2021年4月16日金曜日

コレットは死ぬことにした17

 (99話)突然ハデス様がガイコツ達に名前があった方がいいだろうかといいだした。好きな名前を申せと言われてパニックになるガイコツ達。ハデス様が冥府に降臨した日のことを思い出す。降臨したハデス様 神々しい ハデス様長髪の方が神様っぽい

「天界通信」の人間の流行の名前を参考にそれぞれ考えてみた。が、ハデス様にその名前で呼ばれることを想像すると・・・強烈すぎて日常に支障をきたしそうだ。結局「ハデス様は我らをすでに個として識別し認めて下さっている ハデス様がご不便でなければ今しばらくは我らは名の無い家来でいたいという結論に相成りました」と。

いやその論理破綻しています。個として認めているからこそ別々の名前で呼べるのだけど。ただ、シェフとか秘書とか言うのがidentityすなわち冥府での名前と考えればいいのでは。それぞれの役職は冥府に一人ずつしかいないし。

ガイコツの面倒なハデス様愛は、ひたすら楽しい。一線を越えた妄想に抱腹絶倒。それにしても妄想の中のハデス様セクシー。ガイコツがコレットに失礼なことをしてもハデス様に怒られないし、コレットも別に嫌がってないのも、何百年もハデス様一筋だったのが共感できるからだろうな。ハデス様もずいぶん性格がやわらかくなった。

(100話)更にハデス様は、何か自分にして欲しい望があれば叶えるという。カロンは釣りにつきあってもらうという。コツメ君はハデス様とまたお風呂に入りたいという。ガイコツたちはまたパニック。ご入浴はかわうそアドバンテージ、魚がいない冥府での釣りという究極の不毛も許される。悩みながら「天界通信」の「イケメンにして欲しい仕草トップ5」を読むと「壁ドン」「耳元でおやすみ♡」「見つめ合い」「ギュッ」などという一線を越えた妄想しかしていなくて、心頭滅却したらなにも残らず、結局「我々からは望みはございませんでした」と。ハリーのお願いはハデス様にまたおでかけしてほしいと。
ラダマンテュス様達三人のお願いは3つの頭を持つ大犬のときのケルベロスと遊ぶ。”偉大なる父”と呼べという要望を却下されたクロノス様もしかたなくケルベロス乗馬につきあう。踏まれそうになったコレットは、お願いを叶えてもらっている皆の邪魔をしないよう、ハデス様の部屋へで待っているうちに眠りこける。戻ってきたハデス様に「コレットは何かあるか?」と聞かれるが保留にする。

(101話)リニさんもトーヤン先生も村を去る。そこへやってきたのは髪を男性のように短く切り男性用の青服を着た女性遍歴医ベレーさん。この方が自分らしいという。コレットも「先生」と呼ばれるのは自分らしくないので「コレットさん」がいいという。村人は男のような姿のベレー先生にびっくりするものの受け入れてくれる。村が大事にしてきたお祭りの、取っ組み合いが嫌いだという村の男の子に、男になりたいわけではないけど毎日髪を結うのが苦痛だった自分を理解してくれなかった、薬師の師でもある自分の親の話をするベレー先生。男の子が祭りが嫌なのではないことをひきだし、コレットも作戦参謀や大将になるという選択肢を示して、父親との間を取り持つ。

(102話)ベレー先生は、コレットが薬師として独立したときに故郷を見にいこうとしたときに道を間違えて今の村に住むことになった話をきいて、道を間違えたのはこの村ではないか、この先の山の中に過去には集落がいくつかあったと、コレットの故郷の場所を示唆する。ヘルメス様が探してくれるという。夜ハデス様にその話と、父と母のことを話す。ハデス様はちょっと心配そう。

翌日午前中にヘルメス様が見つけてきてくれて3人で村を出発。あとはベレー先生が引き継ぐことになる。ヘルメス様の道で飛んでいくと、草だらけの廃屋が並ぶ山間の小さな集落跡、すなわちコレットの故郷があった。

ヘルメス様とディオニュソス様に、コレットは何が起こったかを話す。滅多に外から人が来ないこの村に、或日旅人が来た。具合が悪いようで村長さんのうちで世話をすることになった。

(103話)旅人は結局死んでしまって村長さんのうちで埋葬した。その後村長さんは熱をだした。次の日には、村長さんの家族もお世話したご近所さんも、風邪になった。うつった人達は皆熱が出てご飯を吐いてしまう。お世話しに行った人達は次々に風邪を引いてその家族にもうつっていく。やがて村長さんが死んだ。他の人達も次々死んでいった。お父さんは埋葬の手伝いから帰ると毎日お風呂に入った。コレットの友達も次々死んでいった。体に痣か発疹ができるようだ。そしてコレットの両親はまだ感染していないけれど、家の中でカーテンを引いてコレットとは家の中で分けて生活するようになった。これは風邪ではないと気づいていても何なのかはわからない。助け合いの精神が更に感染を後押しした。

一息ついたコレットはディオニュソス様と皆のお墓に花を添える。花探しに手こずって日が暮れてきたところで、ヘルメス様が冥府に話を伝えてハデス様を呼んできた。

両親がとうとう発病し、両親の言いつけでコレットが一人で籠もっていた裏山の窯(お父さんは陶芸をする)にいく。窯に火をつけて煙を上げて、コレットが生きていることを旅の薬師様か行商の方に知らせるようにと言われて。

コレットが流行病で全滅した村の唯一の生き残りであることは1巻の3話で既に明かされている(ということは多分2014年)けど、その詳細をCOVID-19の蔓延している2020年の今、聞くのは、なんという絶妙なタイミングだろうか。でも日本だって戦争中には八重山でマラリアで全滅した集落とかあるようだし、近年になってもお医者さんがいなくて感染予防の正しい知識がない地域では、こういったことは世界中でけっこうあったのだろう。

コレットが一人だけ生き延びたのは、両親とコレット自身が賢く自制心があって強かったから。早いうちから家の中をカーテンで仕切ってうつさないようにコレットを隔離して、発病してからは一人で裏山の小屋へ行かせた両親も、賢明だけど、6歳の一人っ子に向かってやらせるというのは、なかなかできることではない。コロナの家庭内感染を防ぐために個室に隔離できない場合はカーテンで仕切ってとどこかで読んだことがあるけど、まさにその通りだし。

(104話)両親の言いつけで6歳のコレットは、裏山の小屋で一人で10日間過ごす。途中から竈の火は付いてないけれど。奇跡的に通りかかったアンノ先生が、何が起こったかを察して、コレットを見つけてくれたときは脱水症状で気を失って記憶も朧気だった。

奇跡のようにコレットを見つけて、うつるかもしれないのになくなったままのコレットの両親他の埋葬をして更に7日間の隔離につきあってくれて自分の診療所で育ててくれたアンノ先生だからこそ、コレットが一回だけハデス様の領域に踏み込んでまで手を出して、納得して天国に行って欲しかったんだよね。ハデス様もアスポデロスにいるアンノ先生の影を思い出している。

自分のことを、薬師になってあのとき何が起こっていたかを理解できた日に一区切りついた。自分には人運がある、出会った人(アンノ先生、兄弟子、姉弟子、ポーラとセラと村の人達、ハデス様、冥府の皆、ディオニュソス様とヘルメス様、父と母と友達、故郷の村の人達、知り合ったいろんな人達)に恵まれているというコレットは賢くて強い。


そしてディオニソス様もハデス様も、途中でこっそりハデス様を呼びに行くヘルメス様もみんなコレットへの気遣いが感じられる。

最期にコレットがハデス様と冥府に帰った後、「俺コレットがいなうなったら嫌だな コルネも」というディオニュソス様にヘルメス様が「仕方がないだろ そういうもんなんだから」と冷たく突き放したような発言の後に「親友がいなくなったら寂しいなんて 当然すぎて言う気もしないね」というのはなかなか意味深だけど、なにか伏線かな。



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