2021年4月2日金曜日

コレットは死ぬことにした3

 

(13話)天界の薬師アポロン様が一週間バカンス、困った女神様達にゼウスがコレットを推薦して、山間の村の診療所に女神様が殺到。村の診療所ではパニックになるので女神達はコレットを気に入ったみたいだし、いっそ天界に来てとゼウス様。ハデス様は神様は気まぐれで気に入った人間を愛人にしたり気にくわないと呪いをかけるのが普通だと思っている、やめておけと。コレットは今日喜んでもらえたし、自分を必要だという人がいるなら答えたいというのにハデス様は「好きにしろ」。聞いていたカロンは皆が帰った後で「でも本気で放っておけるほど情が薄くもない でしょハデス様 困ったもんですねフフフ」と意味深。

カロンは最初からコレットに好意的だし、ハデス様がコレットに特別な感情を抱きつつあるのを最初から見抜いていて、こうやってハデス様を後押しする、この立ち位置好き。ガイコツとは違った形でハデス様の幸せを願っているのがよくわかる。

しかしこの漫画でも、あるいはギリシア神話自体でも、神様ってほんとに自分勝手で人間を愛人にして、でも殺されるのはほったらかしで、だいたい人間を馬鹿にしているし。神様って人間の空想がつくりだしたものだけど、人間が全知全能で不老不死だったらこうも自分勝手になるのかと思う。その中でハデス様は、仕事が裁判官ということもあるけど、例外的に働き者で真面目で、浮いた噂は少なくて、好感が持てるけど、これって死後の世界があまり古代ギリシア人の関心になかったからかも。

アポロン様がバカンスにいくのは確かにギリシア神話通り。

ハデス様と気まずいまま別れてもやもやしているコレットは、もう一度会いにいこうとハデス様のためにハーブティーとポプリを持って外に出たところで、ハデス様が来ているのに気がつく。「天界で困ったら自分の名前を仕え たいていの者はそれで黙る。」(さすが三大神、ふだんはオリンポス12神にも入らずに無視されていても、ハデス様はほとんどの神様より偉いし恐れられているのを自分でもよく知っている)いつでも冥府に来ればいい 用も話もなくていい お前が思ったときに来ればいい ここにこうして来たように と。(ハデス様それ・・・愛の告白)そしてコレットの願いに応えて「頑張ってこい」と。更にお前に加護をやろうと額にキスをする。

(14話)赤くなって慌てるコレットに、加護はカロンにもついているぞという。ゼウスが迎えに来て、アポロン様の宮殿で柊の精、柊ちゃんと出会う。「アポロン様のバカンスはきまぐれで、兼任するあらゆる仕事が滞っていますとにべもない。」集まった女神様たちの不調は治療と言うよりも話を聞いてあげること。柊ちゃんは、「神は不老不死、女神様達に病気といえるようなものはないのに、なぜ主やあなたは話を聞き続けるのですか」と、相変わらずそっけない。そこに昨日髪を枝にひっかけて切らなければならなかった相談に乗ってくれたお礼にニケ様が現れる。昨日は話を聞いてくれてほっとしたと。それを聞いてコレットは、「話を聞くというのはいちばん基本の処方薬なのかもしれないね」と柊ちゃんにいう。「聞くばかりの方は割に合わないじゃないですか・・・主のバカンスは息抜きなのかもしれません」と少し口調が和らぐ柊ちゃん。そうお医者さんって、相談しやすいか、納得いくように説明してくれるかで、ずいぶん変わってくる。ドクターショッピングはしたくないけど、でも何回か見てもらったってやっぱり合わないと思う先生も多いのよね。そこへゼウスの奥さんヘラが現れて、コレットのことをゼウスが愛人を天界まで連れ込んだと勘違いして毒ヘビ攻撃をかけると、ハデス様の加護が発動して、撃退する。ハデスの加護と気がついたヘラはハデスの愛人に手は出せぬと帰って行く。冥府では加護が働いたのに気がついたハデス様。ハデス様の体を気づかうカロン。

このあたりからハデス様今の色気がでてきている。

(15話)アポロン様の宮殿の温室で食虫植物に食われそうになったコレットにハデス様の加護が再び発動。ちょうど街が火事になって苦しんで死んだたくさんの人の話を聞いていたハデス様は気分が滅入る。柊ちゃんから加護は使うたびにその神の力を吸うので心身が疲れてしまうと聞いて、仕事終了後冥府へすっとんでいくコレット。一見普通に見えたハデス様は、気分が悪くなりひとりで空き部屋に籠もってしまう。探しに行ったコレットに「個人的な理由だ お前には関係ない」と拒否するが、「すまぬ・・・今少し感傷的になっているだけだ 私に近付かない方がいい」

すぐコレットを気づかう言葉が出てくるようになったところが少しかわりつつあるかなハデス様

頭を冷やすよりお風呂に入りましょうと、ハデス様を強引にお風呂に入れるコレット。ついたてがあるとはいえ一緒に入って天界でつくった入浴剤ハーブを入れたりするコレットにハデス様唖然。「私 もっといい薬師になってハデス様の役に立ちたいです あなたの加護に負けないくらい」と。ドアの外からガイコツも心配してようすを伺う。ハデス様の心も少し温められたよう。

(16話)天界時代、冥府へ降臨する直前に、山のてっぺんに咲くお気に入りの花の話をデメテル様とするハデス様の回想。今日はいけないのでと温室の果物をハデス様に送るコレット。眠れなくなってコレットからもらったラベンダーのポプリを取り出す。枕の下に置いてあるのね。冥界の王として責任を果たすために、気に入っていた花が見られなくなった 休日を潰し誘いも交流もすべて断った。人間の街へも行かなくなった 不死と思えば体の不調などささいなこと
って、ハデス様の扱う範囲はどのくらいだろう。この漫画の時代は古代ギリシアには見えないけれど、かつて古代ギリシアだった範囲くらい?人はどんどん増えていくから、死ぬ人も当然ふえていって、後ほどヘルメス様が通販を運営しているように、もう少し合理化しないと無理があるのでは。とにかくものすごくハードワークで頭が固いハデス様。「休日を楽しむことも 誰かと会うことも 体を気づかうことも 弱った心を癒やすことも ぜんぶ 本当は大事なものだった。」というのはがんばっているすべての人に送りたい、ハデス様の述懐。
ところで人が増えていくと、魂も増えていくわけで、冥府で過ごしたのち魂は地上に帰るという概念も無理がある。
眠れなくて宮殿を散歩するハデス様、人見知りの針子が、コレットと話すようになってお喋りもスキになって、ハデス様とも普通に喋れるようになったと聞いて微笑む。「なんだか最近のハデス様はやわらかい雰囲気じゃ よくお出かけなさってた頃のような」と針子。別のガイコツ(シェフか?)は散歩用のお茶といってコレットが処方した不眠の時のハーブティーをハデス様に入れる。コレットが自分が手放してきたものを拾ってくれたから今の自分があるとハデス様は思う。
そしてまた一日のハードワークが始まるが、裁判から戻ると天界からコレットが来ていた。神様は人間以上に自然が好きなんですねぇというコレットに、昔のお気に入りの花を思い出す。いいかけていったんやめたハデス様の言葉を待つコレットの視線に気づいて「天界の無人の島にある花を探してくれぬか」と頼む。

(17話)柊ちゃんと調べるとハデス様のいうのは水仙らしいけれど、黄色の水仙は見たことがないという。通りかかった女神様が聞いて自分たちも協力して探すという。コレットがハデス様のお気に入りと噂になって、なんとかハデス様とお近づきになりたいらしい。って女神様ってヒマなのね。コレットもゼウス様に馬車を出してもらって探す。その夜ほかの女神様が見つけてハデス様が思い出をその女神様にうち明ける夢を見てもやもやするコレット。翌日は途中でヘラ様に呼ばれたゼウス様、コレットに馬車を貸したものの、人間だけとみた馬はいうことを聞かない。通りかかったニケ様が助けてくれて、ニケ様にもやもやをうち明けると「勝利の女神として一つだけアドバイス ハデス様への想いがいちばん強い者がきっと花を見つけるわ」ってニケ様は勝利の女神、ニケ様に親しくしてもらった時点で決まりだけど。緑の少ない寂しい岩山の島々へ進んでとうとう崖の上に咲く水仙を見つけたコレット。とりあえず上陸して崖に登ってたどり着いた。「ハデス様は先生と同じ 尊敬すべき仕事人 私もそうなりたい いつも助けてもらってばかりだから役に立ちたい たまに見せる笑顔がとてつもなく素敵だから笑わせたい」とたどり着いたコレット。

ふと見下ろすと馬車が勝手に帰って行く!

(18話)コレットは崖の上に一人取り残されたまま、夜になった。どこからか「コレット!」と呼ぶ声がして、裁判服のまま駆けつけたハデス様に抱き寄せられたコレット。帰ってこないコレットに心配した柊ちゃんがゼウス様の宮殿を訪ねてゼウス様に面会を頼み、ゼウス様が冥府に知らせに行ったとのことだ。加護の気配を辿って見つけたと。冥王になる前のハデス様は思慮の浅い未熟者だったが、風をいなし悠然と岩山に咲く花を見て気高さや美しさはそうありたい己の心ひとつなのだとわかったという。冥王様はあなたが目指した気高さそのものですね、とコレットのことばに心打たれたハデス様。天界をコレットを抱いて横断してアポロンの宮殿へ。柊とコレットは冥府を通じて文通することになる。黄色の水仙ってペルセポネが地上に略奪されたあと咲いたというけど。

(19話)冥府の舟渡カロンは、もともと特別な役職がない神様で、天界で島々の舟渡しをしていた。ということは位の低い神様?しかし神様って飛べるんだから舟渡しはいらないのでは?と突っ込みたくなる。つまんない仕事だと思いながらやっていたカロンは、或日舟を待つ冥王様を見かけて乗せ自分と同類かと思って「冥王辞めたいとか思ったりします?」と聞いてしまった。「つまらんとはおもわぬ 意義のある仕事だと思っている」現状は嫌だけどやりたいこともない俺みたいなのいないのと思うカロン。そして別の日、再びハデス様を乗せたカロン、ニンフを差し置いて割り込む女神様に腹を立てて、そのニンフをハデス様と相乗りさせてあげる。「お前向いていると思うぞ 舟渡し」といわれて嬉しくなったカロン。頑張ってみようと思った矢先に、先ほどハデス様の前で恥をかかされた女神様が追いかけてきて、そのまま地面に永遠に張りついていなさいという呪いをかけられてしまう。獣たちに腹を食われていく。他の舟渡たちの噂で冥王様は冥府の舟渡しのスカウトに来ていたことを知る。冥王さまのもとで働きたかったけれどもう二度と会えず生きながら朽ちていくのかと泣いていたところで、カロンの名前を呼びながら突然現れたハデス様。

このハデス様美しくて好き! 今家来が舟を出しているが横柄な使者に手こずっている(ってガイコツが昔は舟渡しだったのか)お前のような物怖じしない度胸のある奴が欲しい 冥府の舟渡にならなぬか」という。カロンの欠けた体には石と粘土とアポロン様の薬草が詰まっていてハデス様の加護で自由に動かせる。そして身を守るためにもう一つ加護をもらって、ハデス様の負担になっていることに申し訳ないけれどカロンは幸せ。

女神様は一体何の役割を持っているのだろう。ヒマそうでニンフや下位の神に威張り散らして。気分で相手の人生、いや神生を破壊する呪いをかけて。本家のギリシア神話にしても、人間を翻弄するのが暇つぶしかなと思うこともある。まあ神様といってしまうから、人間を導く立派なもののような気がするけれど、
ギリシア神話の神様は、妖怪みたいなものだと思った方が近いのかな。

ハデス様とカロンの出会いはガイコツもコレットも知らない二人だけの秘密

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