2021年4月1日木曜日

コレットは死ぬことにした2

 (5話)往診に行くとあいかわらず熱を出しているハデス様。「今考え事をしている 下がれ」とそっけないが、こんな状態では薬師は下がれませんと強引に治療する。最近考え事が頭に張りついて寝付きが悪いハデス様の気分がかわるかもと、コレットは作りかけのポプリをとりに地上に戻る。いろいろあって遅くなったけれど、全速力でハデス様に届けに行く。はずみで髪飾りが外れたコレットの髪をそっと握るハデス様。コレットが帰った後「おそらくまだコレットは知らないのだろう だがいずれ耳に入る 知るときが来る」と思う。

ここから本格連載になったというけど(2014年7月18日発売花とゆめ16号)、あいかわらず具合の悪いときは素っ気なくて、殻に閉じこもろうとするハデス様。今ならこんな不機嫌な顔をコレットに見せなかっただろうに。6歳の時に流行病で村が全滅して、先生に連れられて町に住むことになった記憶がまたでてくる。せっかく生まれてきたのなら笑っていたい 薬師になったらそれが守れるのならやってやろうじゃないかというのがコレットの原点。

(6話)傷だらけの手をガイコツに指摘されていらっとして怒鳴ったものの、やっぱり気になって「やっぱりひどいかな 傷消えないかなぁ」とつぶやくコレットに「その傷があって今のお前があるのだろう?」とハデス様にいわれて嬉しくなる。地上に戻ったコレットは師のアンノ先生が亡くなったことを知る。ということはハデス様が先生にあっていた。どんなふうに、何を話したの 私の先生だって気がつかなかった?と冥府へ向かうと、使者の舟渡しカロンがハデス様に、アンノ先生が「妻を殺した自分がどーして天国行きなんだって」と訴えてくると話しているのを聞いてしまう。コレットが立ち聞きしているのに気がついたハデス様は「お前には関係ない話だ 悔いの一つ二つあれど使者はいずれ自分が誰であったか忘れていく もはや生者とは別の世界の住人だ」「帰れ」と拒絶する。言葉を失ったコレットは「天国行きって言われても喜べないなんて その裁判には何の意味があるんですか」といって宮殿を後にするが、カロンに強引に頼んでアスポデロスへ連れて行ってもらいアンノ先生の霊と会う。妻の異変を、肺炎なのにただの風邪だと軽視して手遅れで死なせてしまった後悔を聞き、その後30年優秀な薬師のように振る舞ってきたという。コレットはこの手は本物の薬師の手 私の憧れの手だという。カロンって最初からコレットには好意的なのね。ハデス様に聞いたら絶対ダメだというだろうに、コレットを結局望み通りアスポデロスに連れて行って先生に会わせてくれている。でも実はハデス様には迷いがあることをちゃんと読み取っているのかも。ギリシア神話ではハデス様自身も含めて冥府のメンバーは、オルフェウスの伝説のように時々情に流されて、生者を入れたり死者をつれていかせたりしているようだし、けっこう情に流される人たちかも。

(7話)アンノ先生の最期を看取った兄弟子のランを速達で呼んで、アンノ先生の形見の雑記帳を読んだコレットは毎年1月12日に奥さんに送った歌が書かれているのを見る。もう一度冥府のハデス様に、アスポデロスにいる師の妻を探したいと頼みに行く。しっかりお見通しというか当然カロンからコレットをアンノ先生に会わせてしまったことを聞いているとは思う。アスポデロスでアンノ先生の奥さんの名前はノーラと聞いて、必死で探すコレット。残念ながら奥さんは30年前の記憶を持っていないようで名乗り出ない。ハデス様に「コレットが自分の雑記帳を持っていると言うことは自分を看取った弟子にあったはずで弟子達がこんなに私のことを思ってくれるなら少しだけ自分を肯定してあげられるような気がします。」とアンノ先生はいう。コレットはアンノ先生に奥さんに贈った歌を歌ってみて下さいという。その歌に反応する影が現れ、「自分が誰だか忘れたけれどわたしはあなたを待っていたんだ わたしを忘れても あなたを忘れても 愛してるって気持ちだけは忘れられないから」アンノ先生はその影とアスポデロスに留まることにした。ハデス様は「天国に来ても喜べない裁判に何の意味があるのかとお前に言われて返す言葉が見つからなかった 裁判はこれまで通り行う だがここで使者達の話を聞いてやることはできよう それで魂が静まるたすけになるのなら私がすべき仕事だ」という。

カロンは、ハデス様がコレットを気に入っているのを、既に見抜いている。ガイコツとはまた違う立ち位置のカロンが魅力的。

コレットを薬師に育てた師のために、コレットがハデス様の領域を侵したシリーズ中後にも先にも唯一の件。受け入れたハデス様、少しずつ固い頭が変わっていっている。コレットの領域とハデス様の領域とは微妙に関わっていて、コレットが救えなかった人は冥府にくるわけだけれど、その後ハデス様の領域を侵さないように気をつけているのも好感が持てるし、11巻65話ではアスポデルス(天国)に出入りしているけれども生き別れた両親とは会いたいとは思わないと後ほどいっているのも、別世界の人間としてちゃんと一線を引いている。

しかし通常天国とかの概念って、先に逝った家族や恋人と会えて永遠に幸せに過ごせるのでないと救いようがないけど、30年前に亡くなっているアンノ先生の奥様にはもうほとんど記憶がなくて、本来ならアンノ先生が天国に行ってもお互いにわからない状態で、その後の6巻35話ではまもなく奥様は眠るように消えて現生にいってしまうという輪廻転生感は、ちっとも救いがないと思う。来世でも一緒に過ごしましょうというわけではなくて、結局永遠の別れなわけなんだ。今日は別れた恋人たちが生まれ変わって巡り会わないのだもの。

(8話)冥府に今まで知らなかった屋を見つけたコレットは、そこで人見しりする恥ずかしがり屋のガイコツに会う。ハデス様の衣装を一手に引き受ける針子なのでハリーとあだ名をつける。

ハデス様は1巻1話から苦しんできた日光アレルギーからの炎症が完治。珍しく微笑むハデス様にコレットもガイコツも密かに見とれる。しかしハデス様がハリーについて言った「お前(コレット)は言ってもきかぬから無礼なのだ あれは私が言えば従うだろう ・・・だが それにはあまり意味がないように思う」ってコレットも言ってるけど「よくわかりません~~~」意味不明。デメテル様の宴会の招待が来るけどハデス様は忙しくて欠席という。ハデス様は150年天界にお出かけしてないとのこと。昔は人間が少なかったから時間があったけれど、今はそうではなく余程の理由もなく休めぬという。これって自分の働き方を制御できてないところはコレットと同じじゃん。まあ神様は不老不死だし、コレットと違って心身が破綻していないけど。ハリーは仕事が生きがいなのに150年仕事がないというのに思い当たったコレットは、150年分の気持ちを見せに行こうと説得する。カロンの協力で裁判のペース配分と体調管理についてのプレゼン付きで。ということでハデス様はハリーの用意した衣装で天界の宴会にでかけることになった。

ハデス様が1話から苦しんできた日光アレルギーの炎症から、8話でやっと完治するってなかなかリアル。アレルギーは大変だものね。ハデス様、これ以降、美神度がアップ!

(9話)デメテルにどんな心境の変化があったか聞かれて、人間のお気に入りがいることがバレた。女神ネットワークって・・・ハデス様以外の神様ってヒマなんだなあ。「あなたの寵愛が欲しくてたまらないのに死者の国が怖くて手が出せない女神が大勢いるもの」とのデメテルの言葉にコレットを思い浮かべて思わず一人笑う。地上も豊作を祝うお祭り、コレットにとってはこの村で3回目のお祭りだが、自分の育った診療所のことを思い出して、この村は好きだけど、みんなのことを昔から知っているわけじゃない 手ばなしで心を許せる場所はもうどこにもないんだと思って涙ぐんだところで、ハデス様が天界よりもお前の顔が見たくなったから来たと登場。弟子達がお祭りから戻ってきて交替しますという声がするけど、もうちょっと一緒にいたいです。とコレットはハデス様と冥府へ。コレットは時々故郷を思い出したり、診療所自体を思い出して寂しくなるけれど、これから先いつもハデス様が甘えさせてくれる。

(10話)毒キノコを食べた男性タマさんがコレットの診療所に運ばれてくる。少し元気になるとコレットの手にキスをして抱きしめたり、女性に猫なで声を掛けたりセクハラしながら居候するようになった。玉子を買いに行ったコレットは売り子にけんもほろろにされる。話を聞いたタマさんはコレットと一緒に行って、その女性の心を開かせる。「タマさんは人を楽しませるのが上手ね 考えが変わったという」とはいってもタマさんに落ちたわけではなくてデートは拒否するが「そんな君が心を許す男が兄上なのかあ 兄上のかあ まずいよなー でも落とせない子ほど欲しくなるのがぼくの悪いクセなんだ」と意味深なことをいう。一方ハデス様はデメテルから「ハーちゃんにお気に入りがいるってことばれちゃいました ゼウスに気をつけて」という知らせを受け取っていた。

(11話)セクハラで思わせぶりなタマさんに屋外で悩まされているところへ突然ハデス様が現れて、「ゼウス」と呼びかける。世界の最高神、天界と空の王ゼウス!!なら毒キノコを食べても死なないわけだ。「そいつはわざとここに来た あいかわらずずるがしこい奴だ」とのハデス様の言葉に動揺するゼウス、その顔を見て「お前を排除する」との言葉に思わず庇うコレット。きっと怒るだけの何かがあってまだ陽が出てる中を心配してきてくれたのはわかるけれど泣きそうなタマさんを追い出したらいけない気がして「大丈夫です ありがとうハデス様 この人は私にひどいことはしません だから安心して冥府で待ってて下さい」とのコレットの言葉に引き下がるハデス様。その後コレットは特にその話に触れないが、夜、井戸の前でゼウスは、昔ぼくはハデスにひどいことをしてしまったんだと語り出す。

(12話)昔ゼウスとハデスとポセイドンの3兄弟はくじを引いて天空と海と冥府の担当を決めた。ゼウスはずるをして一番文句を言わないだろうハデスがハズレの冥府を引くよう細工した。ハデスは気づいたようなそぶりを見せたが何も言わなかった。それをずっと気にいていたけどさっき兄は気づいていたことを確信したけれど、天界の誰にも言わなかったのは他の神々と馴れ合うタイプじゃないからかなとゼウスは言う。最高神がどんだ卑怯者だとばれたらぼくは天界を追い出されてしまう。ハデスが宴会に来なくなってほっとしたのに、ハデスのお気に入り君が現れたという。ハデス様が誰かと知り合うたびにジャマしに行く方がよっぽど卑怯だとコレット。兄上に許されなくても謝らなくちゃいけないね とゼウスが言うのでコレットは今から冥府に行こうと井戸に突き落とす。「思い立つ日を吉日」って「思い立ったが吉日」だけどまあこれは意味的にはおかしくないか。心の準備ができないうちに冥府にいってしまったゼウスは着いたら猫に変身してしまう。アスポデロスにいるハデス様に話をするつもりが、鬼ごっこの最中だった。いきなりハデス様に一緒にオニにされたコレットは、とりあえず言われた通り手に花をくくりつけている影を特に狙ってタッチすると、現生へ出発していく。消えていくのを自覚しないよう遊んでやるのだという。ハデス様にとっては「冥府はおわりとはじまりの国」だという。「自分が終わるというのは想像できないこわさがある。人間は本当にそれを体験するのだからもっとこわいだろう ならば善人も悪人も影が消えるそのときは等しく安らかにしてやりたい」ってアスポデロスにいるのは善人だけだけど・・「兄上は逃げなかったんだね ぼくは逃げた ズルをした ごめんなさい」とあやまるゼウス。「ズルを黙っていたのは私がどこでも構わなかったからだ ただつまらん細工をしたことに腹が立っただけ」と二人は和解する。ゼウス様はギリシア神話でも黄金の雨とか動物でないものも含めてさまざまなものに変身するけど、それは女性をものにするため。もっとも現在ならネコの方が女性に受け入れられやすいかも。


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