけでなく巴衛と鬼切と虎徹のぶんのりんごあめを買ったのを見て、巴衛の心も和らぎ二人の手はほどけた。

街で自分の神社が廃神社とかお化けが出るとかいわれているのを聞いた奈々生、人を呼ぶために夏祭りを企画する。巴衛は奈々生にはまだ祭事は荷が重すぎると反対だが、「私は巴衛がいつもきれいにする手水舎を参拝者に使ってほしい 拝殿には埃ひとつ落ちてないしお賽銭箱にはゴミなんて入ってないの 鈴はとてもいい音がする そういうのを皆に知って欲しいだけ」という奈々生に、神楽で使われていた着物を出してくる巴衛。「お前が気づかないだけで社の空気が澄んでいるのはお前がいるからだ 無人の社は瘴気のたまり場 いくら俺でも祓うことはできん お前が初めて来た時社がどうだったか覚えていよう 随分きれいになったと思わないか? 掃除のし甲斐もあるというものだ」と巴衛。

巴衛のスパルタ教育で奈々生は神楽を練習。

ある日突然やさしくなった巴衛に、今日の巴衛はどうかしていると言った奈々生、「お前の心が俺を求めていないならここに居ても無駄なこと」と出て行く巴衛。巴衛の力がなくなってぼろぼろになった社で、瑞希と鬼切と虎徹の助けを借りて社を掃除修復し神楽の練習を続ける。くたくたになった奈々生の前に現れた巴衛は「こんな廃神社に引っ込むことはない。二人下界で自由に暮らそう」と。あんた巴衛じゃないわね!?と気がついた奈々生。実はすべて夢で、社の神としてやっていく能力があるのかどうか試させてもらったという。結果は散々だけど気に入ったから保留にしておくと、オカマっぽい誰かが言って去って行く。気がついたらすべて夢で、社も巴衛ももとのまま。

ミカゲ社で祭りをやる噂を聞いて手伝いに来るKURAMAに、巴衛は、「本人は気づいていないが奈々生は「普通の女の子」ではなく、参道から先は奈々生の結界の中で、並の妖が踏みこめば聖気で怪我をする」と告げる。龍王と、沼皇女も手伝いに来る。

当日ケイちゃんが来られなくて一人できたあみちゃん、途中でKURAMAと出会う。みんなの助けで賑やかなお祭りが始まるが、パニックで頭が真っ白の奈々生に、巴衛は「お前は俺が主人と認めた娘 臆するな 俺に応えてみせたように 皆にお前自身を示してやればいい」との言葉に、りっぱに踊って皆の心を奪う。無意識のうちに蝶を放ちながら。


突然現れたのは、以前夢にでてきたオカマっぽい誰か、ミカゲの友神の、風神乙比古神だという。毎年10月の一週間出雲に日本全国の神々が集まって会議が開かれる。ミカゲが行方不明のため一つ席が空いているのだが、京都に現人神と呼ばれる娘がいて、どっちが出席するのにふさわしいか競わせることになったという。反発する奈々生だが、伝えに来た乙比古神はミカゲの行方もわかるかもしれないという。「ミカゲは自分から出て行ったのだ。居場所など知る必要がない」といいながら巴衛はミカゲの化身であるチョウを目で追う。その様子を見て出雲に行こうと奈々生は決心する。

ライバルの候補者、柊香夜子が奈々生の高校に転入してくる。柊香夜子が仕える霧仁は、巴衛を飼い慣らせと指示する。しかし香夜子がくちづけしても巴衛を神使とすることはできなかった。

乙比古から提案された試験はそれぞれ式神の卵を与えられて養成すること。しかし奈々生の卵は初日から瑞希の不注意で割れて子ザルが生まれてしまう。

図書館で香夜子から「何もできひんでもどうせ助けてもらえるもんなぁ いいご身分やなぁ」と嫌みをいわれたところで、土蜘蛛が現れる。香夜子が退治したはずが、復活、そこに巴衛が現れてとどめを刺す。香夜子の言うとおり何にもできなかった自分をどうにかしなきゃと思う奈々生。試験は巴衛の手を借りないようにしようと、「このままじゃ私ダメなままじゃん 巴衛に甘えたままで試験なんか勝てない」「まだ勝つ気だったのか その猿で」と巴衛。

今日もまた妖魔があらわれて、危うくあみちゃんが食われるところを香夜子が退治する。香夜子曰く、巴衛が土蜘蛛をえげつない殺し方をした上、浄化もしなかったので、まき散らした土蜘蛛の体液から闇が広がって異界への出入り口ができたという。巴衛は「神使の本分はただひとつ 主人に従うことだけだ」と奈々生にどうするか、今朝の前言(巴衛の手は借りない)は撤回するか、と。

巴衛の手を借りないように、一生懸命あちこちに浄化のお札を貼る奈々生。しかし妖に食われかけるところを巴衛に引き戻されて保健室に運ばれる。巻き込まれたあみちゃんも保健室へ。保健室の先生だと思ったのは乙比古。奈々生の式神である子猿は、瘴気を吸い込んで具合悪くなっていた。乙比古は、この式神に名前をつければ式神の能力になり、アンタの望みを代行するという。奈々生は誰もケガをしないように、誰も怖い思いをしないように守ってくる能力「護」くんと名付ける。仕事をもらった子猿は走り出す。

一方、巴衛は、奈々生を味見してふくれた妖の退治を香夜子に頼むが、香夜子の力は足り巴衛の狐火で縛られていた妖はちりぢりになって逃げていく。いくら退治してもキリがなく、瘴気に卵がやられるのが心配な香夜子は、これ以上自分の神格も卵も汚したくないという。巴衛も汚れて血の臭いに気分が悪い。そこへ駆けつけた奈々生と護くんが「きれいにしてあげよう」と巴衛の汚れを取り除き、学校の汚れ、瘴気を取り除き、退魔結界をつくる。巴衛はミカゲと初めて会ったとき浄化されたことを思い出す。

再び巴衛にデートを申し込んで断られる奈々生。先生に頼まれて休んでいる香夜子の家に行く。香夜子には「狐の神使のことがが好きなんか」とズバリ言われる。「人間と妖だし・・」という奈々生に「ええやん別に 好きな男が妖で何がいかんの?本当に好きならどうでもいいことや」と言われる。しかし帰り道に護くんは、「あの女の卵にはもう近寄らない方がいい 悪いもんがつまっている」という。

翌日も休んだ香夜子を訪れると、寝言で霧仁様とつぶやいていた。香夜子の仕事は人間を神通力で救うこと。でもうちは誰が助けてくれるんやろかと思っていた。ある日息子が雪山で行方不明になった母親が相談に来た。雪の下に埋まっている息子の躯が見えたのでその場所を紙に書いて渡すと、息子が無事に帰ってきた母親が礼を息子を連れてきた。それが霧仁様で、生きているはずがないのでたぶん人ではないけど、だからこそ霧仁様ならうちのことを助けてくれる 人間やないからうちは甘えられるねんという。護くんはその卵の術者は自分の力以上の式神をつくろうとしている。中の式神は孵化するまでそれ相応の養分を術者から吸収し続けるんだ やめさせるには割るしかないと 護くんに結界でその卵を寝かしつけてと頼み香夜子を病院に連れて行く奈々生。

しかし入院した香夜子に次々と信者が押し寄せてきて、自分のお願いを押しつける。別人のようにシャキッとした香夜子は対応する。乙比古曰く「皆が香夜子を気にかけないのはあの子が立派な神様演じてる証拠 あんたも見習いなさい」巴衛も「あの女の仕事だ邪魔してやるな」と。

巴衛は乙比古に「香夜子に渡した卵はハズレだったんじゃないのか?七日かけて孵化するはずの卵が 奈々生のは初日で割れても原型がすでにできていた 大方 種を仕込んでおいたんだろう 神通力に長けているとはいえ香夜子はただの人間 土地神を継承した奈々生とは違う。この試験は奈々生の神格を上げるためのお膳立てで端から香夜子を神議に呼ぶ気はないのではないか?」と問い詰める。そうだとあっさり認める乙比古、ドアの外で立ち聞きする香夜子。霧仁との約束を果たせずにショックを受けて屋上ででた香夜子に霧仁の式神が「おまえはもう要らない」との伝言を伝える。土蜘蛛を送って応援したのは彼らだったが、退魔結界で勝負はついていたと。

暴れてでていった香夜子のことを現人神の神格を失ったら我らはどうすればいいんだと嘆く信者たちに、乙比古も含めてあんたらのやり方気にくわないよという。マンションに戻った香夜子は護くんの結界を壊すと、あと二日待てば完璧な”うち”ができたのにといいながら香夜子にそっくりな式神が出てきて「アンタの気もらわないかん」と香夜子にいう。奈々生は「アンタが性格悪いのなんか初めて会ったときから知ってた!それでも私はあんなのよりアンタの方がいいよ」という。式神は巴衛に退治される。香夜子は出雲の神議にいってこの試験の首謀者全員に謝罪させるという。

人間社会に溶け込みたい瑞希は鞍馬を見習うためにコンサート中のお台場に。しかしヤクザに脅されて思わず白蛇がでてしまった。偶然見かけた鞍馬はタクシー無賃乗車の瑞希を助けるが。瑞希はノリで鞍馬のドラマの打ち上げパーティへ。でも食事が口にあわずにどんよりしている瑞希は、今日一日東京を歩いてみたけど空気が人の数だけ邪気を吸って重く街を覆っている 僕には呼吸するのも苦痛なところだなと言う。鞍馬は「じゃあ もう社に帰りな ここはお前にはまだ早い」と突き放す。カクテルを飲んで具合が悪くなった瑞希を解放してくれた田舎から出てきたばかりだという女優の付き人は、「合う合わないで言えば合わない世界かもやけど それでも私はここが好き!ここで頑張りたいです」という。お礼にあげた瑞希のお酒で機嫌を直す大女優。

巴衛の部屋で女モノのかんざしを見つけた奈々生、観覧車に乗りに行くことになるが、ジェットコースターに興味を持った巴衛のおかげで苦手なジェットコースターに一緒に乗ることになるけれど楽しそうな巴衛に嬉しくなる。しかし巴衛が女の子に手をかすたびにもやもやする奈々生。

昔雪路を好きだったことを尋ねても、そんな女知らないし俺は人間を好いたりなどしたことがないという。

嘘をつかれるのは傷つくといって巴衛のもとを離れて一人観覧車に乗る奈々生。先ほど神を直してくれたときに簪でとめてくれたことに気がつく。観覧車に乗り込んできた巴衛に、今を大事にしてくれるならそれが一番の幸せ と思う。

瑞希が東京に行ったときにお金を巻き上げられたお陰で、出雲に行く旅費が足りない。社を留守にすることはできないので、瑞希が留守番をしたらと巴衛はいうが、瑞希に寄れば巴衛は元野狐の神使で神議り(かむはかり)に行っても嫌がらせされるだけなので一回も出たことがないから自分の方が適任だという。二人に将棋で勝負をするようにいって奈々生は航空券を購入に行く。瑞希は巴衛が周りの神に悪く言われたら奈々生がキズつくのが心配なんだと。一方帰り道に奈々生は5つの神堕ちという神籍を剥奪された神に追われて公園に駆け込むとそこには男性が一人。人間の分際で神議りに呼ばれたのが分不相応だという。と、男性が神堕ちが人神を罵る様は滑稽だというと、神堕ちに攻撃される。無抵抗な人間に手を上げる神に腹を立てた奈々生は退魔結界で退治する。男性は霧仁いや霧仁の体を使っている悪羅王というもので、病院にいかなくてはという奈々生に口づけをしようとする。

社に戻ると将棋に勝った巴衛が出雲にいくことになっていたが、先ほど神堕ちに巴衛の悪口をいわれて、巴衛に何かあったらと奈々生は「出雲には瑞希と行く」という。巴衛は奈々生に化けて代わりに学校に行くことになって面白くない。「この前まで俺が好きだとわめいていたくせに」と思ってはっとする巴衛。

出雲では大国主神が主祭する神護(かむはか)りが行われる出雲大社に、式神マモルくんも瑞希も置いたまま八百万の神が集まる場にいきなり飛ばされる奈々生、置いてきぼりにされそうになったところを蝶に導かれる。

遅刻してきた乙比古神の付き添いとしてようやく入場したマモルくんと瑞希に再会した奈々生は、いきなり大国主神に黄泉比良坂(よもつひらさか)に行ってきて貰いたいと言われる。黄泉の国への入口黄泉比良坂は神護りの7日間は手薄になるが、今年は手練れの妖のしわざで門が開いてしまって、穢れで地上が汚れないように祓う必要があるが、キレイ好きな神たちは黄泉に関わるのを嫌うという。「それより香夜子に出来レースの出雲試験を受けされたことを謝罪にいけ」という奈々生に、交換条件として持ちかける。ガイドは遅刻した乙比古。

ついていくという瑞希に、自分を案内した蝶はもしかしたらミカゲさんかもしれないからさがしてくるように伝えて、奈々生は出発する。

黄泉比良坂を破壊した妖怪鉄鬼丸に、霧仁は黄泉の国にある悪羅王の肉体を手にいれれば最強になるとそそのかす。鉄鬼丸は霧仁を連れて黄泉の門をくぐる。思わず手を伸ばした奈々生は霧仁と一緒に黄泉の国へ落ちる。

(44話)
毛利霧仁は山の中腹で雪崩に巻き込まれて雪に閉じ込められ息をひきとった。神によって体を黄泉の国へ持って行かれて漂っていた悪羅王の魂と出会って、家を出るときに母と言い合いをしたのが心残りで自分の体をあげるから母に謝っていたと伝えて欲しいという。気がついたら病院で昏睡状態から覚めた霧仁の体にいた。香夜子を手なづけてお前が神籍を認められば俺も己を取り戻せお前の力になってやれると。

とそこに離ればなれになってしまった奈々生が見つける。霧仁は黄泉国を司るイザナミの地下牢に閉じ込められていたのだ。抱きついた霧仁に、奈々生は「私には巴衛という心に決めた狐がっ」と叫ぶ。

留守番の巴衛のところに乙比古から、奈々生が黄泉国で行方不明になったという連絡が来る。

(45話)人は黄泉国では神の体の一部に触れていれば黄泉の毒に侵されないので、奈々生の髪を手首に巻いて行動する霧仁と奈々生。イザナミの神使緋王が、森ごと焼き尽くすと迫ってくる。お札の力でなんとか出口まで戻ってきたが、地上に繋がる黄泉比良坂の穴の蓋を誰かが閉めてしまって出られない。

出口の反対側ではたどり着いた巴衛が、結界岩を守る戦神と争っていた。虎徹が振る打ちでの小槌の力で神使から妖に戻った巴衛は、結界岩を割って奈々生を助けに黄泉国へ入る。その姿を見つめる霧仁。

(46話)霧仁は巴衛に「この女はお前の何だ?」と切りつける。が、迎えに来た式神と立ち去る。

出雲大社で大国主神に打ちでの小槌を返却する。妖に身を堕とした巴衛は東の牢に閉じ込めたという。かけつけた奈々生に「神使に戻るかどうかは俺が決める お前の神使になるのは少し考えさせてくれ」と。

牢にようすを見に来た瑞希に巴衛は「神使の時はたとえそばにいなくても奈々生のことを思わない日はない それが神と神使の契約なのだろう? 神使の契約は破棄されもう俺の体が神の制約を受けることはない なのにどうしてまだ俺は奈々生に囚われているのだ」という。「君は奈々生ちゃんが好きなんだよ」といって奈々生が戦神の手下麻毛理神からもらった霊薬桃丹を、餞別だと言っていたと渡す。敵の多い妖だからせめて身を守ってくれるものを渡しておきたいと。

(47話)奈々生は夢の中で巴衛に神使のキスをされながら「たとえ神使じゃなくても巴衛は私の大事な人よ」

大国主神にはなんとか許して貰い、神使に戻って奈々生が好きだと自覚しながらも、奈々生に好きだなどといわれるとついいじめたくなる巴衛。

(48話)他の神使にご主人様から「人間の娘に恋慕し禁忌を犯した」と聞いて、奈々生にも「昔は人間のこと好きだったじゃん 雪路って女の人のこと」と言われても思い出せない巴衛。ミカゲの化身の蝶が「まだ思い出してはいけない」という。

瑞希に「僕は折角できたご主人様を失いたくない 勢い余ってかけおちなんかしないでね」と言われて「くだらん心配するな 俺は人間とどうこうなる気はない」

神護りの最後の夜の大宴会で蝶の姿のミカゲを見かけて追いかける奈々生、ミカゲに一週間前とは見ちがえたよ 巴衛とも仲良くしてくれて感謝しているよ」と巴は口では言わないけれどミカゲさんに会いたがっているというと「今私が巴衛に会ったら二十年の留守が無駄になる 巴衛が完全に私を必要としなくなるまで巴衛に会う気はない」と。人と妖の恋が禁忌なのは、人間の寿命は一つの執着に足を取られている暇はないほど短いからいくつも恋を重ねるが、長い時間を生きる妖は気持ちの揺れがなく決して忘れない。一つの想いを何百年も抱えて生きる。だから彼らは無闇に心を動かさない。誰かを愛し求めるということはそれだけ妖にとってリスクの高いことなんだ 巴衛もそうだった。今は私の力で忘れさせているが永遠にこのままというわけにはいかない。巴衛は人を儚いものだと思っていて人と関わることを恐れている 人は弱くないと君なら教えてあげられると思う 私は巴衛と人との縁を結び直してあげたい 巴衛が私ではなく君の手を取るように 巴衛に君を選ばせてあげたいんだ。

そこに奈々生を探しに来た巴衛が見つけて「ミカゲ!!」と叫ぶがミカゲは蝶になって消えていく。

これまた、偶然土地神となったけ無力でただ元気なだけの跳ねっ返りな奈々生が、大きな力を持つけど訳ありの大妖怪巴衛に助けられながら、神様としてだんだん成長して恋するようになり、少女漫画らしいストーリー。

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